色々なIF集   作:超人類DX

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意味不明展開開始


煽り過ぎにはご注意

 

 

 その男は暴風であった。

 

 その男の拳は大地を砕き、その脚は天を切り裂いた。

 

 

 世界が――否、神が寄越したとも思える『災害』の前に、ただ蹂躙をされる運命しかなかった筈の力を持たぬ人々の前に立ったその青年の振るう災害をも破壊する『超暴力』は……。

 

 

 

「久々にやる気出してみたが、こんなものか……」

 

 

 恐怖を抱きながらも、希望を感じてしまうほどに強大だったのだ。

 

 

 

 

 

 白崎香織と八重樫雫とユエは今とても不機嫌であった。

 

 

「あれだけの数の魔物の軍勢をハジメと旦那様の二人だけで本当に全滅させおった……」

 

「「「…………」」」

 

 

 何をどうやっても気の抜けきったハジメが。

 目の前で困っている人が居ても、お菓子食べながら見るだけで、間違いなく手を差し出したりなんてしないハジメが。

 自分達のアプローチに対して割りと嫌そうな顔をするだけのハジメが。

 

 

「まさに龍の帝王じゃのぅ……」

 

 

 

 自分達の真横で、10万以上に膨れ上がった魔物の軍勢を相手に、公園ではしゃぐ子供みたいなテンションで全滅して見せたハジメとハジメの腕に宿るドライグの姿を目をキラキラさせながら見ている竜人族の女性の声ひとつでそれまでの主義を訂正させたのだから、三人の心中は穏やかではない。

 

 

「なんというか、儘ならないね……」

 

「ええ……」

 

「ハジメにとって今よりも過去が大切なのが酷く悲しい……」

 

 

 魔物の軍勢を殲滅したハジメが、何やら走ってその場から逃げようとしている人影に向かって小石を弾丸のような速度で投げつけてヒットさせて気絶させている姿を見つめる香織、雫、ユエの三人に立ちはだかる壁はまだまだ大きい。

 

 

 

 

 

 

 ティオという竜人族の少女の声が、過去(イッセー)の頃の恩人の一人にそっくりだったのと、冗談半分でその恩人が言いそうな台詞を言わせた事で、思ってたより自分の中でのテンションが上がってしまったハジメは、そのテンションそのままにウルという町を襲おうとしていた魔物の軍勢を全滅させた後、恐らく様子を見ていたであろう黒幕らしき存在が逃げようとしていた所を気絶させて捕縛することに成功した。

 

 

「と、いう訳で一人だけ隠れてこっち見てた魔物じゃなさそうなのを捕まえたんだが、ティオコイツに見覚えとかあるか?」

 

「うむ、間違いないのじゃ。

確かに妾を操っていたのはこの男じゃ」

 

 

 ハジメのレーザービーム投石により、後頭部に巨大なたん瘤を作り、口から泡を吹いて気絶している年若い青年を見下ろしながら、ティオは頷いていると、それまでジトーっとした目をしていた香織と雫がハッとした顔をする。

 

 

「ちょ、ちょっと待って! この人清水君だよ!」

 

「?? 清水? 知り合いか?」

 

「知り合いも何も同じクラスの男子よ。

……覚えてないの?」

 

「いやー……元のクラスの面子で覚えてるのは檜山とかー……あー、ほら、キミ達と同じくらい人気者だった男子の……えーと、名前なんだっけ?」

 

「光輝の事?」

 

「そうそう、それそれ! それくらいしか印象が無くてよ」

 

「心底ウザいと思われるくらい普段からハジメ君に話しかけておいて良かったと思うわ」

 

「下手したら私と雫ちゃんの事も記憶してなかったかもしれないしね……」

 

 正直に言えば香織と雫もこの清水というクラスメートだった男子の事はあまり印象も関わりも薄い男子だが、流石にハジメのように最初(ハナッ)から覚えてすらない訳ではなく、心底元の世界の頃からしつこく絡んでおいて良かったとホッとする。

 

 

「彼が同じクラスの奴だったとはな……。

けど、その清水ってのがクラスメートだったとしたら何でこんな事をしてたんだ?」

 

「そう言えば記憶をシェイクする前に畑山先生達が言ってたわね、自分達以外の任務参加者が一人行方不明になっていると……」

 

「それが清水君なんだと思う。

状況から考えたらだけど」

 

「ほー? つまりこの清水ってのの記憶もシェイクした上で町の前に捨てておけば万事解決って訳か?」

 

 

 白目を剥いて気絶中の清水の頭を片手で掴み上げながら、物騒な事を言うハジメの態度から、やはり元クラスメート達への情はほぼゼロらしい。

 

 

「先生達にこの事を知られたくなければそれで良いとは思うけど……」

 

「私達に関する記憶をシェイクして消したとしても、起きたらまた魔物達を操って町を襲うかもしれないよ?」

 

「む……それは確かに」

 

 

 このまま清水の記憶から自分達に関する記憶をシェイクして消したとしても、同じことを繰り返す可能性が高いという香織と雫の指摘に、ハジメもどうしたものかと再び過去のハジメの姿――つまりイッセーの姿となって分離しているドライグに犬のように懐いているティオをチラチラ伺いながら考える。

 

 

「……。随分とティオに優しいんだねハジメ?」

 

「は? そうでもないと思うけど……」

 

「そうでもあるわよ」

 

「正直泣きそうなくらいティオさんに対する優遇っぷりが酷いと思うなぁ?」

 

 

 

 三人のあざといとすら思える膨れっ面に対してハジメはといえば特に無反応な態度を崩さず、取り敢えず掴みっぱなしだった清水をその場に放り捨てる。

 

 

「確かに、少しばかり懐かしい声でテンションが昔に戻ったのは否定しないけど、彼女と部長(リアス)は別人だ。

それくらいはバカな俺でも分かる――ただ、それでもやっぱりもう二度と聞くことなんて出来ないと思ってたからこそなんだよ」

 

「「「…………」」」

 

 

 声こそ似ているが、本人ではないのは分かっていると語るハジメ。

 

 

「どれだけ後悔しても、後の祭りであることもな……」

 

 

 嫌そうな顔をしている過去の自分の姿に模しているドライグの腕に絡み付くティオを見つめながらそう話したハジメの表情に、ハジメの過去(イッセー)を知る香織、雫、ユエの三人は、ハジメのその言葉とは裏腹に、やはりイッセーとしての過去に意識が向けられているのだと悔しく思うのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 過去に囚われているという指摘はハジメとしての元の世界に居た時から相棒であるドライグにされていたし、その自覚はしていた。

 

 確かにイッセーからハジメに生まれ変わった時点で過去は過去であるのは間違いないし、喚いた所でどうにもならない現実である。

 

 しかしどうしても忘れて生きるなんて事は出来ない。

 

 どうしようも無かった自分に生きる意味を教えてくれたリアスや、仲間として認めて受け入れてくれた人達が居たからこそ今がある。

 

 

「取り敢えず、先日南雲君達が私達にしたことに関しては後回しにしますし、南雲君達が町に押し寄せていた魔物達を撃退してくれた事は感謝します」

 

 

 自分が自分として生きる場所をくれた人達を忘れて生きるなんて出来ない。

 それが根が腐っても残るイッセーとしての想いである―――のはさておき、色々と話し合った結果、清水を放置するのは得策ではないという事で仕方なく町まで引っ張る事になったハジメ等は、自分達を見るなり記憶シェイクをされる寸前の出来事を思い出した畑山愛子等に清水の引き渡しと事情の説明を行う。

 

 

「詳しくは本人に聞いてみてください」

 

「私達も何で清水君が魔物を操って町を襲わせようとしていたのかまでは聞いてはいませんので」

 

 

 頭にデカいコブを携えて気絶している清水の意識が戻るまでの間、万が一のこともあるので愛子達と共にその場に待機することになったハジメ達は、顔を見られると記憶シェイクと効果がほぼ無意味になることを愛子達を見て理解しながら、今後の傾向と対策を考えていると、ぬぼーっとした顔で窓の外を見ていたハジメに一人の女子生徒が声をかける。

 

 

「あ、あの……」

 

「? なに?」

 

 愛子やクラスメート達からすれば間違いなく死んだと思っていたいじめられっ子が普通に生存していたばかりか、香織や雫、それと見知らぬ美少女二人と謎の青年と一緒に居るのだ。

 

 

「清水を見つけてここまで連れてきてくれて、しかも魔物達から町を守ってくれたんでしょう? だからその……」

 

 

 だからこそこのクラスメートの一人である園部優花は見た目だけならあんまり変わっていないハジメに話しかけてみるのだが……。

 

 

「あ、ありが――」

 

「助けた? 俺がキミ達をか? なにか勘違いしてるだろ、別に助けてないぞ」

 

「え……?」

 

 

 檜山達にいじめられ、誰に対しても気弱な態度だったハジメとは思えない淡白なその態度に園部優花はショックを受けた。

 

 

「だ、だって香織と雫が言うには南雲が一人で魔物達と戦ってたって……」

 

「あぁ、それはちょっと個人的にテンション上がる事があったからであって別にキミ達だとか町の人達の為じゃないよ。

だから別に感謝しなくて良いよ」

 

 

 そう言って再び窓の外へと視線を戻すハジメらしからぬ淡白な態度に園部のみならず、香織と雫と話していた愛子や他のクラスメート達も驚きの顔だ。

 

 

「お前本当に南雲か?」

 

「喋り方といい、まるで別人みたいだぞ……」

 

 

 元の世界のハジメしか知らないクラスメート達の訝しむような声に、ハジメはフッと一笑しつつ唐突に気弱そうな表情をしながら口を開く。

 

 

「そ、そんな事は無いよ! 僕はただあまり目立ちたくないだけで……あははは――――――――って、感じがキミ達的にはしっくり来るか?」

 

『!?』

 

 

 一瞬自分達が目にしていたハジメっぽい様子を見せたが、直ぐ様再び淡白な態度へと戻したことで園部達はギョッとする。

 

 

「な、南雲? アンタなにかあったの?」

 

「別になにも? キミ達が目にしてたであろう皮の俺を単にめんどくさくなったから辞めてみただけだ。

そこの二人からも『胡散臭いからやめて』って言われたしね」

 

 

 香織と雫を顎で指しながら今の自分が素であることを自白したハジメに園部達は色々な意味でのショックが大きかったらしく、暫く呆然としていた。

 

 

「そ、そう……なんだ。

ちょっとだけビックリしたけど、よくよく考えたら南雲は南雲だし……。

それと助けたつもりじゃないにせよ、それでもちゃんとお礼を言わせて欲し――」

 

 

 暫く妙な沈黙があったものの、気を取り直した園部がそれでもとハジメに対してお礼を口に出そうとするも、それまで園部に一瞥もしなかったハジメが初めて彼女へと視線を向けながら、被せるように口を開く。

 

 

「そんな金にもならん礼なんて要らないな。

本気でキミ達の為だなんて思ってすらないし、そもそもの話だけど、俺はキミ達が誰だったかも正味知らなくてね」

 

「………は?」

 

「な、南雲君、今なんと……?」

 

 

 先程香織達に話していた通り、ほぼ全員のクラスメートの顔と名前を記憶すらしていないハジメのその言葉に、特に園部はショックを受け、聞き捨てならないとばかりに愛子も反応した。

 

 

「わ、私達の事を知らないってどういう……」

 

「言葉通りの意味だよ。

いやー、香織と雫以外は檜山とか天之河は覚えてたんだけど、他のに関しては元の世界の時から全然覚えてなくてさー? てなわけでキミは誰だ?」

 

 

 無意味に爽やかに笑いながら、普通に酷い台詞を吐くハジメに絶句する愛子達と、割りと本気で傷ついた顔をする園部。

 

 

「南雲をいじめてた檜山の事は知ってるのに……」

 

「いやー、ああも絡んで来られると嫌でも覚えるべ? 天之河ってのに関してはクラスで人気者だったし?」

 

「…………」

 

 

 ヘラヘラと笑いまでするハジメに香織と雫は心底『嫌でも覚えて貰うまで絡みまくっておいて良かったと』思う。

 

 

 

「それに、キミ達もすぐに『俺達の事は死んだ人間としてしか覚えてない事になる』ぜ?」

 

 

 何故なら今から再び彼等の記憶をシェイクし、今度はもう二度と思い出すこともなくなるのだから。

 

 その証拠に間合いに居た園部の頭をガッシリと掴んだハジメの表情は、南雲ハジメの皮しかみていなかった者達にとってはギョッとしてしまう程に『嗤って』いるのだから。

 

 

 

「な、南雲……! な、なにを……!?」

 

「何って――ナニだよ」

 

 

 その言葉をタイミングに香織と雫の二人も素早く愛子の頭を掴んで思いきり揺さぶり、脳みそをシェイクさせて気絶させる。

 

 

「ごめんなさいね。

アナタ達は覚えてないでしょうけど、私達が生きている事を知り合いに知られる訳にはいかないのよ」

 

「だから皆の記憶をちょっとだけ消す」

 

 

 

 呆気なく愛子の意識を刈り取った香織と雫に他のクラスメート達も動揺が隠せない。

 

 

「そ、そんな……なにか理由があるんだったら、誰にも言わないって誓う! だから――」

 

「別に誓わなくて良いよ……シェイクして消せば喋りようもないし」

 

「な、なんでよ! どうして……!」

 

 

 ほんのちょっとだけ、オルクスの迷宮で目にした時から……そしてこの再会の時から芽生えた感情もろとも消すと宣うハジメ達に園部は自身の頭を掴んで放さないハジメの手を掴みながらもがく。

 

 

「ちょっとだけ、今の南雲は冷たいけど、ほんのちょっとだけカッコいいかもって思ってたのに……!」

 

「は?」

 

「「「………あ?」」」

 

 

 

 消させてなるものかと、ついの勢いで色々とぶっちゃけてしまっている自覚がない園部の言葉に、その頭を掴んでいたハジメの手が若干緩み、耳にしていた香織、雫、ユエの三人から不穏なオーラが放たれる。

 

 

「それなのに忘れさせられるなんて嫌!」

「………」

 

「だ、だから南雲……! 私から南雲の記憶を消すのは止め――」

 

「あ、ごめん。

あんまおっぱい足りてない子の言うことは基本ガン無視するんで」

 

「おっ!? ふ、普通にあるわよ!? 触って確かめれば良いでしょう!?」

 

「いやー……見るだけでわかるぞ。

あの四人と比べるまでもねぇわ」

 

「ふ、ふざけんな! そんな理由で勝手に人の記憶消させるとか最低よ! 鬼! 鬼畜!! 南雲!!!」

 

 

 既に他の面々は香織達によってシェイクされて気絶している中、ハジメのあんまりな言葉にキレ散らかす園部。

 

 

「「「ふっ……」」」

 

「うがー!! そこの三人! なに勝ち誇ってるのよ!?」

 

「む、ハジメは女の胸が好きか。

しかし妾の胸はもう旦那様専用じゃぞ」

 

「要らん。

おい、要らんと言ったよな? 一々押し付けて―――ぐもももも!?」

 

「そこの二人もこんな状況でイチャつくなぁ!!!」 

 

 

 バチキレる園部は、怒りそのままに自分の頭を掴むハジメに向かってボカボカと手足を出して攻撃するが、効果はほぼない。

 

 

「消せるものなら消してみなさい。

意地でもアンタの事は覚えてやるわ南雲……! そしてどこに行こうと必ず見つけて、その程度の胸じゃないことを証明してやるわ……!!」

 

「別にまな板だなんて言ってないし。

心配すんな、昔のまな板後輩とひんぬー先輩よりはあるとは思うぜ?」

 

「うっさい! さっさとやりなさい! 死んでもアンタの事は忘れてやらないから!」

 

 

 捨て台詞のようにそう言ってのけた園部のリクエスト通り、割りと本気でシェイクしてやったハジメは、その瞬間清水と同じように白目を剥いて泡を吹きながら意識を手放す園部優花を、適当にソファーの上に投げ捨てるのであった。

 

 

「さて、さっさとずらかるか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「な、なぐ……も……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『まな板って未だに言われるのは心外だと思わない白音さん?』

『ええ、腹が立ったのでイッセー先輩を困らせてあげましょう……。

この園部さんを後継者にしたら先輩は間違いなく負け顔になりますしね』

 

 

 

 煽りが過ぎて過去の人達の誰かさん約二名が怒っちゃったことに気づかず。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、あれ? 私はどうしてここで寝て……あ、そうだ! 清水君は!」

 

「取り敢えず清水をなんとかしないと……って、どうしたの優花?」

 

「………な、なんでもないわ。

ええ……本当に」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こ、この借りは絶対に返してやるわ南雲……! 私は忘れてなんてないわ!

そもそも私はソーナ・シトリーや白音ってのよりあるわよ……!」

 

 

 

終わり




補足

簡易人物紹介

園部優花

この世界線ではただの可哀想なモブの一人――だったのだが、二度目の記憶シェイクの際にハジメが変に煽り散らしたせいでとあるひんぬー同盟が化けて出て彼女を後継者として選んだせいでおかしな事になった。

これによりハジメが何者であるかと、ソーたんの魔力と白音たんの仙術の力が宿る事になる。

そして記憶シェイクが通用しなくなり、ばっちり覚えてしまっている。
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