「それにしてもどこもかしこも狂ったなぁ」
荒廃した町を歩きながら少年が言う。結構余裕のある表情をしているのは安全だとわかっているからだろう。
《ま、それだけお前の精神が安定してねぇってことだけどよ》
「まあ、そうだよね。高校行ってからストレスたまりまくりだよ」
茶化すように笑う少年。
《つかさ、あんなの友人(笑)にしてるからじゃねーか?》
「アハハ、うんうん。確かにそうだ」
心底楽しそうにしているが目元だけは笑っていない。
《特にあのポニーテール》
「そうだね。なーんで僕に暴力振るってくんだろ?」
あー、と思いつつその少女の顔を思い出していた。
《現実でもそこまで言えりゃあいいのにな》
「だねぇ。僕は現実じゃあただの無力な学生さんですから」
ここでは少々辛辣だが普段は普通の少年らしい。
《俺が入れ替わればあんな奴ぶっ飛ばしてやんのに》
「ぶっ飛ばすと色々しがらみが酷いんだよ。ましてや今の僕の状況だとね」
《
「面倒でもそれが大切だよ」
《ヘイヘイ》
わかっているのかわかっていないのかよくわからないような感じで声は答えた。
「さてと、今日はここか、やっぱりというわけかな?」
目の前に聳え立った学校を見ながら少年は嘆息する。
《うわぁ、時事ネタ入れんでもいいんじゃないか?》
「今の僕を如実に表しているとだけ言っておくよ」
少年は少々頭をふってから中へと入っていった。
★
「わっはー……本気で勘弁してほしい」
《時事ネタどころじゃないぜこれは》
教室から黒い覆面を被った人々や忍者のような服装をした小柄な人影、赤い髪をふり乱した大柄な男(全身包帯が巻かれ、体には黒の布で申し訳程度の服が着せられていた)が飛び出し襲われた。
「ねえ、もうさ殲滅してもいいんじゃない? 別に殺したところで平気だろうし」
《相棒がそういうなら構わねぇが、普通に復活すんじゃね?》
「デスヨネー」
現実世界での彼らの生命力は半端じゃない。それは少年が一番よくわかっていることだった。
新たにピンク色の髪の少女らしき生き物とそれから黄色のリボンで髪をくくった少女のような全身包帯の巻かれた人物が手に一つずつ凶器を手に迫ってきた。
少年は逃げ出し一つの教室に逃げ込む。
「はぁ、はぁ、はぁ 疲れる」
ドアの様子を確認しながら壁にもたれる。
そこにドアを破壊しながら少女たちが次々と教室へと殴りこむ。
「! っ」
紙一重でかわす。すると背後にもう一人の少女が少年の背後に居た。
「あ、ちゃあ……」
完全に苦笑しながら武器による衝撃を覚悟していた少年だったが何も襲ってこない。ふと別方向を向けばナイフを持った水色と白のエプロンドレスの少女とピンクのタートルネックに赤いスカートの少女がそれぞれ持っていた包丁で敵を切りつけていた。
「吉井、大丈夫?」
「……怪我してない?」
「……うん、大丈夫だよ。北川さん、窓付き」
少年は満面の笑みで笑った。
ようやく名前公開、今回は悪夢ブレイカートリオです。
つまり、現在位置は悪夢です。誰の悪夢かは見ての通り、ストレス原因は言わずもがな。三巻の内容一歩手前頃をご想像ください。