今回はリタが寝かされているところ~になります。
中々進みません…(泣)
・・・
宿屋の空き部屋なのだろうか、ベッドに寝かされたリタに、治癒術をかけ続けるエステル。飛鳥も同じ部屋に寝かされたが、リタと違って意識はあるためエステルに無茶するな、と言っていた。聞く耳持たずだったが。様子を見に来たユーリに止められてようやく術の発動を止める。ユーリは(自分の事は棚に上げておいてだが)、エステルとリタ、飛鳥の3人ともという意味で無茶ばかりしやって、と言った。だが、エステルはリタと飛鳥のことを言っているのだと思ったらしい。
「ひとごとにすんな。エステルも同罪だ」
「……ごめんなさい」
「でも、ホント死人が出なくてよかった」
「あの……あれは、なんだったんです?」
「ん、あぁあれ?あれは、うちの、空気中のエネルギー変換能力を応用させて、衝撃を肩代わりしてくれるような防壁を張ったの」
「どういうことだ?」
「まぁ初めてだったし、かなり使い方ミスったみたいで、一瞬しか張れなかったけどね」
「いや、アスカがそれを張ったからこれくらいで済んだんだろ」
「たはは、そりゃそうだ。んとに、うちはこれくらいの怪我するのは慣れてるしかまわないけど、エステルとかリタは違うでしょーに」
なんて、自分はいい、という飛鳥にユーリは聞いた。最初に会った時とは全くの別人ともいえる変化だったから。そして、気になることもあったから。
「アスカ、お前は、記憶が戻った、のか?」
「せやね。大体は戻ったよ」
「そうか……」
「あんだけ敬語使ってたのに、って顔やね。あんときは、名前しかわからなかったし、自分がなんであんなところにいたのかも、何もわからなかったからね」
「……」
「記憶が大体戻ったからかな。こっちのが話しやすいし、何より前より体が動くようにはなったかな」
なんてスラスラと話す飛鳥は、どこか懐かしげで、やはり最初に会った時とは別人だな、と思う。しかし、最初よりは今のほうがしっくりくるものの、まだ違和感があった。どうしてだろう。
すると、飛鳥が自分の身体を見ながらポツリとつぶやいた。
「……久々、やなぁ……んとに、あの頃が懐かしい……」
その時の飛鳥の目は伏せられていたために見えなかったが、代わりに彼女の両腕に残る傷跡や火傷痕が見えた。
「!」
「ユーリ、どうしたです?」
エステルがユーリに問いかけるが、事が事だけに答えられない。どうしたものか、と思っていると、飛鳥が口を開いた。
「あ~……見ちゃったか」
「何をです?」
「エステルには、縁遠いモノだよ」
「わたしには?」
「そ。エステルは見ないほうがええっていうか、ユーリもやな。コレは、見せてええモンちゃうからな」
ユーリは何も言えなかった。ただ、その飛鳥の言葉、否、言葉遣いがとても印象に残ったと同時に、大人びて見えた。これまでも、ちょくちょく自分より年上なのでは?と思うような場面をみたことはある。
「大丈夫、もう“あっち”には“帰れないし帰らない”。仮に全部終わって帰れたとしても、うちは“帰らない”。絶対に」
そう言った飛鳥は、遠いどこかを見ている。ここではない、どこかを見ていた。一体、どこを見ているというのだ。
「……お前もゆっくり休めよ。あとエステル、お前も休め」
おそらく、聞いてもはぐらかされるだろう。そう考え、ユーリはエステルと後退しようとするも、エステルが譲らないので、仕方なく部屋を後にし、カロルの様子を見に行く。すると、部屋出てすぐの廊下の角を曲がった先に座り込んでいるカロルを発見。どうにも落ち込んでいるようだ。
「どうしようもないやつだって、ユーリは思ってるよね。最初に会ったときもカルボクラムでのことも……今日のことだって……」
「今日のはさすがにびびったよな。さすがの騎士団長様もあれにはお手上げだったぜ。大の大人にもできないことがたくさんあんだ」
「ユーリにも?」
カロルのその問いに頷くユーリ。すると、カロルは立ち上がる。どうやら、立ち直ったらしい。
「そうだね。世の中、簡単じゃないよ」
「そういうことだ」
「……あのさ、ユーリ」
「ん?」
「ボクと……ギルド作んない?」
「ギルドか……。そういや、その選択もあったな。考えとくよ」
「え!?」
ユーリからの返事を聞いたカロルは驚く。おそらく、ダメもとで聞いたのだろう。
「なに、驚いてんだよ」
「厄介事はごめんだ、とか言うと思ってたから」
そうして、なんだかんだと話し、また明日様子を見ることになった。が、ユーリはそのまま引き返し、様子を見ることにしたようだ。
すると、扉の前まで来ると何やら話し声が聞こえる。どうやら、リタと飛鳥が話しているようだ。だが、リタの怒鳴り声が聞こえたところで、まずいと思って中に入った――。
・・・
少し時は戻って、ユーリが出ていったあと。休めと言われた飛鳥はエステルに一言断って横になって寝ていた。さすがに記憶が戻ったという事もあり、かなり疲れていたのだ。そして、横になって数秒で眠りに落ちた飛鳥。
だが、そう簡単には寝かせてくれないらしい。驚くことに桜が舞い、巨大な桜の木がある、幻想的な空間にいたのだ。
(!?)
―あなたに、少しでも休んでほしくてあなたが一番きれいだと思った花を咲かせてみました。あのような黒い空間では、気が滅入るでしょう?
どこか茶目っ気がある声の主。だが、それができるなら最初からしてほしかった。
(最初からしてよ、もう……)
―すみません……
(じゃあ1曲歌って、帰る)
―えぇ。私の判断でここへ連れてきますので、次はいつかはわかりませんが――
そうして、ふと目が覚めると、リタのベッドに突っ伏してるエステルと目覚めたリタの姿が目に入る。
「あ、起きたの。ねぇ、あんた。あの時、何したの?」
「ん、あれはうちの周囲のエネルギーを銃の弾に変換するっていう力の応用。成功したためしがなかったから、成功してよかった」
「はぁ!?何よそれ、あんたそんな力ある状態でエアルが濃いところにいったわけ!?バカじゃないの!?普通よりずっとエアルの悪影響をうけるしとてもじゃないけど、動けなくなるわよ!!?なんで、そんな無茶したのよ!!」
「リタだって無茶したでしょーが。お互い様。うちが防壁張ってなかったら、リタ死んでたしまずあの暴発はもっと酷かったはずだかんね?」
「なっ……!?」
「別にうちが傷つくだとか最悪手足吹っ飛ぶとかしてもいいよ。でも、リタはダメね。リタだけじゃない。ユーリ達全員ね」
「はぁ!?意味わかんない!そんな自己犠牲、やめなさいよね!!」
「残念、そう簡単にはかわりませ~ん。長年、あんなコトされてりゃ嫌でもそーなるって」
そういった飛鳥はなんでもない、とでも言いたげな顔で、そんなことを言う。いったい何がそうさせるというのか。
「お、目が覚めたのか。で、何を怒ってんだ?」
ユーリは部屋に入ってすぐ声をかけた。相変わらず飛鳥は自分を大事にしないようだ。
「ん、たはは、うちがいらんことゆーたの。てか、エステル起きないのね。こんだけ言い合ってたら起きるだろうに……」
リタはその言葉でエステルを見た。エステルは幸せそうな顔をして、眠っている。それを見て落ち着いたのか、リタはユーリに問いかけた。
「あのさ、エステリーゼってあたしをどう思ってると思う?って、何て顔してんのよ」
「自分がどう見られてるかなんて気にしてないと思ってた」
「も、もういい。あっち行って」
「術式なんぞより、こいつは難しくないぜ」
そこで、エステルが目覚める。そしてすぐさま治癒術をかけた。
「もう、大丈夫よ。あと、
「な、何のことです?」
「
「ど、どうしてそれを……」
エステルは、目に見えておびえたような顔をした。やはり、通常は
そこで、飛鳥は嫌な予感がして、ベランダに向かう。すると、あの竜使いが現れたのだ。竜使いは、乗っている竜に炎を吐かせる。ユーリもすぐに駆け付けるが、飛鳥にはわかっていた。
―原作通りじゃないって、マジ勘弁してほしいんやけど!!!
「だぁぁ、もう!こちとら病み上がりやっちゅうの!!」
飛鳥は、怒りながらも再び自分と、ユーリ、エステルとリタに防壁を張る。それを見た竜使いは去っていく。今度はうまくいったらしい。
「っ……」
「おっと」
ふらついて倒れそうになる飛鳥をユーリが支える。
「アスカ!!」
エステルは駆け寄って飛鳥に治癒術をかけた。その途端。飛鳥は、胸に痛みを感じる。きっと、ここで咳き込めば、赤いモノを散らすことになるのだろう。それならば、無理にでも飲み込むしかない。あぁ、口の中が血の味でまずいことこの上ない。
―あぁ…やっぱ予想通りね……能力のせいで、治癒術効かねぇわ、むしろダメージ倍増ってやつ……!!
「っっ、ぐ……」
「え……?」
「おい、アスカ!?」
「わかった?エステル、あんたのその力は、うちには、マイナス効果なんよ」
「そんな、どうして……!!?」
「ごめん、それは言えない。今はまだ、言えない。んー、そうね。なんでかっていうのは言えないけど、原因だけなら言える。うちの、能力のせい。だから、エステルは悪くないよ。あと、ユーリはうちに深くかかわったらダメだかんね?」
「何わけわかんねえこと言ってやがる!」
「今はわかんなくて、いいよ。いずれわかる」
そこで、カロルが入ってくる。そのため、ひとまずは休むことになった。
―あの、黒いドラゴンが、うちだけを狙うならええけど、たぶん後になったらうちの近くにいる=邪魔者って考えて攻撃してくる。きっと。あぁ、もう、線引きするのが面倒や
できることなら、まだ明かしたくなかったなぁ……エステルの力が、逆効果な事。
ねぇ、うちは、本当に大丈夫かなぁ…?
でも、黙ってやられんのはヤだから。精一杯あがくよ。
ということで、ユーリ達のように何か技術を習得できるわけではないですが、飛鳥のみが使えるエネルギー変換能力の応用による技を習得。
知らず知らずに素に戻ったりしてますが、やろうと思えば線引きをできる子なので、今はそれだけユーリ達に心を許している、という状況です。
次はダングレストに向かうところ~になります。