今回は逃げた男を追う所~となります。
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巨大なゴーレムを停止させた後、逃げた男を追ったユーリ達はすぐに追いついた。どうにもその逃げた男は魔物に襲われ、足止めを食っていたようである。その魔物をすぐに片づけたところで、リタが詰め寄る。そして色々と質問した(問い詰めた、が正しい)ところ、「デデッキ」という名前の人物が下町の
そのあとはやはたらと喚き散らすので、リタがベルト(巻物?)のような武器で殴って気絶させてしまった。だが、自分で運ぶ気もさらさらないらしく、あとで街の警備にでも頼んで拾ってもらうのだそうだ。そして、用も済んだということでアスピオに戻るユーリ達だった。
そして、アスピオにつくと、リタが尋ねた。フレンとはどんな騎士なのか、と。それに答えたのは
「ユーリのお友達です」
ユーリではなく、エステルだ。どこか顔が嬉しそうだったのは気のせいだろう。すると、そこでさらにリタが突っ込んで聞いた。リタもその話題に上るフレンという騎士が気になったらしい。
「で、なんでそいつがこの街にいんの?」
「ハルルの
「ああ……あの青臭いのね……あたしのとこにも来たわ」
そこでようやくリタはフレンという騎士がどんな人物かを思い出したようだ。どうやら面識はあったらしい。そして、色々と話した結果リタの研究所にユーリ達が先に戻って待機するということになり、通行証ももらうことができた。そのおかげで無事に街の中に入れたユーリ達は言われた通りリタの研究所で待つことにしたのだが。
なんと、ユーリは他人の部屋だというのに寝転がっているのだ。ラピードもそこらへんに伏せをしている。いや、まだ犬であるラピードが伏せをして待つのはわかる。だが、ユーリはどうなのだ。そう思った飛鳥は思わず
「ユーリ、他人の部屋で寝転がるのはどうかと思いますよ?」
と言ってしまった。自分からは用がない限り話しかけないように、と思っていたのに。
「いいじゃねぇか」
だがユーリは気にしていないようだ。それよりも、さきほどから落ち着かない様子で部屋の中を行ったり来たりするエステルのほうが気になるようで、リタを待たずに出ていくか?と提案までしていた。しかし、律儀なエステルはリタに挨拶をしてから、という。その意見に特に反論はなかったのか、そのままリタが帰ってくるまで待つこととなった。
・・・
そして、リタが帰ってきてから、軽く挨拶(ユーリは約束通り、軽い物ではあったが謝罪もした)をし、街を出ていこうとした。しかし、入り口でリタがいた。理由を聞くと、少し考えたがハルルの
そして、いざハルルの街へついてみると。そう、結界魔導器は完全に治っていたのだ。これにはさすがのリタも驚いたらしい。すると、リタは結界魔導器のあるほうへ走って行ってしまった。追いかけようとするユーリ達にここの長が声をかけてきた。どうにも入れ違いになってしまったらしく、フレンから手紙を預かってるとのことだった。受け取って中身を見てみると、それは手配書だった。しかも、ご丁寧に飛鳥の分まである(手配書の似顔絵は全くと言っていいほど似ていない)。
「ちょっと悪さが過ぎたかな」
「私も、ユーリと同じ罪状のようです……冤罪な気もするんですけど、まぁ手配されてしまったものは仕方ないですね」
「アスカ!?やってないのであればきちんというべきですよ!?」
「いえ、エステルと一緒にいるのは事実ですから。ユーリと一緒にエステルを誘拐した、と書かれても仕方ないです。あ、エステルが悪い、とか思ってませんからね?このご時世、どうにもやっていない、という証拠がなければ冤罪であろうと罪になりますから」
ずいぶんと悟った言い方に、ユーリは違和感を覚えた。記憶喪失だと言っていたはずなのに、この、まるで知っているかのような言い方はなんだ。ここまで、記憶が戻ったそぶりもない。それならば、飛鳥は嘘をついているのだろうか?しかし、嘘をついているのであれば、何の目的で。
わからない。ただ一つ、わかるのは飛鳥が確実に何か抱えている、という事だ。クオイの森でのことも考えると、そう考えるのは容易だ。そこまで考えてからユーリはふと飛鳥を見た。すると、飛鳥は遠くを眺め、ぼんやりとしていた。あまり顔色がよくないところを見ると、もしかしたら記憶に関係することかもしれない。
「飛鳥?大丈夫か?」
「え?あぁ、いえ。どこか、既視感があって……過去に私は、ハルルに来たことがあったのかな、と思いまして」
「なるほどな。その様子だと、あまり記憶は戻ってないようだな」
「えぇ。でも、別に大丈夫ですよ。記憶がないからと言って不便だったの、最初だけですし。今は戦闘にもほんの少しずつですが、慣れてきましたから……最悪、記憶が戻らなくたって、大丈夫だと思いますよ」
そこまで言ってから、飛鳥は頭に鋭い痛みが走り、思わず頭に手をやる。意外と重たい痛みだ。
「!大丈夫です!?」
「っ……えぇ、だいじょう、ぶ……です……」
大丈夫、という飛鳥だが顔色は蒼白だ。どこをどうみても大丈夫ではない。しかし、そこでカロルは気づいた。飛鳥が一点を凝視していることに。
「?」
その方向に視線を向けてみるも、何もない。もしかして、飛鳥には何か別のものが見えているのだろうか。
「……さん……さ……そだ」
小さく呟かれた言葉は、ほとんど聞き取れなかった。だが、声が震えている。もしかして、記憶がフラッシュバックでもしているのだろうか?
「んなわけ、あるかよ……っざっけんな……!!」
いきなり、どこか、忌々しげに呟く飛鳥は、先ほどとは大違いだ。声は低く、一瞬男か、と勘違いするほどで、雰囲気もどこか怒気を含んでいるようにも感じ取れる。しかし、そこで一度目をつぶり、再度開けた時にはそんな雰囲気が嘘のよう。ハルルに来た時と同じ雰囲気に戻っていた。
「……大丈夫か?」
「――えぇ。すみません、お見苦しいところを」
「大丈夫です?まだ、顔色が……」
「大丈夫です。こんなの、気にしなくていいですよ。フラッシュバックがでると、いつもこうですから、そのたびに反応していては、身が持ちませんよ?もうしばらく、一緒に旅をするんですから」
そう言って飛鳥はほんの少しだけ、微笑んだ。それを見たエステルは、なんだかホッとしたのか、それ以降は何も言ってこなくなった。
ということで、次回はいつかわかりませんが、お待ちいただけると嬉しいです…!!
次回はユーリがリタに話しかけるところ~となります。