でもCOD Ghosts字幕版買うのでまた更新滞るんだろうな。話は考えてあるのでそこで苦労することがないのがせめてもの救い。とにかく当面の目標はさっさと響哉を東京に帰すこと。まずはそれを目指して頑張ります。
大阪城公園で時任と雅から別れて行動し始めた俺は、2人をナンパしようとして返り討ちにされた若い4人組の男たちを尾行していた。
捨て台詞からして『KARs』のメンバーと思われた彼らに、リーダーの下まで案内してもらおうと思い至ったからだ。ついでに俺がやり過ぎてしまったせいで気絶した男がちゃんと目を覚ましたか心配だったからという事情もある。尤も、その男は俺が尾行を始めた時にはとっくに意識を取り戻していたのだが。
しかし、かれこれ2時間ほど尾行を続けるも、彼らはアジトらしき場所に行く気配は一切無く、ただ街中を彷徨いてゲームセンターに立ち寄ったり、コンビニで買い食いしたりする程度で何も目ぼしい手掛かりは掴めていない。
(これ以上は時間のムダか……)
物陰から動向を窺っていた俺がそう思い始めたその時だった。
それなりに人の往来の多い通りで横に並びながら歩いていた彼らは、向かい側から歩いてきた紙袋を抱えている額にバンダナを巻いた中学生くらいの少年と肩をぶつけ、直後その少年に掴みかかったのだ。
「おいこら、自分。人にぶつかっといて謝罪もなしか、あぁん?」
辺り際のない台詞を吐いている間に、他の3人も加勢に入り少年を取り囲む。
「あいつら、全然懲りてねえな……ッ!」
半ば呆れながらも、俺は騒動を止めに入ろうと物陰から出ようとする。
が、俺が飛び出すよりも先にバンダナの少年は自分の襟を掴んでいた男に頭突きを食らわし、男が怯んで襟を掴んでいた手を放した隙に隣にいたもう1人を殴り飛ばしたのだ。油断していた所に重い一撃を受けてしまったために、彼らは呻き声を上げ起き上がれないでいる。
一瞬、呆気にとられて固まってしまう俺だったが、その少年と目が合った時、俺は思わず声を漏らした。
なぜなら、その少年の正体は――――
「玄田!?」
「……ッ! お前は、朱葉響哉! 何で大阪に!?」
残ったチンピラ2人を無視して、去年水投げの時に龍と戦って敗れた玄田剣がズカズカと俺に歩み寄ってきた。
「おいっ、あの時はよくもこの俺を逮捕してくれやがったな! おまけに【武蔵】まで奪ってきやがって!」
「無許可で刀持ち歩いてた奴が何言ってんだ。自業自得じゃねえか」
まあ、こいつの刀を龍がパクったのは横領になるので結構な問題なのだが。
「うるせえ! あの時は邪魔が入ったが、今度はそうはいかねえぞ!」
相変わらずの喧しい声で、玄田は高らかにそう宣言する。
だが、そんな玄田の行動を非常に不愉快に感じる連中が俺の他にもいた。玄田に喧嘩を売っておきながら殴り飛ばされたチンピラたちである。
「おどれら、ナメとんのも大概にせえやァッ!」
彼らは額に青筋を浮かべながら、ポケットからわざとらしく見せるように刃物を取り出していた。
たまたま近くを歩いていた女性が、目を血走らせ刃物をかざすチンピラを見て悲鳴をあげる。だが、完全に頭に血が上りきっている彼らの耳には全く届いていないようで、構いもせずに俺と玄田のいる方へと迫ってきた。
直後、俺はその場から飛び出し先頭を切って走ってきた刃物を持ったチンピラの腕を取り、横投げで後ろについて着ていた仲間たちに向かって投げ飛ばす。
後ろにいた3人を下敷きにする形で刃物を持った男が倒れると、俺はすかさず右手に持った刃物を蹴り飛ばして男の手から凶器を遠ざけた。
「て、てめぇはさっきの……!」
投げ飛ばされて頭が冷えたのか、彼は今になって俺のことを思い出したらしい。しかし、そんなことを気にするでもなく俺は彼の頭の近くでしゃがんで話し始める。
「お前ら、自分たちのこと『
男の胸ぐらを掴みながら、俺は懐からP2000を抜き銃口を男の顎に押し付けながら強い口調でそう問いただした。
それに気圧されたのか、男は怯えた様子で震えた声を上げる。
「そ、そういう奴はおらん! ただKARsの名前を使わせてもらっとるだけなんや!」
「適当なこと言って誤魔化そうとしてんじゃねえぞ」
「ほ、本当だ。頼む、信じてくれ! KARsのリーダーは確か……城戸って奴がやっとるらしいが、会ったことも話したこともないんや。俺たちはグループには入っとるが、何も強制されてへんし詳しいことも何も知らんねん!」
「……それだけわかればいい」
俺は溜息混じりに襟を掴んでいた手を放しP2000をホルスターに戻すと、立ち上がって舌打ちした。
「なんだお前。KARsを追ってるのか」
「知ってるのか?」
「関東を中心に勢力拡大してるカラーギャングだろ。お前武偵なのにそんなのも知らねえのかよ。ホームレス狩りとか観光客襲撃で有名じゃねーか」
「……東京ではそういう案件は武偵高に回ってこないんだよ。特に強襲科にはな」
暴力団のような企業的組織は違うのだが、武偵はテロ組織や犯罪集団に対して警察よりも遅れを取る場合が多いとされている。
末端が仕入れた情報を統合し伝達できるため、相手の次の行動を予測し捜査員を配備することも可能で、何よりも大人数による大規模な捜査ができるからだ。
武偵は金などの利益で動く反面、数が増えればそれだけコストが増す。しかし警察は公務でありそれこそが仕事であるわけなので、手当などを差し引いても同じ数の武偵よりもはるかにコストが安い。
また規模も桁違いだ。警察は日本の全てを覆うほどの範囲をカバーすることができ、監視カメラなどの映像を権力を用いて受け取ることができるができるが、武偵は一部例外を除き足やコネを利用して個人単位でしか情報を仕入れることができず、調査能力は天と地ほどの差がある。
さらに相手が大規模な集団となるとSランク級の武偵ならまだしも、BランクやCランクといった平均的な武偵ではやはり数と武装を用意する他なく、人件費等多額の費用を余儀なくされてしまう。
なので大規模な犯罪者集団への対応は、警察の方へ流れる場合が殆どなのだ。
「そういうもんか。神戸じゃ警察から依頼される時もあるけどな」
「……は?」
不意に玄田に言われたことに、俺は拍子抜けしたような間抜けな声を上げた。
「お前、武偵になったのか……」
「おうよ! 神戸にある兵庫武偵高探偵科1年だ! ……まあ、生まれ育ちは静岡だから関西弁じゃねえけど」
何気に1個下だったことに俺は再度驚かされる。いやそれよりも、つまりこいつは去年、神戸から台場まで1人で来たということになるのか。中3のくせに行動力が尋常じゃないな。
「てか、何で神戸の武偵のお前が大阪にいるんだよ」
「こんな人の目の多い所でそんなこと喋れるわけないだろ。俺を大阪武偵高に案内してくれたらそこで教えてやるよ」
「は? お前まさか、道に迷ってたのか?」
「ぐっ……し、仕方ないだろ! 大阪なんて来るの初めてで、右も左もわからねーんだからよ!」
恥ずかしげに頬を染めながら玄田は声を荒らげてきた。こいつが方向音痴だというのは、なぜだか妙に納得いく。きっとこいつの落ち着きがなく視野が狭い性分のせいでそう思うのだろう。
「……まあ、乗りかかった船だ。道案内くらいしてやるよ」
このまま放っておくのも可愛そうだし、何より俺のモヤモヤも晴れない。しょうがないとばかりに俺は短いため息をつき、大阪武偵高まで玄田を案内してやることにしたのだった。