色々なIF集   作:超人類DX

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続き。



スイッチのONとOFF

 

 

 

 普通の人とは違うモノがあるから拒絶された。

 

 普通の人とは違うから、普通であることすら認められなかった。

 

 しかし仕方ないのかもしれない。

 

 誰しも多くの人達とは違う存在をそう簡単に受け入れられるなんて思ってないし、事実俺は拒絶され続けた。

 

 

 別に今更『普通』だの『平穏』といった人生に憧れもしない。

 

 持って生まれてしまった俺の存在に恐怖し、拒絶した肉親を恨みもしない。

 

 ただ、普通である周りに合わせるように、自分自身を殺して生きることだけはしたくない。

 

 異常であろうが、化け物と蔑まれようが、俺は俺として生きる。

 

 それが俺の最初(ルーツ)

 

 

『何のバグが起きたのか、キミはこの世界の誰よりも『僕達』に近いものを持っている。

そしてキミが持つそれは永遠にキミを『苦しめる』可能性がある。

まあ、まだ子供でしかないキミにはわからないのかもしれないけど、その内わかる時が来る筈さ』

 

 

 

 神器ではないナニかがある俺の前に現れた顔は結構可愛い変な女から聞かされた概念。

 一京のスキルを持つとかなんとか言っていた変な女。

 

 

『昔のめだかちゃんに近いようで最も遠いのがキミのスキルの正体だ。

スキルを『完成』させるのではなく、スキルを永遠に『未完成』にさせるスキル』

 

 

 永遠に終わりが見えないスキル。

 

 

『逆を言えばキミはあらゆる状況や概念を糧にし、『永遠に成長し続ける』事が出きる可能性を秘めている。

ひょっとしたら僕の一京のスキルすら糧にしてしまえるかもしれない。

けれど、別の見方をすればキミは永遠に『終わり』が無く―――何かを完璧に極める事はできない。

まさに完成させられるめだかちゃんとは真逆だね』

 

 

 物事を永遠に極めることなんて出来ないスキル。

 

 

『どれだけ努力をしても永遠に極めることなんてできない。

しかし極められない代わりにキミの努力は朽ち果てるその時まで終わりの無いゴールへの道を走り続けることができる。

どう捉えるかはキミ次第だよ、異世界の主人公(めだか)ことイッセー君?』

 

 

 

 されど、無限の進化をし続けるスキル――それが無神臓

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ……ふぅ……」

 

「ふ、ふふふ、ははは……強くなったなシア。

カムのおっちゃん達もそうだったが、虫すら殺せなかった良い子ちゃんがよくもまあここまで……」

 

 

二年前に大半の力を喪って以降、力だけではないナニかも無くしてしまったように気が抜けてしまったイッセーが、切っ掛けこそあまり大声では言えないけれど、『本気』になっての初めての修行。

 二年前の時ならば私の事なんてなんて文字通り指一本でバラバラに出来るだけの差があったのに、今のイッセーは常々言っていた通りに――弱い。

 

 

「それでも二年前のイッセーと比べたら足の爪の先にすら届きませんよ私なんて……」

 

 

 二年前のあの時から、それまでまともな戦い方すら知らない状態の私はイッセーに『戦う術』を教わってきた。

 それが多少身を結んだ事で、こうして今イッセーの相手をしてあげられるわけだけど……。

 

 

「いや、お前が強くなってくれたお陰で今俺は昔よりも『進化』がしやすい。

ふふふ、二年は無かったあの『感覚』が全身に張ってるぜ……!」

 

 

 ステータスプレートでは、ドライグお義父さんと分離しているイッセー本人の数値は今の私とあまり変わらないレベルだ。

 その数値に違いは無く、三時間程イッセーを相手にほぼ互角で戦えていた。

 

 

「ふ、ふふふ……良いぞ。この感覚だ……。

ガキの頃やりあった白龍皇だの無限の龍神だの真なる赤龍神帝だの――元の世界でやり合ったこの感覚。

どうやら二年の間で精神も大分腑抜けてたらしい……」

 

「………」

 

 

 だけど今は違う。

 戦いが始まって二時間程が経過した頃だったか。

 それまで殴る殴られるのやり取りだった均衡が少しずつ崩れ始めて居る。

 

 

「さぁ、もう少し俺に付き合ってくれよシア? 俺のキャラじゃないが、正直楽しくなってきちまったんだ」

 

 

 少しずつ、されど異常な速度でイッセーの力が増し始めている。

 まるで堅牢な牢獄に閉じ込められていたイッセーの本来の強さが、その牢獄を壊しながら解放されていくように……。

 

 

「久々に見ましたよ。

私達を消そうとした『神』を相手に戦っていた頃のイッセーのその目を」

 

「目?」

 

「ええ、ギラギラとした肉食動物みたいな目です……!」

 

 

 これがイッセーの持つ『本来の速度』。

 神すら捩じ伏せる無限の進化のスキル。

 

 

「私を押し倒してめちゃくちゃにしたいって欲望丸出しの目です!!」

 

「それはねーよ!!?」

 

 

 私だけの英雄さん。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 失ったままでは弱い事を真の意味で自覚し、そして受け入れた上ではね除ける覚悟をすることにより、その僅かに灯ったままだった精神が燃え上がったイッセーは、たった三時間の鍛練だけでその力を大幅に取り戻していた。

 

 

「ふむ、神を自称していたカスの悪あがきで蓋をされていたお前の無神臓が漸く再起動したようだな」

 

 

 別の場所――というか遥か上空にて、同じようにティオをサンドバッグ代わりにして力を研ぎ澄ませていたドライグが、修行を終えてボロボロの姿で目を回して気絶をしているティオの首根っこを掴んで戻ると、力はともかくその精神性が戻り始めて居るイッセーの姿とステータスプレートを見て満足そうに笑みを浮かべている。

 

 

「俺はずっと変わってないと思ってたんだけどな……」

 

「それは生まれた時から持っていたから逆にお前が気づけなかっただけであって、ここ二年程のお前はあきらかに精神的に腑抜けていたぞ」

 

「ええ、どうでも良い年増ばっかりだらしない顔でナンパしてましたしね」

 

「………それはガキの頃から変わらんぞ?」

 

 

 

 未だ気絶中のティオを適当に放り捨てながらイッセーの精神が弱っていたことを指摘するドライグの目に映るものは、イッセーのステータスの数値だ。

 

 

「たった三時間戦っただけで全てのステータスが4倍以上に跳ね上がってます」

 

「これでもまだ完全ではないがな。

本来の無神臓ならば一気に別次元に進化していた」

 

 

 結構ボロボロになっているシアと一緒にイッセーのプレートに刻まれている数値を眺めるドライグはまだまだだと評するが、逆にシアはこの短期間で異常な速度で成長するその速度に改めて驚嘆してしまうが、逆にイッセーとドライグからすればシアに対して驚いている。

 

 

「そうは言うけどよ、シアも俺並みに成長してるぞ」

 

「うむ、イッセーの無神臓の副産物だろうな。

この前の小娘教師のように、シアもイッセーの一部を取り込んだ

からなのが大きいだろうがな」

 

 

 イッセーだけではなく、シアもまた異次元の成長速度を遂げており、ほぼイッセーと同等の数値がプレートに記載されている。

 

 

「俺の一部だって? あのまな板教師のようにか? 待てよドライグ、俺別にシアに血飲まれたりしてないぞ?」

 

 

 当然シアはイッセーのような異常性は無いのだが、以前畑山愛子が毒で血反吐を吐いたイッセーの血を取り込んで適応したことで、本来開けることなぞあり得なかった可能性の扉を開け放ったという前例もあるが、あいにくイッセーはシアに血を飲まれた覚えは全くない。

 

 

「お前の一部を取り込む事は、何も血を飲み込むだけじゃあ無いだろう?」

 

「別の方法があるってのかよ?」

 

「覚えがないわけじゃないだろう? お前とシアはナニをした?」

 

「「……………あ」」

 

 

 

 ドライグの指摘にイッセーとシアの声が見事に重なる。

 

 

「な、なるほどー……確かにイッセーの一部を私は取り込みましたねー?」

 

 

 そうちょっぴり恥ずかしそうに頬を染めながら自身の腹部を何故か撫でながら横に立つイッセーを見るシア。

 

 

「ば、バカ言え! それじゃあまるで俺が便利なドーピング薬みたいなもんだというのかよ!?」

 

「死ぬ可能性の高い代償が付くがな。

これはただの憶測だが、お前はおいそれとそこら辺の普通の女とナニをするのはやめとくべきだな。

下手をしたらその女があの時の小僧のように拒絶反応が起きて目の前で灰になるぞ」

 

「はぁ!? じゃあ俺のお色気ムンムンお姉さん系ハーレム王の夢は!?」

 

「………お前のくだらん好みに合致する上で、適正可能な女がこの世界に存在すると思えんな」

 

 

 

 ある意味で限定的に『去勢』されたも同義なドライグからの宣告に、イッセーは両手両膝を地面について絶望する。

 

 

「つまり名実共に私が唯一のイッセー専用ということですよね!?」

 

「まぁな。

拒絶の気配もないどころか小規模ながら見事に進化をしたお前は紛れもなくイッセーに適応できている」

 

「いやっほぅ!!」

 

 

 実はぽっと出の愛子に色々とかっさらわれた気がして軽く劣等感すら抱いていたシアにしてみれば、一気に愛子をぶち抜いて二度と追い付けなくしてやれたと大喜びしながら絶望真っ最中のイッセーに飛び付くのだった。

 

 

 

 こうして覚悟をしてからの初めての修行は概ね大成功を収める結果となって数時間後……。

 

 

「遠慮しないで死ねやァ!!」

 

「ギョベバガァッ!?!?」

 

 

 ハジメとユエからの緊急連絡の念話を受けて街に戻ってきたイッセーは、ハイテンション過ぎてどこかの狂犬のように非合法的な奴隷商人組織の構成員をぶちのめしていた。

 

 

「き、貴様いい加減に――がばっ!?」

 

「ひっ!? た、助け――ぐげっ!?」

 

 

 実質いくらナンパに成功しても、ワンナイトラブは不可能と宣告されて意気消沈であった筈のイッセーが、何故元気良く非合法的な組織の構成員をオーバーキルしているのか。

 それは先述の通りハジメとユエからの念話による連絡を受けたからによるものなのだが、もう少し詳しく説明すると、奴隷商を営んでいるその組織がハジメとユエが一度保護して、街の保安署に預けたのだが、その署を非合法組織が襲撃し、海人族の少女を拉致したのだ。

 

 別にそれだけならばハジメとユエだけでも取り返す事が可能ではあるのだが、問題はその組織は海人族の少女を人質に白髪と兎人族を連れてこいと脅迫してきたのだ。

 

 

 

「もっとまともな奴は居ねぇのかゴラァ!!」

 

 

 

 一瞬それをイッセーに言うべきか迷ったハジメとユエだが、結局その事を含めて事情を説明したその瞬間、以前神殿騎士の男を半殺しにした時以上のスイッチがイッセーに入ってしまい、施設に乗り込み、中に居る生物を客問わず八つ裂きにし始めたのだ。

 

「ひ、ひぃぃ……や、やめろ! こ、殺さないでくれ、兎人族の女も海人族のガキも諦める! だ、だから……」

 

「うるせぇボケ!!」

 

「ギィヤァァァァッ!!!?」

 

 

 商品として売られかけていた奴隷以外の生物を八つ裂きにし続けるイッセーは最早返り血まみれであり、その出で立ちは見る者達に絶対的な恐怖を与える。

 

 そんな中、命乞いをする者も当然出てくるのだが、イッセーはそんな者に対してなんの躊躇いも無く、その足を踏み砕く。

 

 

「一々片足の骨潰された程度で騒ぐなや?」

 

「っ!?」

 

「人間の骨の数は何本あるか知ってるか?」

 

「な、なにを――ぎぇぇっ!?」

 

「何本あるのか知ってるのかって聞いてんだよこっちは? さっさと質問に答えろよ? 答えられねぇならその舌切り落とすとコラ?」

 

「し、知らない……! 知らない!!!」

 

 

 返り血を浴びたイッセーの鬼のような形相と、周辺に転がる無数の死体もあってか、恐怖に泣き叫ぶのはこの施設のオーナーと思われる男だ。

 

 突然施設の壁を破壊しながら乗り込んできたたった一人の男に部下や客を虫けらを踏み潰すかのように簡単に殺しまくるこの青年はまさに男からすれば異常にて異次元である。

 そんな男の恐怖に対してイッセーは構わず続ける。

 

 

「生まれたてのガキは約300個。

成人は骨が組み合わさって約200個になるらしい」

 

「え? えっ??? な、なんのこと――」

 

 

 

 そう説明しながら半壊した施設の瓦礫に埋もれていた鋼鉄のパイプを拾うと、憤怒の形相に顔を歪めながら男に宣告する。

 

 

「俺のツレが拾ったらしい海人族とやらのガキなんざどうでも良いが、白髪の兎人族(シア)を寄越せだなんてほざいて事へのイラつきを、テメーの200の骨を全部粉砕して晴らす!」

 

 

 そう言って振り上げた鋼鉄のパイプを逃げることも出来ない男に向かって振り下ろし、丹念に全身の骨を粉砕するイッセー

 

 

「ギャァァァァッ!?!?!?」

 

 

 ほぼ半壊した廃墟同然の建物全体に響き渡る男の絶叫と、骨が砕ける音だけが無慈悲にもそして嫌でも『現実』そのものだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「む、イッセーが出てきたぞ」

 

 

 そんな半壊した建物の外では、既に助け出した海人族の少女を連れたハジメ達が待っており、何故か全身がずぶ濡れの状態で出てきたイッセーの姿を確認する。

 

 

「おう、中に居る連中は残らず居なくなったぞ」

 

「だろうな……てかなんでずぶ濡れなんだよ?」

 

「あーいや、はしゃぎすぎて大量の『トマトケチャップ』を浴びちゃってね。

軽く水で流してきた」

 

 

 そう言って笑うイッセーだが、漂う濃厚な『血の匂い』は軽く水を浴びた程度では消せなかったので、ハジメ達は一瞬で察した。

 

 

「で、その子がさっき言ってた海人族の子か?」

 

「おう、ほらコイツもオレの仲間だから安心しろミュウ」

 

「ぅ………」

 

 

 イッセーの視線が下に向けられながら質問をすると、自身の背中に隠れていた少女に仲間であると教えながら安心させようとするハジメ。

 しかしミュウという少女的にはイッセーがちょっとどころじゃなく怖いらしく、カタカタとハジメの背中に隠れて震えていた。

 

 

「む、怖がらせちまったか?」

 

「珍しいですね。子供に好かれるイッセーがこんなに怖がられるなんて……」

 

「多分お前がわざわざ拷問めいた真似をして敵を殺して回ったのを少しだけ見てしまったのだろう」

 

「一度激昂すると、手段が一気にえげつなくなるからのぅイッセーは……」

 

「なるべく見せないようにはしたんだが……」

 

「ちゃんと普段のイッセーは怖くないって言うから今は許してあげてほしい」

 

 

 プルプルと震えるミュウなる少女に見られていたと話すハジメ達に、イッセーもそれは普通に悪かったと軽く頭を下げる。

 

 

「昔のダチの時もそうだったが、ダチと思った相手が舐められると、ソイツを苦しませてからぶち殺してやりたくなるもんでよ……」

 

「まあ、オレはお前の気持ちが分かるから気にするなよ。

寧ろそれ聞いて真っ先に特攻したのを見てたシアは喜んでるし」

 

「本当に二年前のイッセーみたいでかっこ良かったですよ? ふふっ」

 

 

 普段はバカな言動や行動ばかりで無害にすら見えてしまうのだが、一度スイッチが入ると恐ろしく豹変するのは既に体験済みであるハジメ達は特に気にはしないが、初見のミュウからすれば狂暴な魔物かなにかに見えてしまう訳で……。

 

 

「俺は顔を合わせない良いかもなその子とは」

 

「ちゃんと言ってはおくが、その方が良いな」

 

「………」

 

 

 もう少し頭に血が昇ってしまった時の行動を自制しないといけないとと、ほぼ全壊している施設の瓦礫の下に埋まっている死体の山達を背に、ちょっぴりだけ反省するイッセーなのであった。

 

 

 

「うー……ちょっとイッセーが血生臭いです」

 

「目に付く動く存在を片っ端から解体しまくったからな。

ああ、流石に奴隷として売られかけていた奴等には何もしてないし、はっつぁん達が逃がしたんだろ?」

 

「ああ、だが正直さっきまでのお前はその奴隷達すら構わず殺しちまうんじゃないかと焦ったぞ? それくらいキレ過ぎてたように見えた」

 

「……昔の感覚が戻ってきた事でちとタガが外れやすくなってるんだと思うわ。

今後はコントロールするよ、うん」

 

「そんな事より先にイッセーをお風呂に入れさせます。

きっとミュウちゃんもイッセーから血生臭さを感じて怖がってるんだと思いますし……」

 

「だな。

ならオレ達は先にギルドに説明しに行くから、イッセーは風呂に入って――」

 

「はいはーい! 私もイッセーを見張る為にあとから合流しまーす!!」

 

「………………。風呂でおっぱじめんなよ?」

 

「しねーよ、はっつぁんとユエっちじゃあるめーし!」

 

「オレだってしねーわ!!?」

 




補足


ヒャッハースイッチ入った状態が初コンタクトだったので、珍しく幼女に怯えられるイッセー

尚本人は特に気にしない模様。
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