一年以上放置してしまい、すみません。
まだ待っていてくださった方がいたら感謝しきれないほどです…!!
今回はデイドン砦~です。
・・・
ひと騒動があった後、ユーリ達は一息入れていた。さすがにあの騒ぎのあとすぐ動けなかった。すると、1人の帝国の兵士が近づいてきて言った。
「そこの3人、少し話を聞かせてもらいたい」
そしてその問いにユーリ達が答えようとした途端。
「だから、なぜ通さんのだ!魔物など俺様がこの拳で、ノックアウトしてやるものを!」
そんな怒鳴り声が聞こえてきた。聞こえてきた怒鳴り声に思わずユーリ達に近づいてきた兵士も、ユーリ達も一斉にそのほうを向く。すると、そこには体格のいい、背中に彼の等身大はあろうかと思われる大剣を背負った男と、薄い黒色のような、黒に近い灰色のようなフードを深めにかぶった細身の男、そして少し離れて腰に大きな半月状のブーメランのような武器をつけている少女がいた。主に、大剣を背負っている男とフードを深めにかぶった男が兵士に何やら話しているようだ。しかし、何やら自分たちの話が通じないと察するや否や、大剣を背負っていた男が自らの武器を手に取り、思い切り地面に叩きつけた。すると、ズドン!!という音と共にその男の周辺には地響きが起こる。そしてここで「鬱憤を晴らす!!」などと言いながら武器を向けるのだった。その様子に兵士たちは「これだから…」という様子で集まった。
「あの様子じゃ、門を抜けんのは無理だな」
「そんな……フレンが向かった花の街ハルルはこの先なのに」
「騎士に捕まるのも面倒だ。別の道を探そう」
門付近があの騒ぎのため、通れそうにないと判断したユーリ達は別の道を探すことに。
―…大剣振り回してるのがクリントでフードかぶってるのがティソンで…女の子がナン、だっけ?相変わらずで。よかった…
飛鳥はそんなことを思いながらもはぐれないようにユーリ達についていく。とりあえず砦の外に向かっていたのだが2人組の男女がユーリ達に声をかけてきた(声をかけたのは女性の方だが)。しかもいきなり
「ねえ、あなた。私の下で働かない?報酬は弾むわよ」
と仕事の誘いで。ユーリはいきなりそんなことを言われ、返事もせずにそっぽを向く。しかし、それがいけなかったらしい。男性のほうが
「名乗りもせずに金で釣るのは失礼って言わないんだな。いや、勉強になったわ」
なんて言い返すものだから、エステルは不安げな様子で見守っていた。飛鳥の方はこの先を知っているため、特に表情も変えずに見ていたが。
「予想通り面白い子ね。私はギルド「
カウフマン、と名乗る女性が所属ギルドと何をしているかを軽く言う。が、ユーリは興味なさげにつぶやく。すると、いきなり、地鳴りがし始めた。ゴゴゴ…ゴゴゴ…と定期的に繰り返し音がする。その音がする中、カウフマンは言う。
「私、今、困ってるのよ。この地響きの元凶のせいで」
「あんま想像したくねえけど、これって魔物の仕業なのか?」
「ええ。平原の主のね」
「平原の主?」
エステルが聞きなれない言葉に聞き返す。飛鳥は成り行きを見守ることをしているため、特に何も言わない。ただ、扉の方をじっと見ているだけだ。
「魔物の大群の親玉よ」
「あの群れの親玉って……世の中すげえのがいるな」
「どこか別に道から、平原を超えられませんか?先を急いでるんです」
エステルがそういうが、カウフマンは背を向けてもったいぶったように言う。その言葉にユーリは待つしかないか、と思ったのだが。エステルは急いでいるのに待ってなんかいられない、と言ってほかに抜け道はないかを聞きに走って行ってしまう。その様子を見てラピードが何か思うところがあったのだろう。主人であるユーリを一度見上げると、エステルのあとを追いかけて行った。カウフマンと二人きりになったユーリは彼女に問う。
「流通まで仕切ってるのに別の道、ほんとに知らねえの?」
それを聞いたカウフマンは平原の主が去ったなら、ユーリ達を雇って強行突破できたかも、という。が、ユーリ達が協力する気がないなら無理な話だともいう。その言葉に、ユーリはカウフマンは護衛がほしいと言っていると思ったらしく(実際そうだともとれる)、護衛なら騎士に頼め、という。が、カウフマンの
「自分で生きるって決めて帝国から飛び出してきたのに今更助けてくれはないでしょ。当然、騎士団だって、ギルドの護衛なんてしないわ」
という言葉を聞いて感心したらしく
「へえ、自分で決めたことにはちゃんと筋を通すんだな」
と返した。ここまでの成り行きを見守っていた飛鳥は、細かいことは忘れてしまったが、確か次はあまりよろしくない噂が流れている、クオイの森、というところに行くはずだ、と思っていた。実際、原作通りにいけばそうなるはずだからだ。だから、飛鳥は何も言わないでいた。そうしているうちに話もまとまり、原作通り、クオイの森へ行くことになる。ユーリもエステルのところへ行こうと踵を返したので、飛鳥もついていこうとした。が、何故かカウフマンに声をかけられた。
「ねぇ、そこのお嬢さん。さっきから私達の会話を見守りはすれど、何も言わなったわよね」
「えぇ…それが、どうかしましたか?」
「私が道を教えた時、あなたは安心したような目をしたから、気になったのよ。まるで、私が道を教えるのがわかってたみたいじゃない。まぁ、私の考えすぎだとは思うけどね」
「……確かに、道を教えていただけましたから、安心はしました。先を急いでるのは、本当ですから」
飛鳥は、いきなり声をかけられてびっくりはしなかった。が、この先も向こうから接触があるなら、どうしよう…と考えていた。別に困ることを聞かれるわけではないのだが、何故か原作より色々と鋭くなっている人が多い気がするな、と思ってしまう。そうやって考えていると、ユーリに呼ばれたので、ついていった。
・・・
砦から出て、教えてもらったクオイの森に進む道中。砦の中でのスキットも原作通りで、よかったと思っていたのだが、道中のスキットはそうはいかなかったらしい。最初はユーリとエステルが話していたので聞いていたのだが、声をかけられたのだ。
「アスカもそう思いますよね?」
「え?…まぁ、確かに生き生きとしている時はありますね」
「ほら!アスカもこう言ってますよ!」
「アスカ、お前も人を見るのが趣味なのか?」
「いえ…趣味では、ないです。ですが…そうですね、癖のようなものですかね」
ユーリの問いにそう答えた飛鳥。その顔は悲しそうでいて、少し微笑んでいるように見える、という何とも言えない顔だった。今まで飛鳥はほぼ無表情だったためにユーリとエステルは驚いた。そして、ユーリはその顔はいいものではないとわかっていたので、何か過去にあったのだろう、と察した。そうして歩き、魔物との戦闘もなくクオイの森に無事ついた一行。そこは、まだ日が高いはずなのに木々が日の光を遮っているようで薄暗かった。加えて、森というだけあって足場もあまりよくなかった。
「……この場所にある森って、まさかクオイの森……?」
「ご名答、よく知ってるな」
「クオイに踏み入る者、その身に呪い、ふりかかる、と本で読んだことが……」
「なるほど、それがお楽しみってわけか」
2人の会話を聞きながら、飛鳥はこんな森の中で自分はちゃんと魔物を倒せるだろうか、と不安に思っていた。確かに慣れていないと森の中での戦闘は難しいはずだ。しかし、現実世界にいた飛鳥が慣れていたとしたら、おかしな話ではあるのだが。そうして不安を抱えながらも奥に進む飛鳥だった。
ということで、かなり時間がかかりましたが、デイドん砦~クオイの森に入るまで、でした!
次回はいつかわかりませんが、次回もよろしくお願いします!