色々なIF集   作:超人類DX

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続き。
なんか気づいたらラフボス系キャラがチーム組んじまってた


ラスボスチームの結成話

 

 

 

 その男はたったひとつの悪魔による『ミス』が原因で壊れてしまった。  

 

 その男の帰来の『優しさ』は消え失せ、残ったのは憎悪と怒りだけであった。

 

 

 

『さぁ、次はお前等の番だ……』

 

 

 

 その怒りと憎悪は尽きる事は無く、宇宙が限り無く膨張し続けているかのように膨れ上がり続けた。

 

 

『畜生共ォ!!』

 

 

 

 人でありながら『人でなし』と成り果てた青年は最早世界における癌そのものと化した。

 

 

『おやおやおやおやぁ? 誰かと思えば戦闘バカのヴァーリに金魚の糞のようにひっついてたクソ猫その2じゃあないか? くくくくくくく! 困った困った、畜生が視界に入ってしまった以上、駆除しなければなァ!!』

 

 

 

 その怒りと憎悪の赴くままに、非人間族を無差別に殺し回る壊れし赤龍帝。

 

 

 

『おっと、悪食バカ猫と戦闘バカもご登場かい。

良いぜ良いぜ? そろそろお前等とのうざい腐れ縁もおわりにしてやりたかったからなぁ?

今から全力で! 二度と俺の前にそのムカつく畜生面ァ見せられないように粉々にぶち殺してやる!!』

 

 

 人々はそんな壊れし赤龍帝を神のように崇めたのだが、非人間族達にしてみればまさに赤き狂龍。

 

 

 

 

 

 

 

 本来なら殺し合う敵同士であった筈が、赤龍帝という共通の敵の存在が皮肉にも『同盟』を結ぶ結果となってしまった南雲ハジメ一行と、フリード・バグアーこと魔人族一派。

 

 

 

「まさかオルクスの迷宮でカトレアと一戦交えた者達と同盟を結ぶとはな……」

 

 

 取り敢えずとっととグリューエンの迷宮から神代魔法の基的なものを回収してから脱出をしたハジメ達とフリードと黒歌は、一息付けそうな場所まで移動をしてからヴァーリを呼び出す。

 

 

「なんだよ、あの時はこうなるとは思ってなかったんだ。

恨まれる謂れはねぇぞ」

 

「別に恨んではないさ。

カトレアが追い込まれたのは彼女自身の修行不足に過ぎないからな。

そうだろうカトレア?」

 

「そうだね……。

あの時は単純に坊や達よりアタシが弱かったってだけの事だし」

 

 

 

 呼び出したのはヴァーリだけの筈が、何故か当然のようについてきていたカトレアも、フリードからの説明に最初こそ驚いたが、ハジメ自身が半端無く赤龍帝に対して恨みを持っている事はオルクスの迷宮でのやり取りで解っていたので、特に蟠りの様子もない。

 

 

 

「それでだ南雲ハジメ君。

キミは赤龍帝――つまり兵藤一誠に対して相当な恨みを持っているのは最初見た時から感じては居た」

 

「ああ……あの野郎だけは必ず超えて殺す」

 

「……」

 

 

 憎悪に滾った隻眼をギラつかせながら言うハジメに、黒歌、フリード、カトレア、ヴァーリの四人は『あの男は一体この彼に対して何をやらかしたのだろうか……』と思う。

 

 

「後ろの彼女達はともかく、キミは少々歪ながらも歴とした人間だ。

兵藤一誠は非人間族に対しては無差別に攻撃する男ではあるが、人間族に対してはそこまで攻撃性を見せない筈なのだが……」

 

「現にあの鬼畜男によって何人かの人間の女が能力持ち(スキルホルダー)らしいじゃない。

一体何をされたのよ?」

 

 

 ハジメの語り口の全てがイッセーへの憎悪と嫌悪に染まりきっているからこそ、その理由を訊ねてみる。

 

 

「元の世界の頃からそうだったが、奴はとにかく他人を『見下して』いた傾向があった。

それがこの世界に召喚されてからは如実に顕れて、ユエやシアといった他種族の奴等を嗤いながら傷つけたんだ」

 

「つまり、キミの仲間が傷つけられたから敵だと?」

 

「ああ、それ以外にもあのクサレ野郎を殺してやりたい理由はあるがな」

 

 

 吐き捨てるように嫌悪の理由を語るハジメだが、その奥底に秘めるイッセーへのコンプレックスについては語らなかったのもあり、ヴァーリ達はなるほどと納得と理解をする。

 

 

「相変わらず会話が成立しそうにもなさそうな奴ね……。

まー程度で言えば白音もそうなんだけどさ」

 

「じゃあもしあの時、坊や達が居なかったらアタシ達が赤龍帝に襲われてたのかい?」

 

「嬉々としながら襲いかかって来てたでしょうよ」

 

 

 

 

 オルクスの迷宮ではハジメ達が代わりに八つ裂きにされていたことを思い返しながら顔を青くするカトレアの横で、黒歌が過去を思い返しながら忌々しげに呟く。

 

 

「しかし黒歌の妹は何故奴のもとへと行かない?」

 

「今の状態で先輩の前に出た所で、瞬く間に殺されて終わりになる可能性が高いですから。

どうせなら死んでいた間のブランクを完全に無くした方が良いと判断したのと、この世界についてはまだ知りませんし」

 

 

 白音の言う先輩の正体がよりにもよってあのイッセーであったのだというショッキングな事実を知ったばかりのハジメからすればホッとする言葉だ。

 

 

「ブランクを無くしても小猫があんなクサレ野郎の所に行くのは嫌だぞオレは……」

 

 

 それでも時が来ればイッセーに会いに行くと宣言する白音に本音がつい爆発してしまうハジメに対して、それぞれ隣に居たユエとシアが膨れっ面になりながら肩パン攻撃をしている訳で……。

 

 

「ハジメの言葉はスルーして構わない。

それよりアナタ達に質問がある」

 

 

 バシバシとハジメの肩を叩きながらユエが知らん顔をしている白音を含め、ヴァーリと黒歌に質問をする。

 

 

「私はハジメが生きていた世界についてハジメから聞いている。

そして話を聞いている限り、アナタ達三人も別の世界から召喚されたように聞こえる。

でもそれだとおかしい……ハジメから聞いていた話ではアナタ達やあの男のような力を持つ者は居ない筈。

ましてやアナタ達は人間ではない」

 

 

 ハジメから聞かされていたハジメの世界には白音や黒歌のようや種族は存在せず、赤龍帝だの白龍皇だのといった力や魔法すら空想の存在なのに、この三人やイッセーは明らかに――寧ろこちら側に近い存在だ。

 

 

「そうだな。

信じる信じないはキミ達に委ねるが、一応話しておくか……」

 

 

 一体お前達は何者なのかというユエの問いに既に彼等を知るフリードを含めて白音、黒歌、ヴァーリ達は一度無言でうなずき合ってからハジメ達に『自分達がどこから来たのか』を説明するのであった。

 

 

「そ、そんな世界があったなんて……」

 

「しかも滅びたって……」

 

「じゃあ兵藤は元々オレが居た世界とは更に別の世界の存在だったのかよ……」

 

 

 

 そのあまりにも荒唐無稽過ぎた話にユエ、シア、ハジメは言葉を失う中、ヴァーリがイッセーについて語る。

 

 

「恐らく奴だけは何かの理由で南雲君の居た世界で生まれ変わったのだろう。

オレ達の世界で最後まで生き残ったのは奴だけだからな」

 

「あくまでも予測だけどね」

 

「もっとも、私達にとってのイッセー先輩――ではないイッセー先輩の可能性もありますけどね。

何せ、私の知る先輩なら虫けら以下にもならない人間の雌なんぞ近寄らせなんてしませんから」

 

 

 恵里達を虫けら呼ばわりしながら、イッセーではないイッセーの可能性も言及しておく白音。

 

 

「アンタ等が知る兵藤一誠はどんな奴だったんだよ?」

 

「あまり違いは無い。

だからオレは奴は本物だと思っているが……」

 

「微妙に違いますよ。

先輩だったらわざわざ使えない連中を近くになんて置きませんから。

生まれた時から一緒であった赤い龍以外の誰も信用せず、誰に対しても構わず噛み付く狂犬っぽさが足りないんですよ」

 

「あの白音?

私も確かにあの鬼畜男に対する印象はそんなものだけど、そもそもリアス・グレモリー達があの鬼畜男のタガを壊したって聞いたんだけど?」

 

「確かに元部長が無理矢理眷属にしてしまう前までの先輩はバカ騒ぎする男子高校生そのものって感じではありましたが……」

 

「「「………」」」

 

「それって元を辿ればその悪魔の元主達のせいなんじゃないのかい?」

 

「うむ、話を聞いてしまうとそう思えてならないな」

 

 

 元々はまともな精神だったのに、その力を欲したがあまり無理矢理使役させてしまったが故に精神を破綻させたという白音によるイッセーについての過去を聞いてしまったカトレアとフリードがぼそりと呟けば、ユエとシアもうなずいてしまう。

 

 

「身の丈に合わん者が、力に目がくらんで無理矢理下僕にさせる為に言葉にするのも嫌になるような真似をされたと、憎悪と嫌悪しかない形相で言っていたのを思い出した」

 

 

 

 つまり、白音を含めた悪魔という種族のせいじゃねーかと。

 

 

「失礼な。

確かに元部長達は先輩の無神臓のスキルを取り込みたいが為に無理矢理眷属にしようとしてました。

けど私は違いますよ。仮に先輩がそこら辺のチワワに負けるくらい弱かったとしても好きでしたし」

 

『…………』

 

 

 当然だとばかりに宣う白音に、フリードですら軽く引く。

 

 

「ですが、先輩に寄生したいが為にあのビッチ共――失礼、元部長や副部長は眷属にしたことで力を弱めた先輩に対して強引に関係を持ったりしましてね。

……お陰で正攻法で行こうとした私まで嫌われて大変でしたよあの時は」

 

『……』

 

 

 他種族なら嗤いながら平然と殺しに来るあの男の、本人にとっては記憶から永久に消し去りたい過去を語る白音にほんのちょっとだけユエとシアも同情とは違うものを感じる。

 

 

「それが私たちを畜生共と呼ぶ理由なんですね……」

 

 

 しかしそんな中、ハジメだけは寧ろ当時の話を聞いた事で気になった事を白音に訊ねる。

 

 

「そ、その時の小猫はどうしたんだよ?」

 

 

 女悪魔に無理矢理――なんて話よりも当時の白音はどうしてたのかの方が気になって仕方ないハジメがおっかなびっくりな様子で聞くと、白音はフッ……と笑みを溢しながら口を開く。

 

 

「汚される度に私が綺麗にしてましたよ? なんであんな先輩に寄生するしか能が無いカス共がヤってるのに、私が我慢しないとならないんですか? 当然奴等にされた事をきちんと『上書き』したに決まってるじゃないですか?」

 

 

 と、その見た目にそぐわない艶かしい表情を浮かべて語る白音にヴァーリやフリードは『お前が絶対に原因で奴はタガが壊れたんだろう』と内心突っ込み、ユエとシアとカトレアは『あわわわわ』と生々しい話に顔を赤くし、黒歌は妹の経験話に複雑極まりない顔となり……。

 

 

「や、やはり奴とは相容れないようだなァ……!

そ、そんな羨まし――じゃなくてけしからん事を……!」

 

 

 

 ハジメだけはただただイッセーへのコンプレックスと嫉妬を増幅させるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 然り気無く世界の行く末が危険が危ない状況に傾きつつある―――という事実を世界自体が知るよしも無いその頃、ド鬼畜赤龍帝ことイッセーは、クラスメート達の修行の面倒を引き続き見ていた。

 

 

「…………」

 

「これで8回目ね。

ベヒモスに光輝達が殺されてから」

 

 

 良いようにイッセーに使われている事への怒りなのか、狂暴性が増しているベヒモスに蹴散らされていくクラスメート達を眺めているイッセーの横に立って静観している雫。

 何かが違えば今頃自分も彼等と同じ立場になっていた未来があったのかもしれないと、狂暴性を増したベヒモスの爪に切り裂かれているクラスメートの女子達を見て思いつつちらりとイッセーを見る。

 

 

「………」

 

(本当に人間を相手にする時のみ気が長いわね……。

いえ、逆に非人間に対して気が短すぎるというべきかしら)

 

 

 非人間に対してならばありえないであろうイッセーの気の長さに、それだけ非人間に対する攻撃性が強すぎる事を改めて知る雫だが、実のところ何故イッセーがそこまで非人間種族に対してやり過ぎな程の狂暴性を剥き出しにするのかはまではイマイチ解ってはいない。

 

 女であろうが幼い子供であろうが、非人間種族の場合は無差別に殺した場面を見たのは一度や二度ではない。

 無いからこそ改めて雫は気になるのである。

 

 

「ちっ、あのナグモって奴の元々の潜在能力が単にそれなりにあったからなのか? どう考えてもアレと比べると彼等の成長速度が遅すぎる」

 

「確かに、アナタがここまで付きっきりで面倒を見ているのにも拘わらず、光輝達の成長する速度はかなり遅いわね」

 

「……。やっぱりドライグが言っていた通り、あの白髪小僧と彼等の間を埋めるにはなにかが足りないのかもしれないか……。

おい、お前は何か聞いてたりしてないのか? もしくは何か思い当たる節とか」

 

「さあ……。

元の世界の頃はよく香織に付き合う形で南雲君の趣味嗜好を調べてたり体験してたりはしてたけど、この世界に来てからは全く関わりなんて無くなっちゃったから……」

 

「趣味嗜好?」

 

「ええ、元の世界に居た時の南雲君は所謂オタクってタイプだったわ。

近づきたい香織と一緒によくその手のライトノベルなんかを読んだわ」

 

「…………。あまり関係は無さそうな話だなそれは」

 

 

 

 疲労で膝を付く光輝を庇う形で檜山の右腕が宙を舞うという血生臭い光景を前にしても平然と関係の無い話を出来てしまう辺り、雫も雫で大分『染まって』しまっている感は否めない。

 

 

「恵里と谷口にも聞いて――いや、二人とも全くもってあの小僧に関心が無かったな……」

 

「皮肉ね。

ここに来て初めてアナタが南雲君に関心を示すなんて……」

 

「意味わからんくらい俺を殺したがってるともなればな……。

もっとも、あの小僧が連れてた畜生共を何度も目の前でバラバラにしまくったんだから、殺してやりてぇと思われても仕方ないだろうがな」

 

 

 仲間だと言ってたユエ達を目の前で何度も惨殺し続けた事への恨みと考えれば妥当だと、これまた意外な事を言うイッセーに雫も目が丸くなる。

 

 

「一応アナタなりに理由を考察していなのね……」

 

「まぁな。

といっても、罪悪感なんぞ欠片もないがな」

 

「……。逆に私はアナタがそこまで非人間に対して異常なまでに攻撃的な理由が気になるところだけど……」

 

「理由なんぞない。

強いて言うなら人間様より勝ってると思い込んでる畜生を面白半分に殺す時の絶望面を見るのが楽しくて仕方ないだけだ」

 

「…………」

 

 

 そうニタニタと嗤いながら話すイッセーだが、雫はなんとなくそれは建前だという気がした。

 確かに非人間種族を殺すとなると嗤いながら惨殺するが、それは彼なりの理由があっての事であって、普段から目に入った非人間種族を殺したりはしない―――ということはこの世界での生活である程度理解しているのだ。

 

 もっと何か別の――決定的な理由が過去にあったからなのではないかと……。

 

 

 

「時間切れだ。

これで9回目だな」

 

「光輝や龍太郎――それから意外にも檜山君と園部さんは負傷こそすれど命を落とす事はしなくなったわね」

 

「それでも足りないがな」

 

 

 暴れるベヒモスに向かって赤い光弾を放ち、一撃で粉砕して見せながら全滅しかけていたクラスメートチーム達のもとへと歩き出すイッセー。

 

 

「八重樫は負傷した子達を集めろ」

 

「ええ」

 

 

 そんなイッセーの後を追う雫には最早イッセーへの恐怖感は無かった。

 

 

 

 

 6回目となるベヒモスとの戦闘から負傷こそすれど生き残る様になった天之河光輝は、9回目となる今回の戦闘による負傷を谷口鈴の――曰く『この世界基準のスキルとは無関係のスキル』によって『回復』を済ませると、『今日はここまでにするから、さっさと地上に戻ってとっとと寝るんだね』と言って去ろうとするイッセーを呼び止める。

 

 

「待ってくれ兵藤。

この程度の事が礼になるだなんて思ってはいないが、夕食を奢らせてくれないか?」

 

 

 今までは死ぬか手足がもげる程の重症を負っていたせいでそれどころではなかったが、どうであれ自分達の修行の面倒を見てくれる以上は、出来る限りのケジメは付けたいと考えていた光輝の申し出にイッセーは『タダで食えるんなら……』と意外にも乗ってくれた。

 

 こうして初めて光輝達はイッセー達と食を共にする機会を得た。

 

 

「兵藤達の事はメルド団長が上手いこと言って誤魔化してくれているようだ」

 

「ふーん」

 

 

 地上へと戻り、光輝達の案内で入った食事屋では南雲ハジメと社会科教師の畑山愛子――そしてどさくさ紛れに離脱した白崎香織以外の面々が集結し、全員が意外にも静かに料理を食べているイッセー達に注目している。

 

 

「光輝は香織の事は心配してないの?」

 

 

 そんな空気の中、もそもそと食べていたイッセーの傍で食べていた雫の質問に、光輝は複雑そうな顔をする。

 

 

「心配さ。

香織だけじゃなくて、南雲の事も畑山先生の事も……」

 

 

 以前までの光輝なら香織に関しては暴走しがちであったが、あの一件から今の自分の弱さを自覚したせいか、冷静な返しだった。

 

 

「だが香織は南雲の傍に居る事を選んだのなら、止める訳にもいかないだろう?」

 

「止めた処で聞かなかったでしょうしね」

 

「心配ではあるが、生きている事を願うしかないだろう。

それが香織の幸せという奴なのならばな」

 

 

 どこか…―それでいて何かが吹っ切れたような、無駄に爽やかに笑みを溢す光輝と、そんな光輝に同意するように頷く檜山達。

 

 

「だからオレはもっと強くならなければならない。

皆とは勿論、香織や南雲達と共に元の世界へ帰る為に……」

 

 

 それが過去の自分に対するケジメと、未来へと進む為への覚悟だと語る光輝達に雫は無言で食べているイッセーを見る。

 

 

(私がそうであったように、光輝達の持つ甘い認識をイッセー君が変えた? ……本人にまったく自覚は無いのでしょうけど、不思議な人ねアナタは……)

 

 

 良くも悪くもイッセーと深く拘わるとその精神を変化させるのかと、園部達女子がイッセーに対して遠慮がちに話し掛けようとする度に、恵里と鈴がメンチを切っている―――という状況のど真ん中なのに平然と知らん顔で食べているイッセーに雫は『もっとも染められた者』として笑みを溢すのであった。

 

 

「お、おう時に兵藤よ?」

 

「ん、なんだ?」

 

「その、さっきから中村と谷口が園部達にむっちゃメンチ切ってるんだが……」

 

「は? ………なにしてんのお前ら?」

 

「懸念していた事がそっくりそのままぶち当たってきたから」

 

「色々と潰して置こうと思ってさ」

 

「? なにを?」

 

 

おわり

 

 

 

 オマケ……龍×竜(D×D)

 

 

 イッセー達に対するクラスメート達の認識が少しずつ変わり始めている頃、神に見放された竜一族の娘の面倒を引き続き見ている赤い龍は、光輝達とは真逆に日増しに教えを吸収していっている竜娘への認識をほんの少しだけ改めていた。

 

 

「下級とはいえ、腐っても竜族とでも言うべきか」

 

「おふぅ……♪

普段は言葉責めばかりの旦那様に一言でも褒められるだけでこんなに気持ちが良いとは……!

どんどん旦那様の色に染め上げられてしまうのじゃあ……!」

 

 

 性癖こそアレなものの、伸び代に関しては目を張るものがあるティオは、今しがたまで行われていた鍛練によりボロボロとなって地面にひっくり返っているのだが、その表情は実に清々しい。

 

 

「あいたたた……。しかしそれでもまだまだ旦那様の妻を名乗れるだけの領域は遠いのじゃ」

 

「高々500そこそこを生きた小娘がそう易々と越えられるものではない。

それよりもいつまでそうやっているつもりだ? さっさと立て、イッセー達も鍛練を終えている事だから合流をするぞ」

 

 

 腕を組ながら立てと命じるドライグだが、ティオは立ち上がろうとせず気まずそうだ。

 

 

「いえ、旦那様のご命令なので今すぐにでも立ち上がりたいのですが、身体がボロボロで立てませぬ……」

 

「なに? ……チッ」

 

 

 今回の修行により、新たな領域への扉を開け放てたティオだがその反動は凄まじく、立ち上がろうにも力が入らないと訴えるティオにドライグは仕方なくティオに手を差し伸べる。

 

 

「二度は無いぞ」

 

「は、はい……」

 

 

 『なら回復するまでそこに居ろ』とでも言われるのかと思っていただけに、舌打ち混じりとはいえ手を差し出してきたドライグにティオは内心驚きつつ、差し出された手に自身の手を伸ばして掴んで起こして貰う。

 

 

「う……?」

 

 

 起こして貰ってなんとか立ち上がることが出来たティオだが、やはり疲労とダメージは大きく、おぼつかない足元のせいで前に倒れかかってしまう。

 

 

「っと、手間の掛かるガキめ」

 

「ぁ……」

 

 

 しかし倒れる寸前の処でドライグの腕に支えて貰ったティオはこれまた意外な展開に変な声が出てしまう。

 

 

「自分で歩けるのか?」

 

「は、はい! なんとか自分で………っ!?」

 

「……。そんな酔っぱらいのような足取りで歩いていたら朝まで掛かるだろうが」

 

「も、申し訳ないのじゃ……」

 

 

 何故か俯きながら謝るティオに、ドライグは仕方ないとため息を一つ溢すと俯くティオに背を向けてしゃがむ。

 

 

「? な、なんですか?」

 

「本来の姿に戻って貴様を乗せて飛ぼうかと考えたら、別にそこまでの距離ではないし、なにより夜とはいえ目立つ。

されど、いちいちそのザマな貴様の歩幅に合わせていたら合流する頃には朝になってしまうだろう? だから貴様を背負ってやる事にした」

 

 

 『本当はイッセーにしてやりたかったのだが、オレが神器としての枷から解放して貰えた頃にはアイツももうそんな歳じゃなくなってしまったからな……』と、本当は幼少期のイッセーにしてやりたかったのだと吐露しながら背を向けてしゃがむドライグに、『きょ、今日の旦那様は変なものでも食べてしまわれたのだろうか?』と、怖いくらい優しいので逆に疑ってしまうティオ。

 

 

「どうした? それともやはり回復するまでそこに居るか? 別にオレは構わん――」

 

「!? い、いい、いいえ! ぜ、是非お願いします!」

 

 

 しかしこんな機会は、父を失って以降一切無かったティオは慌ててドライグの背に自身の身を預ける。

 

 

「光栄に思うが良い。

このオレに背負わせる者は多分お前が最初で最後だ」

 

「は、はい……」

 

 

 軽々とティオを背負って立ち上がったドライグがテクテクと歩き出す。

 

 乗り心地の良さに関してはあまりよくわからないティオも当初は緊張し続けていたのだが、やがて父と同じものを感じた事もあってか安心するような気持ちを抱く。

 

 

「こんな姿、特に白いのには見せられんな」

 

「ごめんなさい……」

 

「あ? 別にお前のせいではない。

単にオレのプライドの問題だ。

それにお前は先程まで自分の殻を破ったばかりで、その反動の大きさはわかっているつもりだからな」

 

 

 テクテクテクテクとイッセー達が居る街へと続く簡素極まりない道を歩いていくドライグなりの労りの言葉に、ティオは胸の奥に広がるじんわりとした暖かい気持ちを抱きながらドライグの背に顔を埋める。

 

 

「ドライグ様……」

 

「なんだ?」

 

「いえ、呼んでみただけです……」

 

「は? ……。たまによくわからん小娘だなお前は」

 

 

 本来の龍の姿である赤い鱗のような真っ赤な髪を持つ男性にまたしても脳が焼かれてしまった竜の娘。

 

 

「ふふ、この身が滅びようとも、妾はドライグ様のお側にこれからもずっと……」

 

 

 最後の宿主の辿った人生を誰よりも傍で見てきたからこそ、人間性を捨てていく宿主とは正反対に人間性を持つようになった赤い龍の帝王に己の全てを捧げる。

 

 

「必ずアナタ様の立つ領域(バショ)まで辿り着きます。

そうなったら妾を貰ってくれますか……?」

 

 

 

 それが今のティオ・クラルスの生きる動機だ。

 

 

「ガキには興味ないが。お前の潜在能力は認めてやる。

そうだな……もし万が一お前がオレと同等の『龍』に至る事が出来たら考えてやっても良いぞ?」

 

 

 神に全てを奪われてきた竜が、神を討ち滅ぼした龍の姿を追い続けるその精神そのものがティオを急速に成長させ続けるのだ。

 

 

「ふふ、あははは♪

そのお言葉だけで妾はもっと強くなれそうなのじゃ……!」

 

「……。イッセー以上に単純な奴め」

 

「だからこそドライグ様は妾を見てくれるのでしょう? きっと妾とイッセーは似ているから……」

 

「………」

 

「ふふ……でも少しは『摘まみ食い』をしても良いのですよ? だってドライグ様な妾の旦那様ですから!」

 

 

 

おわり




補足

勇者組も普通に比べたら異次元レベルで成長はしてるのですが……いかんせん想定してる相手がそれ以上に化け物すぎて……。



その2
実は進化速度だけでいえばぶっちぎってティオさんが一番。


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