【トリップ】それでも、私は生きている   作:月乃夜桜

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もう少し進んだら秘奥義くるかなぁ……

もうすぐ50話ですよ!!

今回はティソン&ナン戦~になります。


47戦目

・・・

 

戦闘開始から、飛鳥は2人の足止めに徹していた。足元を狙って、撃つ。それを繰り返していたが、ティソンに近づかれ、吹っ飛ばされる。すぐに立ち上がることはできなかったが、深く入ったわけではないので、どうにか立ち上がる。

 

「アスカ!!大丈夫か!?」

 

「げほっ、ごほっ……なんとか、ね!」

 

銃を使っていたが、途中。ナンとティソンの連携により、銃を吹っ飛ばされてしまう。そこを狙われるが、チャクラムで防ぐ。

 

「っち!」

 

「勘弁してよね~、うち、接近戦苦手なんだってば~」

 

なんて言いつつ、飛鳥は先ほどとは違う立ち回りをする。チャクラムがブーメランのように投げたら戻ってくる、というのを利用し、2人の気を引いていた。そう、囮である。飛鳥は、自分がまだ倒せるほどの力はないとわかっているからこそ、ユーリやジュディスといった、戦えるメンバーが戦いやすいように、立ち回ったのだ。

 

「おいアスカ!無茶すんな!」

 

「これぐらい、無茶でも何でもない!!」

 

そういって、時には接近戦をする。だが、苦手だと言っていた割には、あまりダメージを食らっていないように見えた。すると、ユーリとジュディスが追い詰められる。だが、すぐに飛鳥が防護壁を張ったので、致命傷にはならなかった。

 

「てめぇのそれ、うぜぇ!!」

 

ティソンから狙われる。彼の素早い攻撃に、押される飛鳥。だが、一度だけ隙をついて、ティソンに蹴りを叩き込んだ。だが、やはりまだ戦闘経験の浅いただの小娘であることには変わりなく、結局飛鳥がティソンに対し、まともに攻撃を入れれたのはあの、蹴りのみだった。

 

その後、どうにか2人を倒すことが出来た。が、飛鳥はまだ警戒を解いておらず、皆がバウルに注目する中、入り口付近でずっと気を張っていた。だが、いつまでたっても飛鳥の心配することにはならなかった。

 

気が付くと、バウルは成長を終えていた。そして、ジュディスはエステルに問う。フェローに会うか、と。その問いにエステルは、会うと答えた。だが、ここでもうすぐ魔狩(マガ)りの(ツルギ)の増援が来そうとのこと。しかし、逃げ道は1つしかない。

 

だが、バウルがフィエルティア号まで運んでくれるとのことだった。それに甘え、ユーリ達はバウルに乗せてもらった。そして、バウルに船を運んでもらうことになった。バウルに船を運んでもらっていると、ジュディスが突然倒れてしまった。

 

「ジュディ!」

 

どうやら、疲れていたようだ。

 

―あぁ、よかった。ジュディスに、ティソンの攻撃だけじゃなく、ナンの攻撃が加わる程度ですんだ。防護壁張るのも、追いついた。あぁ、でも。いつでも張れるわけじゃない。だから、銃でも、チャクラムでも、咄嗟に庇えるように、しなきゃなぁ……

 

ユーリ達が話している間、飛鳥はぼーっとしており、話は聞いていないようだった。そして、解散後も、適当な場所で腰を下ろしていた。

 

―んー、どうしたらいいんやろ……っでも、やっぱり、しんどいのも疲れるのもやだしなぁ……

 

なんて考えているうちに、飛鳥は眠ってしまったようだ。そこに、ユーリが現れる。みんなとアレコレ話し、飛鳥の姿がないことに気づき、探しに来た。だが、見つけてみれば飛鳥は座り込んで寝息を立てていた。

 

「おいおい、こんな所で寝ると風邪ひくぞ」

 

そう言って、飛鳥を運ぼうとして近づくユーリ。そんなユーリに、声が聞こえた。

 

「……して?………は、嫌………ない!!……」

 

どうやら、飛鳥が言っているようだ。魘されているようで、顔色はあまりよくはない。

 

「………お前の事、ちゃんと話してもらうからな」

 

ユーリはそう言って、飛鳥を運ぶのだった。

 

・・・

 

次の日。自然と集まったユーリ達。ジュディスの話によれば、エアルを調節してくれているのが始祖の隷長(エンテレケイア)だが、その調整力を上回るエアルの量があるのだそう。そして、ジュディスは自身の目的を話す。

 

だが、最初に話してくれればこんなややこしいことにはならなかった、とユーリ達は言うが、ジュディスはユーリ達では、無理な事がある、と。そして、エアルの乱れがあるところにヘルメス式魔導器(ブラスティア)はある。だがから向かったのに、そこでは魔導器(ブラスティア)ではなく、人間がいた。

 

バウルがエステルに対し、エアルの乱れを感じたことを調べるうち、フェローに出会ったのだそう。そして、エステルが何者なのかも知っている、と。そしてジュディスはフェローに約束を持ち掛け、もしもエステルが消さなければ存在だった場合、自分がエステルを殺す、と。

 

その話に、リタはジュディスにとびかかろうとした。だが、寸でのところで踏みとどまる。そして、フェローに会いに行く、という事に話がまとまったかに見えた。だが。

 

「じゃあ、次はアスカ。お前の話な」

 

「ん、いいよ。話せる範囲でいいなら」

 

「べリウスに会った時、お前は異界の子って言われてただろ」

 

「!……うん。言われたよ」

 

「フェローには、世界の調和を崩し者って言われてたんでしたね」

 

「加えてお前の使命。どういうことだ?」

 

「ん~、そこを聞いてくるかぁ……困ったなぁ、どう言えばいいかな。そうだね、じゃあまず、異界の子って意味がどういうことか話そうか。あぁ、先に言っておくけど、信じろとは言わんから。てか、信じなくていいよ、うちなんかの話。だから、今から話す話は、そんなことあるんだ、程度に聞いといて」

 

そういって、飛鳥は、異界の子というのは、自分がこことは、別の世界から来たからだと告げる。そして、世界の調和を崩し者というのは、本来はこの世界に居るはずのない、自分がいる=異物ということで、この世界そのものの修正力というものが働き、自分を消そうとして、あの黒い魔物を放っている、という事だった。

 

それを聞いたユーリ達は、誰一人として笑ったりしなかった。真剣に、受け止めた。その様子に驚いた。てっきり、嘘だ、と言われると思い込んでいたからだ。

 

「じゃあ、アスカは何か理由があってここに来たんです?」

 

「うん。んで、それが使命ってやつ。でも、この使命ってやつがなんともまぁ、面倒でね。世界の危機を救えってよ。アバウトすぎだし、現実味がなさすぎて、びっくりだよね」

 

「「「!?」」」

 

「まぁ、そん時になったらわかるだろうしってことで今はほったらかしてるよ」

 

「じゃあ、お前が帰れないって言ってたのって」

 

「そう。うちの故郷ってやつは別の世界。一方通行だから仕方ないね。もし、帰れるなら、飛ばされるときに言われてるはずだしね」

 

「さみしくないの?お父さんやお母さんに会えないってことでしょ?」

 

カロルが、そう言った瞬間。飛鳥の目から光が消える。

 

「会いたくなんてねぇよ、あんな屑ども」

 

「ア、アスカ……!?」

 

「あんな屑ども、家族だなんて言いたくねぇし、血が繋がってるのも忌々しい」

 

豹変と言っても過言じゃない程、先ほどとは変わった飛鳥。何があったのだろう。何がそこまで、彼女を変えてしまったのだろう。だが、ユーリは思い当たる節があった。なんてことない、という風に話していたが、前に聞いたことがあったからだ。

 

だから、きっと。飛鳥は、本当は割り切れていなかった。だが、割り切れているように見せかけないといけない状態になっていた。だから、ふとした時に、こうなってしまうのだろう。

 

「――……あぁ、ごめん。つい、あの屑共の話となるとね。おかしいな、割り切ったはずなんだけど。………うちの両親は自分の子供に暴力を振るう、最低の奴だ。だから、もし、元の世界に帰れるとしても、うちは、帰らない」

 

「そっか」

 

「あ、あの。アスカの力は……」

 

「あぁ、えっとね。うちの力は周囲のエネルギーを一度自分の身体に取り込んでから弾とか防護壁に変換する力。多分、エステルの力がマイナスに働くのは、うちの身体のエネルギーの許容量って奴が低いからだと思う。100しか入らないのに、エステルの回復の力が200だったら?」

 

「あ……」

 

「100しか入らないのに、200も貰ったら多すぎるよね?だから、その入りきらない分がダメージになっちゃうって事」

 

「厄介ね」

 

「仕方ないっしょ、こればっかりは」

 

飛鳥は、こんなところで話すつもりはなかった。だが、もう隠すことが難しい、限界だと思い、話した。だが、それでも。自分が未来を知っている事や、自分の力が極めればエステルの力を抑えられる事は話していない。

 

未来を知っているとして。だから何だというのだ。本来の原作の通りに事が進むようにするだけなのだ。それにもし、話して未来が変わってしまったら?原作の通りに事が進まなかったら?

 

それこそ、世界を救えるか怪しくなってしまう。それは困る。自分はあの場所で、力を使わなければならないのだ。そして、本来なら死なない人が、原作が変わったせいで死ぬかもしれない。それを防ぐ。それが自分の使命。そう、改めて心に決める飛鳥だった。

 

・・・

 

バウルに運んでもらい、フェローのいる場所まで来たユーリ達。しかし、フェローの姿が見えなかったため、いないと思われた、その時。上空からフェローがやってきた。

 

「忌まわしき毒に世界の調和を崩し者!遂に我が下に来たか!」

 

「……お出ましか。現れるなり毒とか崩し者呼ばわりとはな。ご挨拶だな、フェロー!」

 

「何故我に会いに来た?我にとっておまえたちを消すことは造作もないこと、わかっておろう」

 

「ちっ、あんたもこれで語るタイプか?」

 

そういって、武器を構えるユーリ。だが、それに待ったをかけたのはエステルだった。

 

「お願いです、フェロー、話をさせてください」

 

「死を恐れぬのか、小さき者よ。そなたの死なる我を?」

 

「怖いです。でも自分が何者なのか知らないまま死ぬのはもっと怖いです。べリウスはあなたに会って運命を確かめろって言いました。わたしは自分の運命が知りたいんです。わたしが始祖の隷長(エンテレケイア)にとって危険だというのはわかりました。でもあなたは世界の毒だと……わたしの力は何?満月の子とはなんなんです?本当にわたしが生きていることが許されないのなら……死んだっていい。でも!せめてどうして死ななければならないのか……教えてください!お願いです!」

 

エステルの真剣な態度に、今すぐどうこうしよう、という気はなくなったようだ。殺気を弱め、少しばかり落ち着いてくれたようだ。

 

「かつてはここもエアルクレーネの恵みを受けた豊かな土地であった」

 

「ここにエアルクレーネがあったのね」

 

「でも、それが何故こんなことに?」

 

「エアルの暴走とその後の枯渇がもたらした結果だ。何故エアルが暴走したか……それこそ満月の子が世界の毒たる所以よ」

 

「え……」

 

「満月の子の力はどの魔導器(ブラスティア)にも増してエアルクレーネを刺激する」

 

「どういう事だ?」

 

「………魔導器(ブラスティア)は術式によってエアルを活動力に変えるもの。なら、その魔導器(ブラスティア)を使わずに治癒術が使えるエステルはエアルを力に変える術式をその身に持っているって事……ジュディスが狙ってるのは特殊な術式の魔導器(ブラスティア)……つまり……エステルはその身にもつ特殊な術式でエアルを大量に消費する……そしてエアルクレーネは活動を強め、エアルが大量に放出される……あたしの仮説……間違ってて欲しかった……」

 

どうやら、リタはある程度、エステルの力について仮説を立てていたようだった。そして、それが間違っていないことも、証明された。

 

「わたしは……」

 

「その者の言う通りだ。満月の子は力を使うたびに魔導器(ブラスティア)などとは比べ物にならぬ程エアルを消費し、世界のエアルを乱す。世界にとって毒以外の何物でもない」

 

「だから消すってか?そりゃ随分気が短いな。え?フェローよ」

 

「これは世界全体の問題なのだ。そしてその者はその原因。座視するわけにはいかぬ」

 

「オレたちの不始末ならオレたちがやる」

 

「そうなのじゃ。勝手に押し付けはゴメンなのじゃ」

 

「おまえたちは事の重大さが理解できていないのだ」

 

「じゃあ聞くが、エステルが死んだからって何もかも解決するのかよ?」

 

「少なくともひとつは問題を取り除くことが出来る」

 

「フェロー、ヘリオードで私は手を止め、ダングレストではあなたを止めたわ。最初は魔導器(ブラスティア)のはずが人間だったから。次は私自身がわからなくなったから。この子があなたの言うような危険な存在だと思えなかったからよ」

 

「そうだ。ゆえに我はそなたに免じて見極めの時間を与えた。その結果、我は同胞べリウスを失うこととなった。もう十分だ。その力は滅びを招く」

 

「ふーん、よくわかんないけど、力を使うのがまずいなら、使わなきゃいいだけじゃないの?」

 

「その娘が力を使わないという保証はない」

 

「……そうね。この子は目の前のことを見過ごせない子。きっとまた誰かのために使うでしょうね。だけど、その心がある限り害あるものとは言い切れないはず。彼女は魔導器(ブラスティア)とは違う。あなたにもそれがわかると思うけど?」

 

ジュディスは、フェローに自分が見て感じたことを含めて伝える。だが、フェローの声は厳しいままだ。

 

「……心で世界は救えぬ」

 

「おいフェロー、おまえが世界のためにあれこれ考えているのはよく分かった。けどな、なんでその世界にエステルが含まれてない?」

 

「より大きなものを守るためには、切り捨てることも必要なのだ」

 

「クソ食らえだな。その何を切り捨てるかを決められるほど、おまえは偉いのかよ?」

 

「我らはおまえたちの想像も及ばぬほどの長きに渡り、忍耐と心労を重ねてきたのだ。わずかな時間でしか世界を捉えることのできぬ身で何を言うか!!」

 

「フェロー、聞いて」

 

ユーリとフェローの会話に割って入ったのは、ジュディスだった。確かに、このまま話していても平行線だろう。

 

「要するにエアルの暴走を抑える方法があればいいのでしょう?まだそれを探すための時間くらいあるはずよ。それにもし……エステルの力の影響が本当の限界にきたら……約束通り私が殺すわ。それなら文句ないでしょう?」

 

「ちょちょっと、ジュディス、本気で言ってるの!?」

 

「あら、そうならないように凛々の明星(ブレイブヴェスペリア)がなんとかするでしょ?」

 

「え!?あ、そうか……うん、そうだ、そうだね!」

 

「一本取られたな。そういう訳だ。エステルのことも、世界のヤバさもそれがオレたち人間のせいだってならオレたち自身がケジメをつける。それで駄目なら、丸焼きでもなんでも好きにしたらいい」

 

「……そなた変わったな。かつてのそなたなら……」

 

「さあどうなのかしら?でもそう言われて悪い気はしないわね」

 

「……よかろう。………世界の調和を崩し者」

 

「確かに、うちがいることであの魔物は、無限に出てくるやろうね。でも、うちはまだ試せてないけど、あの魔物にうち以外の皆の攻撃が通る方法を、べリウスから教えてもらった。あと、うちは一応、この世界を救うって使命を果たすために、ここにいる。だから、使命を果たしたその後。それでもまだうちが、この世界にとって不都合なら。そん時はうちを殺せばいい」

 

「アスカ!?」

 

「残念なことに、うちはエステルと違って邪魔にならないような、そんな選択肢がない。方法がないの。別の世界からやってきた、余所者。だから、使命を果たすまでは仕方ないかもしれない。でも、使命を果たして、用済みになったのなら、消せばいい」

 

「どうして!?」

 

「それに関しては、まぁ理由はあるけど、それはまだ話せない。まだ、“その時”じゃないから」

 

「………いいだろう。だが忘れるな、時は尽きつつあるということを!」

 

「待って!術式がエアルの暴走の原因っていうなら、昔にも同じように暴走したことがあるはずでしょ。魔導器(ブラスティア)は古代文明で生み出された技術なんだから」

 

「罪を受け継ぐ者たちがいる。そやつらを探せばよい。彼の者どもなら過去に何があったのか伝えているであろう」

 

そこまで言うと、フェローは飛び去ってしまった。とりあえず、船に戻って話し合うユーリ達だった。




というわけで、長かったですが、フェローに会うところまでおわりました!

次回は船での話し合い~になります。
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