切っ掛けは本当に些細な事だった。
そう、あれは確か、俺が風呂上がりの楽しみに買っておいたハーゲ○ダッツを食べられたからとかそんな理由だった。
食い物の恨みはとても恐ろしいという言葉がある通り、楽しみにしてたハー○ンを馬鹿二人に目の前で食われた俺はついついぷっつんして二人を張り倒したのだ。
そうしたらアイツ等は、自分達が勝手に人ん家の冷凍庫を漁ってた分際で逆ギレしてきた。
そこからはもう、殴り合いの喧嘩だったよ。
あらゆる場所や人たちを巻き込み、俺達はハー○ンひとつで殴り合いの喧嘩を馬鹿真面目にやらかした。
その結果……ふっ、短気は損気とよく言ったものであり、俺と親友二人は―――――
はじまりのさんばか!
今更ながらアイスひとつから始まった喧嘩が原因でこうなったのは割りに合わないのではないかと思うのだが、後悔したところで遅すぎた――と、とある青年三人組はお互いにぼっこぼこに腫れ散らかした顔面を向き合わせながら思ったそうな。
「正直すまんかった」
「お前がそこまで食べたかったのに、オレ達が食べてしまったのは確かに悪かった」
「おう……俺もちょっと大人げなかったわ」
あまりにも殴り合いが過ぎた結果、目の前しか文字通り見えてなかった三人の青年は、気がつけば全く見知らぬ公園で大の字にぶっ倒れていた。
そして同時に意識を取り戻した青年三人は、漸く冷静さを取り戻し、取り敢えず互いに謝って手打ちとした訳だが、更なる問題が発生していた。
「何故だ、アザゼルの携帯に繋がらないぞ」
喧嘩どころか最早殺し合いとしか思えない激しい戦闘を繰り広げたせいで色々とクタクタになってしまった青年達は、ここがイマイチどこなのかもわからないということもあって、三人にとって共通の知り合い―――というよりは最早保護者的な存在である人物に連絡をして迎えに来て貰おうとした。
しかし、代表をして連絡をしようとしていた暗めの銀髪の青年はその保護者の携帯に何度かけても繋がらない事に気付く。
「喧嘩のせいで携帯がぶっ壊れたのか? 俺も同じくかけてるんだけどアザえもんに繋がらないぞ」
銀髪の青年に続く形で今度は茶髪の青年がかけてみるが、同じく繋がらずに首を傾げていると、今度は黒髪で目付き鋭めな青年が『そういえば……』と口を開く。
「何度も次元の壁を破壊しながら喧嘩をしていたのが原因だったりはしないか?
例えばオレ達が居るこの公園らしき場所は、オレ達とはべつの時空軸の公園とか……」
黒髪の青年の言葉に、茶髪と銀髪の青年はこれまでの喧嘩を思い返す。
「確かに、何度も次元をぶち破り過ぎて、遊泳していたグレートレッドがキレてたような……」
「イラついて三人でぼっこぼこに張り倒したまでは覚えてるけど、そこからの記憶が無いな……まさかあの赤蜥蜴のせいってか?」
「確証は全くないがな……。
しかし、説明はつくだろう? ほらその証拠に周りを見てみろ。
………妙に荒れ果ててやしないか?」
「「…………」」
黒髪の青年が周りに対する言及をした通り、よくよく周辺を見渡すと、公園周りの民家やら道やらなにまでが妙に荒れ果てているし、更に目を凝らすと謎の死体らしきものが数体転がっている。
「酔っぱらって寝てるだけじゃねーの?」
「そうだぞ、ほらあそこの道を歩いてる者だって千鳥足だ。
きっと飲み過ぎなんじゃないか?」
「………ただの酔っぱらいが悲鳴あげて逃げ惑う人間を捕まえて文字通りに肉を喰らうとは思いたくないんだがな」
「「…………」」
黒髪の青年の指摘の通り、逢えて二人もそこには触れずにいたのだが、千鳥足の人間が泣き叫ぶ人間を文字通り喰らっている光景がチラホラ――いや、かなりある。
「この前三人でビクビクとしながらやったバ○オハ○ードのようだな……」
「ば、馬鹿な事言うなよ? じゃあなにか? 俺達はハー○ン1個で喧嘩したせいでバ○オみてーな並行世界にようそこさせられたってのか!?」
「気絶する寸前の記憶を辿ればそうとしか言えないだろう。
オレ達の世界の人間界であんな光景はみたこと無いだろう?」
なにかしらの呻き声と、誰かしらの悲鳴だけしか先程から聞こえないばかりか、三人の視線の先は顔色がヤバイ人間に食い殺されてえげつない顔をしている人間の屍……。
「ど、どうするよ?」
「とにもかくにも喧嘩のダメージを回復させなければ結構危険かもしれないぞ」
「ああ、ゾンビ映画はよく見ていたからな。
こういう時は大型ショッピングモールに行けば食うものには困らない」
ハーゲン○ッツが理由でバ○オみてーな世界に来てしまった三人の青年は、実はゾンビ映画をよく見る黒髪の青年の指示に従う形で、まずは体力を回復させてから考えるという方向にシフトする為、こちらに気付いて襲い掛かるゾンビ軍団を素手で蹴散らしながら公園を出るのだった。
「いってて……ちくしょう、大分体力を消費したせいで、結構ヤバイぞ……」
「まさか一般人(ゾンビ)にそこそこ苦戦させられるなんてな……」
「使えるものは全部使ってでも蹴散らせ! わかっているだろうが、決して噛まれるなよ!? 神器も使え!」
これは、食い意地が最強に汚すぎる、最強の三馬鹿によるサバイバル(笑)生活の記録。
「いやっほー! お宝の山じゃねーか!?」
「金を払う必要がないのは最高だな。
む、このカップラーメンはみたことがない……!?」
「材料もあるし、ハンバーガーも自作し放題だ!」
揃ってアホの子なので、早速火事場泥棒をやってしまったり。
「この野郎! それは俺のスーパー○ップ(バニラ味)だ!!」
「まだ売場に大量に保管されていただろうが!! ひとちくらいでケチケチするな! そもそも元はお前がオレのラーメンを食べたからだろう!?」
「オレの楽しみにしていた自作バーガーを勝手に食べた時点でお前も人のことは言えんぞ」
馬鹿なのでまたしても食い物ひとつで喧嘩してしまったり。
「こうなったらタイマンだこの野郎……今日こそぶちのめしてやる」
「上等だ、ラーメン仇は必ずとる……」
「よぅし、ちょうど向こうに廃校がある。
そこの校庭なら広さも充分だろう……」
結果、タイマン勝負の喧嘩にまたしても発展し……。
「行くぞドライグ!!」
「アルビオン! 今日こそアイツ等に勝つぞ!!」
学校の校庭に蔓延るゾンビ達を呆気なく殲滅しながら、異次元の力を駆使して喧嘩を開始し……。
「ね、ねぇねぇ……? 校庭で知らない男の人達が手からビームだしたり背中に羽生やして飛んだりしながら戦ってるように見えるんだけど、疲れてるのかな?」
「いや……恐ろしいことに幻覚じゃないみたい……」
「校庭を彷徨っていたゾンビ達があの人達の喧嘩のせいで飛んでってるし……」
「しかもこんな状況なのに、全く気にせず寧ろ笑いながら殴り合ってるし。……止めた方が良いような」
たまたま学校を拠点にしていた生存者に見られてしまい……。
「えーとすいません」
「まさか生身の人間がまだ存在してるとは思わなかったもので」
「お騒がせしました」
三人の大馬鹿野郎と少女達は邂逅してしまうのだ。
「明らかに手からビーム的なものを出してたのって……」
「ああ、うん………
ポーヒー デデーン!!
……とまぁこんな感じに出せるね確かに」
「す、凄いですねー?」
「そ、そう? 褒められたの久しぶりだわ」
「ちょ、ちょっと待て!? な、なにしてるんだアンタ!?」
「なにって、見ての通りこれから食うラーメンの出汁のベースを作るために豚骨を砕いているのだが?」
「こ、ここでやらないで貰えません!?」
「すまないが聞けない相談だな? オレはラーメンに対して妥協はしない!」
「気付いたら近くの公園だったと言われても……」
「そうだろうな。
しかし、そうとしか言えないんだ。
まさかハーゲ○ダッツひとつでこうなるとは……」
始まらない。
「ふーははは! これでイッセーが五連続大貧民で決定だな!」
「ぐ、グガァァァァッ!! き、汚ぇぞ神牙もヴァーリも! わざとオレを大貧民にさせるために組みやがって!」
「あらやだヴァーリさん? 大貧民がいちゃもん付けてきましたよ?」
「嫌ですねぇ? 貧民は心に余裕がなくて……ああ、ロリコンだからかな?」
「……………ぶ、ぶち殺―――」
「ま、待って待って待って!! こ、ここでビームされたら死んじゃうから私たちが!?」
「そ、そうだよ! とにかく落ち着こうよ!?」
「ふ、沸点がわからなすぎるぞこの三人。
普段は殆ど怒らないのに、食べ物とかゲームの事になると途端に短気になる……」
始まらないったら始まらない。
「イッセーくん! 肝だめししよーよ!」
「えぇ……? 神牙かヴァーリ誘えよ。
俺は見ての通り忙しいんだよ」
「??? 何読んでるの?」
「人妻モノのエロ本」
「………………………」
「あ、おいなにす――あぁっ!?!? やめろ! 無言でいきなり焚き火の火種にするんじゃねぇ!!!?」
終了
補足
簡易人物紹介
イッセー
このシリーズではお馴染みである三バカトリオの一人。
ハーゲンひとつで喧嘩したらバ○オみてーな世界に飛ばされたのだけどアホなので割りとすぐ順応するどこか、火事場泥棒上等を楽しんでる。
好みのタイプは例に盛れずの年上なのだが、どういう訳か好かれるのは正反対な子ばかりなせいで、友達二人にはロリコン呼ばわりされる。
ヴァーリ
ラーメンをこよなく愛する三バカの一人。
ラーメンばっかりな天然末っ子気質なせいか、イッセーがキレそうなレベルで年上からのウケが大変よろしい。
が、本人は戦いとラーメンばっかり。
神牙(曹操)
バーガー大好き主人公気質な三バカの一人。
とにかく前向きポジティブ気質であり、どこぞのリト神レベルのラキスケスキルも完備するせいで、しょっちゅうやらかすのはお約束。
続きは考えてない