短編集。   作:亜莉守

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第三話

とりあえず三人で廊下を歩く。

 

「吉井が見つかってよかったわ」

「……うん、それにしてもよっぽど学校が嫌いなんだね」

「それに関しては認めます」

 

その間にも色々と化け物に遭遇しているのであるがそれらは全てアリスと窓付きが薙ぎ払う。

 

「何処に向かう? ボスが居そうなところって何処?」

「…ババァ長の居るところ」

 

一瞬なんのことかわからなくなった。

 

「うーん、長って付くくらいだから 校長先生みたいな?」

「うん、妖怪だよ」

 

二人が固まった。明久の言葉がよっぽど意外だったのだろう。

 

「わかったわ。ウチの女王みたいなものね」

「彼女みたいな可愛げは全くないけどね」

 

明久は呆れたように答える。しかし、アリスにはその言葉がさらにおかしく思えた。

 

「そこは……違うんじゃない?」

「少なくても、彼女のような人権をそこそこ考えるような人間じゃないよ。あの妖怪は」

「リジーが人権を考えているっていうイメージを持てるあたり凄いわ」

「……ぶっとばしていい?」

 

とりあえず外道か何かかと考えにいたった窓付きが言う。

 

「いいんじゃない? ここは僕の夢だ」

 

普段は絶対にそんなことを言わない明久が本気で言っている。そう感じ取った二人は明久の覚悟をその言葉から感じ取った。

 

「……そう考えるようになった辺り明久、結構怒ってる?」

「もうね、流石に……」

「そういえばあなた、現実だと緊急入院してたわよ。全身打撲と慢性疲労骨折で」

「………高校、変えるべきかな」

 

もうやめちまえそんな学校。普通の学生生活を送っていてそんな状況になる方がおかしいぞ。

 

「正直お勧めするわ」

「……引きこもったら?」

 

それでいいと思うけど。むしろ引きこもった方がよっぽど安全じゃないか?

 

「窓付きみたいに?」

「……ごめんなさい。そんなつもりで言ったわけじゃない」

「あ、ごめん」

 

窓付きさん、三年ほど前までヒキニートやってました。二年間くらい。

 

                    ★

 

「さーて、やってきましたぜ。最終難関」

「……明久が壊れた」

「しょうがないわよ。この状況は……」

 

三人が通った後には死屍累々が転がっていた。再度現れたピンクと茶髪の二人組に加え、赤い毛並みの狼男や覆面集団に似た姿をしたゾンビなども居た。

 

「それにしてもあの男何者?」

「あー。ウチの生活指導教員、通称鉄人」

「……そのあだ名は言えていると思うよ」

 

筋骨隆々な男がそこに立っていた。しかし、その目はどこぞの狂戦士(バーサーカー)を思わせ、今にも襲い掛かってきそうだ。

 

「どうしよう。ババァを瞬殺する自信はあるけど鉄人はちょっと……」

「アタシにいい考えがあるわ」

「「?」」

 

アリスがどこから取り出したのか分からないケーキを口に含む、するとアリスの身長が信じられないほどに大きくなりだした。

 

「! 巨大化のケーキ」

「……こんなところで使わないでほしかった」

 

窓付きはそんなことをいいつつちゃっかり差した傘で瓦礫から身を防御している。

ポカンとなる鉄人、それをにやっと笑ったアリスが踏み潰した。

 

「うわぁ、躊躇なし」

「……このまま進むつもりかな」

 

地面にめり込んだ鉄人の横を通り、アリスが進む方向を不安そうに見る窓付き、急に校内放送が入ったかと思うと老女の声で罵倒が入った。

 

「うわぁ、ババァ長」

「……学校の先生がするような言動じゃないよ。これ」

 

それにキレたのかアリスがすごい勢いで校舎をぶっ壊しだした。見る見る間に校舎が崩れていく。

あらかた崩すと満足したのかアリスのサイズが戻った。

 

「ふぅ」

「お疲れ様、凄かったね」

「……学園長室どこか分からなくなったね」

「「あ」」

 

ものすごい勢いで崩れていく校舎、全校舎がぶっ壊れた。

 

「しょ、しょうがないわね! どの辺にあったの?」

「え、えーと。あの辺!」

 

アリスが話を(無理やり)切り替え、明久はあの辺にあったはずと、とある一点を指差す。

 

「い、行ってみましょう!」

「……そのババァ長さん、つぶれているといいね」

「うん、それはまぁ」

 

そうだったら願ったりかなったりだ。

 

                      ★

 

結果として、生きていやがった。いや、生きていることはいいことなんだけどね。

 

「ババァ長」

「おや、お前さんかい? なんて事やってくれるんさね」

「……この学校は狂ってますよ」

 

その結論は正しいかもしれないし……

 

「そんなことはないさ。お前さんが狂っているだけさね」

 

間違っているかもしれない。どちらが正しいのか、それは永遠の謎だろう。

 

「……それでも、僕はこの場所に縛られるのをやめます」

「……そうかい、じゃあ」

 

そこにぽつんと一人の人影が見えた。文月学園の制服を着た明久そっくりの、しかし所々違った風な少年だ。獣の耳が生えていたり尻尾がついていたり、木刀を持っていたりと少しだけ違う。

 

「こいつを置いて行くんだね」

「さぁて?」

 

明久の笑みが一気に変わった。どちらかというとフードを被った彼に似ている。

 

「どちらを選んでくれてもかまわないよ? 僕にはまだ余裕はあるけど」

「!」

 

制服の方の彼がその言葉でうれしそうな表情に変わる。そして、光を散らして消えた。

 

「これが僕の答えです」

「……よくやった」

 

ババァの姿が一瞬、茶髪の少女に変わると姿がかき消えた。ほっとした明久だったがそこに一陣の風が吹いた。思わず目を瞑り再び目を開ければ……

 

「……え?」

 

荒廃した町はすべて元通りに戻っていた。穏やかな町並み、美術館全てが夢のようだ。

 

「お疲れ様。吉井」

「……よかった。今度は現実で、またね」

 

アリスと窓付きは姿を消した。入れ替わるように、

 

「お疲れさん」

 

隣にはフードを被った少年が立つ。

 

「ありがとう」

「俺は何もしてないぜ?」

「それでもさ」

 

――― そして、僕たちの夢の世界(ワンダーランド)は傷を負っているけど記憶の中に無事残っている。今のところは………だけどね?

 

                     ★

 

「どうやら戻ってきたようだね。アリス」

「ええ、ただいま。かしら?」

 

                     ★

 

「先生、戻りました」

「お帰りなさい」

 

 

                     ★

 

 

彼らは無事に戻り、穏やかな世界活が戻った……とは言い難い展開になるけれどもそれでも今は訪れた平穏を享受(きょうじゅ)するべきだね。





これにて終幕、展開の一部が「アリスマッドネスリターンズ」と似通っております。

悪夢ブレイカートリオのある意味転向点。どこに転んだのかは作者も知りません。
とりあえず作者はもう少し原作キャラに優しくあるべきじゃない? と背後から囁かれた気がする。色々とごめんなさい。主に鉄人と玲さん

次はどんな話を書こうか………。
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