色々なIF集   作:超人類DX

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つづき。




無関心だからこそ

 

 

 

 数年以上完全に行方をくらませていた一誠が霧島という姓を名乗りながら町に戻ってきた訳だが、その数年の間のどこで何をしていたかの予想は大体ついている。

 

 幼少期、まだ行方をくらませる前の一誠と早すぎてしまった出会いをしてしまった悪魔の少女の庇護下に置かれていたのは、現在の二人の関係性を見てしまえば否が応でも察してしまう。

 

 とはいえ、凛としても予想外だったのは、間違いなく一誠はその悪魔――ソーナの眷属になっていると思っていたのに、どうやら一誠は転生悪魔ではなかった事だろう。

 

 ソーナの眷属であればまだしも、まだ人間であるのなら自然と一誠と接触できる可能性が1%くらいはある筈だ。

 

 

 だからこそリアスの『兵士』として転生悪魔へとなった凛は、原作ではありえない、風紀委員長へとなった一誠に、あの手この手を使って、今からでもなんと原作通りに軌道修正させようと考えた。

 

 しかし、風紀委員長の霧島一誠の行動をみてしまうと、それは無意味で無駄な行為なのかもしれないと凛は薄々感じてもいる。

 

 何故なら霧島一誠は原作の兵藤一誠とは正反対に、どれだけの美少女を前にしても、全く興味を示さない。

 いや、それどころか風紀委員長という立場もあるのか、彼は校則違反をする者にはその美少女だろうが容赦なく取り締まる。

 

 故に原作とは別ベクトルで一誠は女子達に加えて男子達にも嫌われている。

 

 つまり、なにが言いたいのかというと―――

 

 

 

 

 

 

「夜に出歩くのは校則違反だ」

 

「いっせ――き、霧島君……?」

 

 

 

 一誠は一切関わる事が無く、替わりに自分が関わったシスターの少女を、主達に黙って堕天使達から助けようとしていた凛と、協力をしてくれた人達の前に、『風紀』と書かれた腕章を身に付けた霧島イッセーがレイナーレ一派と一戦交える前に現れたのだ。

 

 

「霧島君、何故キミが?」

 

 

 

 アーシアが囚われ、はぐれ堕天使一派が潜伏している廃教会へ向かう兵藤凛、木場祐斗、塔城小猫の前を阻むように姿を現した風紀委員長に、ある程度彼が『裏』を知っている事を理解しているのを解っていた木場祐斗が、波風を立てないようにと爽やかな笑みを溢しながら訊ねる。

 

 すると霧島イッセーはつまらなそうに眉を寄せる。

 

 

「風紀委員の仕事のひとつの見回りだよ。

キミ達みたいに夜間の出歩きがないようにね」

 

 

 委員会の仕事だと返すイッセーに、時間が無くて少し焦る凛が前に出る。

 

 

「お、お願い。

今だけは見逃して欲しいの……! 友達が危ないから……!」

 

「友達? 危ない? 何の事だ?」

 

 

 正直平時の際ならば内心狂気乱舞でもしたいくらいのシチュエーションではあるのだが、それ以上に今はアーシア・アルジェントという少女を助けなければならないという思いが先行してしまっている凛に、イッセーは訝しげな顔をする。

 

 

「言葉通りの意味だ。

今凛さんのお友だちが堕天使によって危機に晒されている。

僕達はその堕天使から助け出す」

 

「ほ、ほら、リアス部長とこの前話をしたでしょう? 霧島君にも襲い掛かってきた……」

 

「この前? ………………。ああ、馬鹿なキャッチみてーな雌カラスの事か。

けど兵藤さんの友達とやらが何でその雌カラスに狙われてるんだ?」

 

 

 

 意外と冷静に話を聞いてくれる事に凛だけではなく、祐斗や黙って見ていた小猫も意外に感じつつ、事情の説明をする。

 

 

「そのなんたらさんが神器使いで、雌カラスがその神器を引っこ抜こうとしている――って事か?」

 

「ああ、キミも神器使いだからわかるだろう? 神器を無理矢理抜かれた人間は死んでしまう」

 

「まぁね。

しかしわからないな? キミ達はグレモリー先輩の眷属で悪魔なんだろ? 何で悪魔であるキミ達がそのシスター見習いとやらのなんとかさんを助けようとする?」

 

 

 ソーナから大雑把に三大勢力の関係せいについて聞いていた事もあるイッセーからすれば、悪魔勢力の連中が、見習いとはいえ天界側の人間をわざわざ助けようとする意味がわからず、そのまま訊ねてみると、凛がすかさず『アーシアちゃんは友達だから……!』と返してくる。

 

 

「あー……まあ理由はわかったわ。

けどそれってグレモリー先輩は知ってんの? あの人が三大勢力の冷戦状態を崩すような真似を許可するとは思えないんだけどな?」

 

「ぶ、部長達には黙って来ちゃった。

本当は私一人で行こうとしたけど、木場君と小猫ちゃんが個人的に力を貸してくれるって……」

 

「凛さんは仲間だからね。

一人で行かせるわけにはいかない」

 

「それにダメだと言っても凛先輩は大人しくするような人でもありませんから」

 

 

 

 完全に過去の事を『ねじ曲げた』せいか、寧ろ凛に対して思うことは完全なる『零』だった。

 だからなのか、友達を助ける為だと吐露する凛の気持ちはなんとなくイッセーは意外にも理解を示していた。

 

 

「なるほどね、理由はわかったよ。

大事な友達を助ける為ならルールを破るってのは実に理解できるしね」

 

「じゃ、じゃあ通してくれるんだね?」

 

 

 

 ちゃんと話せばわかってくれるんだと、霧島を名乗るイッセーに少しだけ暖かい気持ちになれた凛は表情を明るくさせた。

 しかし次の瞬間。

 

 

 

 

 

 

 

――――――――しかし断る」

 

 

 

 イッセーは無意味にキリッとしながら理解した癖にその上で断ってやった。

 

 

「な、なんで……!?」

 

「俺は『話せばなんでもかんでも要求通りにできると思ってる奴』に対して『NO』と切り捨ててやることが割りと好きな質でね」

 

 動揺する三人に対して、実に性格の悪い理由で突っ返すイッセー

 

 

「こういうのはいかなる理由でも『なあなあ』にするもんじゃないって先代達から言われてるものでね。

それを理由に今後次々と校則違反をされちゃあ困るんだよ」

 

「そ、そんな事はしないよ!!?」

 

「キミは人の命よりルールを優先するのか?」

 

「やっぱり風紀委員の人は最低の性格です」

 

 

 人命よりもルールを優先するような発言に、祐斗と小猫は人として最低だと言わんばかりの目をするが、イッセーは鼻で笑って一蹴するだけで気にもとめない。

 

 

「何とでも言え、この町では風紀委員(オレ)がルールだ」

 

「っ、こうなったら強引にでも通らせて貰うぞ……!」

 

「この前お菓子を全部奪われた借りがアナタにはありますしね」

 

「っ……!」

 

 

 このまま話をしていても埒があかないと思った祐斗と小猫が無理矢理押し通ろうと宣言したその時だった。

 

 

「と、いう訳で今からその雌カラスをぶちのめしに行くぞ」

 

「「「……………へ?」」」

 

 

 臨戦体勢に入りかけていた三人の力が思わず引っこ抜ける事をイッセーは当然のように言うのだ。

 

 

「え、あ、あれ?」

 

「あ? どうした、場所は確か町外れの廃教会なんだろ?」

 

「そ、そうだけど、あれ? 通さないのではないのか?」

 

「それにアナタも行くって……」

 

 

 はっきりと通さない発言をされたのはなんだったんだとしか思えなかった三人は、先に行こうとするイッセーに慌ててついていきながら訊ねると、イッセーは狂犬を彷彿とさせる獰猛な殺意を剥き出しに笑う。

 

 

「言っただろ、この町では風紀委員(オレ)がルールだとな。

この町の一般人の命を脅かす輩は誰であろうと迅速に噛み殺せと教育されてきたんだ。

つまり、その雌カラスは既にオレの『殺戮リスト』に入ったってー訳だな」

 

 

 その殺意の重さに思わずゾッとなる凛達は、恐る恐る問う。

 

 

「あ、あの……私達も行って良いの?」

 

「てっきりキミ一人でやるから帰れって言うのかと……」

 

「当然だろ。キミ達とやったとなればグレモリー先輩に文句言われるのはキミ達だろうからな」

 

「要は私達にリアス部長のお小言を押し付けたいだけという訳ですか……」

 

「そういうことだ。精々グレモリー先輩には上手く言えよ?」

 

 

 そう言ってさっさと前を歩くイッセーは頼りになるのかならないのか微妙だったと、後に祐斗と小猫は語り、凛はといえば……。

 

 

(う、うそ……。ま、まさかこんな感じでイッセーと一緒になれるなんて!)

 

 

 実にイレギュラーではあるが、最早叶うこともないと思っていたイッセーとの共同作業にテンションをあげるのであった。

 

 

「ちなみに私達はリアス部長に黙って来たのですけど、霧島先輩はシトリー様に話をしていたりは……」

 

「いや? センパイは知らないと思うぞ? 見回りしてたら偶々キミ達と出会して話を知ったばかりだしな。

今ごろ家でアイスでも食いながらテレビ見てんじゃね?」

 

「く、詳しいんだね?」

 

「まぁね」

 

 

 その勢いで然り気無くソーナとの関係を聞き出そうとする凛が、これまた然り気無くイッセーに近づこうとすると、イッセーが手で制止する。

 

 

「おっと、それ以上女子は俺に近寄らない方が良いぞ」

 

「な、なんで?」

 

「私もですか?」

 

「ああ、いや別に深い意味はないんだけどよ。

センパイで何でかたまに勘と鼻が良すぎるんだよ。

で、俺に女の子が近づいてたって匂いで見抜かれて機嫌悪くなるんだ」

 

「……。やはりキミとシトリー様は、なんというか……」

 

 

 理由を聞いて微妙な顔をする祐斗と小猫とは反対に、この状況でも立ちふさがるソーナの存在にぐぬぬと内心悔しがる凛。

 

「し、シトリー先輩と仲良しさんなんだね?」

 

「0から100まで馬が合う人はあの人しかないからね。

別に俺は、この世の全生物に殺意持たれようがヘラヘラ笑ってやれるけど、あの人にだけは嫌われたくない―――て、思う程度には『大好き』だ」

 

「」

 

「!? り、凛先輩!?」

 

「だ、大丈夫かい!?」

 

「だ、だいじょーぶだよー……あは、あははは」

 

 

 思いきって踏み込んだ結果、ソーナの幻影に思いきりカウンターを食らったかのような気分に叩き落とされてしまった凛なのだった。

 

 

終わり

 

 

 

 

 

 

オマケ・激おこぷんぷん匙くん

 

 

 一目惚れした勢いと家庭環境的な理由で、しつこく何度も食い下がる形でソーナの眷属になったというのに。

 後は少しずつソーナとの仲を深めて、ゆくゆくはできちゃった婚とかにこぎつけられたらと思ったのに。

 

 

「くかーくかー」

 

「霧島くんが会長を抱き枕にして寝てる……」

 

「しかも凄い心地よさそうな顔……」

 

 

 なんかタイプ的には初見の時点で嫌いになりそうな男がよりにもよってソーナと仲が良く、それどころか当然のようにソーナに密着している。

 別にソーナの男ではないというのに、寝取られたとひとりでに殺意を滾らせる少年は、他の女子眷属達が顔を赤くさせながら見ている光景に一人どす黒い感情を増幅させていた。

 

 

 

「はいはい、会長と霧島君のことが気になるお年頃なのはわかるけど、ちゃんとお仕事をしなさい」

 

「はぁい……」

 

「副会長は慣れてるんですね? 会長と霧島くんがああいうことしてるの……?」

 

「まぁね。

最初はアナタ達のような気持ちにさせられちゃったけど、毎日のように見てしまえば慣れてしまうものよ……」

 

 

 そう椿姫は呆れ半分に言うが冗談じゃないと匙は思う。

 本当ならイッセーの居る場所は自分になる予定だったのに、イッセーさえ存在しなければ自分がああなれたのに……。

 

 と、持ってたボールペンを思わずへし折りながら、血走った目ですやすやソーナを抱き枕替わりにして寝ているイッセーにメンチを切りまくる匙だが、悲しいことにそんな殺意も嫉妬も一切本人達には届いていない。

 

 

(いつか事故に見せかけて消してやる……!)

 

 

 匙少年の嫉妬はこうして膨れていくのだった。

 

 

 

 

その2

 

 

 最近自分やイッセーを取り巻く環境が鬱陶しいとは思う。

 しかしだからといって自分達の繋がりは変わらないとも思っている。

 

 

「それで? 兵藤凛達と一緒に堕天使を狩った感想はあるのかしら?」

 

「感想ォ? 特に無いけど――てかやっぱバレてたんだな」

 

「当然よ。

イッセーの事ならなんでもわかるわ」

 

 

 

 ソーナ・シトリーにとってイッセーとの出会い以降の人生が最高に最低なる幸福の連続である。

 

 出会った頃のイッセーは、自分の本質の意味を理解できずに卑屈なだけだった。

 しかしその本質が何なのかを教える事で、遂にはどこに出しても恥ずかしくない程の同類へと進化してくれた。

 

 

「なんか後からグレモリーさんがそのシスターを駒使って悪魔に転生させてたっぽいけど……」

 

「随分と酷な事をするのねリアスは」

 

 

 

 そして自分もまた、イッセーと惹かれ合っていくにつれてその性質と感覚を研ぎ澄まし、互いが互いに、どんな姿でも本気好きなのかを確かめる為に肉片になるまでバラバラに解体し合ったり、考えうるだけの本気の確かめ合いをし、本当の本気にお互いが大好きなんだと解り合えた。

 

 こうなれば最早離れたりはしない。

 例え誰かが引き剥がそうとするなら、考えられるだけの手札を全て切ってソイツの全てを台無しにしてやる。

 

 永遠に真実に到達させないという、真実を改竄してしまうイッセーのスキルに似てるようで真逆で、運命の糸で結ばれたかの様な対となる性質を持つソーナは誰も止められないだろう。

 

 

「それで? そのシスターの女の子は可愛いの?」

 

「へ? あー………金髪で緑の目してて、言われてみれば美人っつーよりは可愛い系なんじゃないの?」

 

 

 己からイッセーを引き剥がすという『真実』には決して到達させない。

 イッセーとこの先も永久に共にあり続けたいという想いによって発現した彼女の性質は、『生まれてしまった人外』であるが故に発現してしまったスキルなのかもしれない。

 

 

「ふーん……?」

 

「まあ、俺の趣味ではないね。

てか俺の趣味はソーナだし」

 

 

 

 そんなソーナによって個を失いかけていたイッセーはその個を建て直したイッセーはまさに『生まれてしまった人外』だろう。

 燻らせていた本当の精神を少しずつ教え、共有する事で共に先へと進み、ソーナはイッセーによって進化し、イッセーはソーナによって進化をする。

 お互いに最も近しき二つの性質。

 

 まさに『小指が赤い糸で結ばれているコンビ』と言えるのはこのイッセーとソーナだけだ。

 

 

「情報によると私よりその子の方が若干胸があるようだけど……」

 

「そこが聞きたかったのかよ? いやまあ言われてみりゃあ…………だね」

 

「…………」

 

「ぷっ! そんな泣きそうな顔しないでくれよ? ホント可愛いな」

 

 

 

 

 出会い、共に高め合い―――そして夜を共にした時から、もうソーナは自身が紛いなりにも純血悪魔であるからなんて冥界での風評なんて塵の様に投げ捨てている。

 彼女が求めている異性に少なくとも悪魔やその他は存在しない。

 その全てを兼ね備えてるのは、モノクロの景色であった自分に『色』を見せてくれた人間の男の子ただ一人。

 

「言ったろ。ガキの頃キミと会ってから俺の価値観は全部捩じ曲げちまったって?」

 

「ひんぬーってイッセーが馬鹿にするから変に気になっちゃうのよ……」

 

 

 手を取って笑うイッセーに応えるように、ソーナはその手を絡ませるように握り返すと額をくっ付け合う。

 

 

「イッセーのせいよ……」

 

 

 衣服のボタンを外すソーナ。

 そして露になる胸元を見せながら、ひんぬーと言われてしまってあや地味にきにするような発言にイッセーは笑う。

 

 

「ごめんて。

でも、ただの物言わない肉片になったセンパイでも大好きなんだから、大きさとかどうでも良い――これは本当だ」

 

 

 ソーナという人格そのものに惹かれている時点で、他者との差異なんか無意味だとハッキリ断言する一誠は、優しく胸元に触れる。

 

 

「逆に俺は、ソーナにちょっかいかけようとする野郎が居ると、本気でぶち殺してやりたくなる。

ソーナのせいだからな? ガキの頃から俺なんかに優しくするから……」

 

「んっ……」

 

 

 ぴくんと冷たい指に触れられてくすぐったそうに身体が動くソーナがとてもイッセーには可愛く思え、優しく、もっと強く彼女の身体を抱き締めていく。

 

 

「っと、どうするソーナ? ふふふ、どうして欲しい?」

 

「………ほら、やっぱりイッセーは意地悪よ」

 

「最近ソーナに主導権取られっぱなしだったからね」

 

「…………………。イッセーが欲しい」

 

「はぁい、よく言えましたー」

「ぁ……♪」

 

 

 自分の全てをさらけ出せる相手が居る。

 真実に到達させないスキルを持つソーナにとって、誰にも邪魔させてなるものかという唯一ともいえる信念。

 

 

「あはは♪ 真実から出た真の行動は、決して滅びはしない。

大好きよイッセー……。何度でも、何時までも」

 

 

 どんな残酷な現実になろうとも、生き残るのはこの世の真実。

 未来永劫一誠と共に在り続けるという真実だけを見続けるソーナという少女は、永遠の進化と真実をねじ曲げる少年と今日も繋がるのだ。

 

 この時間だけは譲れない。

 

 決して、何時までも……永久に。

 

 

「ぁ……も、もう、胸の事を聞いたからって、またそんな赤ちゃんみたいにちゅーちゅーしたら痕になっちゃうのにぃ……」

 

「あ、いやなんとなく……?」

 

「ふふ……ああ、もう本当に大好き♪」

 

 

 

 誰にもとめられない。




補足


この時点で最早どこの誰も横やり不可能なまでに進みきってるお二人なのだった。


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