ふむ、今日もいい天気だ。朝、日差しで目が覚めた。
僕は相変わらずぽんぽこにカーテンを開けてもらって、朝ごはんを食べて、学校に行く生活をしている。一つだけ変わったことといえば一兄と一緒に朝ごはんを食べるようになったことだと思う。後、一兄がちょっと過保護になったことかな。元々心配性だったけど、これは酷い。うん、まあ宿題をみてくれるようになったのはありがたいかな。
そんなこんなで学校に着いて、ちゃぶ台に突っ伏する。そういえば嫌な雰囲気減った気がするなぁ。
「はぁー」
「どうした、明久」
我が親友、坂本雄二が不安そうに話しかけてきた。そういえばあの騒動以来こいつも妙に優しくなったようなないような。
「いや、色々とありすぎて」
「色々?」
うん、色々だよ色々。本当になぁ。
「家庭内環境が大幅に変化したんだよね。主に兄が過保護になった」
「ほう」
調子に乗ってそのまま最近の出来事を言うことにしよう。
「それから家の中に大量の妖怪が居ることをようやく兄が認めた」
「ふむ」
それから二、三日前に気が付いたこと。
「それから、通学路になんか犬みたいなのがついてくるようになった」
「ちょっと待て」
あー、それから。
「後、妖怪の宴会に参加させられるようになってきた」
「だからちょっと待て」
本当に寝不足でしょうがなくなるよーとか言おうとしてたら、雄二がツッコミを入れた。一体なんでかな?
「へ?」
「その犬みたいなの相馬の狸が化けたものだよな」
真剣な表情で雄二が聞いてきた。何かあったかな。
「ううん、違うよ。雰囲気とか違うし」
「お前、危機感を持て」
何で危機感持たないといけないのかな?
「へ? 別に悪いものじゃないからいいじゃないか」
うん、問題ないよねー。僕がゆるい感じで言ったら雄二が真剣な顔で言ってきた。
「とりあえず転ぶなよ。それから送ってくれたら礼を言うこと」
「え、いつもお礼言ってるけど?」
一緒に来てくれるんだしありがとうって言うようにしてるけど。
「じゃあ、転んでも誤魔化すように」
「だから何?!」
何を言ってるのかもわからない。首をかしげる羽目になってきた。うーん、別に悪い子じゃないんだよ?
そんなわけで放課後、帰り道。相変わらず犬は付いてきている。チラッと見てみれば、犬の大きさはかなり大きい、大型犬みたい、いや大型犬よりも大きい?
「うーん、一体なんだろう?」
それにしても、犬とは別になんか視線感じるんだけどなんだろう?
「? 今なんか変な気配が」
後ろを振り返る。犬以外は何もいない。前に向き直ってみても何もいなかった。
「気のせいだよね」
ちょっと不安になる。何か変なのに憑かれてるとか……いやいやいや、昔からなんともなかったんだし大丈夫だよ。
「え?」
自分に無理やり言い聞かせて前に向き直れば、何か覆面っぽいヤバイのがいた。え、何? まさかFFF団とか?!
慌ててかわすけど、追随してきたのをかわすことが出来そうにない。やられると思ったけど覚悟していた衝撃は来なかった。
「……え、えと?!」
犬がその覆面に噛み付いていた。すると覆面は居なくなっていく。犬が尻尾を振って僕の方へやって来た。
「あ、ありがとう」
それを言えば犬が去っていく、その犬の顔を見てみれば。
「笑った?」
犬ってあんなに笑うこと出来たっけ?
その日起きたことを家に帰ってきてから佐助兄に教える。本当は仁兄の方がいいのかもしれないけど、下手に一兄に伝わるのは勘弁願いたい。
「それは『送り犬』だな」
「おくりいぬ?」
僕が自分の夕飯を用意していると手伝ってくれた佐助兄がさらりと答えてくれた。「送り犬」……全然知らないや。送り狼とかなら知ってるけど、あれって単なる例えだよね?
「まあ、別に悪いものじゃないさ。正しく付き合えば人を害することはないぞ」
「ならいっか、ありがとう、佐助兄」
僕は答えを知ることが出来たので出来上がった夕食を持って一兄の部屋に持っていく。最近作ってほしいって煩いんだよね。ま、食べてくれるのはうれしいけど。食事を持って上がる僕に佐助兄の呟きは聞こえなかった。
「……また厄介なものを引いたな」
夕食を食べてから部屋へと戻れば、ぽんぽこはお皿に乗った卵焼きを食べていた。
「明久様、お帰りなさいませ」
「ただいま、また卵焼き食べてるの?」
「はい。ここだと家鳴に卵焼き食べられませんから」
「そっかー」
そういえば、家鳴も卵焼き好きだもんね。妖怪って卵焼好きなのかな? 僕の様子を見たぽんぽこが真剣な表情でこっちをみた。
「……明久様、何かありました?」
「へ? んー、特にないよ」
「ならいいのですけど……」
一体何があったのかな?
その頃、夜も
「……消えなさい」
覆面の人物は断絶間のような悲鳴を上げてその姿を消した。そこにはマントのようなものが残っていた。
「ふぅ、まさかこの町に吸血鬼が入り込むなんて」
シスターは布を持ち上げる。そして、細部を観察してから驚きの声を上げた。
「犬の噛み痕?」
首を捻るシスター、それからガルムやフェンリル? などと呟いてからいやいやないでしょそれと呟く。そしてシスターはその布を何処からか取り出したライターで焼いた。
「はぁー、こんなことやってるなんて絶対みんな……特にアキには言えないなぁ」
シスターが頭に付けているベールを取ればそこから現れたのは赤茶色のポニーテールだった。
これといったことはなく犬に憑かれた話。
モデルは「送り犬」そこそこメジャー……だとうれしいなぁ。
それから設定一つ追加です。
ネタバレ注意!!
島田 美波
ドイツの帰国子女
実は悪しき物を祓うエクソシスト的な何か
この力はコンプレックス