長々と放置していた時期もありましたが、ちゃんと終わりまで書くことが出来ました!!
ありがとうございます。
仲間たちからの言葉に、アスカは泣いていた。そして、女性もそれを見届けたからか、そっと消えていった。黒い魔物はまだ残っていた。しかし、何故かもう攻撃をする事はないようだ。
「……生キロ。使命ヲ果タシテ尚、貴様ガ独リデアルナラバ、貴様ノ死ヲ望ム者ガイルナラバ。ソウ思ッタガ、貴様ハ生キロト望マレテイル」
黒い魔物が、そう言ったのだ。そして消えてしまう。後に残ったのは、小さな、手のひらサイズの黒い石。それをアスカは手に取った。すると、その石はアスカに溶けていく。自分の一部だったモノだ。どういう原理で具現化してしまっていたのかは分からない。だが、もう大丈夫だ。この、感情を受け入れても。だって、自分には仲間がいるのだから。
「ねぇ、うちは本当にここで、この世界で、生きてていいの?」
「良くなかったら、庇ったりしねえよ」
「……そだね。改めて、宜しくね。皆!」
アスカは、笑顔で言った。そうして、やっと落ち着くことが出来たのだった。
・・・
あれから、1ヶ月が過ぎた。ずっと忙しくギルドの一員として働いていた、アスカ。ふと、思い返した事があった。あの後、落ち着いてからレイヴンに問われたのだ。
『アスカちゃん、もしかしてだけどさ。未来ってヤツを知ってた?』
『『『!』』』
『うん。知ってたよ。全部。所々抜けてたりとかはしたけど、知ってた。大まかな流れとかは』
『じゃあ、誰がどうして、何をしてって全部知ってたってわけ!?』
『うん。知ってた。皆が星喰みに勝つのも、デュークが力を貸してくれるのも。もちろん、エステルの力の事も。アイフリードの事もね』
『ならなんで言わなかったんだ?』
『え?そりゃもちろん、言って未来が変わる事が怖かったからや。言わなくたって、所々変わってたんだよ?』
変わっていた、というアスカの言葉に皆はぎょっとした。思い返すも、どの辺だろうか、検討がつかない。
『カロルがゾフェル氷刃海で1人で戦ってくれたのも、あれ、本来なら皆が間に合ってカロルを庇ってたよ。けど、そうじゃなかったでしょ。ユーリがアレクセイにぶっ飛ばされた時も、本来なら船のロープ掴んで事なきを得たけど、あの時は船から大きく外れてたから多分、何もしなかったら落下死してた。ザウデの時もそう。きっと、落下死してたと思う。それから、レイヴンだって、ルブラン達に助けて貰った筈だけど、もしかしたら、何もしなかったら本当に生き埋めになってたんじゃないかな。あぁ、あとバウルが成長の為に篭って、ジュディスが守ってた時も、本来ならユーリがあの人らの攻撃防いでおしまいだった所、さらに追撃きたとかかな』
つらつらと語られる言葉に、ユーリ達は絶句する。確かに全てアスカが何だかんだと理由をつけてペンダントを持たせてくれたり、防護壁を貼ったりして防いでくれていた。そうでなければ……ゾッとする。そんな事になっていたのか、と。
『だから、言わなかった。言っても良かったんだけど、こればっかりは怖かったから、言えなかった。言ったせいで、未来が変わって、星喰みに勝てなくなったら、どうしようって。そう思ったら話せなかった。
あー、ギルドの掟に反する、かな。義を持って事を為せ。不義には罰を、だったよね』
目を逸らしながら言ったアスカ。確かにそうだ。罰なしとは行かないだろう。
『もちろん。ボクからいくね!』
カロルはそう言ってアスカに近づいて、ほっぺを引っ張った。でも、軽くだ。びよん、なんて擬音がピッタリだ。
『っ!』
そして次にユーリ。ユーリは、軽く頭を小突いた。コン、なんていい音がする。
『あたっ』
次にジュディスが、デコピンする。手加減なしな為、地味に痛い。
『いった!?』
次にリタがチョップを食らわす。結構痛い。ゴス、なんてユーリの時よりもいい音がした。
『いた!!』
次にエステル。エステルは、両頬をパチン、と軽く叩いた。
『――』
次にパティ。お腹に頭突きをかましてくれた。流石によろけるアスカ。だが思った程痛くなかった。
『う゛!』
次にフレン。フレンは、アスカの手を取って思い切りぶった。バチン!なんて音がする。手のひらが、とても痛くて、ジンジンする。だけど、フレンも篭手を外していたので、同じ痛みを貰ってるはずだ。
『ったぁ!』
最後にレイヴンだった。あまり気は進まなかったようだが、オロオロしつつも、意を決して、アスカの頭に拳骨を落とした。ゴン!なんて、今までで1番いい音がした。
『い゛ったぁ……!』
最後の最後でそんなことをしたレイヴンに、皆は驚いていたが、それでも、アスカはらしいなぁと思ったようだ。
『これが罰ね!……でもレイヴンがそんなことをするなんて……』
『……』
『レイヴンは、1番荒れてた頃のうちを、ずっと見守ってくれてたかららやな。きっと、
『『『?』』』
アスカはちゃんとレイヴンの意図を読み取ったようだ。首を傾げる一行に、アスカは暖かい気持ちになっていた。
(多分、だけど。親代わりって感じやったんよね。きっと。だから1番怒ってた。だけど、悩んで悩んで、でもコレだって思って拳骨にしたんよね。何となくそんな気がするし分かるから、大丈夫だよ)
そんな風に思い返しをしていたアスカに声がかかる。魔物討伐に行くから、来て欲しい。との事だった。
「わかったー!今行くね!」
バタバタと自分の部屋から出ていくアスカ。その背中をそっと見守っている、1人の女性が。
「もう、大丈夫そうですね」
女性は、そっと微笑み、姿を消した。
Fin.
ということで終わりました!
長かったし終わりがなかなかまとまらずでしたが、ようやくです。
年明けまでに終わって良かったですー!!
もしかしたら番外編とかも書くかもですが、書かないかもしれないので、期待せずに!