色々なIF集   作:超人類DX

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続き。

短編なんで攻撃性能もすげーぜ


超攻撃型おさげ眼鏡ちゃん

 

 

 

 大雑把に仕分けたらの場合になると、アザゼルさんことアザえもんの世話になりながら今日までを生きているオレは、人間ではあるものの堕天使側の勢力に属している―――と言えなくもないだろう。

 

 アザえもんやコカビーさんからお小遣いを貰う替わりに、個人的な仕事の手伝いとかもする事も少なくはないし、それは今現在どこぞの国で遊び呆けてるアホ野郎二人にも言える。

 

 つまるところ、今オレと藍華がしれーっとした顔で通っている学校―――ひいては町の管理をしてるらしい悪魔達からすればオレは完全に地雷案件な人間な訳だ。

 

 ……まあ、聞かれた訳じゃないからオレ達がアザえもんの世話になってる事なんて話した事なんて無いし、多分あの様子からしてバレてはないんだろうけどね。

 

 勿論、バレるまでは黙ってるつもりだ。

 理由? ただでさえその悪魔さん達からは割りとウザ絡みされてるのに、堕天使側の世話になってますなんて言えば余計面倒な事になるのはアホでも分かりそうなもんだからな。

 

 

 

「ぐっ……ぐぬぬぬ……!」

 

「……。毎回毎回ご苦労な事ですけど、この際だからハッキリ言いましょうか? 無駄なんですよ無駄。オレを悪魔の眷属にしようだなんてね。

理由くらいもう自分でも分かってるんでしょう?」

 

「わ、わかってます。

わかってはいますけど……!」

 

「前々から言ってますけど、もう少し鍛えた方が良いんじゃないんですかねぇ……?」

 

 

 それを知らずに、毎日毎日オレを悪魔の駒で転生させようとしては失敗する悪魔さん達も存外暇なんだろうなぁと思う今日この頃だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ミッテルトからこの町にはぐれ同然の堕天使が侵入して悪巧みをする――という情報を事前に聞いた私とイッセーは、即座にその堕天使達の元へと出向いて排除しよう―――という訳にはいかずに向こうの出方を待たなければならない。

 その理由としてまずこの町は悪魔が管理しており、下手に目に付く真似をしたら私達と堕天使―――厳密に言えばアザゼルさんとコカビエルさんとの繋がりがバレてしまう。

 

 そうでなくても遠からずミッテルトの言っていた堕天使達の動きを悪魔さん達も掴む筈なので、まずは何もしらないという体で何時も通りに過ごす事に――――

 

 

「正直に言って欲しいのだけど、昨日霧島君はこの写真の女に声を掛けられていたわね?」

 

 

 ―――という作戦は早速頓挫しかけていた。

 

 

「えーと? ああ、確かに昨日この写真の通りの女の子にいきなし声を掛けられましたね。

なんかひとめぼれしたから付き合ってくださいだの、今度の休みにデートしてくれだのとか……」

 

 

 ミッテルトが潜入調査を開始してから3日経った頃の放課後、特に連絡もなかった私とイッセーが家に帰ろうと学校を出た辺りで突然長い黒髪の美少女が現れ、あろうことかイッセーに告白したのだ。

 

 

「なぁ藍華、この子だよな?」

 

「ええ、間違いないわ。

この辺では見ない美少女だったからよく覚えてるわ」

 

 

 その事をどこで―――いや、あの時は他の生徒達にばっちり見られてたからそこから広まったのだろう。

 学園の旧校舎を根城に、オカルト研究部という皮を被った悪魔活動をしているリアス・グレモリーさんとその眷属さん達にもその話は伝わっていたらしく、この日イッセーは部室まで呼び出されて詳しい話をさせられていた。

 

 え? 私? 私は見ての通り別に美少女でもないせいし、イッセーが告白されてた時も隣に居たのに、その女の視界には入ってすら居なかったわよ。

 けれどその場に居たのは事実だったせいか、こうして私もイッセーのオマケ程度として部室に呼び出されてる訳で……。

 

 まあ、一番は私がイッセーの中身を知り尽くしているからなのでしょうけどね。

 

 

「そう。名前は聞いてるのかしら?」

 

「えーと、なんて言ってたっけか? あ、あま……天下りシズエさんだっけ?」

 

「天野夕麻さんよ……その名前ですらないのはどこから出てきたのよ?」

 

「いやー、あんまりにも突然だったのと、リアルに興味無さすぎて記憶から刹那で消しちゃっててさぁ? えーと、藍華が言うには天野某ってらしいすけど……」

 

「え、ええ……?」

 

 

 まあもっとも、その女が一瞬で『地雷』であるのと見た目からしてイッセーのタイプじゃないせいか、その女にバレない所で私に『ねぇ、コイツがミッテルトの言ってた堕天使じゃないのか? 殺っちまうか?』って私に目で訴えてきたのだけどね。

 

 人目もあったのでその時は私も止めたのだけど、もう既にイッセーの記憶からは3日前の女の記憶は消されてるようで、ケタケタヘラヘラと笑うイッセーにグレモリーさん達は軽く引いてる。

 

 

「では彼女から何をされたということも無いのね?」

 

「ええ、別に無いですけど……その女の子がなんなんでしょうか?」

 

 

 あくまで何も知りませんな体でわざとらしく尋ねるイッセー

 

 

 

「まあ、アナタがそう簡単に遅れを取るなんて思ってはいないけど、どうやらこの女の正体は堕天使のようなのよ」

 

「堕天使? へぇ……?」

 

 

 イッセーは昔からよく神牙やヴァーリ相手にしょうもない理由から真面目な理由で喧嘩をして鍛え続けてきた事で、それこそ悪魔達が下僕に欲しがる程度の力は持っている。

 だからこのグレモリーさんもそうだし、もう一人の悪魔もしょっちゅうイッセーを勧誘しようとしては失敗しているので、その辺の存在に殺られるとは思ってはいない様子だわ。

 

 

「その堕天使の女さんは何のつもりでオレに寄って来たんでしょうか?」

 

「まだそこまではわからないわ。

あくまでただの推測でしかないけど、もしかしたらアナタの持つ神器が理由かもしれないわね」

 

「ドライグが理由ねぇ…」

 

 

 なるほど、と納得するフリをするイッセー

 まあ、確かにあの女堕天使がわざわざイッセーに近寄ってきた理由を考えるとするならそれが妥当かもしれない。

 もっとも、あの時の様子からしてイッセーの根の部分やイッセーの宿す神器がそこら辺のありふれた神器とは違うというところまでは見抜いてなかったみたいだし、なんならあの甘えたような声で迫る辺り、性癖にも気付いてないと思って良いだろう。

 

 

「そういう訳で、またあの女がアナタの前に現れるかもしれないし、暫くアナタの身の回りの護衛をしたいのだけど……」

 

「……………」

 

 

 多分、きっと、恐らくは悪魔さんにしては珍しい善意のつもりでの申し出に私は然り気無く隣に座っていたイッセーの横顔を見てみる。

 多少なりとも恩を売っておく形にしたいという思惑も見え隠れするにしても、イッセーはなんて返答するのか……………は、もう決まってるわね。

 

 

「いいえ結構です。

そんな大袈裟な事して貰わなくても自分の身とトモダチの身くらい自分で守ってみせますよ」

 

 

 首を縦に振った場合、ミッテルトが来れなくなる可能性をアホの子のイッセーなりに考えてのお断りに、グレモリーさん達はある程度予想はしていたらしく特に驚いたりはしていない。

 

 

 

「そう言うとは思っていたし、実際にアナタは単純な戦闘能力に関しては私達よりも強いものね」

 

 

 そうどこか楽しげな笑みを浮かべるグレモリーさん。

 多分今グレモリーさんは初めてイッセーを知った時の事を思い出しているんだと思う。

 はぐれ悪魔をイッセーが一発で粉々に消し飛ばしたあの夜を。

 

 

 

「でも私としては、もしかしたら近い将来私達の仲間になっているのかもしれないアナタの身に万が一があって貰っては困るというのが本音としてあるの」

 

「またその話ですか……」

 

 

 

 いっそ悪魔らしいと言えばそれまでではあるが、力量の差で眷属に出来ないというのに未だに眷属にすることを諦めてないと吐露するグレモリーさんに、イッセーは呆れた顔をしている。

 

 

「あの眼鏡のまな板悪魔さんもそうだけど、アンタ等じゃあオレを下僕にするなんて無理なんですって」

 

「メガネのまな板悪魔って……ソーナの事よね? アナタ、あの子と事そんな風に呼んでるの?」

 

「面と向かっては呼びませんよ流石に―――――いや、何回かイラッとなって言った事もあったかな?」

 

 

 そう、しつこいのだ。

 このグレモリーさんといい、生徒会を隠れ蓑にして悪魔をやってる生徒会長といい……。

 年が近い――それも神滅具持ちの人間の男がそんなに珍しいのか、それともイッセーの力に寄生をしたいのか、この学園に潜む二つの悪魔はとにかくイッセーを下僕にしたがっている。

 

 

 

「ソーナに先を越されたくは無いというのもあるし、ここはひとつ、万が一を見越してアナタの住む自宅の周辺を警戒させて欲しいのよ。

霧島君は一人暮らしなのでしょう? なんなら護衛する期間はご馳走もしてあげるけど?」

 

「飯に困った事はガキの頃以外皆無なんで結構です」

 

「あらそう……? それなら私達の誰かを指名してくれれば、今日から暫くアナタの家に泊まっても良いわよ?」

 

「…………………」

 

 

 本当にしつこいし、最近その手段に関しても個人的に―――いや間違いなくこの場にミッテルトが居たらキレそうな事を自信満々な顔をして言ってくる悪魔女に、私もちょっとだけイラッとしてきたのだけど、そんな悪魔女の言葉に対してイッセーはどこまでも冷たい目でグレモリーさんやら女王でそういえば人間と天使のハーフらしい姫島朱乃さんだの、一年生で癒し系云々言われてる塔城小猫さんだの………。

 

 

「…………………………………」

 

 

 何故か唯一の男で、一番にありえないのに勝手に緊張した面持ちでイッセーを見てる王子さま呼ばわりされてる木場祐斗さんだったりを一瞥だけしたイッセーは軽く鼻で笑う。

 

 

「元浜か松田ならなんも考えずに二つ返事でもしそうな話だけど、生憎オレは間に合ってるんでね。

そもそもオレはアンタ等が趣味じゃないんでね」

 

 

 遠回しに、お前等悪魔もそこら辺で生きてる虫と変わらないだろう? というニュアンスを悟られない程度に込めながら丁重にお断りするイッセー

 

 イッセーって私達の中では一見一番軽くて色々とだらしなくて取っつきやすいように見られがちだけど、その実完全な『区別主義者』なの。

 『それ』か『それ以外』の二つでしか物を考えず、『それ』に対しては自分の主義主張すら簡単に捨て去れる癖に、『それ以外』に対しては取り繕うことはするものの、何があろうがテレビ画面の向こう側を見ているように他人事で終わらせてしまう。

 その理由は私と出会う前、まだ普通だった頃に受けた『トラウマ』が原因なのだけど、当然そのトラウマをこの人達が知る訳もないし、知った所でこの連中ではどうすることも出来やしない。

 

 

 イッセーの力という『皮』しか見ようともしない浅はかな連中ごときでは……ね。

 

 

「そう、それは残念ね。

でもやっぱり暫くはアナタの周辺を警戒させて欲しわ」

 

「だからそれも必要は――」

 

 

 しつこい。

 そしてこうなると何時も地味な私は彼女達の視界から消えてしまう。

 まあそれも仕方ない事だわ、この人達ですらイッセーからしたら眉ひとつ動かすことなく『趣味にすらならない』と言い捨てられるのだしね。ましてや私なんて下手をしたらミッテルトよりもイッセーにとっては趣味以下でしょう。

 

 昔からそれは分かってるつもりよ、昔からイッセーを見てきたからこそ余計ね。

 

 

 

「あーもう! わかんないかなー!?」

 

 

 

 そんなプチネガティブ思考に墜ちてた私は、あまりにもしつこく食い下がるグレモリーさん達に嫌気が刺して来たらしいイッセーの声によって現実に引き戻される。

 

 

 

「アンタ等がオレの家の周りを彷徨かれると、嫌でも気配を感じてしまって嫌なんですよねぇ? それだと集中とかも散るしさぁ?」

 

「集中……?」

 

 

 本当は堕天使のミッテルトが出入りしているのがバレると面倒な事になるから、そのリスクをなるべく回避したいが為の出任せなのだが、何も知らないグレモリーさん達が首を傾げる。

 

 するとイッセーは唐突に隣に座ってほぼ空気と化していた私の肩に腕を回してそのまま抱き寄せる。

 

 

「オレは、他人に見られながらヤる趣味はねーんでね」

 

『……………………』

 

 

 そう言いながらわざとらしく密着させてくるイッセーのせいで、グレモリーさん達がどんな顔をしているのかは見えなかった。

 

 

「ヤるって……アナタ達ってやっぱりそんな関係だったの? 何故か桐生さんだけは常にアナタの傍に居るわねとは思っていたけど……」

 

「この年頃の野郎の性欲なんぞ猿よりやべーって知るべきでしたね。

そらもう毎日しっぽりよ……なぁ藍華?」

 

 

 嘘付けこの年増フェチめ……。

 と今この場で言ってやりたいのは山々だけど、面倒な監視を避ける理由としてはまあまあ有りがちな気もしないでもなかったので、取り敢えずイッセーの話に合わせる事にした。

 

 

 

「まあ、私も気が散るのは嫌ですね。

ましてや同じ学校の人達に見られながらする度胸はまだ無いので」

 

『……』

 

 

 全部嘘なんだけど、嘘でも、ただのこじつけであろうともそういう理由として私を使ってくれた事が、絶対に言わないけどちょっと嬉しかった私は、ちょっとだけ得意気というか勝ち誇った気分で言ってやれば、意外と初なのかグレモリーさんは恥ずかしそうに顔を赤くしており――

 

 

「…………」

 

「何かしら後輩さん? そんなにメンチを切られる覚えは無いのだけど?」

 

「べ、別に……」

 

 

 約一名は殺気めいた目で私を睨んでいる。

 ……ああ、そうかこの子はなんとなくイッセーに嵌まりそうなタイプだったわね。

 体型からなにまでイッセーの性癖の真逆という意味でね……。

 まあイッセーはそもそもこの後輩さんの名前すら覚えてるか微妙なレベルなんですけども。

 

 

「そういう訳で本当に余計な事は結構です。

もしそれでもとしつこいようなら、アンタがいくらこの先オレを下僕に出来るだけの器量を持ったところで絶対にアンタの下僕にはなりませんから」

 

『……』

 

 

 

 トドメの言葉に今度こそグレモリーさん達はこれ以上のことは言えなくなる。

 所詮はイッセーにとっての『他人』でしかない人達はこの辺りが限界なのよ。

 

 

 ………って、私も随分良い性格になってしまったものだわ。

 

 

 

 

 

 

 何かと理由を付けて近寄ってくる悪魔連中をこじつけで追い払ったイッセーは、藍華をそのまんま抱き寄せた状態で部室を出ると、そのまま抱き寄せ状態のまま、周囲の一般生徒達の視線がもろに刺さっているまま門を出た所で漸く藍華を放す。

 

 

 

「ごめん! マジですまん!!」

 

 

 そして放すや否や全力で藍華に謝り倒す。

 どうやら理由付けとはいえありもしないでっちあげの理由に藍華を使った事に対して本人なりに悪いと思っていたらしい。

 

 

「はあ、いきなりアンタがあんな事言うから部長さん達が固まってたわよ?」

 

「いや、それくらいインパクトある理由でも言わないと引き下がらないと思ってよ。

でもお前を理由に使ったのは良くなかったよ、ホント悪い」

 

「別にそれくらいなら気にしないっての。

第一、そんなに悪いと思うなら一回くらい私を抱いてみたらどうよ?」

 

 

 とにかく平謝りを続けるイッセーに藍華はヒラヒラと手を振りながら気にしないと返しつつ、でっちあげたくらいで悪いと思うならいっそ抱いてみろと挑発のように言ってやりつつチラリとイッセーの反応をうかがう。

 

 

「そ、それは違うというか、オレの趣味じゃないし……」

 

 

 案の定いつもの言葉が返してくるイッセーに、藍華はローキックでもしてやろうかしらと内心思いつつも深々とため息を吐く。

 

 

「どうせそう返されると思ってるわよこっちは。

アンタのことは解ってるつもりだし、一々謝らないで」

 

「おう……」

 

 

 短い仲ではないから気にしてませんな態度をする藍華だが、内心少しだけ複雑な気持ちだ。

 なので、意趣返しのつもりで藍華も軽くからかってやろうと悪戯っこのような笑みを浮かべる。

 

 

「だけどこんな調子で大丈夫なの? もしかしたら今後こうやって一緒に帰ったり、イッセーの家に行ってご飯作ったりできなくなるかもしれないのに」

 

「………………………は?」

 

 

 勿論当然の嘘なのだが、基本的に身内のかわいい感じの嘘には簡単に騙されるイッセーは持っていた鞄をその場に落とし、魂が引っこ抜けたような顔でその場に立ち尽くす。

 

 

「な、なにそれ? なんで?」

 

(あら、思ってたより動揺してるわ。

ふむ、もう少し意地悪してあげようかしら?)

 

 

 ちょっと意外な反応をしてきたイッセーに、内心驚きつつも新鮮だったのでもう少しからかってやろうと、部室でリアス達にイッセーが噛ましたでまかせレベルのでかまかせを言ってみようと口を開く。

 

 

 

「いやー、帰ったら言うつもりだったんだけど、実は今日アンタが昼休みに先生に呼び出された時に男子にコクられちゃってさー? 結構イケメンだったし、いっそ付き合ってみようかなーって思っちゃったりしてさー?」

 

「…………………………………………………………………………………」

 

 

 

 そんな訳なんて無いし、なんだか言ってて悲しくもなってきた藍華はヘラヘラと笑いつつイッセーの様子を伺うと――

 

 

 

「…………………………………………そいつどこのだれ? 名前は? 今すぐこの世から消してくるわ。

行くぞドライグ、喧嘩の時間だクソッタレ」

 

『くだらん理由で一々起こすな……まったく』

 

 

 

 自分で檻と繋がれた鎖を喰いちぎって世に解き放たれてしまった狂犬を彷彿とさせる狂暴極まりない目付きと共に、その腕にオーバーキルも良いとこな赤龍帝の籠手まで纏っていた。

 

 

 

「ちょっと何やってんのよ? 何をそんな大袈裟に――」

 

「大袈裟じゃねぇわ。

むっちゃムカつく、なんだソイツは? その話聞いただけで殺してやりてぇわ。

もう良いめんどくせぇ、この町ごと消し飛ばしてやる」

 

「はぁ!?」

 

 

 

 そればかりか町ごとその架空の誰かを消すと大真面目に言い出したイッセーは、藍華を片腕で抱えながらその場から大きく跳躍すると、空いている方の手の平に赤い光弾を生成し、そびえ立つ駒王学園に向け始める。

 

 

「喰らえ! どこの馬の骨ともわからねぇ野郎! コイツが(スーパー)イッセーのビッ◯バン・ア◯ックだァ!!!」

 

 

 

 そして、アザゼルの自称彼女兼平等なだけの人外がよく見せてくれたドラゴソボールのようなアニメの永遠のライバルキャラの必殺技を学園目掛けてその技名と共にぶっぱなそうとしている。

 

 

「よせってんしょうが、このバカイッセー!!!」

 

「―――あべしっ!?」

 

 

 もっとも、放たれるその瞬間に慌てて藍華がイッセーの首をゴキッとしたことでなんとか未遂に終わったのだが、突然町の上空に現れた強大な気配を察知した悪魔やら堕天使達はガタガタと震えるはめになるのだった。

 

 

 

 

 

 

 首をゴキっとされて意識を吹っ飛ばしたイッセーが目覚めた時に目に飛び込んできたのは、自身を起きるまで膝枕をしていた藍華の軽く申し訳なさそうな困り顔だった。

 

 

「は? う、嘘だっただと?」

 

「……。そうよ、悪かったわね。

ちょっと見栄ってのを張ってみたのよ。

まあ、アンタが思ってたより違う反応してきたから戸惑ったけどさ……」

 

「あ、ああ……」

 

 

 日が暮れかけた公園のベンチに座りながら、ただのジョークだったと聞いたイッセーは感じる鈍い痛みを抑える為に首を手で抑えながら、顔を逸らす藍華を見る。

 

 

「急にまたどうしてそんな事言ったんだよ?」

 

「趣味じゃないって言われ続けて来たからとしか言えないわ。

真面目な話、このままイッセーの趣味になれないならそういう道もありえなくはないかもしれないでしょう? 多分無いけど」

 

「………」

 

「だから冗談で言ってみたの。

そうしたらアンタは本気で町をまるごと吹き飛ばそうとするし……」

 

「いや、自制不可能な程にカッとなっちまって……」

 

「アタシは他所で男を作ることも出来ないっての?」

 

「い、いや……」

 

 

 やっとこっちを向いてくれた藍華にジト目で睨まれてしまい、今度はイッセーが目を逸らしつつ自分を省みる。

 

 確かに我ながらなんという身勝手さだと……。

 

 気色の悪い束縛めいたものを藍華に対して向けている自分に嫌悪感を感じるイッセーの苦い表情を見て察したのか、藍華は深々とため息を吐く。

 

 

「別にイッセーのそういう面は昔からだし、気にしちゃいないわ。

寧ろ呆気なく送り出そうとしたら、後ろから刺してやったわ」

 

「お、おう……」

 

「でもね、趣味じゃない呼ばわりされながら束縛されるのって結構辛いものだし、ミッテルトも同じよ?」

 

「…………」

 

 

 いよいよ何も返す言葉が無くなってしまったイッセーは俯く。

 それは自分の欲のせいでトモダチを蔑ろにしてしまったことへの自己嫌悪もある。

 

 

「ごめん……」

 

「いーわよ、アンタの趣味は嫌って程知ってるもの。

その上でアンタに引っ付いてるのは私の意思だし」

 

「いや……正直言って年上とか割りとどうでもよかったりするわ」

 

「それも知ってる。

年上の女が趣味だとしても、所詮は他人だのもね?」

 

 

 その通り過ぎる藍華の言葉にイッセーは『そうだな』と返しながらがっくりと肩を落としていると、見兼ねた藍華が眼鏡を外しながらイッセーの名を呼ぶ。

 

 

「ほらイッセー、こっちを向きなさい」

 

「………」

 

 

 言われた通りに顔を上げて藍華の方へと視線を移したイッセーは、眼鏡をはずした状態の藍華の顔が、それこそ鼻先が触れ合いそうなくらいに近いことに気づき、思わず驚いて上体を反らそうとするが、そうはさせんと藍華の両手がイッセーの両の頬を捕らえる。

 

 

「ちょっとミッテルトには悪いとは思うけど、こうでもしないとアンタは逃げようとするからね。

今まではアンタの根っこの部分を尊重してたけど、今日からそれも辞めてやるわ。

イッセー、アンタの性癖を――アタシそのものって答えるようにしてやるわ」

 

「っ!?」

 

 

 

 今日この瞬間を以て、イッセーに対する根っこへの『遠慮』という最後砦を壊してやると宣言した藍華の言葉と好戦的な笑みに、一瞬だけ『あれ、藍華ってオレが思ってたよりもキレーな顔だったんだな……』と意識を奪われ、そのまま自身の唇に触れた感触に固まってしまった。

 

 

 

「ん……。ふっ、まさか思ってたより早く真面目にキスできるとは思わなかったわ。

ある意味グレモリー先輩達のしつこさには感謝だわ」

 

「…………」

 

「む、なに間抜けな顔してんのよ? こっちだってかなり勇気出したってのに、そんなアホの子みたいなリアクションされると傷つくっての……」

 

「い、いや……その……」

 

「あ? なんだって? もっとしたい? ……ったくしょーがなぃねー?」

 

「は? いや待てそんな事言ってな―――んむっ!?!?」

 

「んっ……ふっ……! ぁ……ん……!」

 

「ちょ、ちょ……ぷは!? ま、待て藍華!? 一旦冷静に――むぐっ!?」

 

「ふ……こっちは最初からクールよ。心配しなくても誰も居ないし見てもないわ」

 

「!!!!? (し、舌が入って来てるんだけど!!?」

 

 

 

 こうして、遠慮を完全に辞めてしまった桐生藍華にますます頭が上がらなくなる霧島イッセーなのであった。

 

 

 

「ただいま~♪」

 

「あーやっと帰ってきたっす! もー遅いっすよー! 一体どこでしっぽりと―――あれ?」

 

「……………………」

 

「あのー……アイカ? イッセーが何故かガブリエルさんに拉致された後のコカビエル様みたいにげっそりしてるんすか? そしてアイカのお肌が心なしか艶々なのはどうしてっすか?」

 

「まさにガブリエルさん方式で攻めただけよ? ねぇイッセー?」

 

「……………………はい」

 

 

終わり




補足

簡易人物紹介。

アザゼルさんの自称彼女兼平等なだけ『だった』人外

 アザゼルさんの若い頃からの付き合いらしい、見た目は可愛い少女。

 アザゼルさん本人は否定したがるのだが、否定しようにロードローラーのように押し潰す勢いで来るので逃げようもなく、上手いこと尻に(物理)敷かれている。

 他にも、若気の至りと酒の勢いそのままに一夜を共にしちまった事や現在も押し倒されたりしまくるので否定しようがないらしい。

ちなちに、その押せ押せの気質は無事にガブリーさんや藍華さんに引き継がれたので、コカビーとイッセーが現在の主な被害者なのは内緒だぜ?
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