短編集。   作:亜莉守

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※「しゃばけ」と「ぽんぽこ もののけお江戸語り」とのクロス作品です。
※一言でいうなら現代パロディー要素入ってます。
※明久の家族構成が大幅に変化してますので注意。


『文月妖怪話?』
蛇に巻かれる話 壱


 

「ふぁぁ」

 

 朝、いつものように朝日で目が覚めた。カーテンが全開になっていれば当然だよね。窓の方を見ればちょうどカーテンを纏めている黒髪に艶やかな和服姿の美少女がこちらの視線に気が付いて、振り向いた。

 

「おはようございます。明久様」

「おはよー、ぽんぽこ」

 

 家族には内緒で一緒に住んでいる部屋の住人がカーテンを開けてくれたみたいだ。彼女の名前はぽんぽこ、名前からしておかしいけど人間じゃない。昔はとある有名な侍に仕えたっていう狸の妖怪だ。個人的にはぽんぽこが言っているだけな様な気がしてならないけど、大体狸の妖怪じゃなくって卵焼きの妖怪じゃないの? いつも卵焼き卵焼き言ってるし。

 そんな彼女が何でいるかというと僕の父さんの父方の爺さんに仕えていたから、父さんには霊感が一切ないみたいで、ぽんぽこのことは全く聞かされないで育ったそうだ。逆に僕は先祖がえりなのか霊感が強いので、僕に万が一があった時のために彼女が僕のところに来ること無理やりなった。拒否権なんてあるわけがない。

 

「今日もいいお天気でございます」

「そうだねー。今日も絶賛学校日和ですかぁ……」

 

 一応学生って身分だし学校行かなくちゃだよね。嫌だなぁ。何で嫌なんかはあとで

 

「とりあえず朝ごはんにしましょう。ぽんぽこは卵焼きが食べとうございます」

「そうだね。あ、勝手に出てきちゃダメだよ」

「はい、わかっておりますとも」

 

 とりあえずぽんぽこには絶対に外に出てこないように言い含めてから僕は朝ごはんを取りにキッチンへと向かった。

 突然だけど自己紹介、僕の家は大層な金持ちだ。多分国内でも有数なくらいには。それから僕には学年は一つ違うけど双子の兄がいる。理由は兄が優秀なのでスキップで卒業した……とかじゃなくって、僕が学園に入るときにうっかり一つ下の学年に入ったから。何だってあんなうっかりしたんだろうなぁ。それでもって、我が家の父さんも母さんも割と忙しい。一家団欒するかって言われたらちょっと首を傾げる。そんなわけでキッチンへとやってくれば見目麗しいイケメンが食事を並べていた。普通だったらイケメン爆発しろとか言いたくなるところだけど、この人は爆発されたら困るので言わないことにしてるんだよね。

 

仁兄(じんにい)おはよう」

「おや、明久 おはよう」

 

 仁兄は僕の兄である一兄(いちにい)の世話役の一人だ。一兄はひたすらに体が弱い、そのせいか両親は一兄にベタ甘、専属の世話係として仁兄ともうひとり佐助兄を付けてるんだ。僕はひたすら放って置かれてるけどその方がありがたいし気にしたことはないね。

 

「今日の朝ごはんもおいしそうだね。部屋で食べるから」

「わかった。そういえばだが、若旦那が心配してたぞ」

「あー……一兄には心配しないでって言っておいて」

 

 いつもの通りに部屋に朝ごはんを持って戻る。一兄には心配かけてるみたいだけどこうするしかないっていうか。なんていうか。

 

「ただいまー」

「おかえりなさいませ」

 

 部屋ではぽんぽこが待ってた。視線は手元のお盆に注がれている。相変わらず卵焼きが好きだよねこの子。

 

「よし、急いで食べないと」

 

 今日は学校だしね。それから机に座って、お盆から卵焼きの乗ったお皿をぽんぽこの前に出した。瞬く間に卵焼きが消えて行く。やっぱりこの子は卵焼きの妖怪じゃないかな。

 

「ごちそうさまでした」

「明久様、急いだ方がいいですよ」

「あ、ほんと!? いってきまーす」

「行ってらっしゃいませ」

 

                       ☆

 

 うん、学校に来たのはいいけどだるすぎる。この学園に入って二年、旧校舎の方に入ると体がとてもだるい感じがするんだ。

 

「……おはよ」

「はよー、今日も顔悪いな」

「……はぁ」

 

 一年の頃だったら雄二の軽口を言い返すだけの気力もあったんだけど、もう二年になって旧校舎の教室になってからはもう無理、体が重くてだるくてしょうがない。

 

「大丈夫か?」

「……雄二から心配の言葉が出るとか、奇跡だね」

「本当に顔色悪いぞ?!」

「……だいじょぶ」

 

 大丈夫だろうと、そうじゃなかろうと、とりあえず今日も一日頑張らないと。はぁ……

 

                       ☆

 

夕方、机に突っ伏してる明久を揺する。

 

「…………」

 

全く反応がない。

 

「へんじがない。ただのしかばねのようだ」

「……雄二、冗談言ってる場合じゃない」

 

隣からは同業の幼馴染の声がした。何時の間に教室に来てたんだ、というのは無しにしておこう。気が付いたらそこに居るのがこいつだし。

 

「分かってる。まさか気絶するとはな」

「……空気が悪すぎる」

「はぁ、とりあえずこいつをここから動かさないとな」

 

担ぎ上げてみれば明久はいとも簡単に持ち上がった。こいつ軽っ?!

 

「……どこに連れてく?」

「そりゃウチだろ」

 

それ以外に当てがあるかって話だろ。

 

「……それよりも効果的なのがある」

「ん? 何処だ」

「……吉井の家、吉井は隠してるみたいだけど、私の家と吉井の家は古い付き合いだから多分入れてくれる」

「そうか、それは初耳だな」

 

ってことは明久って金持ちのボンボンだったのか……まったくそんな感じしねぇ。むしろあれだろ、貧乏学生とかそっち。

 

「……吉井はほとんど表に出ないから」

「ふぅん、じゃあそうするか」

 

俺は明久を担ぎ、翔子は車を回すように手配をしつつ教室を出ていった。

 





そんなわけで妖怪ものパロ的な何かです。
完全なる個人の趣味で出来上がってます。

一応の人物紹介

吉井 明久
今回主人公、霊感持ち。別に払えるとかそんな特殊能力はない
ただ、祖父から教わった剣道が得意。他は特に特筆するとこなし
基本天然ボケ、そのくせ自分はちゃんとしてると思ってる

ぽんぽこ
今回ヒロイン? 狸の妖怪、本当は凄い、普段はかなりとぼけてる、てか天然
卵焼きが大好物、それから今の主人である明久も普通に好き
※ぽんぽこ もののけお江戸語りに登場

仁兄
明久の双子の兄「(はじめ)」の世話係
※しゃばけの仁吉

一兄
明久の双子の兄、本名(はじめ)。明久の身を案じてる。体がかなり弱い
※しゃばけの一太郎

佐助兄
明久の双子の兄「一」の世話係、今回は登場せず
※しゃばけの佐助

坂本 雄二
明久の同級生、何やら霊能力系の力があるらしい。翔子のと仲は実はいい

霧島 翔子
明久の同級生、雄二の幼馴染、同じく霊能力系の力があるらしい
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