【完結】IS――その拳は天を掴む【投稿中】   作:久保田

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山田真耶

インフィニットストラトス、通称ISの登場は世界を変え た。 戦闘機を超える機動性、戦車を超える火力、歩兵を超える 制圧力。 既存の全ての兵器を鉄クズへと変えてしまった。 単騎で千を超えるミサイルを迎撃し、やる気になれば単騎 でホワイトハウスを落とせるであろう兵器に如何なる相手 が立ちふさがれると言うのだ。

 

かのドレッドノート級戦艦の登場を超える軍事バランス変 動は国家を変え、地方を変え、町を変え、男女間のバラン スを変えた。 つまりは絶対的な女尊男卑。 男が腕力で女を従える時代は終わり、女がISで男を従え る時代が始まったのだ。 ISは潜在的に全ての女性が使えると言われているが、男 はISを使えない。 もし、男女間で戦争が起きようものなら、三日どころか三 時間で制圧される事だろう。

 

しかし、絶対的な女尊男卑を超える一人の男。……いや、 漢が現れる事になる。 ISを史上初めて起動させた男、という特異性により彼の 名は初めて歴史に記される事となるが、彼の特異性は単純 にISを動かせるなどというくだらない事ではなかった。 その証拠に織斑一夏を知る強敵 とも である五反田弾は何の動揺も見せずに言った。

 

「奴がIS程度を動かせぬはずがあるまい」

 

後の世に覇王と呼ばれる漢、織斑一夏の天下取りはIS学 園より始まる事となる。

 

それはまるで岩だった。 山田真耶から見る織斑一夏はまさに硬い岩。 教卓の正面に鎮座する織斑一夏は立っているはずの真耶と 目線の高さが等しい。 これがせめて見下ろされていれば、まだマシだっただろう に……と真耶は思った。

 

明らかに特注である制服ですら織斑一夏の身体をしっかり と包み隠す事は出来ていない。 太ももの過剰に発達した筋肉は布地に多大な負担をかけ、 はちきれんばかり。 並みの女のウエスト五人分はありそうな太い胴は真耶が必 死に両手を回したとしても、手は届くまい。 両の腕を包み込むはずだった制服は織斑一夏の筋肉の前に 屈服し、無残にも破れてしまっている。

 

「お、織斑くん……そ、その制服はどうしたのかなー?」

 

必死に笑顔を作ったつもりだったが、それが成功している かどうかは真耶には自信がなかった。

 

「……………………………………………………」

 

織斑一夏の返答は黙殺。 しかし、丸太のような首に乗っている顔は、目は真耶を貫 いている。 その視線はもはや物理的な圧力となり、真耶の心を打ち砕 く。 私だって頑張って先生やってるのに!このままじゃ初めて のショートホームルームが!という憤りも。 歴戦のIS乗りとしてのプライドも。 男より強い女としての優越感も。 ありとあらゆるプライドを砕き、ただ一人の女としての真 耶を露わにする。 それは単純な、ひどく単純な本能。

 

強い雄に従いたいという原始的な雌の本能。

 

それに気付いてしまえば、その筋肉の塊のような体躯はひ どく好ましく見えて来るし、野性的に刈り上げられた髪を 優しくなでてやりたくなってしまうから困ったものだ。

 

しかし、山田真耶は教師だ。 教師山田真耶はぴしっと生徒を叱らねばならない。 それが織斑一夏の巨大な、人の頭より巨大な拳を振るわれ る事になったとしても、山田真耶にはやらなければいけな い義務なのだから。

 

「お、織斑くん!」

 

ありったけの勇気を振り絞り、この雄に従えと叫ぶ本能を ねじ伏せ、真耶は叫んだ。 しかし、

 

「気にいった」

 

織斑一夏の声を聞いた瞬間、真耶の子宮が動き出した。 雄を受け入れるために活動を開始したのだ。 ただ織斑一夏の声を聞いただけで、未だ男を受け入れた事 のない真耶の身体は雌になったのだ。

 

気付けば織斑一夏は立ち上がっていた。 色に惚けていて気付かなかったのではない。 それなりに訓練を積んでいるはずの真耶すら反応が出来な いほどの武の極みを立ち上がるという誰にでも出来る動作 で真耶にまざまざと見せ付けた。 まだまだ未熟な学生には理解出来ないだろうが、織斑一夏 がその気になり、拳を振るえば真耶は死んでいただろう。 だが、織斑一夏は拳を振るう代わりに真耶をその胸に抱い た。

 

「我が女になれ」

 

見た目を裏切り、真耶に傷一つつけずに優しくすらある手 際で抱き締められ、荒ぶる所なく静かに放たれた声は真耶 の身体に、細胞に、魂に染み渡る。 熱いとすら思える雄の筋肉に抱き締められた真耶の心は暴 力的なまでに凶悪な力によって、奪われてしまう。 織斑一夏により、山田真耶の心は根こそぎ奪われてしまっ た。 真耶の返答はただひとつ。

 

「……はい!」

 

教師としての義務感、IS乗りとしてのプライドを忘れ、 ただ圧倒的なまでの女としての喜びだけが真耶の声にはあ った。

 

「……山田先生と織斑はどこだ?」

 

会議で遅れてやってきた織斑千冬は奇妙なまでに静まり返 った教室に困惑していた。

 

こうして織斑一夏のIS学園入学初SHRは終わった。 具体的に何をしているかは想像にお任せしたい。

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