今回はユーリの単独行動~です。途中で少し流血表現ありです。苦手な方はご注意をば。
25戦目くらいで第1部終わったらいいなぁ・・・(願望)
・・・
ユーリは、宿屋の前にいるリタとカロルに飛鳥を預け、1人で街を見回っていた。途中で自分と飛鳥の手配書を見つけ、似てない似顔絵にあきれたりもした。そして、大きな橋を渡っている最中のことだ。紺色の海賊帽に同じ色のコートを着た金髪でおさげの少女(飛鳥よりも随分と幼い)が屋敷のほうへ向かっていた。が、門番に放り出され、危うく地面に激突しそうになっていたので、ユーリは受け止めた。
「おっと、っと……子ども1人にずいぶん乱暴な扱いだな」
「なんだ、おまえは。そのガキの親父か何かか?」
「オレがこんな大きな子どもの親に見えるって?嘘だろ」
「再チャレンジなのじゃ」
そう言って入って門の向こう側に行こうとする海賊帽をかぶった少女。しかし、目の前に剣を突き付けられ、止まる。だが何やら地面に投げつけたかと思うといきなり黄色の煙があたり一面に広がった。その煙に乗じて逃げようとする海賊帽をかぶった少女の手を取るユーリ。
「美少女の手を掴むには、それなりの覚悟が必要なのじゃ」
「どんな覚悟か教えてもらおうじゃねえか」
「残念なのじゃ。今はその時ではない」
海賊帽をかぶった少女が何かをしたのか、煙が一層強くなり、晴れたころにはいなくなっていた。おかしい。確かに腕をつかんでいたはずなのに、ユーリの手にあるのは先ほどの少女の人形だ。顔がへのへのもへじになっている、いわゆる身代わり人形という物だった。
「ったく……やってくれるぜ」
とりあえず、色々とあったし、そろそろエステルとフレンの話をも終わっているだろうと思うのもあり、宿屋に戻ってきた。何も連絡がないらしいが大丈夫だろうと、中に入る。その際にちらりと飛鳥の方を見たが、相変わらず飛鳥の顔色は悪いままだ。さすがの本人も参っているのか、頭に手を当てたままだった。
飛鳥はやっと頭痛が治まってくれたものの、どこか頭が重かった。今にでも寝たい。そう思うが、ここは我慢だ。大丈夫、“いつもの”だと思えばなんてことない。そう言い聞かせ、最後尾についていくのだった。
「用事は済んだか?」
飛鳥はぼーっとしながら話を聞いていた。さすがにここまでで、ほっと一息ついた場面というのあまりにも少ないため、心身ともに疲れ切っていた。いや、普段の状態ならいい。だが、例の頭痛のせいで聞かなければならない話も、聞けない。
「それはいいけど、アスカにも処罰を受けさせんのか?それ、オレだけにできない?」
「!ユ、ユーリ!?うちは罪人や!庇う必要なんてなんもない!」
「だけど、お前は――」
少し言い合っていると、フレンと同じ騎士の鎧の女性とリタが着ていたことのある白い魔導士用(?)のローブ姿の男性というより、少年と言える人が入ってきた。その時、アスカは嫌な予感がして、そっと移動した。もしかして。そう思って、ユーリよりもやや前に出る。するとどうだ。紹介されたソディア(騎士の鎧を着ている女性)とウィチル(ローブの少年)が何やら反応した。そして。
「こいつら……!賞金首のっ!!」
ソディアが、剣を抜き、フレンが止める間もなく剣を振り下ろしたのだ。
ザンッ!
斬れる音がして、同時に何かが飛び散る音もした。そして、それを気にせず、今度は斬り上げをしようとするソディア。対して、飛鳥は彼女の剣を“握った”。当然、そんなことをすれば、手のひらが斬れるはずだ。しかし、それでも飛鳥は剣を握ったまま放さない。
「「「!!」」」
「帝国の騎士ともあろう
そう、静かに言った飛鳥の右腕からは、血が伝っている。剣を握っている手の平からは血は出ていない。どうやら、手袋があるため握るだけでは斬れないようだだった。
「!そ、れは……っ!」
「ソディア、落ち着いてくれ……!彼らは私の友人だ。事情も確認した。確かに軽い罪は犯したが、手配書を出されたのは濡れ衣だ。後日、帝都に連れ帰り、私が申し開きをする。その上で、受けるべき罰は受けてもらう」
「アスカ!傷を見せてください!治しますから!」
「いやええよ。“こんな傷”。“慣れてるし”、別にどうってことあらへん。後で適当に止血しとくし」
そういった飛鳥にユーリ達はどこか違和感を感じる。ソレが何なのかはわからない。だが、エステルはほんの少しだが、見えてしまった。飛鳥の腕にたくさんの、細い線があることに。そして、アスカの光のない、濁った眼も。だが、それ以降は目を伏せられてしまい、わからなかった。
「アスカ……」
「………失礼しました。ウィチル、報告を」
飛鳥は、ふぅ、と息をつくとどこから出したのか、包帯を器用に巻いていた。それが終わると、グー、パー、と手のひらを動かし、動作確認をしていた。
―やれやれ……マジで嫌な予感的中……勘弁してよね……本当なら治癒術で治してもらいたいんだけどなぁ……エステルのあのチカラを使われると……うちの躰がどう反応するかが問題やんね……べリウスみたいになんのかな?
なんて考え事をしている飛鳥にユーリは近づき、
「痛むか?」
と声をかけた。いつもの調子で大丈夫だと、返事が返っててくるかと思いきや、違った。
「そりゃ刃物で斬られたわけだし。痛むのは当たり前やろ。まぁでも、手は動くし神経とかに傷はついてないみたいだから大丈夫。とっさに腕で庇ったから神経に何かあったらどうしようかとも思ったけど、あのソディアって騎士は元から威嚇の意味で剣を抜いたんやろ。頭に血が上ってカッとなって、思わず切り伏せようとしたみたいやけど」
なんて、ぼそぼそと返事が返ってきた。その上、そう言っている時の飛鳥の目は、光がなく、濁っていた。さらに、どこか遠くを見ているようにも見えた。これを見たユーリは、記憶が関係しているのか?と疑問に思ったが、それよりも顔色が悪かったため、これ以上突っ込んで聞くのはまずいと思い、後日また聞くことにした。
というわけで夢主ちゃん、だんだんと素が出てしまってます←仕様です
一応フラグのようなものは立てておいたので、いつか回収できたら……と思いますw
次回は宿屋を出たところ~になります。