色々なIF集   作:超人類DX

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続き、悪ふざけ続行


根が似てる者同士

 

 

 同盟なんてものは自分(テメー)と相手の実力が互角だからこそ始めて成立するものだと思っている。

 

 

「キイッ!!」

 

「ガハッ!?」

 

 

 自分(テメー)の実力が伴っていない癖に、同盟だなんて言い回しで相手に付け寄ろうとする場合、それはただの『寄生』というものだと俺は思う。

 

「雑ァ魚が」

 

「ぐ……ぐふっ……!」

 

 

 そんな相手にはまず一発かますという事が大切なのだと、ガキの頃にサーゼクスやセラフォルーに教わった俺は、『テメー等とは五分なんかじゃない。明確に此方が上』ということを示さなければならない。

 

 そんなに甘い汁が吸いたいのなら、役に立たないなりの誠意を示しやがれと。

 

 まあ、こんなことをわざわざ言わなくても、炎蓮のババァは解ってるとは思うが、インパクトってのは大事だからな。

 だから俺は雪蓮と冥琳に協力させ、ガキの頃見た映画のシーンを自分なりに再現させたって訳だ。

 

 

「自信満々で吹っ掛けて来ておきながらこの程度か女? あ? コラ?」

 

「あがっ……がっ!?」

 

 

 

 ヴェネラナのババァやら女共は、そういう映画を観ようとすると決まって『教育に悪い』とかなんとか言って禁止にしてきたけど、こっそりジオティクスのおっさんやサーゼクスが見せてくれた――そんなガキの頃の自分を思い出しながらな。

 

 

「ババァ達と対等な同盟? 笑わせるな。

貴様等は精々曹操共の戦力に対応する兵力の水増し要因が精々であることと知れ」

 

 

 

 俺は嘗められるのは嫌いなんでね……。

 

 

 

 

 自作のグラサンを掛け、所謂『全員悪人モード』となった一誠、雪蓮、冥琳の三人による輩丸出し会談により、劉備達は自身の『のっぴきならない状況』等も相まって、完全に呉側に有利な同盟を組むことになってしまった。

 

 

「何とかこれで、私たちの安全は保証されましたが……」

 

「こ、これではまるで同盟ではなくて、孫堅さん達の勢力に吸収されてしまったようなものです……」

 

 

 自分達が想い描いていた同盟とは掛け離れた、ただただ呉のパシり的な立ち位置にさせられてしまったと肩を落とすのは、金髪の赤目で帽子を被った少女、諸葛亮孔明だ。

 

 例の江東の悪鬼なんて本人からしたら勘弁願いたい二つ名を持つ黒衣の青年からド級のセクハラ発言と共に罵倒された悲劇過ぎる少女の一人だ。

 

 

「それにしても孫策さんと周瑜さんもそうだったけど、あの悪鬼の人……思っていた人と違ってたね」

 

「は、はい……。

もっとこう、あの妖術のような力と同じく冷酷な方だと思っていました」

 

「大丈夫朱里ちゃん……?」

 

「うん、大丈夫だよ雛里ちゃん。

でも何であの人、私が………えと、あの、あれなのを知ってたのかなとは思うけど……」

 

 

 初対面なのに罵倒はするわ、ド級のセクハラ発言はされるわで、散々な目に遇わされた諸葛亮は友人であり、これまたちんまい見た目をしている鳳統という少女からの心配の声に大丈夫だと返しつつも、そもそも何で彼が知っているのかが疑問だった。

 

 

「や、やはり私は反対です! あんな獣以下としか思えぬ男の近くに居たら桃香様が何をされるか……!」

 

「いやー……多分それは無いと思うよ愛紗ちゃん。

あの人、目元が真っ黒で殆ど見えなかったけど、無茶苦茶言ってる割りには全然目が合ってなかったし……。

もしかしたらだけど、あの人の演技なのかも……」

 

 

 別の世界線では深い関係になってしまっていたのかもしれない劉備が何気に大当たりな発言をしているが、そんな事等当然愛紗と呼ばれた関羽にしてみたら信じられる訳もない。

 

 

「とにかく今は態勢を建て直す事が先決だよ……。

悔しいかもしれないけど、今の私達はあの人の言っていたように、孫堅さんと対等な同盟を組むだけの力は無いから」

 

 

 そんな関羽を劉備は宥め、今は耐える時だと言うのであった。

 

 全ては『異様な』兵達の強大さ。

 そんな兵達を取りまとめる更に『異様』な武将等の力。

 

 『異様』な白い衣装を着た男の人間離れした強さに成す術も無く追い込まれてしまったからこそ、大陸で噂されし天の御使いに対抗できる可能性のある天をも滅ぼす悪鬼の力が必要なのだから。

 

 

「多分、曹操さんや天の御使いに対抗出来るのはこの国の人達と―――あの人だと思うからね」

 

 

 

 

 

 

 異質な兵力と一人一人の力の異常さを体感させられたからこそ、その対抗馬となる可能性の高い存在の力を借りなければならない―――というのが劉備達の真の目的。

 

 しかし劉備達からすればその存在はあくまでも噂程度にしか聞いてはおらず、直接その力を見た者も黄巾党討伐の際や陽人の戦いの際に単騎で呂布を無力化した時ぐらいしかない。

 

 一応陽人の戦いの後、実は密かに匿うことになった当時の総大将や一部その仲間達がおり、その内の一人である呂布が言うには『冷たくて何も感じない――と思ったら殺気を剥き出しに威嚇する犬みたいだった』との事だったが、それだけでいまいち要領が掴めない。

 

 故に先ずは悪鬼だとか呼ばれる黒衣の青年の力がどういったものなのかを確かめようと、ただの客将的な立場で彼の行動を仲間達と共に調べることから始めたのだが……。

 

 

「アナタ達って覗きの趣味でもあるのかしら?」

 

「何の目的があってウチの一誠の行動を覗いていた?」

 

「正直に言った方が良いよ? まあ、正直に言っても内容によっては許さないけど」

 

 

 解ったことは、武官と思っていた男は普段は雑用の様な仕事ばかり行い、恐ろしいほど無口な男であったということだった。

 寧ろ、最初の会合の時に散々罵倒してきたあれは何だったのかと思うほどに限られた相手としかまともに会話もしていない。

 

 本当にこんな男が? という疑問まで浮かび上がり始めた劉備達だったが、呉に逃げ延びてから暫く経ったある日、遂に孫策等に自分達の行動がバレてしまったのだ。

 

 

「その……曹操の所には天の御使いと呼ばれている男の人が居て、ここに逃げ延びる前に一度交戦した事があったのだ」

 

「だから? それと私達の一誠と何の関係があるのかしら?」

 

「か、彼が不思議な妖術を使って貴殿等を何度も勝利に導いたという噂があってな。

もしかしたら曹操に対抗できる程の者かもしれないと少々興味が……」

 

「ほう? それで、貴様達には一誠がどう見えた?」

 

「ふ、普通といいますか、普段は殆ど人と喋らない人なんだなー……みたいな?」

 

 

 下手に誤魔化せば、同盟どころではなくその場で殲滅させられると思った劉備達は観念するように一誠に対するイメージを話す。

 するとそれを聞いた雪蓮と冥琳と小蓮は一度お互いに顔を見合わせながら深々とため息を吐く。

 

 

「妙に同盟にこだわった理由がわかったわ……」

 

「要するに、曹操と天の御使いに対抗するには一誠の力が要だと貴様達は思った訳だな?」

 

「……。まあ、当たりではあるんだけど、そういうのイッセーが一番嫌う事だから、このまま国外に追い出されたくなかったら大人しくしておいた方が良いよ?」

 

『………』

 

 

 一誠の言っていた通りだったと、劉備達からの話を聞いて思った三人は、このまま炎蓮に報告しようかと絶妙に悩む。

 というのも、炎蓮は悪意の有り無しに拘わらず、己のモノと思った存在が他所からちょっかいをかけると、笑いながら敵を切り殺す癖があるのだ。

 何より一誠は炎蓮の一番のお気に入りなのだから。

 

 

 

「知りたいのなら、そんな隠れるような事はしないでもう少し堂々としていて欲しいわ」

 

「もっとも、アイツは『他人』と接することを嫌う奴だ。

お前達が何をしようとアイツは相手にはせんだろうが……」

 

「その通り。

アナタ達が気になる一誠の強さに関してだけはシャオが教えてあげるから、これ以上そうやって一誠の事を目で追ったりはしないで? そうじゃないと、シャオ、間違ってアナタ達のその目に指突っ込んでくり抜いちゃうかも……?」

 

『』

 

 

 先程から妙に孫尚香と呼ばれる少女が、一切輝きの無い目をしながら過激極まりない台詞を、関羽といった武官達ですら寒気を覚える殺気を放ちながら言うせいで、すっかり縮こまる劉備達。

 

 

 

 

 

「あちゃー……怒ってるねぇ雪蓮達」

 

「やっぱ寄生目的じゃねーか」

 

「一誠から見たらそうだね。

んーでもそれだけじゃないというか、単純に一誠の力を知りたいんじゃないかな?」

 

「知ってどうなるんだ? 今からあの女共を半殺しにしてやれば良いってか?」

 

 

 

 そんな雪蓮達の静かな怒気に当てられて小さくなる劉備達を少し離れた場所から見ていた梨晏は、お気に入りである一誠自作のお茶とお菓子を頂きながら、吐き捨てるような言葉を吐く一誠に、『ホント、仲良くなれて良かった……』と心底思うのだったとか。

 

 

「わ、わかったこうしよう! 今から私達の何人かが彼に模擬戦を挑むという形にしてはどうだろうか!? そうすれば直接知ることが出来るし……」

 

「うむ、実は私も彼の武の腕には興味があるのだ。もし了承してくれたら恋――あ、呂布にも声を掛けるぞ」

 

「「「………」」」

 

 

 

 

 

 

「呂布……?」

 

「あれ、その名前って確か前の戦いの時に一誠が結構疲弊しながらも討ち取った相手だよね? てっきりあのまま死んだと思ったけど……」

 

「ああ、全身の骨を砕いてやったつもりだったんだが……。

まあ、あの時は今より更に弱ってたから、仕留めきれなかったのかもしれんが……」

 

 

 

 という、なんか良く解らないというかかなり無理くりな流れで劉備の抱える武将とバトルすることになってしまった一誠だったが、冒頭にあった通り、まずは関羽をボッコボコにしてやったのである。

 

 

「次」

 

「も、もうじわげありまぶぇん、どうがじゃま……」

 

「よ、良かった……! い、一応手加減はしてくれたんだね……?」

 

「愛紗の顔が腫れすぎて蜂の大群に襲われたみたいになっているのだ」

 

「は、はわわ……!」

 

「あ、あわわ……!」

 

 

 美人系統の顔面が、話を聞いて飛んで来た張飛という名の少女が言った通りにボコボコに晴れ上がっている愛紗はそのまま意識を失う中、次は私だと意気揚々と出てきたのが水色の髪に赤い目を持つ趙雲という女性であった。

 

 勿論、先に出た関羽が一切の反撃も出来ず半殺しにされたのを見ていたので、油断はせず最初から全力で挑むのだが……。

 

 

「へ……?」

 

 

 開始早々、先手必勝とばかりに槍による刺突を試みた趙雲だったが、急所となる喉元に切っ先が入った筈だったというのに、何故か一誠は全く動じる事なく受けきるばかりか、思わず手を止めてしまった趙雲の持っていた槍を掴み、そのままへし折ったのだ。

 

 

「う……うそん?」

 

 

 思わず現代人っぽいリアクションをしてしまった趙雲に一誠はなんの容赦も無く肉薄すると、呆然としていた彼女の顔面に全くの躊躇いの無い拳を叩き込む。

 

 

「ひでぶっ!?」

 

 

 どこかの世紀末モヒカンみたいな断末魔ともに乱回転しながらぶっ飛び、そのまま死にかけのカブトムシみたいに痙攣して動かなくなってしまった。

 

 

 

「せ、星ちゃんも一撃で……」

 

「は、はわわ……」

 

「あわわ…! す、凄い……」

 

 

 

 決して弱い訳ではない、愛紗も星も寧ろここまで共に修羅場を潜り抜けてきた。

 それがどうだ、まるであの時の天の御使いとその兵達と対峙した時のような圧倒的な差があるではないか……。

 

 

 

「………次」

 

 

 やはり悪鬼の噂はその通りであったと劉備が戦慄する中、無機質な表情をしたままの一誠という、恐らくは真名であろう青年は、道に落ちている小石を見下ろしているような冷たい目をしながら次の相手は誰だと言っている。

 

 

「予想の通りね」

 

「当然だろう、今の一誠を武で追い込めるのは炎蓮様ぐらいなものだからな。

しかし気になるのは奴等の言っていた話だ」

 

「? 何が気になるのよ?」

 

「まだ断片的にしか聞いてはいないが、もし奴等の話が本当だとするなら、曹操の抱える天の御使いの男の実力は一誠や一誠に鍛えられた私達に匹敵するのかもしれん……」

 

「それは――そうだったとしたら楽な戦いではないわね」

 

「大丈夫だよ、相手がどれだけ強くてもシャオ達も一誠も死なないよ……」

 

 

 劉備達が言っていた断片的な話から、ひとつの懸念を導きだした冥琳に、雪蓮と小蓮はこれまでの戦いとは比べ物にならない戦いになるのかもしれないと少しだけ気を引き締めながら、妙に楽しげに挑み掛かってくる張飛なる少女の額にデコピンして吹き飛ばす一誠を見る。

 

 

「うー……本当に強いのだ兄ちゃん」

 

「……………」

 

「でも鈴々はまだ降参していないのだ! さぁもう一度なのだ兄ちゃん!」

 

「………………………………」

 

 

 

 

 

 

「…………………ねぇ、雪蓮姉様、冥琳。

あの張飛とかいうの、凄く気にくわないんだけど、シャオが一誠の代わりに消して良いのかな?」

 

「あ、いや……消しちゃダメよ小蓮?」

 

「……。言われて見たら確かに、先程からあの張飛といい、劉備の傍で見ている諸葛亮やら鳳統といった小娘も一誠を見てる目に恐怖を感じない……」

 

「だよね? アイツ等も今の内に殺っちゃった方が……」

 

「ま、まあまあ……」

 

 

 

 相手の力を利用する型で張飛の力を流しながら、先ほどの女性二人とは違って顔面に拳を叩き込むとかはせず、ただ投げ飛ばしている一誠を見ながら、どんどん目のハイライトを消していく小蓮と、軍師的な立場からなのか、諸葛亮と鳳統が一誠を見ている妙な目が本能的に気に入らない気分になる冥琳に、珍しく宥める役をやっている雪蓮。

 

 

「むー……鈴々は兄ちゃんの妖術が見たいのだ」

 

「………あ?」

 

「前に見たのだ。兄ちゃんが手からぴかーってやって敵や大地をカチンコチンにしてたのを! それが見たいのだ!」

 

 

 

 

 

 

「……あれ? 何故かしら、私も段々苛々してきたわ」

 

「でしょ? あの女達みたいにさっさと黙らせれば良いのに……」

 

「おい、奴が一誠の魔力について言及した途端、あの小娘二人が身を乗り出したぞ……」

 

「何かの芸と勘違いしてるんじゃないの……?」

 

 

 

 しかし、子供特有の図々しさをこれでもかと発動させてくる張飛に、ついに雪蓮もイラッとし始め、梨晏も梨晏で一誠が普段そんな簡単に魔力を使うことはしないことを知っていたので、声が少し低くなっている。

 

 そんな四人の様子を知ってか知らずか、一誠はといえば妙にキラッキラとした期待の籠った目で此方を見上げてくる張飛とかいう小娘に対してどうしたものかと考えていると、訓練場の入り口から盛大な破壊音が響き渡る。

 

 

「……?」

 

「へ?」

『…!?』

 

 

 何事だとその場の全員が砂煙立ち上る訓練場の入り口の残骸を見ていると、そこには半ギレながらも獰猛な笑みをこれでもかと剥き出しにする―――まさに虎が居た。

 

 

「い~っせぇ~……」

 

「げ、ば、ババァ……」

 

『』

 

 

 なまじ容姿が整ってるせいか、形容しがたい恐怖を感じる形相で登場したボス虎――というか炎蓮に、一誠も流石に顔をひきつらせた。

 

 

「オレに内緒で随分と愉しそうな事をしているなぁオイ?」

 

「そう思うのはアンタだけだろ……」

 

 

 ヒッ~ヒッヒッヒッ! とどこぞの嶋野の狂犬みたいな声で笑う炎蓮に、劉備達はビビるし、手合わせ中だった張飛も無意識に一誠の服の袖を掴み、雪蓮達も『うわぁ、完全に火がついてる……』とそそくさとその場から離れる。

 

 そして……。

 

 

「そんな連中の相手してる暇があるのなら、オレとヤり合えぇぇぇっ!!!」

 

 

 荒れ狂う激情を剥き出しにした江東の虎は、獲物を見つけたとばかりに襲いかかってきた。

 

 

「チッ!」

 

「にゃ!?」

 

 

 こうなったら話は通じないということは嫌でも理解していた一誠は、巻き添えを避ける為服の袖を握っていた張飛を劉備達に向かって突き飛ばすと、猛獣の様に襲いかかってきた炎蓮を迎撃せんと拳を突き出す。

 

 

「ふはははっ!」

 

「ぐおっ!?」

 

 

 しかしまともに顔面に叩き込んだというのに、炎蓮は寧ろその獰猛な笑みを崩す事はせず、お返しとばかりに一誠の顔面に拳を叩き込んで吹き飛ばした。

 

 

「う、嘘……」

 

「あの男が孫堅に……」

 

「し、信じられん……」

 

 

 当然、勝手に一誠一強と勘違いしていた劉備達は、実は張飛の次は自分の番だとスタンバっていた呂布を含めて驚愕し、訓練場の壁に盛大に身体を打ち付けて崩れ落ちる一誠と、そんな一誠をニヤニヤと嗤いながら見ている炎蓮を交互に見る。

 

 

「おうどうした一誠? お前がこんな挨拶程度で滅入る訳ないよなぁ?」

 

「チッ、発情ババァが、テメーの年考えろってんだ」

 

 

 炎蓮の声に悪態を付きながらも即座に立ち上がった一誠が、ゆっくりと炎蓮へと近付きながら首の関節を鳴らす。

 そんな一誠の変わらぬ反抗的な態度に炎蓮の笑みは更に深まる。

 

 

「落ち着いたオレに火を点けたのは他でもないお前じゃあないか一誠? くくくく、オレのこの熱を冷ますにはお前がオレを抱くか、こうして喧嘩をするしかないんだよ」

 

「嫌でも知ってらぁこの狂暴ババァが……」

 

 

 己の無尽蔵に沸き上がる『熱』を冷ましてくれる唯一の男。

 己の『欲求』を真正面から受け止められるただ一人の男。

 

 表にこそ出さないが、自分と同じ『熱』を持つ同類。

 

 

 

「アンタに一発入れられたせいで、こっちも入っちまった。

くくく……少なくとも俺が満足するまで止めねぇぞ?」

 

「くっくっくっ、そう来なくちゃ面白くない。そしてオレが見込んだ男だ……!」

 

 

 それは恐らく一誠も感じ取っているからこそ――一瞬だけ目を閉じ、そして開いたその瞬間、その瞳はアメジスト色に輝き、その頭髪は鮮血のごとく赤に染まる。

 

 

 

「え、わ、私の見間違いか? 彼の髪の色が変わったような……」

 

「いや、私にもそう見える、なんなら瞳の色も……」

 

「も、もしかして今からあの人の妖術が見られるんじゃあ」

 

「はわわ! ぜ、絶対に見逃さないようにしないとね雛里ちゃん!」

 

「あわわ! そうだね朱里ちゃん!」

 

「………。まだ鈴々の番だったのに……」

 

「元気だして、恋なんて出番すらなかった……」

 

 

 

 

「や、やはりここにおったか! 急に何かに気がついたように立ち上がったと思ったら走り出して……」

 

「そうだったの? 見ての通りよ雷火。

完全に母様に火が入っちゃったわ」

 

「しかも一誠もな……」

 

「良いなぁ母様だけ良いとこ取りで……」

 

「まあまあ……。

後で私達も頼めば良いし……ね?」

 

 

 

 

 

 

「一誠ェェェッ!!!」

 

「死ぬ気で来いやババァ!!!」

 

 

 

 こうして火のついた者同士による喧嘩は日が落ちても終わる事なく、何故か寧ろヒートアップしたのだという。

 

 

「はぁはぁ……ふ、ふははは! 愉しい、愉しいぞ一誠ェ……!

戦場で敵を斬り伏せる時よりも、お前とヤり合うこの瞬間が堪らなくオレは好きだ……!!」

 

「けっ、そりゃあ何よりだなこの狂暴ババァが」

 

「くくく、この喧嘩、もしオレが勝ったらそのままオレを抱け」

 

「くだらねぇな……勝つのは俺だからな!」

 

 

終わり




補足


小蓮ちゃまからしたら、見た目自分に近い小娘が妙にキラキラした目を執事に向けてるのがとても気にくわない。


そして炎蓮さんも、自分に内緒で遊んでることで完全に火がついてしまうのであった。
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