待っていてくださった方はには感謝です!!
場面は、冒険王に泊まる所です。
では、どうぞ!
あれから、飛鳥達は何度か戦闘を繰り返し、少し開けたところに到着。飛鳥は今自分が使っている武器がエアルを使うもので、かつ自分の身体に一度取り込んでから弾に変換しているという事が分かってからは、狙いを定めてから撃つことの方が多かった。空気中のエアルを取りこんで、弾に変換するのなら弾数は無限なのだが…弾に変換するときに飛鳥自身の気力らしきモノを消費するため、限界があるのだ。
「ずいぶんと帝都から離れたな」
「ええ…ここまで逃げてくれば、大丈夫でしょうか」
「さぁな。無駄に連中しつこいからな」
「ワン!」
「ん………?」
「……」
ラピードは何かを見つけたように吠える。それに反応するようにユーリ達は先に進んでいく。飛鳥は無意識にそれについていく。
―確か、ここら辺で戦闘があるはず…
考え事をしていた飛鳥はユーリ達に声を掛けられて、いつの間にかうつむいていた顔を上げる。
「…い……カ!」
「ワン!!」
「ぅえ!?な、何!?」
「一旦休むぞ」
「大丈夫ですか?何か難しい顔をしてましたが…」
「大丈夫です。少し、考えごとをしていまして…」
ラピードに吠えられて素が出た飛鳥。だが、ユーリ達は特に何も気付いていないようだ。飛鳥もこれには少し安心する。飛鳥達は冒険王という宿屋に泊ることになった。飛鳥はベッドに横になると、疲れていたのだろう、すぐに寝息を立てて眠ってしまった。
・・・
―あれ?ここ、は……どこや?
飛鳥は、気がつくと360度一面真っ黒な空間に放り出されていた。ただ、足はちゃんと地面らしき場所に付いているため、自分が立っていることは分かった。
―…あたり一面が暗闇…あ~…ゲームとか小説の中で悪夢を見る時によくある奴や。でも、夢見てるってわかってるんは…確か、明晰夢とか言うやつだっけ?
辺りを見回しながらそんな事を思っていると、全方向から、声が聞こえてきた。それは、飛鳥にとって聞いたことがある声で、同時に聞きたくもない声だった。
―クスクスクス…
―ねぇ、月城さんって――ってホント?
―え~!?嘘嘘!!ありえないって!だって月城だよ?
―それもそうだよね~!
―こんなこともできないのか。屑め
―屑はしょせん屑だな!
―どうして由美は出来るのにあんたは出来ないのよ!この出来損ない!!!!
最初はクラスメイト達。後半は両親。だが、飛鳥は鼻で笑って流した。
―そういや、そんなこともいわれてたっけ。しかも最後のは結構最近言われたことあるね…ふふふ、笑えてくるわ。別に、出来もしないことをする必要なんであらへんやろ?
なんでしやなあかんの?それに、クラスメイト達はどうせ自分達の鬱憤とかストレスとかを発散させたいだけやろ?うちを使って。なら、別に聞き流せばええ。聞く必要もないやろ。聞いてるだけ気分が悪くなるだけやしな。ああいう類のものって。
―さてさて、うちにこんなもん見せるおバカさんは誰やろうな。精神攻撃でもしたいん?なら、もっとエグイの見せてみぃや。この程度、もう聞き飽きてんだよ。悪口って大体誰が言っても同じことしか言わへんやろ。なぁ?うちを普通の奴だと思ってんなら、それはやめといた方がええで?うちは、大抵の悪口は聞きあきた、そんな奴だからさ!
クスクスと笑いながら、さも気になっていないようにふるまう。実際、飛鳥にとってはこの類の悪口は〝この程度〟で済んでしまうのだ。だから、飛鳥は言う。思い切り皮肉をこめて。
『ねぇ、うちにこれ見せてる“誰か”さん、うちをもっと苦しませたいならもっとエグイの見せたり、身体的苦痛を与えなきゃ効かへんで?残念ながら現実世界でうちは両親に時々暴力ふられてたし、学校じゃクラスメイト達から悪口陰口、あることないことの噂とか流されてね?面白いことに全校生徒が知ってるくらいにはひっどい噂も流れてるし、悪い意味で超有名だから』
言い終えてからも、余裕のある笑みを崩さない。すると、飛鳥が言った事に反応するかのように声が聞こえ始めた。
―ねぇ、月城が…手違い子だったって、ホント?
聞こえたその言葉に目を見開く飛鳥。
『!!!』
―手違い子っていうのは、確か…
―親が望んでない出産で生まれた子って奴だろ?
―そうそう。
その会話を聞いた飛鳥はうつむいて、それから狂ったように笑い出した。
『ふふ、ふ。あはははっははは!!!いいねぇ、その手違い子って言うの。せやな、うちはそれやな。で?それがどうしたってーの?そんなの、親から耳にタコ出来るくらい聞かされてきたっての「お前は間違えて生んでしまった」だの「誰からも必要とされない出来損ない」ってな』
言い終えてから、飛鳥は、心の中で呟く。それも、うつむきながら。
―今更そんなの。そんなの……そんなの…悲しいとか、思うはず、ないから。だから、さ?うちを――
その先を言おうと口を開いた。だが、そこで飛鳥の意識は沈んでいくのだった。
・・・
「―きろ!!アスカ!」
「…!?」
「ワゥ!!」
突然聞こえた声に飛鳥の意識は浮上する。だが、身体を起こそうとしたところでラピードに左の二の腕を噛まれた。そこまで強くはなかったが、それでも飛び起きるには十分すぎるほどの強さだった。
「いっ…!!!」
「あ、おい何してんだラピード!」
「だ、大丈夫ですか!?」
飛び起きた飛鳥は噛まれた二の腕を噛まれていない方の手でさすりながら、ユーリ達に大丈夫だと告げる。
「だ、大丈夫です。甘噛み、より少し強い程度でしたから…」
「魘されてたけど、大丈夫か?」
「顔色が良くないですけど…」
「夢の内容、覚えてないのでわかりませんが、大丈夫ですよ」
「そうか。なら行くか」
エステルは飛鳥の顔色が悪かったので大丈夫か、と気遣うがまたもや大丈夫と流されてしまった。心配そうに飛鳥を見るが、彼女は表情があまり変わらないらしい。そのため、本当に大丈夫なのか、演技で隠しているのさえ、エステルにはわからなかった。
一方飛鳥は、ぼうっと空を見つつユーリ達について行くのだった。
5話目、終了です。
主人公の悪夢は誰が見せてるんでしょうね?
それから、あのドラゴン型の黒いモンスターも。
ではでは、また次回にて会いましょう。