【トリップ】それでも、私は生きている   作:月乃夜桜

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色々と忙しいけれど、投稿!(笑)


今回はシャイコス遺跡~になります。


※オリジナルの魔物との戦闘描写ありです。苦手な方はご注意ください。


14戦目

・・・

 

リタの案内でシャイコス遺跡へと足を踏み入れたユーリ達。しかし、先に来ているはずの騎士団の姿は見えない。しかし、石造りの地面の中にある、土の地面に数多くの足跡がついていた。カロル曰く、まだ足跡は新しいらしい。それがわかると、リタはこっちだ、と案内をしてくれる。だが。

 

「モルディオさんは暗がりに連れ込んで、オレらを始末する気だな」

 

なんて、ユーリが言い出す。完全にリタが魔核(コア)泥棒だと思っているようだ。こればかりは、リタもハッキリと否定していないため、仕方のないことだともいえる。

 

「……始末、ね。その方があたし好みだったかも」

 

「不気味な笑みで同調しないでよ」

 

仲が良いかは別として、そのまま周辺を見て回るが、騎士団の姿はおろか、盗賊団の姿さえも見かけない。ユーリ達のそばには大きな石像があるだけで、人影もない。すると、そこでリタが最近になって地下への入り口が発見された、と言い出した。まだ一部の魔導士にしか知らされていない、という事も。

 

それを踏まえ、周辺を探っていると、大きな像のそばの地面に何かを引きずった跡があるのを発見する。ということは、この石像は動くという事だ。それがわかると、カロルが石像を押し始める。しかし、全くと言っていいほど動かなかった。やはり、子ども1人の力では大きな石像を動かすことは難しいようだ。見かねたユーリが一緒に押すと、ゆっくりながらもズズズ…と動き始めた。

 

端まで石像を押すと、少し大きめな階段が現れた。早速ユーリ達は地下へ続く階段を下りていく。飛鳥も、最後尾につき、階段を下りていく。しかし、階段を降り切った途端。一瞬だが、ゾクリ、と寒気がした。

 

―あぁ、知ってる。今の感じは。……シャイコス遺跡かぁ……確か、でかいゴーレムと戦うんだっけ?てことは……あぁ、とっても嫌な予感しかしやんのやけど…

 

飛鳥は、ため息をつきつつ、先へと進むユーリ達を追いかけた。そしてやはりというべきか、魔物が多くいた。だがパーティーメンバーが増えたこともあってそこまでは苦戦せずに進むことができた。しかし、しばらく進んだところでぽっかりと穴が開き、六向こう側へ渡れなかった。だが近くに移動できるようにする仕掛けがあり、その仕掛けを動かすためのものをリタは持っていた。

 

その仕掛けを動かすもの――ソーサラーリングをユーリに手渡し、使い方を説明する。そして、仕掛けを作動させた途端。腕の部分が細長い棒になったようなゴーレムが出てきた。リタ曰く、侵入者退治用のものだという。それを避けつつ先に進むと、後ろから魔物に襲われ、陣形を乱されてしまった。そして、その最中、飛鳥はハッキリと見た。いつぞやで見た、あの黒いドラゴンのような魔物を。普通の魔物に紛れ、こちらにやってきているのがわかる。

 

―あ~……ここで来るんか。ホント、いつ来るかわかんないな~

 

そして、飛鳥はユーリ達が戦う中、今度はハッキリとその黒い魔物を見る。これで3度目だ。さすがに慣れたらしい飛鳥は、その黒い魔物に向かってチャクラムを投げ、攻撃する。しかし、思った以上にダメージが通ってなかった。

 

「っ、え……!」

 

そこで飛鳥は、この黒い魔物に対してはチャクラムのような武器ではマトモなダメージが入らない、という事を理解する。そうと分かれば武器を銃に変える。あまり銃を使いたくはなかったが、この黒い魔物がいるのなら話は別だ。この黒い魔物がユーリ達に危害を加えないとも限らない。今のところは飛鳥のみを狙っているようだが、この先どうなるかはわからない。そうしてどうにか魔物を倒した飛鳥。そこで、リタに声をかけられた。

 

「へぇ、あんた魔導器(ブラスティア)なしであんな動きできんのね」

 

「え?」

 

「あんた、どうみても弱そうなのに……意外ね」

 

「そうですね、もしかしたら昔は魔導器を持っていて、戦っていたのかもしれません」

 

「かもって、あんた……」

 

「私、記憶喪失なんで、今のところの自分の名前以外はほぼ記憶がないんです」

 

「!」

 

「あ、ユーリ達が呼んでます。行きましょう」

 

飛鳥は早めに話を切り上げ、速足で離れる。どうやら、リタも鋭くなっているうちの1人らしい。この時のリタは、他人に対して興味を持つことはあまりなかったはずだ。それなのに自分に対して話しかけてくる、ということは“そういうこと”なのだろう。

 

・・・

 

何度か戦闘をこなし、少し開けたところに出た。すると、そこにはユーリたちの3倍はあろうかという程大きなゴーレムがたたずんでいた。飛鳥は、ここでまたもや嫌な予感がして、リタの近くにさりげなく立つことにした。

 

リタが調べていると、そのゴーレムには魔核がなかった。だが、そこでフードをかぶり、顔を見えなくした人影が見えた。声からして男だ。その男はリタ達を見つけると、自分はアスピオの研究員で、魔導士だと告げ、ここは立ち入り禁止だという。しかし。

 

「はあ?あんた救いようのないバカね。あたしはあんたを知らないけど、あんたがアスピオの人間なら、あたしを知らないわけがないでしょ」

 

そうリタが言い放つ。すると、男はゴーレムに魔核をはめ込んだのだろうか。ゴーレムを動かしたのだ。そして、動き出したゴーレムは一番近くにいたリタと飛鳥に向かって、腕を振るう。

 

「リタ!!アスカ!!」

 

ユーリが叫ぶが、間に合わない。そう、ユーリ達が思った瞬間。

 

リタが突き飛ばされた。

 

しかし、そのおかげでリタは衝撃は残ったものの比較的軽傷で済んだ(原作通り)。一方、リタを突き飛ばしたであろう、飛鳥はというと。リタと同じように吹っ飛ばされ、瓦礫に左肩を強打していた。これには思わず呻く飛鳥。

 

「っ……!!」

 

幸いにも、ひびが入っただとか、脱臼しただとかはない。思った以上に衝撃が強かったにも拘わらず、どうやら軽傷のようで飛鳥は首をひねる。

 

―いってぇ…!!ひっさびさだったから、ちょーっと身体が忘れとったかな。いや、痛すぎて声が出んかってんな。て、ゆーか!とっさにリタ突き飛ばしたけど、突き飛ばしてなかったら、原作通りじゃ、なかった……マジで勘弁してよ……!!

 

そう、そこが一番の問題なのだ。今回は事前に知っていたからこそ、回避できたが、このようなことがこの先起こるのだとしたら。

 

 

「アスカ!今怪我を「い、いいよ!!肩打ったみたいだけど、何の問題もないから!!」え?」

 

突然話しかけられ、治癒術を使われそうになる飛鳥は思わず素の口調になり、おまけに早口だった。そしてユーリ達の傍へいき、銃をかまえ、戦闘に参加する。

 

―うわあああ!!マジなんなんこのでかさ!!!マジふざけんなああああああ!!!!

 

しかし、どうやらゴーレムの大きさを前にあらぶっているようである。しかし、表に出していないので誰一人として飛鳥があらぶっているなどど気づくはずもない。ましてや、今は戦闘中だ。

 

「こ、こんなでかいんはマジで勘弁~~~!!!」

 

と、思われたがそうではないらしい。あからさまに口調が素に戻っている。しかし、それでもしっかりと銃で前に出て戦うユーリとカロルのフォローをしているあたり、戦闘に慣れてきた証拠だ。おそらく、口調が素に戻っていることには気づいていないだろうが。

 

戦闘自体は、そこまで苦戦はしなかった。何度かユーリやカロルが危なかったが、その度に飛鳥が銃で的確に攻撃するため、大事には至らなかった。しかし、終盤、飛鳥はTP切れを起こし、

 

「はぁ、はぁ……!!TP切れた!?まじかっ!!!」

 

なんて言いながらチャクラム片手にゴーレムに接近戦を仕掛けていた。しかし、やはり強打した左肩は庇っているようで、時々バックステップをした際に呻いたりしていた。

 

そうしてゴーレムを活動停止させたユーリ達は逃げた男を追いかけていく。飛鳥も遅れぬように走っていくのだった。




今回で遺跡でのことは終わらせたかったんですが…

すみません、終わりませんでした。

次回は逃げた男を追う所~となります。

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