デジモンテイマーズ〜another adventure〜 作:TRACK
『昨日発生した東京国際空港発、旅客機三機の同時墜落事故に関してニュースをお伝えします。奇跡的にも死者は確認されておりませんが、行方不明となっているのは、福岡市在住の秋山遼さん(14)と…尚現在なんらかの事件性がある模様として警察が調査を開始しております。』
カードゲームの大会が終わったその翌日、チャンピオンが大事故に巻き込まれるという驚天動地の自体が起こっていた。
「おい、遼ってやつの他に行方不明になってるのって…」
「ああ『初代デジモンクイーン』と、第一回大会の準優勝者だよな…」
この事件は『デジモン』に彼等が魅入られたのではないのか…子供達の間ではそう噂された。
そしてその推測は、あながち間違ってはいないのかもしれない。
ー何処か知らない土地の荒れ果てた荒野ー
「んんっ…僕…は」
ぼんやりと、ブラックアウトしていた視界が戻っていく。
「えっ!?」
遼は、跳ね起きた。
何故ならその復活した視界が捉えたのは見たこともない世界の光景だったから…
奇妙な岩が連なって、不気味な雄叫びが聞こえてくる。
ーここは、どこだ?ー
ー僕は飛行機の中に…ー
「まさか、ここって!?」
「天国じゃないわよ、残念だけどね。まして地獄でもないわ。」
声のした方向を振り向くと、一人の少女が立っていた。
年は遼より、一つか二つ上そんな大人びた印象だった。
「あ、貴女は!?」
そう遼は知っている、この少女のことを…圧倒的な強さで前回のデジモンカード大会に君臨した『初代デジモンクイーン』
ー神田恭子ー
「し、初代デジモンクイーンが何で…」
『デジモンクイーン』そう呼ばれた恭子の目が一気に険しくなった。
「その名で呼ばないで!!」
すごい剣幕だ…
「……ごめん、ちょっと嫌なのその名前、私のことは『恭子』でいいわ」
「は、はい!!」
「あっはっは、お前もいちいちうるせーなぁ恭子ぉ!」
「!?」
また声がして、ぱっとそちらの方を見る。そこには高校生くらいの少年がいた、そして遼はこの少年のことも知っている。
ー新田誠治ー
前回大会では恭子の次点に及んだものの、その実力は折り紙つき、はっきりいって遼の憧れのような存在だった。
「おっ!秋山遼だっけか?お前よくやったなぁ!!」
「えっ!?」
「いやいや、よくやったよ!デジモンは男のロマン!!デジモンクイーンなんて呼ばれて調子乗ってる誰かさんみたいに女子に負けてちゃいかんよなぁ!」
「…自分は私に負けたくせによく言うのね、負け犬誠治!」
「んだと!クソデジモンクイーン!!」
「もう一回言って見なさいよ!私はそう呼ばれるのが嫌だって言ってるでしょ!!」
前回大会の実力者による、口喧嘩が始まってしまい、遼は呆然とその光景を眺める。
「ちょ、喧嘩しないで下さい!恭子さん!!新田さん!!今は喧嘩してる場合じゃないでしょ!」
慌てて遼が仲裁に入る。
どうやらこの二人は仲があまりよろしくないらしい…前途多難だ。
「それで、遼君はここが何処なのか分かる?」
ようやく落ち着いたのか、恭子にそう聞かれるが、遼は飛行機の中にいて気を失った後のことをよく覚えていなかった。
「だーかーらーここは、デジタルワールドだって言ってんだろ?」
新田が口を挟むと、恭子がきっと睨む。
「あんたは黙ってて!!ここがデジタルワールド?なに馬鹿なこと言ってんの?」
「はぁぁ!?だって、お前も持ってんだろデジヴァイスを!俺たちはアレに呼ばれたんだよ、選ばれたんだって!!」
遼はそう言われて、デジヴァイスを手に握りしめたままなのに気付いた。
ーあの飛行機事故は、デジヴァイスは夢じゃない?ー
幾つもの疑問が胸を駆け巡る。
「あのー、お二人もやっぱり何か事故に巻き込まれて?」
「ええ、そうよ」
恭子はゲストとして大会へ参加した後仙台へ、誠治は札幌から静岡へそれぞれ帰る途中の飛行機の中で事故に巻き込まれていた。
そして、彼等の共通点はただ一つデジモンカードゲームの実力者であること。
恭子は頑なにデジモンの関連性を否定しているが、遼はどこか心の中で確信していた。
ーここは、デジタルワールドー
「ゲヘヘッ!!人間だぁ、人間がいるぞぉ!!」
そしてその確信は、やがて明確なものに変わる。
ー何故なら彼等の目の前にー
「なっ!?なんだこいつ!」
「デジ…モン?」
ーデジモンがいたからー
まだまだ未熟者ですが、頑張って連載していきたいと思います。TRACKです、ペースは基本的に一日一話1000〜2000の感じで進めます。