さて、この学園に来て二日目の夜だ。
俺は学園長から手配された寮の部屋で寝ている。
しっかし今日も楽しかった。
—回想—
その日、俺はネギ先生の授業を受けた帰りだった。
『神楽坂の奴焦ってたなwww』
ネギ先生に当てられて訳が出来ずしどろもどろになっとったwww
まあ、その後俺が華麗に訳をしてあいつのフォローに回ったが。
ちなみに、その後ネギ先生は余計なことを言ってしまいアスナに掴み掛かられていた。(お約束なのかネギ先生の魔法が暴発。神楽坂の服が吹き飛んでいた)
そんな事を思ってたら、ちょうど件のネギ先生を見つけた。
何かうずくまってる。
(どうせ今日の授業の事だろーなー。よし、どんどん相談に乗ってあげよう)
『よっ。ネギ先生』
『あ、相場さん。こんにちは』
『ん、どーもと。どうした、こんな所にうずくまって?』
『・・・今日の授業の事なんですが・・・』
やっぱりか。だろうとは思ったけど。
けどそれだけじゃないな・・・・・まあ今はおいとこう。
『授業についてなら俺が言える事はいくつかある』
『え、何ですか?』
『一つは自分のクラスの生徒、少なくとも自分の担当する教科の生徒の各成績やテストの点数はあらかじめ調べておこうぜ。そうすれば苦手な奴ではなく、まずは得意な奴に当てて、『こういう風に訳せばいい』などのポイントを黒板に書き込む事も出来るだろ?』
『あ、そうか』
『もしかしたら、その要点を抑えて苦手な奴も出来るかもしれないぜ?』
『な、なるほど』
ま、神楽坂にその程度で伝わるかは微妙だが・・・・・ネギ先生は知識は持ってる。それを行かせれば十分補えるだろう。
『それを抑えた上で二つ目。顔を避けられたから、って言う理由で当てるのをやめるな。顔を避けた奴は『自信が無い』ってだけで大抵旨く導いてやれば答えられるもんだ。先程のやり方を実行していればそのポイントを抑えつつさらに答えを導き出しやすくなる』
『おおー』
それに、顔をそらされて当てるのをやめるんじゃ生徒とのコミュニケーションを取るのも難しいかもしれないしな。
神楽坂のような例外はいるかもしれんが極一握りだ。
『三つ目だ。さっきから授業について悩んでるけど、君が本当に悩んでるのは神楽坂の事じゃないかね?』
『へ!?ど、どうして!?』
『そりゃ分かるさ。こちとら年上だぜ?さて神楽坂についてだが・・・・どストレートに謝るのが一番だと思うぜ』
『はあ・・・』
『あいつ真っすぐで分かりやすい性格してるからな。下手に魔法とか使うよりも素直に謝る方が効果はあると思う。それに神楽坂と仲良くしたいんだろ?』
『はい』
『なら後の後腐れを残さない様にしっかりと今謝るべきだね』
『・・・・・・・』
ま、俺が言えるのはこれくらい・・・・・ってなぬ!?ネギ先生の目がお星様の様に瞬いている!?
『凄いです相場さん!!とても参考になりました!!説得力もとてもありますし、相場さん、教師になれますよ!!』
『よ、よせやい。柄じゃねえよ』
何か照れるね、こう、ど直球に感謝されると。
『尊敬しちゃいます!!これからもどんどん相談させてください!!』
『あははは・・・・』
っべーわ、俺今顔真っ赤だろーな。
それから他愛の無い話をしていると。
『あの、ネギ先生・・・・・』
宮崎が声をかけて来た。後ろには宮崎だけではなく早乙女ハルナ、綾瀬ユエなどの姿も見える。
『スミマセンネギ先生。朝の授業について質問が』
宮崎の言葉の後を早乙女が継いだ。やっぱり人見知りなようだ、宮崎。
『ん?おや、相場君じゃないか?』
『ぬ?いかにもそうだが。ネギ先生に質問があったんじゃないのか?』
『いやそうなんだけどさ。この前、のどかが落とした本を全部のどかの部屋に届けてくれたでしょ?のどかがお礼したいって言っててさ』
『ほう』
宮崎転落事件のときのか。いや、あんなんお礼されるうちに入らんと思うけど。
『ほら、のどか』
『う、うん・・・あの、相場、君?』
『おう』
『本、届けてくれて、あ、ありがとう・・・・・』
俯きながら頑張ってお礼を言う。可愛いのう。
『いや、当然の事よ。他に何か困った事あれば、俺に相談してくれや』
『うん・・・・・』
宮崎は頷いて、早乙女とネギ先生の元へ戻った。
『いい子だなー』
『あなたもそう思いますか』
うお!!びっくりした!!
ただいまの発言は、いつの間にやら近くに寄って来ていた綾瀬の発言。
『いきなり音も無く近づくの勘弁してもらないかな』
『音は立てていましたが?』
『俺が気づかなかっただけか。俺も鈍くなったもんだな』
『・・・・・・のどかをどう思っていますか?』
『ど直球な質問だね。ま、良い子だとは思うよ、可愛いし。それだけだ。恋愛感情も何もねーぜ』
『そうですか』
『と言うか、あの子ネギ君にほの字でしょ?俺がどうこう思っても無意味じゃない』
『さすがに気づきますか』
『そりゃそうだ。あの子ネギ君を前にして顔真っ赤だもん、分かりやすいぜ』
『・・・できれば』
『応援するさもちろん。あの子は友人だ。俺がそう決めた』
『・・・ありがとうございます・・・です』
『何かその喋り方どっかで聞いた事あるような』
そんな感じで、俺は綾瀬とも交友関係を結ぶ事にしたのだった。
この後、ネギの鞄から魔法の丸薬が出て来て、俺の実際に魔法が見たい、と言う要望にネギが応えて惚れ薬(もどき)を魔法で作成。
おお凄いじゃんとばかり背中を叩いた所、薬の瓶は宙を舞い、そのままネギの口にストライク!!
そのまま飲み干した薬の効果でクラスの全員(?)が暴走し鬼ごっこが始まった。
俺はその後片付けに追われた。
—回想終了—
うん、楽しかった。疲れたけど。
さて、明日はどんな「コンコン」・・・何だこんな時間に。
玄関に向かう。
「はーい、新聞はお断りさせてもらってますよー」
開けた玄関に居たのは、
「・・・・・桜咲?」
そう、同じクラスメイトの桜咲だった。
「こんな時間に何のようだ?俺はこれから寝る所だったんだが?」
「用があるから訪ねた。付いて来い」
命令形か。随分とした用らしいね。
断る事も出来るが、後々そうすると面倒だ。
「わかった」
連れて来られたのは、世界樹前の広場だった。
この学園の象徴の一つ、世界樹は何でもここのうん何代前のOBがいた頃からあるものらしい。
まあ、これ絶対魔法が関わってるよね。
それは置いといて、桜咲だ。
一体何の用かね?
「まず、聞きたい事がある」
「なんだ?」
「貴様、魔法を知っているか?」
・・・・・・こいつぁ驚きの質問だ。
開口一番に魔法とは。魔法って結構メジャーなのかね。
まあ嘘ついてもばれるだろうし。
「ああ、それがどうかしたか?」
「そうか、ならば・・・・・・切る!!」
「・・・・・・・はい!?」
と言うや否や持っていた袋から刀を抜き放ちこっちに突っ込んで来た!!
真っすぐ弾丸の様に迷いの無い軌道だ。鋭い!!
「いきなりなんなんだよ!!リフター!!」
自分の相棒、リフターを呼びつけ、真上にジャンプし桜咲の斬撃を避けつつリフターに乗り、逃げる。
「なかなかの反応だな。下手な刺客なら今の一撃で倒れているぞ」
「そりゃどーも!!」
確かに今のは速かった。はっきり言ってリフターを呼びつけると同時にジャンプしたのはただの勘だ。
冗談じゃねえぞ!?俺なんかしたか!?
「一体なんで俺を狙う!?お前に何もした覚えはねーぞ!?」
「黙れ!!とぼけても無駄だ、貴様お嬢様に近づいて何を企んでいる!?」
お、お嬢様?俺ってそんなお人に接触したか?
「誰の事だ?」
「この期に及んでまだそのような事を!!木之香お嬢様だ!!」
木之香?近衛さんのことか?
俺が近衛さんと仲良くすんのが悪いって言うのか?もしかして、こいつそういうご趣味・・・・・・いや、それにしては様子が違うな。
そう言う事ではないとすれば何だ?・・・・・話を聞く必要があるな。
そもそもこう言うパターンって仕掛けて来た奴が誤解をしている可能性が高いんだよな。以外にも話し合えば誤解が解ける事が多い。
「おい、いったん落ち着け、話をしないか?お前は何か勘違いをしている可能性がある」
「勘違いだと?戯言を!!」
すると今度は階段をけってこっちに向けて飛んで来た。
は、何考えてるんだ?そこからここまでゆうに二十メートルは
「はっ!!」
と思ったらもう眼前で剣を構えてらっしゃる!?
「なんのお!!」
マトリッ○ス!!
「ちっ、外したか!!」
ギリギリ回避した!!やっべえ後少しタイミングミスったら死んでた。
これは話を聞いてくれそうにないね。なら・・・・・ああもう!!
「ったくしょうがねえ!!相手してやる!!絶対勝って話聞いてもらうかんなコラ!!怪我しても恨むなよ!!」
「ふん、貴様ごときに負けるものか!!掛かってこい!!」
「リフター!!移動開始!!上空40m!!それと共に主砲準備!!弾丸はゴム弾だ!!」
《了解》
ぐんっ、と周りの景色が移り変わり、体が風を感じる。リフターが移動し始めたのだ。
最高速度は出さない、それでも十分速い加速。
いったん桜咲から離れ上空に昇る。そこから、
「リフター!!目標桜咲!!急降下と共に強襲を仕掛ける!!弾丸セット!!」
《了解 弾丸装填 急降下開始》
下に落ちる様に突っ込みつつ、
「連射モード切り替え!!発射ぁ!!」
《切り替え完了 発射》
ドッドッドッドッドッドッドッドッドッドン!!
リフターの前面に備えられた主砲のライフルを撃つ!!
上空から強襲。これほど相手に恐怖を与えるやり方も無いだろう。
何と言っても上空から弾が雨の様に降り注ぐのだ。その圧力は想像するだに恐ろしい。
しかし、
「なるほど、なかなかの攻め。だがな!!」
その弾丸をまるで当たり前の様に躱し、地面を蹴ってこちらに飛び上がって来た。
「やはりたいした輩ではなかったな!!これで終わりだ!!」
このままでは終わり。確かにそうだ。
だがな。
「俺の相棒の性能。舐めてもらっては困る!!リフター!!緊急回避用ブースタ作動!!上に跳べ!!」
《了解》
主砲と同じ様に前面に取り付けられた小型の緊急回避用のブースタを使い上空へ向けてバックする!!
「なに!?」
「残念だったな!!主砲、モード切り換え、単射モード!!狙い打てリフター!!」
《了解 発射》
ドドン!!
二つの砲台が火を吹いた。
これは命中だ。そう、思ったのだが。
「っ!!」
なんと空中で体をひねり、これを避けた。
「っつ!?なんて野郎だ!!」
上空からの強襲なんてこれっきりチャンスは無いだろう。なら地上付近で真っ向勝負で決着を付けるしかないか?
「それしか無いな・・・・リフター!!高度を下げろ。8mだ」
《了解》
下へ、裏のバーニアを使いゆっくりと降りる。そして、先に地上に降りていた桜咲と向き合う。
「やるね。まさかこいつと対等に渡り合えるとは」
「貴様もな。その機械だけではない、その機転」
両者が睨み合う。そして
「リフター!!機体下部ガトリング砲準備!!」
「くらえっ!!」
俺が機体の武装を構え、桜咲が刀を構え突っ込んでくる。
先手は、流石に近距離に長けた桜崎に取られたか。
「発射!!」
《了解 発射》
ガロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロ!!!
遅れて、リフターの武装が火花を咲かせる。
大回転するガトリング。吐き出されているのはゴム弾だが。
桜咲は、その弾丸を横にそれながら躱しつつ、こちらに飛びかかるタイミングを伺っている。
よし、このまま牽制のガトリングで近づけなければ・・・・ってあ!!
(まずいな・・・・・・・このままじゃやられる)
実はこの状況、一見桜崎は周りを回るしか出来ない様に見えるが、そうでもない。
今回っている円の軌道を、渦巻きの軌道に変えれば少しずつ俺に接近して切り飛ばす事が出来る。
さらに、瞬発力に自信があるなら、一瞬立ち止まり、そこから斜め上に飛び上がれば一気に決着を付ける事も可能。
いずれにしても、この状態はまずい。
「だけど」
この状況を崩すと、相手に攻勢に回るチャンスを与えるかもしれないんだよな・・・・・・・
このガトリングを止めて上空へ飛翔しようとすれば、飛びかかられてジ・エンド。
だからといってこのままガトリングを連打し続けるのも愚策。
さて・・・・・・・どうする!?