しばらく休憩した後、俺たちは綾瀬の案内の元全力で罠へと飛び込んで行った・・・・・・・間違えた、罠を突破して行った。
そして。
「ようやく到着しました。ここが、本の安置室です」
「ようやっとか・・・・・・・こりゃまたド派手な所に出たな」
いよいよ俺たちは安置室にたどり着いたのだが。・・・これは広い、おまけに全ての装飾が『RPG風ですよー!!』と自己主張を激しくしている。門の近くにでかい石像まで鎮座している。派手だ、派手すぎて頭が痛くなる。
まあ、何でもいいが到着できてよかった。疲れたよ〜。
「イヤー、疲れたアルヨ」
「相場殿には本当に感謝するでござるよ」
「楽させてもらったかんねー」
「そりゃそうだろうよ」
お前ら、途中は俺の相棒に引っ掛かってただけだからな。
ったく、呑気なもんだ。こういう所ってのは、たいていボスキャラがいると相場が決まってるんだが・・・・・・・と、佐々木が何かを見つけたようだ。
「見て、あそこに本が!!」
「ん?」
見れば台座の上に開かれた本が。
大仰に置かれているねー。でも、こういっちゃ何だがうさんくさ「!?」・・・ネギ先生が反応した!?ってことは、本物か!?
「アレは伝説のメルキセデスの書ですよ!!信じられない!!僕も見るのは初めてです!!」
「・・・・まじか」
「マジですよ!!アレだったら、少し位なら頭も良くなるかも!!」
なんてこった、そんなもんがこんな所に?
しかし、だとしたら妙だ。それほどの物なら、こんな所にあんな風に無防備に配置してある意味が分からない。何か仕掛けが・・・・
「やったー!!」
「これで最下位脱出よ!!」
「一番乗りアルー!!」
「あー!!あたしも!!」
「あ、みんな待って!!」
っておい!!無謀な突撃は大けがの元だぞ!!
「ちょっと待てや!!」
「あんなに貴重な魔法書!!何か罠があるに決まってます!!皆さん気をつけて」
バカン
「「「「「「えっ?」」」」」」
・・・・言わんこっちゃ無い
「きゃー!?」
皆を追って行ったネギ先生や近衛さんを巻き込み他五人が落ちる。
「おい、平気か?」
俺はその場に留まっていたので落ちずにすんだ。皆の様子を確認する。
「・・・な、なんとか〜」
「ぜ、是玖賭、アンタね〜」
どうやら大きな怪我は無い様子。一安心だ。
落ちた所に石盤があったのだ。かなりでかい石盤が。
しかし、みんなが乗っているそのでかい石盤・・・・
「なんっか見た事あるような・・・・・」
「ん?相場、何か言ったアルか?」
「いや・・・・・・あっ!!」
分かった!!このでかいの・・・・たぶん。
「おい、それツイスターだよな!?そのでかいの」
「・・・・そういわれてみれば、でござるな」
「ほんとだ〜!!ツイスターだ!!」
「しかし、何でこんな所に」
と、綾瀬が発言した瞬間。
『ふぉ〜っふぉふぉふぉふぉふぉふぉ』
と言う不気味な笑い声と共に。
『この本が欲しくば、わしの出す問題に答えるのじゃ〜!!フォフォフォフォフォ♡』
目の前に鎮座していた石像が動き出した!!
しかも・・・・・・・・
「無性に不気味な老人の声を響かせて!?」
『誰がじゃ!!』
おや、なんかデジャブ。
「すいません。性分な物で」
『・・・・ふむ、まあよい』
「てゆーか、何落ち着いてるの相場く〜ん!?」
「こういうの慣れてるアルか?」
「・・・・否定は出来ない」
思えば俺も随分とファンタジーに染まっちまったもんだ・・・・・とか言ってる場合じゃないな。
『まず第一問!!』
「に答える義務はねぇよ。リフター!!」
《了解》
リフターを呼びつけ、ゴーレム(多分そうだと思うけど)に向き合った。
「残念だがちんたらしている余裕は無くてね。悪いが・・・・潰させてもらう!!」
「え、相場君!?」
「いや、無茶アルよ!?いくらそれが高性能だからって」
「黙ってみてろ。こんな石人形ごときに俺とこいつは負けねぇよ」
自信満々に言って放ち、武装を展開してみせる。
「ほえ〜!?相場君!!そんな物それに積んでたん!?」
「しかも・・・・・自衛隊にも配備されてないような兵器をどうどう積んでますね・・・・」
「何言ってんだ。こいつはあくまでもモデルガンだ。弄ってはあるがな」
「・・・・そうですか」
はい。嘘です。全力もって嘘ついてます。
そもそもこいつに搭載されている武装は元々現代兵器に対抗するための武装だ。こいつを倒す事位造作ない。
『ふぉ!?最近の若者はこらえ性が無いの〜・・・・・』
そんなことを言われてもな。俺は皆を助けるためにここに来ている。そっちの都合に合わせてやる必要も無い。
『ええいしょうがない。クウネル君!!その子の相手を頼むぞい!!』
と、ゴーレムが誰かを呼びつけた。
とたん、フード姿の男が俺の後ろに現れた。
「・・・私に押し付けるのは出来るだけ勘弁してほしいのですが」
真っ白なフードをかぶり顔は見えない・・・・これは
「「変質者だな(ね)」」
おや、アスナと意見がかち合った。
「・・・・・・・・いきなり変質者とは、心が折れそうですね・・・ははは」
良し!!心はへし折った・・・・
『ちょ!?もうちょい気張ってくれ!!クウネル君!?』
「まあ、やるだけはやりますけど・・・・・」
ちっ。ダメだったか。面倒な、どうやらこいつが俺の足止めをするらしい。
しかも・・・・・相当の実力者のようだ。これじゃあゴーレムを速攻倒して魔法の書を手に入れる作戦は使えないな。
しょうがなく、俺はこいつに向き直り皆に告げる。
「そんな訳で、すまん。今回はそっちはそっちで頑張ってくれ!!」
「是玖徒さん!!その人は!?」
「どうやら向こうの助っ人らしい。俺はこいつの相手をしなけりゃならん」
「・・・分かりました!!気をつけて!!」
「ああ」
ったく、何か最近は戦闘ばっかしている気がするな。
さて・・・・俺は相手に向き直り、睨みつけた。
「邪魔をしてくれるなよ。こちとら仲間の危機が掛かってるんだ」
「そういわれましても。私は助っ人を頼まれた立場なので」
「・・・だろうな」
あーあ。クッソ、実力が分かっちまう自分が悔しい。
はっきり言って俺の心中は暗かった。さっき一瞬で後ろに出て来た時、実力の差って奴が分かった。
空間移動。奴がさっきやってのけたのはそれだ。
恐らくは魔法。しかし、問題点はそこじゃない。
空間移動をやってのけたと言うのが大問題なのだ。
空間移動と言うのは、三次元から別の次元へ物を転移させ、また三次元に戻す事だ。それは口で言う事は容易いが、人一人のみでそれを行うのは、不可能と言っていい。
何故なら、それを行うためには、恐らく今この日本にある新型のパソコンを二十個以上はつなぎ合わせないと計算など行えない。
それを人の身で行うには、恐らく魔法を使う位しか無いのだろう。
しかし、それも言う程簡単では無い。魔法でそれらの計算をするために大量の魔法式がいるだろうし、それを組み立てるための技術も必要だ。
俺は、リフターのフィールドを造る時に、東西の魔法の基本理論を攫っているのでそれがわかる。
しかし、あの男、それだけの事をやっておいて顔色一つ買えていない。
マジでやばい。実力差は異常なまでに開いている。
今は虚勢を張ってるが、内心はガタガタだった。
「けっ・・・・どうした、掛かって来ないのか?」
「ふふ、そう言うあなたこそ向かって来ないのですか?」
言ってくれる!!そちらはこっちの考えもお見通しと見たね。
これだけの実力差があるのなら、こっちの考えくらい分かるのだろう。
それを裏付ける様にあっちの態度は悠々自適としている。実力の差がこういう所にも出ている。
(・・・・・・ならその挑発、乗ってやろうじゃねーか!!)
相手が格上の場合、こうやって相手も自分の実力を推測でしか測っていないこの状況で、しょっぱなから全力を出して出来るだけのダメージを狙う・・・・単純ながら上策のはず。
何より、ここでこのままいると、心が折れちまいそうだ。
「リフター。ゴム弾を換装。威力はLevel6。効果Levelは最高だ。合図と共に一斉掃射」
《了解》
「ほう・・・・・」
さあて・・・・・・・吹き飛ばしてやるぜ!!
「全砲門狙え!!一斉掃射!!」
ガガガガがドドドドドドドドドボボボボボボボボドンドンドン!!!
フード男の元に弾丸が殺到する。
この組み合わせで放たれるゴム弾は、吹っ飛んでくる岩と変わらない程の威力を誇る。それすなわち・・・・・地面をも抉る威力を見せると言う事。
そして、それは俺のもう一つの狙いでもある。
「・・・・よし」
抉られた地面は、土煙となり見事に煙幕の役を果たしていた。
そう、目隠しによる時間稼ぎだ。これだったら・・・・
「いやはや」
「!?」
「始めに自分の実力のすべてを惜しげも無く出し尽くす・・・・格上の相手に一撃を与え、同時に時間稼ぎを行う場合の上等策。しかと理解して疑いもせず狙って来る。なるほど、彼の息子らしい冷静で大胆な判断だ」
馬鹿な!?躱しきられたって言うのか!?
「しかもただの一点集中ではなく、一部は私の周りに散らし煙幕をより効率的に広く張り、同時に横へ移動するくらいでは躱しきれない様にする・・・・・計算が得意な所も良く似ていますね。ただ、少し冷静すぎるのも考えもの。一点集中を狙っているのですから、ここは一切散らさない。基本ではありませんが、それが良策ですよ?」
「てめぇ!!どう遣って!?」
「何、弾幕の薄い横に移動し防ぎつつ突っ切っただけの事です。勝負の時には、たまには何も考えず突っ込んでみるのもいい物ですよ?」
フード男は、いつの間にか俺の目の前に佇んでいた。
嘘だろ!?いくら弾幕が薄いからって言っても無傷!?
俺がこの驚愕の事態に驚愕していると、フード男は残念そうな態度で呟いた。
「さて、もう少し時間稼ぎをしてもいいのですが、その必要も無さそうですしね」
「え?」
そう言われて後ろを見ると、どうやら間違えたらしい、ゴーレムがツイスターに向けて鉄槌を振り下ろしていた・・・・何ぃ!?
「や、やば!!」
急いでリフターを飛ばし皆の元へ飛ぶ。
そしてフードの奴を振り向き、叫ぶ。
「おいこらフードやろう!!」
「はい?」
「・・・・次は負けねえぞ!?」
「ええ。期待していますよ」
フード男は口元ににこやかな笑みを浮かべ、そして消えた。
「・・・・くそっ」
余裕綽々の態度しやがって・・・・・・舐めてんのか?
いや、今は置いておこう。皆を助けねえと!!
しかし、時既に遅し。ゴーレムの槌は、ツイスターを砕き、皆はその下に落下して行った。
「ちぃぃぃぃっ!!」
間に合わなかったか!!くそっ!!
と、
「ん?」
ツイスターのあった場所。そこの淵に二つの手が引っ掛かっていた。
「!!おい、大丈夫か!?」
急いで向かってみると、淵に手をかけていたのは、なんと近衛さんと綾瀬だった。運動神経の良いとは言いがたい二人が良く助かったもんだ・・・・・
「あ、危なかったのです・・・・・・」
「あ、相場くーん。助けてー」
まあいい。とりあえず二人だけだが救出できた。
二人に手を伸ばし、二人の手を掴む。
正にその瞬間、二人の手が滑った。
「「あっ」」
「!!」
その瞬間、俺はリフターから飛び出し、二人を両脇に抱えていた。
今回ばかりは、考えるより先に体が動いてしまっていた。
(あ、しまった!!リフターで加速して二人を捕まえれば良かったんだ・・・・・ポカやったなー。でも、過ぎちまった事を考えても仕方がない。今は、二人が助かる方法を考えなければ)
俺は体が小さいし抱えるとは行かないが・・・・それでも。
(とりあえず、俺がクッションになれば二人のダメージは軽減されるはず!!・・・・下手をすると、死ぬかもしれんが・・・・・・・・・・)
俺はそう思い、二人を抱える手にさらに力を込めた。
覚悟を決める。俺も男だ。
助かるとは思えないが、それでも・・・・・・・・・
一八だ!!