色々なIF集   作:超人類DX

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続き

なんかわけわからんことになった。



魔王少女と執事

 

 

 レーティングゲームは普通に敗けたらしい。

 

 

 頭数の差で敗けたのか、それとも単に実力不足で敗けたのかはこの際どうでも良い。

 この時代のリアスもソーナもオレが知る時代の二人と比べるまでもなく、トレーニングを疎かにしていたのは見てわかっていたし、敗けても不思議でもなんでもない。

 

 影武者を通して観ていたセラフォルーが言うには、忌々しい金髪小娘も、この時代ではただの悪魔の域を出ていない程度の存在だったことを踏まえればただの実力不足で敗けただけだろう。

 

 やはりこの時代のリアスとソーナの底はそこまでだったという訳であり、所詮は他力本願で我を通そうとする者の末路だ。

 

 

 同情? そんなものも当然オレが抱くなんてあり得ない。

 

 オレが知るリアスとこの時代のリアスは違った――それだけの事だ。

 

 

 

 

 

 

 なんだろうね、私といーちゃんが生きた時代とこのパラレルワールドの時代のターニングポイントって、まさに『いーちゃんそのもの』なんだなと染々思う。

 

 いーちゃんが成り代わりの存在によって『兵藤一誠』としての人生を奪い取られた事でいーちゃんは私達と出会い、その這い戻らんとする姿を見続けてきたからこそ、私達は種としての限界を乗り越えられた。

 

 まあ、更に言えばこの時代のサーゼクスちゃんは人外の半身的な存在じゃない訳で、異常や過負荷という概念も存在してない……という事も理由になるとは思うけど、やっぱり一番は、人でありながらひとでなし(・・・・・)になって見せたいーちゃんの存在が大きい。

 

 だからリアスちゃんがフェニックスの三男君に敗けたのを見た時に思ったのは『やっぱりね』だった。

 小さいときにいーちゃんと知り合えなかったからこそ、種としての限界を乗り越えるだけの鍛練もしてこなかったこの時代のリアスちゃんには眷属の人数の差もあるし、荷が重いだろうとは思っていた。

 

 だから申し訳ないけど、どうにも私は敗けて好きでもない相手との婚約が確定してしまっているリアスちゃんに対する同情心がかなり薄い。

 

 

「おじゃましまーす。

あ、初めまして、兵藤君とマコトさんのクラスメートの桐生です」

 

 

 いや、正直リアスちゃんが勝つ方法もあるにはあったんだけどね。

 例えばいーちゃんに突貫的になるが直接『トレーニングをつけてもらう』とか。

 

 いーちゃんは私の魔力性質の他にサーゼクスちゃんとリアスちゃんと同じ『消滅』の魔力も扱えるし、何より前の時代の時は何年もリアスちゃんとソーナちゃんの面倒を見ていたから、いくら中身が別にしても短期間でそれなりの成長が出きるトレーニング方法をいーちゃんなら考えられた。

 

 けれどリアスちゃんは失敗した。

 自分達を鍛えてくれ――ではなく、戦力になれと言ってしまった。

 

 その時のいーちゃんの何とも言えない顔はハッキリ覚えている。

 いーちゃんが一番嫌いな『他力本願』という地雷を踏んでしまったのがよりにもよってリアスちゃんだったから。

 

 

「わぁ、兵藤とマコトの小さいときの写真がたくさん……。

はー……この時から生意気そうな目つきしてんのねアンタは?」

 

「………………」

 

「マコトちゃんが居ないと絶対に写真を撮らせようとしなかったから、苦労したものだわ~」

 

 

 まあ、正体どころか疑わしい面しか見えないいーちゃんにそんなお願いが誰でも出来る訳ではないと思うし、仕方のない事なのかもしれない。

 

 

「マコトちゃんからこの子が学校でどう過ごしているかは聞いてるのだけど、桐生さんから見てもやっぱりこんな調子なの?」

 

「まー……そうですね。

私はマコトと気が合って友達やってますけど、息子さんとはまともに話をしたことは無いですねぇ……」

 

「はぁ……やっぱり。

ごめんなさいね……昔からこの子は偏屈というかなんというか」

 

「いえいえ、マコトと普通に話をする所は見てますから」

 

 

 まあ、変なフラグがいーちゃんとの間に立つなんて線は完璧に消えたし、別に良いかなーってね☆

 

 

 

 ここ最近、マコトと遊ぶついでに何故か自宅に来るようになった桐生藍華に兵藤一誠としての幼少期に無理矢理撮られた写真を見られたりだとか、宿題なんかをしたりする休日を送ったイッセーが学園に登校すると、お通夜状態の陰鬱とした雰囲気を垂れ流すリアス達も登校していた。

 

 

「なんだ、てっきり退学でもするのかと思ったが……」

 

「学校を卒業するまでは人間界で生活して良いみたいな話に纏まったらしいよ? ただ、婚約者を理由にフェニックスの……えーと誰だっけ? まあその婚約者のフェニックス君が人間界にちょくちょく来るようになったみたい」

 

「仕方ないな、それもこれも敗けた本人の責任だ」

 

 

 一般生徒達は、最早未来も無いと絶望しているリアスに気づいてないのか相変わらず黄色い声援を飛ばしている中、セラフォルーから話を聞いたイッセーだけは冷めた目をしながら『自己責任』だと一蹴する。

 

 

「あ、リアスちゃんがこっちに気付いたみたい」

 

「………」

 

 

 そのリアスが自分達に気付いたが、石像の様な無機質な目をしていたイッセーと一瞬だけ目が合うなりさっと目を逸らしてしまう。

 

 

「さっさと教室に行くぞ」

 

「うん」

 

 

 同情は無い。

 張り続ける事すら出来なくなったリアスに対する関心はこの瞬間をもって終わったのだ。

 

 

 

 

 敗北により『自由』を失ったリアスの精神はまさにどん底だった。

 好きでもなければ、なんならその性格からなにまで嫌いとすら思っていた男と結婚をしなければならなくなってしまった。

 

 まさに地獄だと、リアスは幼馴染みを相手にその苦痛を打ち明けていた。

 

 

「いっそ殺して欲しいわ……ふふ、かつてのように三大勢力同士で戦争でも起こらないかしら?」

 

「リアス……」

 

 

 恐らく今この世で一番自分の苦痛を理解してくれるソーナは、自棄になっているリアスに対して悲しげな顔だ。

 

 

「弱気になるのはまだ早いし、チャンスはあるわ。

例えばライザー・フェニックスが人間界の芸能界のような不祥事を起こせばそれを理由に解消できるかもしれない」

 

 

 完全に滅入っているリアスに、気休めであるとはいえ一番現実にありえそうな事を話すソーナ。

 

 

「ふふ、そうだと良いけどね……」

 

「そ、そんな弱気にならないでリアス! それより例のお姉様の眷属候補は――」

 

「今朝二人で登校している所を見たわ。

私に気付いて目が一瞬だけ合ったけど『どこまでも興味の無い目』だったわ……」

 

「あ、相変わらず人を見下した態度ね……」

 

 

 姉の眷属候補らしい二人組の片割れのことは、先日『クソ雑魚ド貧乳まな板眼鏡』と罵倒された恨み踏まえて、ナチュラルに他人を見下したような態度に腹を立てる。

 

 

「あんな性格の悪い男がお姉さまの眷属になるかもしれないと思うと虫酸が走るわ……!」

 

「けれど多分実力自体はセラフォルー様が見出だすだけのモノを持ってると思うけど……」

 

「そういう問題じゃないわ……! そもそもそれだけの実力を持っておいてリアスに協力しないなんて……」

 

「いやそれは―――本人にハッキリ断られたし」

 

「断るってなんなの!? 何様よアレは!!?」

 

「…………」

 

 

 いつの間にかイッセーに対する不満に切り替わり、次々と不満を口に出すソーナ。

 

 それこそ1時間は尽きずに不満をぶちまけていく訳だが、突然ソーナはハッと閃いた顔をする。

 

 

「? どうしたのソーナ?」

 

「そうよ、この手があったわ」

 

「はい?」

 

 

 何かを閃いたとばかりにニヤニヤするソーナにリアスは首を傾げる。

 

 

「確かライザー・フェニックスがアナタの様子を見に人間界(コッチ)に来るのは明後日だったわね?」

 

「残念なことにね、それが?」

 

「その時に―――――――――――して―――――すれば良いのよ」

 

「なっ!? そ、それは流石に……」

 

「これしか無いわ!」

 

 

 その話に絶句しながら、それはリスクが大きいと難色を示すリアス。

 一体全体ソーナは何を閃いたのか、それは今より二日後の放課後まで時を進める必要があるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 概ね平穏な日々を今日も過ごせたなと思いつつ自宅に帰ろうと、自分の靴が入った下駄箱を開けたイッセーの目に飛び込んできたのは、全く見覚えの無い小さめの便箋だった。

 

 

「……?」

 

「どうしたのいーちゃん?」

 

 

 謎の便箋が自分の下駄箱に入っているので、軽く固まっていたイッセーに気付いたセラフォルーこと世羅マコトがひょっこりと横から顔を覗かせる。

 

 

「なにそれ?」

 

「知らん、オレんとこに入ってた」

 

 

 趣味が女子風味の便箋を手に取り、名前が書いてないかと表と裏を確認するが差出人は書かれていない。

 誰かが間違えていれたのか? と考えながら中身を確認してみようとマコトと共に中身を読んでみる。

 

 

「えーとなになに? 兵藤君へ、旧校舎の裏にお一人で来てください。

私はアナタの『秘密』を知っています。そしてどうしても打ち明けたい事があります……だって?」

 

「誰が?」

 

「さあ?」

 

 

 どうやら間違いではなく、イッセー宛で、しかも呼び出しの手紙らしい。

 意味がまったくわからず、知ってそうなマコトに聞いてみるも、読んでる途中から表情が無になりかけていたマコトは急にツンツンとしている。

 

 

「で、どーするのよ?」

 

「何キレてんだお前? んなもん行くわけ―――いや、この秘密を知ってるってのが気になるな……」

 

 

 通常なら完全にガン無視案件なのだが、手紙に書かれている『アナタの秘密を知っている』という文字が引っ掛かるイッセーは、ツンツンしてるマコトに声をかける。

 

 

「秘密ってのがなんなのかは知らないが、状況と内容によっては消さなきゃならない。

だからオレが先にこの指定された場所に行ってみるから、お前は悟られずに様子を見てろ」

 

「む……まあ、いーちゃんにラブレター出す子がどんな子か気にはなるし、確かに秘密ってのがどんな秘密なのかは、内容によっては抹殺しないといけないもんね。いいよ」

 

 

 

 秘密を盾に脅すつもりなのなら、その記憶ごと消すと意気込むイッセーに、マコトも放置するわけにも無視するわけにもいかないと同意すると、旧校舎裏へと向かうのであった。

 

 

「でもその子が秘密を盾にいーちゃんに迫ったら私、何やらかすかわかんないからね?」

 

「は?」

 

 

 

 

 

 

 

 そもそも本当にあんな手紙ひとつで来るとは思ってなかったリアスは、頼んでもないのに人間界に来て既に自分の男面をしているライザーを隣に目を見開いて驚いた。

 

 

「う、うそ……ほ、ほんとうに来た……」

 

 

 読んでも無視して来ないと思ってたイッセーがひとりでやって来たと驚くリアスに、隣に立つライザーが怪訝そうな顔をする。

 

 

「アレがレヴィアタン様の眷属候補なのか? 随分とみすぼらしいというか……」

 

「ええ、本当です。

姉に何度も確認しましたが、間違いないと言っていました」

 

「そのレヴィアタン様の下僕候補が俺のリアスにねぇ……?」

 

 

 そう言いながらライザーの手はリアスの赤髪を撫で、撫でられているリアスの顔は嫌悪そのままだった。

 

 

 

「……………………」

 

 

 

 そして呼び出された側のイッセーはといえば、リアスとソーナ――そして金髪のチャラそうな男が居ると認識しつつ三人の前に立つ。

 

 

「あ、あの……」

 

「………………」

 

「まずは来て頂いてありがとうございます」

 

「……………………」

 

「? おいお前、返事は?」

 

「…………………………………………」

 

 

 

 この三人の他に、其々の眷属達が取り囲むように隠れて様子を伺っている気配を感じるイッセーは、セラフォルーが彼等に悟られずに自分の様子を見ていることを確認しながら、嫌々口を開く。

 

 

「こんなモノを寄越して呼び出す理由はなんでしょうか?」

 

 

 

 なるべくライザーを視界に入れず、ソーナとリアスだけを視界に入れながら、呼びつけてきた理由を訪ねるイッセーの態度は当然敬意も畏まる気配も感じられず、いくら魔王の眷属候補だという噂があるにせよ、そもそもまだ転生悪魔ですらない人間風情と思っていたライザーが、事前にソーナからもたらされた『情報』で腹を立てていたのもあり、突っかかるように口を挟む。

 

 

「礼儀が大分なっちゃいないなお前? それが貴族である俺達に対する態度か?」

 

「…………………………………」

 

 

 魔王の眷属の候補だろうが純血の悪魔である以上、根本的な地位はこちらの方が遥かに高いとライザーはイッセーを見下すように言うが、イッセーはといえばそんなライザーの声を無視するどころか一瞥すらくれることなくリアスとソーナに質問を続ける。

 

 

「早く理由を言ってくれますか? こう見えて忙しいので」

 

「コイツ……!」

 

 

 まるで居ない者扱いのような態度にカチンと来たライザーに、リアスは内心ハラハラしつつ、不安そうな眼差しをソーナに向ける。

 

 

「理由は―――」

 

 

 そんなソーナは相変わらず自分達に対する無関心そのものな態度のイッセーに内心ムカムカするし、ド貧乳呼ばわりしてきた事を思い出して更にムカムカする精神を抑え込みながら前以て考えていた偽の呼び出し理由を話そうとしたのだが……。

 

 

「貴様! 下僕になれてもいない分際でなんだその態度は!?」

 

「……………………………」

 

 

 その前にイッセーの態度に我慢ならなくなったライザーの怒声のせい――いやお陰でわざわざ嘘の理由を話す必要はなくなったと内心ソーナはほくそ笑んだ。

 

 そしてここに来て初めてイッセーの視線がライザーに向けられる。

 

 

 

「何やら勘違いをしているようだからハッキリさせてやる。

まず俺はライザー・フェニックス。フェニックス家の三男で純血悪魔であり、このリアスの婚約者だ」

 

「………………」

 

「………」

 

 

 コイツが? とここで初めてライザー・フェニックスを知るイッセーだが、実は前の時代でも顔を合わせた事がある。

 しかし本人は既にライザーの事は記憶から抜け落ちており、寧ろ覚えている者といえばやかましいレイヴェル・フェニックスだった。

 

 

 

「………」

 

「ソーナから聞いていた通りの傲慢さだ。

だがそれもここまでだ」

 

 

 セラフォルーから聞けば、レイヴェル・フェニックスは現在ライザーの僧侶としてこの前のレーティングゲームにも出ていたらしいが、その中身はただの貴族の小娘程度だと聞いた。

 その時点で元々金髪の女に対する苦手意識があったイッセーとしてもなんの興味も抱かなかったのだが……。

 

 

 

「貴様が魔王様の眷属候補である事を盾に、リアスに迫っていた話は既に聞いた。

貴様を呼び出したのは、この俺が話を着ける為だ」

 

「………………………………………あ゛?」

 

 

 それはそれとして、ライザーの発言にイッセーはそれまでの顔色悪めの無表情顔を初めて『歪めた』。

 

 

 

「…………………………………………………なんの、話ですか?」

 

「い、いや……そ、その……」

 

「……………………………」

 

 

 誰が何時こんなのに迫った? と、まずは全力でこの場から逃げたそうにしているリアスと、何故かニヤニヤしているソーナを睨むイッセーにライザーが鼻を鳴らす。

 

 

「ふん、ここに来て誤魔化そうとしても無駄だ。

我が将来の嫁であるリアスに、下僕――いや人間風情が手を出そうなど恥を知れ」

 

「……………………………………………………」

 

 

 完全にこの男は自分に対してあらぬ話を吹き込まれて、それを信じているのだと確信したイッセーは、どちらかがそのデマを流したと理解した。

 

 

「だから俺がお前に教えてやるのさ。

我等悪魔の『格の違い』をな」

 

「……………………」

 

 

 そう言ってフェニックスの魔力性質である炎を放つライザーに、イッセーは察した。

 なるほど、要はこのまま自分が抵抗する形でぶちのめすようにリアスとソーナのどちらかが嵌めにかけてきたのだと。

 

 

「………。全員―――」

 

 

 

 上等だこの野郎。

 誰に喧嘩を売ったか秒でわからせてやる……。

 

 

 

「ぶち殺して――」

 

 

 

 と、元々普通にド短気であるイッセーは、周辺の眷属もろともまずは殺さない程度にぶちのめしてやろうと、ライザーの放つ魔力を押し返してやろうと自身の魔力を解放しようとしたまさにその瞬間だった。

 

 

 

「っ!?」

 

「むっ!?」

 

「こ、これは……!?」

 

 

 

 髪の色が漆黒に染まり、その瞳の色がアメジスト色へと変わったイッセーの背後から突如転移の魔方陣が現れ、ソーナ、リアス、ライザーは硬直する。

 

 その魔方陣から感じる圧倒的にて寒気のする魔力に。

 

 そして転移の光と共に姿を現したその人物に……。

 

 

「ストップいーちゃん。

どうやら私が『直接』この子達とお話しないと収まらないみたい☆」

 

 

 四大魔王の一人、セラフォルー・レヴィアタンその人なのだから。

 

 

「…………」

 

「やっほー、皆元気~?☆」

 

「レ、レヴィアタン様!?」

 

 

 やはり魔王という地位は凄いものらしく、その姿を晒しただけでその場の全員が――それこそ物陰から見ていた各々と眷属達も慌てて飛び出てきてはセラフォルーに対して膝を折って頭を下げている。

 

 ただ一人、妹のソーナ以外は……。

 

 

「な、何故セラフォルーお姉さまが?」

 

 

 とはいえ、姉が直接現れるとはまでは予想できていなかったらしく、動揺という文字が思いきり顔に書いてある。

 

 

「んー、マコっちゃんからヘルプの連絡が来てね? なんか私のいーちゃんがキミ達に囲まれて詰められてるって☆」

 

『………』

 

 

 その格好通りの緩さ満載な口調で来た理由を話すセラフォルーだが、目だけは完全に笑ってない事を誰もが悟る。

 

 

「で、なんだっけ? いーちゃんがリアスちゃんに手を出そうとしたってなぁに?」

 

「そ、それは……」

 

 

 その目だけは笑っていない姉に、ソーナは初めて姉に対する恐怖感を抱きながらしどろもどろになる。

 

 

「おかしいなぁ、マコっちゃんから聞いてる限り、普段いーちゃんはアナタ達との関わりが皆無なはずなんだけどなぁ?☆」

 

「は? そ、それは本当ですか?」

 

「そうだよライザー君。

うーん、どうやらキミは妹かリアスちゃんのどっちかに騙されたみたいだね?」

 

「なっ!?」

 

(ばっ!? 私の方を見ないでちょうだい!)

 

 

 セラフォルーの言葉に、ここで騙されていたと理解したライザーが咄嗟に今回の話をしてきたソーナを見ことで、誰がこの絵図を描いたかハッキリしてしまう。

 

 

「そっかー……おねーちゃんは悲しいぞソーたん? 私のいーちゃんを嵌めようとするなんて?」

 

「そ、そんなつもりは! ……ぐ、しかし私は納得できません! この男がお姉様の眷属候補だなんて!」

 

 

 そう恨めしい視線をイッセーに向けるが、既にイッセーは主であるセラフォルーの後ろで片ひざを付いて頭を下げたまま微動だにしていない。

 

 

「うーん……まあいーちゃんは気難しい性格だからねぇ。

とはいえ別に理解も納得もしてくれなくて良いよ? どうせ誰にも理解なんて出来ないだろうし?」

 

 

 『頭をあげて良いよいーちゃん』とセラフォルーが言えば機械のように立ち上がってセラフォルーの背に控えて直立不動となるイッセーに、ライザーとリアス達はここで漸く『あ、やばい、これ本当に眷属になるんだ』と理解させられると同時に顔が青くなる。

 

 

「私が今ここで言いたいのはねソーナちゃん――

 

 

 

 故に彼女達はここで知るのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 つまんない理由でいーちゃんを嵌めかけたアナタ達を今からどうにかしてしまいそうなくらい腹が立ってるって事なんだよ☆」

 

 

 

 ノリが軽すぎる、趣味が子供で親しみやすい魔王で通っているセラフォルー・レヴィアタンの怒りはまさに『魔王』なのだと。

 

 

 

「大方、ライザー君との婚約を無理矢理解消させる為にいーちゃんを使おうと考えたんでしょ?

例えばそう、いーちゃんがリアスちゃんに手を出そうという話を吹き込んで、ライザー君と潰し合わせるとか」

 

「っ……!?」

 

「そ、そうだったのかソーナ? お前、俺を利用して……」

 

 

 ほぼ言い当てられてしまって思わず目を逸らしたソーナを見てライザーが怒りを声をあげようとするが、即座にセラフォルーが『今はおとなしくしてて』という意味で手を軽く挙げたので、そのまま閉口する他なく俯く。

 

 

「うん、今の状況から抜け出す為の考え方としては80点くらいはあげられるかな。

確かにこのまま誤解したままのライザー君が喧嘩を始めたら、ライザーくんはこの世から消えてリアスちゃんは結婚しなくて済むだろうし、貴族の悪魔を殺したとなればいーちゃんを排除しろという声で溢れ返って眷属どころでなくなる」

 

「………」

 

 

 まるでライザーを苦も無くイッセーなら殺せるだろうと話すセラフォルーに、異議を唱えたかったライザーだが、笑ってるのに目が怖すぎるセラフォルーに恐怖して声が出せない。

 

 

「ど、どうしてそこまでしてその男を……」

 

 

 姉の放つ殺意にショックを受けつつも、それでもやはり解せなかったソーナは声を振り絞り、そこまでして傍に置きたがる理由を訊ねる。

 すると姉は……妹のソーナですら生まれて初めて見るような――言うなればそう、恋する少女のような表情と共に言うのだ。

 

 

「多分あれこれ理由を言っても皆には解らないだろうし、解って貰うつもりもない。

だから一言だけ――――――ただ私はいーちゃんが大好きだからだよっ☆」

 

『…………』

 

 

 シンプルすぎるけど、彼女の立場からすればあまりにも『重い』その理由を。

 

 

「だから、私は私といーちゃんの繋がりを切ろうとしたり邪魔をしようとする人達は誰であろうと――――肉親であろうとも許さない」

 

 

 悪魔の執事として最期まで――両目を抉られようとも、手足がちぎれようとも、その最後まで自分達を守る為に盾になり続けた不器用な男の子への想いをただのセラフォルーとしてこの世界の者達に刻み込むのだ。

 

 

 

「それでも納得できないって言うなら掛かってきなさい? おねーさんが手慰み程度に遊んであげるぜっ?☆ ね、いーちゃん?」

 

「は、全てはセラフォルー様の為に」

 

 

 そして刻み込まれた悪魔達は強制的に知るのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やー、つい我慢できなくて変装止めて飛び出しちゃった☆」

 

「ある意味助かった感はあるわ。

あのままだったらソーナもろともマジで殺しそうだったからな……」

 

「うん、流石にこの時代とはいえ妹は妹だからさ……ごめんね?」

 

「ああ、別に良いさ。向こうからしたら正しくオレは意味不明な存在にしか見えんだろう――な、なんだよ?」

 

「や、折角久しぶりの『正装』だから……だめ?」

 

「……」

 

「えへへ、皆のいーちゃんだったけど、今は私だけのいーちゃんなんだよね? ヴェネラナのおば様がしていた事も今は私だけがしてあげられるしー☆」

 

「………………」

 

「だからね、昔してくれた時のように、またキスがしたいなぁ……?」

 

「や、やめろ……そんな顔でオレを見るな……!」

 

 

終わり

 




補足

執事が鬼のように短気なのはわかってたので、助け船を出すついでに完全に釘を差したセラフォルーさん。

そして帰りにお外でなんかしたらしい



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