【トリップ】それでも、私は生きている   作:月乃夜桜

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皆さま、あけましておめでとうございます。

久々に更新でございます。

今回は悪徳の館~になります。


45戦目

・・・

 

レイヴンに案内してもらい、悪徳の館に着いたユーリ達。だが、入り口には見張りだろう兵がたくさんいる。正面突破は難しそうだ。だが、入り口でゴーシュとドロワットが揉め、最終的に警備を何人か連れて行った。話の中でジュディスが魔狩(マガ)りの(ツルギ)に狙われているという事も知ることが出来た。しかし、今は二手に分かれられない上、早く何とかせねばならない状況である。

 

揉めた末、警備の数が減った。それならば、今がチャンスだろう。ちょうど、ユーリ達も気づかれるが、ラピードがすぐに反応し、奇襲を受けることはなかった。こちらから仕掛ける。

 

人数が減ったからか、難なく倒すことが出来た。しかし、戦っていたにもかかわらず、増援もなく、気づかれた様子もない。中に入ってみると、まさにエドガーとドンが対峙しているところだった。

 

当然、止めに行こうとする。しかし、そこでゴーシュとドロワットを含めた海凶(リヴァイアサン)(ツメ)が行く手を阻む。手は出さない、という話だったが、先に仕掛けたのはドンの方らしい。

 

―ここで、ドンが死にかけるか、死ぬか、やな。ドンは街まで連れて帰らなきゃ。できることなら、救いたい。恩人だから。立ち直るきっかけを、作ってくれた人の一人だったから。でも、そうすると、原作改変。ただでさえ、うちがいることでそうなっているのに。これ以上、原作を壊すなんて、できへん!

 

飛鳥は、考える。皆なら、きっと、いや、自分の助けなど要らないはずだ。だって、本来なら、自分はいない。その状態で、どうにか出来たのだから。大丈夫、自分は上を気にしながら後ろの方にいるだけだ。

 

最初は手下だけだったため、手こずることもなく撃破。だが、その間に2人には逃げられ、ドンとイエガーも奥に行ってしまった。後を追う。道中、飛鳥はずっと銃を握りしめていた。

 

「おい、アスカ。そんな怖い顔してどうした?」

 

「……え?」

 

「すっげぇ睨んでたぞ。てか、お前そんな顔できんだな」

 

ユーリに言われ、一度深呼吸をする飛鳥。どうやら、気持ちを抑えきれていなかったらしい。

 

「うちだって、怒ったり不機嫌になったりするよ」

 

なんていいつつ、この先を知っているが故に何も出来ない、叫びたいこのどうしようもない気持ちに、蓋をして、無理やり押さえつける。大丈夫、できる。だって、何度も同じようにしてきただろう?ポーカーフェイスで乗り切っただろう?

 

自分にそう言い聞かせ、なんてことないように振る舞う。そして、最奥にたどり着くと相変わらずイエガーとドンが対峙しており、ゴーシュとドロワットがユーリ達の行く手を阻む。

 

だが、夜が明けたことで、一度双方武器を収める。そして、ドンは街の連中が喧嘩を始めないよう、戻るとのこと。きちんと、“代償”も用意している、と。そこまで言うと、イエガーもゴーシュとドロワットと共に逃げていく。

 

「おまえらは何だ。雁首そろえてこんなところまで来ちまいやがって。ん?そこのチビッこいの」

 

「チビッこいのではないのじゃ。パティなのじゃ」

 

「すまねぇな、パティか。ちょっと面ぁコッチに見せてみろ……こりゃあ、驚いたな……」

 

「……?」

 

「てめぇ……アイフリードにそっくりだ……まさに生き写しだぜ……」

 

ドンのその言葉にエステルが、パティが言っていたアイフリードの孫、という話が本当だったと呟く。それを拾い、ドンは少しばかり納得がいったような反応を見せる。

 

「ある理由があって、うちはアイフリードの足跡追っているのじゃ。友達だったドンなら何か知ってると思って訪ねてきたのじゃ」

 

「ふん、友達なんてそんな大層なもんじゃねぇ。自由気ままな奴だ、俺はあいつがどこで何をしてたのか、そして今どうしてるのか、そこまでしらねぇさ」

 

「そうか……前に……どこかで会ってなかったかの……?」

 

「ん……?俺と、か?さあな」

 

そこで、ユーリはべリウスが死後に変化した聖核(アパティア)を渡す。ドンはそれを受け取ると、聖核(アパティア)に向かって、怒ったように語り掛けた。リタはドンに聖核(アパティア)が何かを訪ねようとしたが、邪魔が入る。ドンはユーリに邪魔者を任せると言った。そして。

 

「“飛鳥”!強くなったな。今のお前なら、もう“大丈夫”だ」

 

そういって少し乱暴ではあるものの、飛鳥の頭をワシャワシャと撫でた。

 

「―――、うん、ありがとう」

 

飛鳥は、言いかけた言葉を飲み込み、笑って見送った。

 

目前の敵の数から逃げよう、と言ったユーリにレイヴンは武器を構え、いつになく真剣に言った。

 

「悪い。時間稼いでやってくれ」

 

その言葉にすぐに反応したのは飛鳥だった。誰よりも早く、敵の足元に弾を打ち込んでいた。

 

「アスカ……!?」

 

「――……アスカちゃん……頼むわ」

 

「しゃーねぇな」

 

レイヴンが本気な事がわかるや否や、ユーリも武器を抜いた。そして、時間をそこまでかけずに倒した。ユーリはそこで、飛鳥に少し違和感を覚えた。どこか、苛立っているような。だが、それでいて、とても冷静だ。最近、飛鳥は明るくなり、よく話すようになったのだが。

 

だが、本人に聞いたところできっと答えてはくれないだろう。少しずつ話してくれているが、それでも隠し事が多い彼女の事だ、きっとその時がきたら、とかなんとか言って頑なに話そうとしないはずだ。

 

考え込むユーリは、そこではた、と気づく。逃げなくては。そこまで長い時間ではなかったのが幸いだ。3階の窓から飛び降りることになったが、エステルを横抱きにし、自分も窓から飛び降りる。

 

 

後に、3階から飛び降りてよく無事でいられたわ、自分と、飛鳥が語るのだった。

 

・・・

 

いそいでダングレストに戻ると、カロルが走ってきた。どうやら、ドンが戻ってきたが何やら様子がおかしい、と。だが、それを聞いてレイヴンはやっぱり、と言った。飛鳥は俯いて、拳を握り締めた。

 

そして、レイヴンからドンは初めから死ぬつもりだったことを知らされる。どうやら。レイヴンはこのことに一足早く気づいていたようだ。そして、その理由も、ハリーが偽情報を掴まされ、結果命を落とすことになったべリウス。つまり、首領の命を取ってしまったからだという。それならば、同じ対価を払うしか、けじめをつける方法はない、という事だった。

 

・・・

 

広場には、ドンがいた。カロルが駆け寄ると、首領だろ、しっかりやれ、と言われた。一人じゃ何もできない、というカロルに仲間に助けてもらえ。仲間を守れ。と。そうすれば、応えてくれる、と。

 

飛鳥は、見たくなくて、でもわかっているからこそ、目をそらせなかった。そんな飛鳥にドンが言葉をかける。

 

「飛鳥、てめぇは自分が思っている以上に強い。だから、もっと自信持て!お前がどんな使命を持っていようが、てめぇにしか出来ねぇから任されたんだろうが」

 

「ははっ……もう、簡単にそんなこと言ってくれるんやから。勘弁してよね、うちは一般人よりも少し強いだけのただの小娘だっつの」

 

そういって笑った飛鳥。そして、最後に今まで、ありがとうございましたと言って、後ろに下がった。

 

そして、いよいよドンが切腹しようとする。ドンが、誰か、介錯頼むと言ったことで、ユーリが名乗りを上げる。そして、少し話をした後、ソレは果たされた。

 

・・・

 

あれからしばらくたち、街は落ち着いてきたようだった。ともかく、自分たちのギルドをどうにかしようと、ユーリはカロルの元へと向かう。すると、そこには飛鳥が居た。少し近寄り、気付かれないように話を聞いてみると。

 

「大丈夫、仲間を守れっていうのは、難しいことやない。自分が出来ることを、精一杯やってれば、いつの間にかできてる。うちだって、そうだ」

 

「アスカは、強いね」

 

「強くないよ、ただ、慣れてるだけや。でも、うちみたいになったらダメ。うちみたいになったら、本心を吐き出せなくなる。泣きたいときに、涙一つでないこともあった」

 

「アスカが?」

 

「そやで。うちは、強くない。ただの強がりだ。………カロル。絶対独りだと思わんで。それに、カロルならその絶望を乗り越えられる。今は、まだ気持ちの整理が付けられなくて、溢れてるだけや。頭では理解できてる。でも、気持ちがついていかへん。ただ、それだけの話やから。今は、たくさん悩んで、落ち込んで、泣けばいい。溜め込むほうが、体にも気持ち的にも悪いしね」

 

「アスカは?アスカも、そんな事があったの?」

 

「慣れないうちは、そうやった。なんで、うちなんだって。何も、悪いことはしてへんのに、どうして?って悩んで、泣きじゃくってた。うちは、ただの面倒臭がり屋で、努力嫌いで、強がりなだけの泣き虫だ」

 

飛鳥の話から察するに、飛鳥は過去にカロルのように落ち込んだりしたのだろう。だが、立ち直った。だが、何があったかまではわからないが、その何かのせいで今は自分の感情に素直になれない、といったところだろうか。

 

少しすると、話が終わったのか、飛鳥はカロルの頭をドンがしていたように、ワシャワシャと撫でて、宿の方へ帰っていった。それを見届けてから、ユーリはカロルに話しかけた。

 

カロルは、何とかしようとしたが、怖くて動けなかった、という。ユーリ達が自分で決めて、動いている中、自分は何もできなかった、と。自分には首領なんて無理だったんだ、と言うカロル。だが、ユーリは、座り込むカロルを立たせて言う。

 

「おまえにとってギルドは、凛々の明星(ブレイブヴェスペリア)はそんなもんなのか?おまえの夢だったんだろうが」

 

「一流のギルドを作りたかった!そしてドンの役に立ちたかった!認められたかったよ!ドンはボクの憧れだったんだ……でも、もうドンはいないんだ……」

 

「だからやめんのか?ドンは何を守って死んでいった?それがわからないおまえじゃないだろ」

 

「なんでも出来るユーリにはボクの気持ちなんてわかりっこない!ボクはユーリみたいに強くないんだ!ユーリやドンみたいにはなれないんだ!もう……」

 

「カロル!」

 

そこで、珍しくユーリが声を荒げた。

 

「ドンがおまえに伝えたことは何だった?ドンが見せた覚悟も忘れちまったのか?」

 

「……」

 

「オレはギルドとしてけじめをつけるためにジュディを探してテムザ山に行く」

 

「え……」

 

「おまえがやめても凛々の明星(ブレイブヴェスペリア)はおわらねぇ。もうおまえだけのギルドじゃないんだ」

 

それだけを言い残して、ユーリもまた、その場から去っていく。一人残されたカロルは、泣いたのだった。

 

・・・

 

宿屋の外でエステルを見つけたユーリ。少し話していると、イエガーとゴーシュ、ドロワットの姿が。どうやら今日はギルドとしてではなく、個人としてきたようで、どこからか花束を出した。どうやら、ドンに花を供えに来たようだ。敵対する気がないなら、とユーリとエステルはアスカとリタが待つ、入り口へと、向かった。

 

そして、全員がそろった(カロル以外)ところで、テムザ山を目指し、船に乗り込んでいた時だった。カロルが、船に飛び乗ってきた。

 

「ドンの伝えたかったこと、ちゃんとわかってないかもしれないけど……凛々の明星(ブレイブヴェスペリア)はボクの、ボクたちのギルドだから……一緒に行きたいんだ!ここで逃げたら……仲間を放っておいたらもう戻れない気がする……だから!ボクも行く!一緒に連れてって!」

 

「カロル先生が首領なんだ、一緒に行くのは当たり前だろ」

 

「ユーリ、ありがとう。でも……もう首領って言わないで」

 

「ん?」

 

「ボクは……まだ首領って言われるような事何もしてない……ユーリにちゃんと首領って認めてもらえるまで首領って呼ばれて恥ずかしくなくなるまでボクは首領じゃなくて同じ凛々の明星(ブレイブヴェスペリア)の一員として頑張る!」

 

カロルの決意も聞き、改めてテムザ山に向けて出発!という事になったが、そこでレイヴンが現れる。どうやら、レイヴンも事情があるにも関わらず、ユーリ達と一緒に行く方を選んだようだ。

 

一行は、こうして出発したのだった。




ながい!!

区切りがどこも微妙!!!

という事で次回はテムザ山~になります。
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