短編集。   作:亜莉守

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※脈絡なんて不在のカゲロウデイズ導入編。
 特に続く予定はないよ。


※IF√ カゲロウデイズ

 

 とある八月十五日の話。

 

『今日は終戦記念日です』

 

 テレビのニュースをぼんやりと眺めながら、考える。そうだ、家出をしよう。

 思い立ったら吉日と言わんばかりにスーツケースに服を詰め、ゲームもいくつか放り込んで、日常品も入れて、町へと飛び出すことにした。部屋の荷物はバイト先に送ることにしよう。何時引き取りにいけるか分からないけど、とにかく今はこの場所を出て行くことが大切だ。

 荷物は思いのほか簡単に纏まった。そして、僕はエレベーターへと飛び乗る。

 

「あつ」

 

 外にでれば猛暑といわんばかりの暑さ、確認してみれば37℃道理で暑いわけだ。でも、それでも足を止めるわけにはいかない。スマホから軒並みの友人の番号とメールアドレスを消した。それから、最後に残った三つのアドレスを消そうとして、思いとどまった。そうだ。この際、馬鹿をやろう。

 

 

「……よし」

 

 電車を三つ乗り継いでとある町へとやって来た。ここはかつての友人が住んでいる町だ。赤色のマフラーをつけていたあの子に赤いジャージを着た彼、彼らは元気にしているだろうか? ふと気になった。スマホの中にあるマップでとある高校を探し当てる。確かこの高校に行ったはずだよね。

 

 

 

 それが運命の分かれ道だった。いや、多分まずは家出なんて敢行したことが分かれ道だったのかもしれない。陽炎が見せた淡い世界の入り口に僕は足をかけていた。

 

 

 

 

「ここだよね」

 

 制服も着ないで突っ立っている人間は実に奇妙に映るだろうけど、それを咎める人も居なかった。だって、夏休みだし。扉自体は開いている。なんて危機管理の薄い学校なのだろう。呆れていると、見覚えのある赤いマフラーを見たような気がした。

 

「あれ?」

 

 そのマフラーの端は吸い込まれるように校舎へと消えていった。それに釣られるようにして僕も校舎へと入る。そのマフラーの主はどんどん屋上の方へ上っていっていた。後へ続くように僕も歩く。一体こんなときに何をやっているんだろう?

 しばらく上り続けて、マフラーをたなびかせてあの子は屋上の入り口へと姿を消した。

 

「! まさか」

 

 嫌な予感が脳を駆け巡る。これはヤバイ、そう本能が告げている。入り口から飛び込めば、フェンスの向こう側に彼女はいた。

 

「―――!!」

 

 僕は彼女に手を伸ばす。僕の手は――――――

 

 

▼届いた。

 

 届かなかった。

 

 

 

 

 これは僕のロクでもない八月十五日の話。

 陽炎に包まれ、彩られた。

 

 目に焼き付けた後悔の話。

 

     もしくは

 

 目を誤魔化した居候の話。

 






今更ですがお詫び、微妙に世界軸が違います。
みんなが友人同士なのは変わらないけど、アヤノの『一人ぼっちの作戦』が行われたらというIF世界。ついでに言うなら明久の境遇が微妙に違ったり。

一応√紹介だけ

・手が届いた世界。
 別名『後悔の世界』(カゲロウ√)
 アヤノと一緒にケンジロウのカゲロウデイズ接触実験を阻止しようとするけど、阻止できず。コノハやエネについて後悔をする。それから一年間どうにかカゲロウデイズに接触しようと動き回ることに。そして、あの八月十五日にヒビヤとヒヨリの接触に偶然居合わせて………。

・手が届かなかった世界。
 別名『居候の世界』(メカクシ√)
 そのままアヤノを追って飛び降りて、カゲロウデイズに接触。「目を誤魔化す」能力を手に入れる。そして、カゲロウデイズの記憶を断片的に覚えながらシンタローの家に転がり込む。引きこもりになったシンタローと部屋に居候をしながら、自分という存在がいたという痕跡を全て消して回る明久、そして運命の八月十五日にテロ事件に偶然居合わせて………。

といった感じでした。
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