色々なIF集   作:超人類DX

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これはテレビ感覚で殴って思い出した場合のその後であり、本来のお話ではない


※枝分かれした場合の末路

 

 

 

 これはただの『枝分かれ』な話。

 

 

 

 その1・古い家電のように……。

 

 

 この時代においては正しく他人であるので、わざわざ手を貸す理由もなければ、メリットも皆無であることはわかりきっている。

 

 しかしイッセーはそれでも、先日目の当たりにしたとある『もしも』を理由に、何やら婚約を賭けたレーティングゲームに『補充要員』として出場し、詰みの為に出向いてきた相手勢力を叩き潰していた。

 

 

「………………………」

 

「う、うそだろ……こんな誰ともわからない人間風情一人にオレたちが……」

 

『』

 

 

 そう信じられない顔をしながら膝を付く金髪の男性悪魔が、無機質な目と表情と共に姿勢正しく直立しながら見下ろす『燕尾服』の青年を見上げている。

 その傍らには自身の女王といった眷属達が呻き声を時折だしながら意識を失っているのだが、全員がもれなく顔面を容赦なく殴り抜かれており、何人かは鼻の骨やら歯をぶち折られている。

 

 

「う、嘘……。

祐斗達がやられて詰みをかけられると思ったのに、彼一人で……しかも体術だけで返り討ちしちゃったわ……」

 

「思っていた以上にお強かったのですね……」

 

 

 完全に形成が向こう側であったのが、たった一人――本陣前のディフェンスをしていた青年一人によってひっくり返された。

 それは、なんとか拝み倒した事で彼を一時的な眷属として参加させることが出来たリアス本人ですら驚愕することであり、顔色ひとつ変える事なく、相手眷属全員を全滅させ、キングをも虫の息に追い詰めた青年に戦慄が隠せない。

 

 

「さあグレモリー様、詰みを」

 

「へ? え、ええ……わ、わかったわ」

 

 

 しかもわざわざ自分にトドメを刺させるというお膳立てまでしてくれる青年に戸惑うリアスは、不死の特性を遥かに越えた『暴力』で捩じ伏せられ、最早何も出来ずに歯を剥き出しに青年を睨む金髪の男性悪魔に、取りあえず詰みをかけて勝利を手にするのであった。

 

 

 

 何故わざわざイッセーが他人の為に、人目に嫌でもつく真似をしたのかといえば単純明快な話である。

 

 

「? 燕尾服を着た彼はどこだい?」

 

「え、あ……」

 

「サーゼクス様、彼は少々変わった面をお持ちです。

人目に晒される事が何よりの苦痛ですので、現在彼は控え室におりますわ」

 

「……? そうか。

是非彼とは話をしてみたかったのだが、それなら日を改めて私一人で彼を訪ねてみよう」

 

 

 ある理由があり、グレイフィアの脳天に拳を叩き込んで衝撃を与えたら日之影一誠を知るグレイフィア・グレモリーであることを思い出した。

 それはつまり、他の者にも同じことをすればひょっとすればという思想の下、わざと『兵藤一誠』として悪魔達の前に姿を晒したのだ。

 

 その目論見の通り今回のゲームに参加し、相手戦力を殲滅させた功績がサーゼクス・ルシファーの目に止まり、意識を向けさせる事に成功した。

 とはいえ、初対面で……しかも多くの悪魔達の目がある場所でいきなり脳天に拳を叩き込んだら捕まる可能性しかないので、今回はイッセーの存在を彼に記憶させるだけに留めておく。

 

 こうしてサーゼクスに己の存在を記憶させたイッセーは、グレイフィアが言った通り、控え室にさっさと戻り、そのまま人間界へと帰ろうとしたのだが……。

 

 

 

 

 その2・狂愛

 

 

 

 叔母が初めてのレーティングゲームをするということで、勉強のつもりでゲームを観戦することになったミリキャス・グレモリーは、その姿を目にしたその瞬間、雷に打たれたような衝撃が頭の中で弾け、そして様々な映像が高速で過った。

 

 

 男ではなく、女として生まれた自分。

 

 物心がついた時から当たり前のように居た人間の少年。

 

 母や祖母達によって執事となった少年。

 

 そんな大好きな兄同然の少年に振り向いて貰おうと、兄から死んでもおかしくないトレーニングをつけて貰った。

 

 誰よりも強くなり、誰よりも自分達を守り続けてくれた最強で無敵の――自分だけのヒーロー

 

 

 そんな……覚えはないけど思い出してしまった記憶により自分が『何者』であるのかの全てを取り戻したミリキャス・グレモリーは、本能のままその場から駆け出した。

 

 走って、走って、走りまくって。

 

 自分が大好きで安心する気配に近づいていくにつれて身体に流れる血が燃えるように熱くなっていくのを感じながら、ミリキャスはとっとと帰ろうとしていた燕尾服姿の青年の名を―――気が狂う程に愛するその名を呼んだ。

 

 

「イッセー兄さまー!!!」

 

「な……!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 基準が全然わからない。

 条件でもあるのだろうか。

 

 考えても考えてもさっぱりわからないイッセーは、随分と懐かしくも感じる呼び方をしながら自分に飛び付いてきた少女―――いや、今は少年にただただ頭を抱えた。

 

 

「大丈夫、何も言わなくてもボクは解ってるよ兄さま。

その格好、あの誰であろうと力で捩じ伏せるような戦い方を見ただけでボクは全部解ったから」

 

 

 そう言いながら自分の腹部辺りに顔を埋めながら抱きつく赤髪の子供にイッセーは無理矢理引き剥がす事はせず、ただただ予想外の刺客に襲撃された気分を抱きながらその名を呼ぶ。

 

 

「オレをそう呼ぶということは、やっぱりミリキャスか……」

 

 

 事前にセラフォルーから聞いていた通り、この時代のミリキャスは男児として生まれているらしく、確かにその通りではある。

 しかし元々ミリキャスは中性的な容姿をしていたので、そこまでの違いは容姿だけでは変わらなかった。

 

 

「取りあえず離れろ」

 

「え、どうして? ボクが兄さまをずっと忘れてたから怒ってるの?」

 

「ちげーわ。

こんな光景どこぞの悪魔だなんだに見られたら、オレが誘拐犯扱いされるかもしれないからだ」

 

「む……そんな事になってもボクがソイツを記憶もろとも消してあげるから心配しなくても――」

 

「良いから離れろ。

話もできねぇだろうが」

 

 

 

 このベタベタ具合は間違いなくミリキャスだと確信したイッセーは、渋るミリキャスを説得して何とか離れて貰うと、持っていた携帯で事前に連絡先だけは交換しておいた母親であるグレイフィアに電話をかける。

 

 

「グレイフィアか、そっちは大丈夫か? あ? ミリキャスが居なくなっただ? ………それについてだが、そのミリキャスが今オレの目の前に居る。

ああ……脳天をぶっ叩いた訳じゃないんだが、どうやらオレがレーティングゲームで相手チームとやりあってる姿を見ただけで思い出したらしい」

 

「む……」

 

「取りあえず一旦ミリキャスを迎えに来てくれ。

ああ、このままだとオレが誘拐犯扱いされちまうからな」

 

 

 電話の相手が母親であると知り、その上で引き取りに来いと言うイッセーにミリキャスが横でムッとした顔をする。

 

 

「……ふー、少ししたらグレイフィアが迎えに来るから今は帰れ」

 

「……。なんでお母さんと連絡取り合ってるの? まさかお母さんって……」

 

「ああ、多分お前が思ってる通りだ」

 

 

 母親であるグレイフィアが既にイッセーと裏で繋がっていたという事実を知ったミリキャスは、事情も事情なので仕方ないし、そもそも今の今まで忘れていたのだから文句なんて言えた義理でもないのは頭でわかってはいたのだが、それでも不満だった。

 

 

「先に聞くけど、ボクとお母さんの他に誰が兄さまのこと覚えてるの?」

 

「セラフォルーだが……」

 

「………………そっか」

 

「?」

 

 

 しかも他に誰が覚えているのかと聞けば、元の時代の時からそういう意味での敵と思っていたセラフォルーがよりにもよって覚えていたらしい。

 

 

「こんなに悔しいって思ったのは久しぶりかも。

今のボクは男だしさ……」

 

「そういや妙にセラフォルーと張り合ってた事もあったなお前……」

 

「うん。

一番兄さまの近くに居たのがあの人だったから……。

まあ、この身体については思い出した以上、『なんとか』するし、今日はおとなしく兄さまの言うことを聞くよ」

 

「ああ……。

ただミリキャス、オレの事は誰にも言うな。

この時代のサーゼクスやヴェネラナのババァとかにもな」

 

「当然だよ兄さま。

……じゃあまた『明日とか。』」

 

「ああ……………………あ? 明日だと?」

 

 

 

 しかしそれで止まるかと言われたら止まるわけがないのがミリキャス・グレモリーである―――と知るのは翌日になってのことであった。

 

 

 

 その3・狂愛のミリキャス

 

 

 イッセー兄さまの全てを取り戻した後のボクの中に残ったのは、自分への怒りと兄さまを奪った『神』への怒りだ。

 

 自分勝手に外から兄さまの皮にもならない奴を連れてきて兄さまの人生をめちゃくちゃにしたくせに、その兄さまが自分自身の意思で這い戻ったら、今度はその命すら奪った。

 

 昔を覚えている兄さまや、お母さん―――そしてセラフォルーお姉さんは忘れているみたいだけど、ボクはハッキリと覚えている。

 

 兄さまがボク達を守る為に、全てを『無』にしようとした神を道連れに消え去ってしまった時の事を。

 兄さまを失った後の『死んでいないだけの無意味な生』という苦痛を。

 

 だからボクの中にあるのは怒りだ。

 勝手都合で世界を自分本意にしている『神』への怒り。

 

 そして何よりも――兄さまを忘れてしまっていた自分への怒り。

 

 

 兄さまが言うには、ここは過去であり並行世界とのことで、確かに兄さまは皮の男に奪われることなく人の子として生きていて、ボク達と出会う事もなかったもしもの世界だと思えば納得する。

 リアスお姉ちゃん、ソーナお姉さん、ヴェネラナお祖母様、ジオティクスお祖父様、そして父様やシトリー様は兄さまを知らないし覚えてない。

 

 仕方ない、ここは所詮並行世界の過去で、日之影一誠として再起する為に悪魔の執事となった兄さまが存在しない世界。

 だから仕方ない事だし、ボクとお母さんが『思い出した』事自体がイレギュラーなんだ。

 

 いや、最初から兄さまを覚えていたセラフォルーお姉さんこそが最たるイレギュラーなのかもしれないし、ボクはそこが悔しい。

 

 何故兄さまを忘れてしまったのか。

 ただのミリキャス・グレモリーという男児としてノウノウとぬるま湯に浸り続けていた自分をこの手でバラバラにしてやりたい。

 

 そもそもなんでボクが男なんだ。

 これじゃあ兄さまの子供が産めないじゃないか。

 

 ……まあ、思い出した以上、ボクには考えがある。

 

 兄さまに認められる為に何千何万と死にかけながらも掴んだボクの個性(スキル)も記憶を取り戻すと同時に『使い方』も思い出せている。

 

 セラフォルーお姉さんが自分のスキルを使ってわざわざ兄さまと同じ年齢まで若返り、作り出した分身を魔王レヴィアタンとして動かしているという話を聞いた以上、ボクだって同じことをさせて貰う。

 

 

 兄さまの為ならボクは不可能という壁を壊して先に進む。

 それがボクの狂愛(ラヴ)と付けたボクの個性なのだから。

 

 

「という訳でボクもセラフォルーお姉さんとお母さんと同じことをしたよ。

だからもう死ぬまで一緒だからね兄さま?」

 

「い、一番厄介な子が思い出しちゃうのかよー……☆」

 

「暫くセラフォルーの家に厄介になるわ。

流石にご両親が健在のイッセーの家に押し掛けたら騒ぎになるし」

 

「…………」

 

 

 代償はそれなりに払ったけど、そんなものは些細なものでしかないし、兄さまの傍に居られるなら代償なんてものは塵にもならない。

 

 

「セラフォルーお姉さんやお母さんみたいに、自分の力の半分以上を捨てて『半身』を作って放置しておいた。

誰もがあの半身こそが『ミリキャス・グレモリー』と思う。

そしてもう半分は『ボク自身』としてここに居る」

 

「何時からそんな芸当が出来るようになったんだお前……」

 

「さぁ? 何時からだろうね? ボクも初めてやってみたらなんか成功しちゃったからよくわからないや? きっとボクのスキルが不可能を可能に変えたんだと思うよ?」

 

 

 

 力なんてすぐに取り戻せばいい。

 兄さまのように這い戻って、今度こそ兄さまを奪われたりはしないしさせない。

 

 

「我が子ながら思いきりの良い子だわ」

 

「呑気に言うけどさー……ミリキャスちゃんっていーちゃんにだけ凄まじく激しいから、ちょっと複雑なんだけど……」

 

「十何年も独り占めしてきたのだから、仕方ないわね」

 

 

 全てはイッセー兄さまの為に。

 全てはボクの気持ちのために。

 

 

「えへへ、ほら兄さま……。

強引にもう一人のボクを作ったからなのか知らないけど、今のボクの身体が……昔のボクになったんだ?」

 

「昔……? って、お前……!?」

 

「ほら、『無い』でしょ? ふふふ……」

 

 

 今度は最初から本気でやる。それがボクだ。

 

 

 

「えへへへ♪ 兄さまに触って貰っちゃった~♪」

 

「………………」

 

「あー……まあその……母親の意見としては、手を出したければ別に良いわよ?」

 

「出すかバカ!! ガキだろうが!」

 

「そうだよ! いーちゃんのいーちゃんを沈めるのは私だけだもん!☆」

 

 

終わり。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「兵藤テメェ!! 何か知らないけどムカつくというかズルいだろ!?」

 

「そうだそうだ! 世羅とか桐生は正直どうでも良いが、十六夜さんみたいな美少女なんかと―――」

 

「ぶふぉっ!?」

 

「うおっ!?」

 

「な、なんだよ?」

 

「び、美少女だァ~? ギャハハハハハハハ!! アレが美少女! ヒャッハッハッハッハッ!!!」

 

『え、えぇ……?』

 

 

 

 

 

 

「ひーひっひっひっ! は、腹いてぇ! お、おい聞いたかよ? あいつが美『少女』だってよ! くっくっくっ!」

 

「や、見た目は文句無いんじゃないのかなーと思うんだけどな?」

 

「事実はただの子持ちのオバハンなのにな? 流石に笑ったわマジで……くくく」

 

「………」

 

「おーグレイフィア? 良かったな? オメーが若作りして化けたナリは人間目線だと美少女らしーぜ? くくくく……ぶわっははははは!!」

 

「ちょ、ちょっとそろそろ止めてあげた方が……」

 

「……………………………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「と、いうわけで今から三人でイッセーに懐かしの『にゅるにゅるの刑』に処してあげようと思うのだけど、異議のある者は?」

 

「むがー!? むがーー!!!?」

 

「あー……無いかな?☆」

 

「ボクひとりでにゅるにゅるしたいんだけど……」

 

「ダメよミリキャス。

これは『オバハン』の私ににゅるにゅるにされて負け顔晒すイッセーを見ましょうって意図があるのだから」

 

 

「むがー!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

「……………………………………………………………」

 

「あーあ、いーちゃんが完全に不貞腐れちゃったじゃん」

 

「部屋の隅っこで壁に向かって体育座りしてる兄さま、よく父様との喧嘩に負けた時とかに見たっけ」

 

「ふーん、やはりヴェネラナのお義母様もセットの方が――」

 

「ざ、ざけんなボケ!! 何が悲しくて年増のオバハンとババァのセットにあんな真似されなきゃならねぇんだ!! 今度やったらマジでぶん殴るぞオラ!!」

 

「あらあら? 途中からメソメソ泣いてた癖に、今はもう強気なのねぇ?」

 

「うるせー!!」

 

 

 一誠くんは静かにやっぱり暮らせない




補足

簡易人物紹介

グレイフィア・グレモリー

執事世界において日之影一誠に使用人としての全てを叩き込んだ、謂わば師であり姉。

この枝分かれ話の場合、セラフォルーさんのようにどこかの時止めメイドくらいまで見た目を若返らせて学生をやることにしたのだが………基本イッセーには『無理したオバハンのコスプレ』とゲラゲラ笑われる。

 が、そこはグレイフィアさん。
笑われた分だけお仕置きをする。


ミリキャス・グレモリー

 執事世界においては女児として生まれ、イッセーを兄さまと呼び慕っていた少女。
 慕いすぎて最早ガチめのラブであり、とにかくイッセーのモノになる為なら大人達を平気で騙すし、男児として生まれ直した肉体をスキルで強引に作り替えることも辞さない。







ヴェネラナ・グレモリー

 執事シリーズ最強のママン。

 ド反抗期だろうが狂犬モードであろうが、その絶大なママン力(おっぱい)で即時大人しくさせられる唯一の女性。

 ババァと呼ばれる事に最初はムッとなってたけど、最後の方はババァと呼ばれてもニコニコして返事をするようになったのだが、それはそれとしてにゅるにゅるにしてお仕置きをしていた。


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