それから三十分ぐらいして、シンタローとテツヤ君とかがみ君が入ってきた。結構疲れてるみたいだなぁ。アヤノちゃんはさっきジュース買いに行ったし、これは怒られるかな。そんなことを考えているとつかつかとシンタローがこっちに来た。
「……アキ」
「あ、おはよー。結構余裕で来たね」
僕は普通に挨拶をする。するとシンタローは右手を振りかぶって。
「バカ」
「いたっ」
全力投球で叩かれた。まあ、そこまで痛くないけど。
「火神来てくれなかったら遅刻寸前だったんだぞ、オレら」
「そうですよ。明久君酷いです」
「! テ、テツヤ君 びっくりしたー」
背後からにゅっと手が伸びてきて驚く、どうやらテツヤ君が本気で気配を断って後ろに回りこんだらしい。怖かった。
「サイレンに関してはオレも謝る余地あるだろうけど、せめて起こしてくれよ。弁当だけきっちり作りやがって」
「ええ、正直自分の低血圧は分かっていましたから、起こそうという努力についてはしなくても大丈夫って言いました。でも、流石にメモくらい残してください。通学路に居なくてあせりましたよ」
「あはは、なんかごめんね?」
悪いことしたみたいだね。
「テツ、こいつに説教したところで意味ないぞ」
「ええ、二年ぶりとはいえ相変わらずですね」
「? あ、かがみ君は?」
一体僕は何をしたのかなと疑問に思いながらも、一つ気になったことを聞いてみた。はいってくるときには一緒に居たかがみ君の姿が見当たらない。
「ああ、火神君なら」
「あれ?」
テツヤ君が指さすほうを見てみれば、机に突っ伏したかがみ君の姿があった。
「僕背負って全力疾走してくれたんです。そういうことでバテる人じゃないんですけど、今日は時間間隔が合わなかったみたいで」
「そっか、ちょっと頼りにしたのはまずったか。こんどからしっかり二人のこと起こすね」
かがみ君に迷惑かけるわけにはいかないし。
「あ、ああ」
「はぁ、いつもどおりですね」
だから一体何がいつもどおりなんだろう?
「あ、シンタロー、テツ君、おはよう!」
自販機にジュースを買いに行っていたアヤノちゃんが戻ってきた。手には何故かおしるこーらが……あれを飲める人種が居たんだ。あんまりおいしくないのに。
「おはようございます。アヤノさん」
「はよ」
「こら、ちゃんと挨拶!」
「……おはよう」
「よろしい」
大体中学と同じような光景を目の当たりにして、テツヤ君と僕は顔を見合わせた。
「相変わらずですね」
「だねー。これで二人がくっつけば文句なしなんだけどなぁ」
説教は見事に横道に逸れたようでよかったと安心していたら、背後(テツヤ君はもう離れ済み)から肩に手を置かれた。驚いて振り向けばそこにいたのは雄二だった。
「明久」
「あ、雄二」
何か用事? と聞けば僕の周りを見渡してから僕の方を向いて。
「こいつら全員お前の知り合いか?」
「うん、元中の同級生。クラスも一緒だったんだ」
そういえば雄二にはアヤノちゃん以外紹介してないような。あれ? アヤノちゃんのことも紹介したっけ?
「中学? 何処に行ってたんだ?」
「え、帝光」
「……は?」
嘘ついてんじゃねーのという目で見られた。しつれいな!
「え、だから帝光だって」
「いや、マジで?」
雄二は今度は僕じゃなくってみんなの方を向いた。そこまで疑わしいのか僕の元中が
「ああ、マジだ」
「大体聞く人聞く人、そういう反応しますよね」
「個人的にはアヤノが入れたほうが奇跡なんだが」
「ちょっと! シンタロー、それないよ」
シンタローとアヤノちゃんのいつもの漫才は無視するとして、雄二は不思議そうに僕に聞いてきた。
「なんで帝光になんか行ったんだ?」
「バカとかいわれるのにはもう疲れた」
「……明久、大変だったんだな」
何か雄二に頭を撫でられた。
のほほんとしていると、何故か見覚えのある赤い頭が目にはいった。振り分け試験のときは見間違いだって考えてどうにかしてたけど、改めてみればやっぱりそうだった。しかも似た外見じゃなくって本人だよねー。
「!?」
「どうかしましたか、明久k……え?」
「お、あれ?」
「あれ?」
「ん? あの赤い髪のやつがどうかしたのか?」
よし、逃げよう。そう本能が言っていた。本能に従って僕は窓を開けて、飛び降りようとした。体を半分くらい乗り出したところで、腰の辺りに何かがまきついてきた。そのまま教室の中へと戻されそうになる。
「ちょっと落ち着け、アキ!?」
「そうですよ。落ち着いてください明久君!」
「なに飛び降りようとしてるのかな、アキヒサ! 落ちたら痛いよ?! 階段上から下まで落ちたって痛いんだから三階から落ちたらもっと痛いよ?!」
「それよりも先に死ぬだろうが。こら、明久飛び降りようとするな!」
そのまま僕は教室に引き戻された。
「ああああ、だ、だだだだだ、だって、あかあかああか」
もう完璧にろれつが回ってない気がするんだけど。
「割といってること支離滅裂ですよ?!」
「とりあえず落ち着け、あいつはただの赤司だろう?」
「アカ君がただのなのかは置いておいて、アキヒサ飛び降りようとしちゃ駄目!」
「そいつにどんなトラウマがあろうが飛び降りるとかバカやるのは止めろよ」
いやいやいや、まさかこんなところで再会するなんて思ってなかったよ?! うわぁぁぁ、顔あわせるのすら嫌だ。パニックになってると、そこにもう一つ知っている声がした。
「何やってるんだい明久?」
「?!」
思わずその声の主に飛びついてしまった。
「誰ですか?」
「えっと?」
シンタローとテツヤ君が困惑する声が聞こえる。そうだよね。
「お、園崎来てたのか」
「流石に新学期くらいには来るよ。ついでに言うなら明久と同じクラスになるように点数調節したし。それで、明久は何でまた急に三階から飛び降りようなんて無謀なことを?」
私に教えてごらんよと言われて、頭を撫でられる。それで少し落ち着いた。
「……赤司君」
「とりあえず分からんが何らかのトラウマかい?」
「……うん、いろいろ」
「そうかい。おや、どうかしたのか?」
僕をやんわりと引き剥がした。それからみんなの方に目線を向けた。僕もみんなの方に向き直る。
「あ、いやあんた誰?」
「ああ、自己紹介が遅れたね。私は
僕のバイト先の同僚で相棒でもある園崎深優、特徴はゆるいウェーブのはいったボブカットの黒髪に黒い二本のピンを交差させたヘアピンで右側の髪だけを耳が見えるようにしている。それから黒縁めがねと学ラン。性格は気まぐれかつ自信家、後は読書好き。いつも本を持ち歩いている。
「そうなんだ。ところでだけど深優さんって」
「ああ、女だよ」
アヤノちゃんはすぐに気が付いたらしい。まあ、やっぱりどう見ても女の子が男装しているようにしか見えないよね。
「や、やっぱり。でもなんで学ランなの?」
「んー、この学園の服装は性に合わなくってね。元の高校の制服を着ているんだ」
「そ、そうなんだ」
アヤノちゃんは自信たっぷりな深優に困惑しているようだ。やっぱりそうなるよね。あ、先生が来た。
全然進まないんだぜ。
赤司様と明久の因縁(明久が勝手に思い込んでるだけ)はまあ、内緒。
明久的には言いたいこと言い切ってから後悔しまくってるだけの話。
それからオリキャラ出さないとやってられない症候群ついに発症、深優さん登場だったり。深優さんは転生とかじゃないです。