色々なIF集   作:超人類DX

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続き。
ここで無理矢理展開発令


あくまで悪魔の執事にて―――

 

 

 オレは残骸だ。

 

 相棒を守る為に、そして生きていて欲しいと願って相棒を愛した女と共に己の全てを託して消え去った筈の残骸だ。

 

 残骸となったオレはただ完全なる消滅を待つだけだった。

 

 勿論オレもアイツも後悔なぞ無い。

 

 誰よりも自由の為に――自分だけではなくオレ達の自由の為にすら命を張り続けてくれた相棒の為ならばいくらでも己を差し出せれ覚悟は常にしてきた。

 

 ただひとつ心残りがあるとするなら、共に生きるという約束を破ってしまった事だけ。

 

 そんな事を考えながら己の意思が塵となって消えていく感覚と共にオレは永遠に目覚めぬ眠りに付く筈だった。

 

 

 だが残骸のオレは何時までも消えることはしなかった。

 相棒と同じ――されど育った環境が違う相棒の意識の奥底に根付いたから。

 

 他人を信用せず、ただひたすら強さを求め続ける相棒。

 愛する(リアス)の為ではなく、自分を構い続けた悪魔達の為に己を極限まで鍛え続けたもしもの相棒。

 

 紛い物の存在にオレごと奪い取られたもしもの相棒。

 

 

 

 自分達だけだと思っていた『もしも』にオレは憐れではなく怒りを覚えた。

 どこまでもふざけた奴等だと。

 

 

 しかしオレはこのもしもの相棒の力にはなれなかった。

 何故ならこの時代の相棒はオレという存在をも信用はしなかったし、敵として一度は完膚なきまで叩き潰したのだ。

 最早この時代の相棒にしてみれば、オレという存在は奪われた本来の力なぞではなく、明確な『敵』のひとつとしか思っていない。

 

 ほぼ全ての赤い龍としての力が引き剥がされた後、残骸として残ったオレはこのもしもの相棒の行く末を、己の意思の全てが朽ち果てるその瞬間まで見守ることにした。

 魔力を扱い、異常と鍛えた抜いた己の身ひとつで最強を目指すもしものイッセーを。

 

 だが奴等はそれすらも奪おうと、もしものイッセーを外史なぞという訳のわからん世界へと無理矢理飛ばし、挙げ句の果てに再起を果たす為の努力すらも奪った挙げ句、普通(ノーマル)の小僧なんかに埋め付けた。

 

 生きる自由すら奪う。

 努力をも否定する。

 何故そこまで奴等は一誠から奪おうとするのか。

 

 この一誠は赤龍帝であることを剥奪され、尚且つ取り戻す事を拒否した一誠なのかもしれない。

 しかし奪い取られるという一点だけはオレにとっての最後の相棒だったアイツと同じだ。

 

 ああ、気にくわない。

 己の気分感覚で人の生を否定しながら嘲笑う奴等の全てが。

 

 

 ああ、気に入らない。

 力の大半を失い、思う通りに生きることが出来ない一誠を観る事しか出来ぬ己の脆弱さが。

 

 

 ああ、悔しい……!

 

 

 誰よりも強くなりたいだけの一誠を守れぬ事が。

 

 

 少しでも良い、ほんの一瞬でも良い。

 今度こそオレの全てをくれてやる……。

 だから……だから………!

 

 

『やっと……。

オレの声が届いたな日之影一誠……』

 

 

 今一度、奴等を蹴散らし相棒を守れる力を……!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 最強(サーゼクス)との喧嘩に負けた時、一誠はよく独りで高い所に行っては眼前に広がる景色を体育座りしながら眺めていた。

 そうすることで負けた悔しさを誰かに当たり散らす事を防げるし、負けて荒んだ精神を落ち着かせる事が出来たからだ。

 

 

「……………」

 

 

 

 ボコボコに腫れた顔面をしながらシトリー領の広大な自然を見下ろせる崖の上で体育座りをしていた頃が既に懐かしさすら感じる今日この頃。

 存在そのものを否定したがるどこかの誰か共の策略により外史なる異世界へと飛ばされた日之影一誠は現在、顔面こそボコボコに腫れていたりはしていないものの、実に遠い目をしながら呉の本拠地とされる長江以南に程近い寂れた崖の上から体育座りをしていた。

 

 

「………………………」

 

 

 別に誰と殴り合いの喧嘩をして負けたからではない。

 しかし今現在の一誠の胸中は己の全戦力をつぎ込んだ結果敗北した時とほぼ同じ敗北感があった。

 

 理由はそう……いくら力の大半を失ったとはいえ格下と高を括っていた女共やガキに―――ある意味で負けたから。

 

 

「本当に堕ちる所まで堕ちたな俺は……くくくく」

 

 

 正直生々しいので思い出したくはないが、負けたという事実だけは変わらないし変えられない。

 全てが終わった頃には朝になっていて、ただの知り合い程度の関係と思いたかった女共が其々自分の腹なんて撫でながら何か言いたげな顔して見てくるものだからつい『ちょっと一人になりたい』だなんて言って逃げるように飛び出して来たが、時間が経てば立つほど微妙に戻り辛いし、何よりも進化した己の肉体の一部を他人に取り込ませば進化するかもしれないという話が割りと本当だった。

 

 いや、そればかりか己自身も……。

 

 

『お前の事は残骸として残ってからも見てきたから、お前がどういう性格なのかは分かっている。

しかし今は生き残る事を考えるべきだろう……?』

 

 

 意図せず、そんなつもりじゃなく一晩を共にしてしまってから気づかされたある存在。

 兵藤一誠としての全てを奪い取られてからは存在する筈がなかった『兵藤一誠』としての残骸のひとつ。

 

 

「黙れ……。知った風な口を叩くんじゃねぇ……」

 

『………』

 

 

 神器という力。

 そして神器として封じられた龍の意識。

 

 赤い龍。

 

 

『そうだな。

お前にとってオレは所詮、紛い物が奪った力――つまり破壊すべき対象でしかなかったからな。

そんな奴にものを言われたくはないのはわかる』

 

「………」

 

『オレを拒絶しても良い。憎んでも良い。

しかしオレはお前の中から奪われた側のオレではない。

オレは並行世界のお前自身の相棒の――今は残骸なのだ』

 

「知るか。

並行世界だのなんだの――もううんざりなんだよ」

 

 

 曰く、並行世界の一誠の最後の相棒。

 曰く、無神臓の赤龍帝として最愛の悪魔の少女ただ一人の為に戦い続けた兵藤一誠。

 曰く……リアス・グレモリーの為だけに世界の全てに戦いを挑み続けた。

 

 

「ヴェネラナのババァジオティクスのおっさん――同族に裏切られたリアスが居た世界がどうだのオレには関係ねぇ」

 

『解っている。

お前が生きている世界の悪魔達は強い自我を持っているからな……裏切るなぞありえんだろう』

 

「………ふん」

 

 

 自分のようで自分ではない。

 しかし目的の為なら殺人すら辞さない漆黒のような意思と、その意思を反映させた異常に関してだけは理解できる。

 雪蓮、小蓮、冥琳、梨晏の四人との一晩を経て突如聞こえた、絞りカスを自称する赤い龍の残骸の意思との突然の繋がりは日之影一誠にとって驚きつつも忌々しい気持ちにさせてしまう。

 

 

『お前の無神臓の大半をあの変態としか思えん存在―――いや、恐らくは更にその上の存在に奪われ、天の御使いなぞと呼ばれる普通(ノーマル)のガキごときに『ただの力』として使われているのはオレもお前の中に残った残骸として見ていた。

だが、今のお前一人では無神臓擬きに変質させて周囲にばら蒔くだけのガキ共に勝つのは厳しいと言わざるをえん。

オレごときに言われるのは癪だろうが、それはわかるだろう?』

 

「……………」

 

 

 しかしこの赤い龍を名乗る声の主はあまりにも自分を知っていた。

 日之影一誠として生きる意思によって掴んだ異常の事も、その異常の現状も……。

 

 

『これはオレのエゴでしかないのは解っている。

だが、それでもオレはお前にはこの先の未来も生きて欲しいのだ』

 

「俺は並行世界とやら俺――貴様の言う相棒じゃねぇ。

テメーの失敗を俺で代用するんじゃねぇ……!」

 

 

 

 だがこの残骸はまるで自分を、パラレルワールドの自分に対する贖罪の代用にしているような発言に思えてならず、日之影一誠として拒絶しようとする。

 

 

『解っている、お前からしたらオレはとことん身勝手だ。

だがオレはそれでも『一誠』を守りたいのだ……』

 

「……」

 

『残骸と化した身でも、お前の力になることを誓う。

気にくわなければ即座に拒絶しても良い――そしてお前がこの先の戦いを生き抜き、全てを取り戻したその時オレは永遠にお前の中から消え去ろう。

だから……オレと戦ってくれ……!』

 

 

 しかし赤い龍の残骸を名乗る声には全くの悪意を感じられないのもまた事実。

 自覚したからこそ、いや繋がっているからこそ赤い龍の残骸にはなんの悪意も無く、寧ろ本来の相棒だった並行世界の自分に対する『父性』のようなものすら感じ取れてしまう。

 

 何よりも――

 

(赤い龍の残骸を名乗る意思から記憶が流れ込んでくる。

パラレルワールドの俺自身との日々やリアス……グレイフィアに見捨てられたサーゼクスとミリキャスの記憶が……)

 

 

 頭に流れ込む記憶に嘘と言う箇所があまりにも無かった。

 言葉通り、このパラレルワールドの赤い龍の残骸は、本当にパラレルワールドの自分自身と共に戦い続けたのだろう。

 

 

「……」

 

 

 

 今の自分は弱い。

 認めざるをえない程に弱い。

 他人との関わりを避け続けた自分が、その他人を頼らないとならないほどに……。

 

 

 

「俺は神器の使い方なぞ知らん。

知る前に姓共々奪い取られたからな」

 

『! い、一誠……』

 

「全力で俺に神器の扱い方を叩き込め。

……。ガキの頃と同じく堕ちるところまで堕ちたんだ、だったらまた上を見上げて這い戻るまでだぜボケが」

 

 

 他人に歩み寄るということを拒否してきた青年が初めて歩み寄る決意をする。

 残骸から再び昇り詰める為に……。

 

 

 

 

 

 

 

 

『頼むから暫く一人にしてくれ……』

 

 

 ノリと勢いで――かなり強引に一晩を共にした一誠の本気の言葉に雪蓮、小蓮、冥琳、梨晏の四人は今更ながらに凄まじい罪悪感と共にただひたすら一誠の帰還を待っていた。

 

 

「どうしましょう。

もしもこのまま一誠が帰ってこなかったら……」

 

「少し、いやかなり自分達の意思を一誠に押し付けてしまったな……」

 

「うー……いっせー………」

 

「だ、大丈夫だって! 何時もみたいに鍛練してるだけかもだし!」

 

 

 殆ど強引であったと今になってというか、軽い賢者タイム的な時間を経て自覚した四人は、城下の外へと出て行く目撃情報の下、一誠が帰ってくるのを門の前で待ち続けていた。

 

 時間にして約半日、何故か不安そうな顔をしながら城の門の辺りを彷徨いていることに他の面々達に首を傾げられながらひたすら待ち続けていると――

 

 

「「「「い、一誠!!」」」」

 

 

 

 四人の不安が頂点に達したまさにその瞬間、何時もの燕尾服を着た青年が何時もの通り誰とも目を合わさないようにと少々うつむき加減に此方に向かって歩いてくるのを見つけたので、押し寄せる安心感そのままに四人が一誠に駆け寄る。

 

 

「………? なんだお前等……? 何かあったのか?」

 

 

 そんな四人に――何故かは知らないけど泣きそうな顔をしながら駆け寄られた一誠は不思議そうな表情をする。

 

 

「い、いえ……あれから外に出ていったっきり戻ってこないからてっきり二度と帰ってこないのかと…』 

 

「は? なんで?」

 

「……。昨晩の事だ。

その……お前からしたらかなり強引だったから」

 

「は? あー……まあ、事実だよなそれは。

暫くはちゃんと根に持ってやるから安心しろ」

 

「シャオ達の事が嫌いになったと思っちゃって……」

 

「驚きはしたが、アレはそもそも突っぱねられなかって俺の弱さが原因だ。

徒党組まれたから俺は負けた――それだけだ」

 

「じゃあ気にしては無い……の?」

 

「……。気にはするわ。

オメー等が俺にやったアレだコレだなんぞ忘れたくても忘れられねーし」

 

 

 罪悪感そのままな顔をする四人に、一誠は何時も通りのぶっきらぼう口調で『別にオメー等にナニされたから云々で変わるもんじゃねぇ』と言いながら、四人の頭を軽く叩く。

 

 

「第一、俺が負けっぱなしのまま尻尾巻いて逃げる訳がないだろ。

心配なんぞしなくても、あの借りは絶っっっっ……………………………対にッッッ!!! 返してやるから首洗って待ってろや」

 

「「「「え………」」」」

 

 

 一誠の負けん気の強さが伺える発言に四人は驚いた。

 何故なら『もう二度とやらねぇ』と返されると思ったのだ。

 

 これではまるで次もあるかのような……。

 

 

「おら、何時までもこんな場所に居ても邪魔だ。

とっとと帰るぞ」

 

「「「「…………」」」」

 

 

 流石にその真意を聞くのは今ではないと四人は思って聞くことはしなかったが、さっきから妙に一誠が優しいような気がすると、前を歩く一誠に着いていく四人。

 

 

「それで? あんな真似したんだ……。

お前等は何か変化したのかよ?」

 

「へ? え、ええ……気持ち良さの余韻がまだ――じゃなくて、今までにないくらい身体が軽いし力も漲るわ……」

 

「固い鉄の棒を布のように腕力だけで真っ二つに折ることが出来た」

 

「軽く飛んでみたら城の一番上まで飛べたよ」

 

「偶々やってた合同訓練で模擬戦やってたのを見てたけど、皆の動きが止まって見えたかな……?」

 

 

 城の執務室に入り、早速一誠がお茶を出しつつする質問に、四人はあの晩以降に感じた我が身の変化について語る。

 すると一誠は腕を組みながら『ふむ……』と実験は成功したことを悟る。

 

 

「俺の思ってた予定とは違ったが、どうやら単純な身体能力が一気に跳ね上がったのは間違いないな。

まあ、今日はやらんが当然明日はどれだけ上がってるのか試させて貰うが……」

 

 

 そう言いながら『左手の手袋』をおもむろに外した一誠。

 

 

「こいつ曰く、俺の異常は残骸と化しているとはいえ、『繋がり』を持つとその繋がりを持った相手と共に『更なる領域』に進化できるらしい」

 

「「「「え?」」」」

 

 

 そして左腕全体が突然淡い輝きを放つと、一瞬で一誠の左腕に赤い装甲のようなものが纏われていた。

 

 

「………。そうなんだろう? 赤い龍?」

 

『出来ればオレをドライグと呼んでくれると嬉しいのだが、今はその話ではないな。

ああ……お前の無神臓はほぼ完全にオレの相棒だったイッセーの無神臓と同じものだ。

アイツはリアスとの繋がりを強く持ち続けた事で、リアスやオレを同時に進化させ続けてくれた。

だからお前とそこの小娘達が精神的にも肉体的にも繋がった事でお前の進化の残骸によって引き上げられた訳だ』

 

「………だ、そうだ。

つまり曹操共が異様に強くなっているのも――」

 

『十中八九例の天の御使いと名乗るガキだろう。

全員とは言わぬが、奴に近しい者共は確実に進化をしている』

 

「けっ、ある意味俺より使いこなしてるって訳かい……」

 

『いいや、所詮あれは応用のひとつに過ぎん。

個の精神を無理矢理力として植え付けられたガキ共では『無神(イッセー)臓本当の真骨頂』なぞ気付きもせんだろう』

 

「「「「…………」」」」

 

 

 なんか、一誠の左腕に見たこと無い装甲めいたのが現れたと思ったらかなり渋い男の声が聞こえるし、なんか普通に会話してる――と、目の前のワケわからん光景に四人は暫く絶句してしまった。

 

 

『一応言っておくが、いくら今のお前が精神的にも肉体的にも弱ってしまっているとはいえ、それでも培ってきた進化は残っている。

だからおいそれとお前の細胞を他の者に取り込ませるのはおすすめしないぞ。幸いこの小娘達はお前に近しく、お前によってある程度殻を破り始めていたから成功したのだからな』

 

「ふん、言われんでもわかってるわ」

 

「「「「…………」」」」

 

 

 かなり渋い声に対して悪態を付くような態度である一誠。

 

 

「あのー……一誠?」

 

「なんだ雪蓮?」

 

「いやそのー……さっきからその左腕のそれって何なのといいますかー……妙に渋い男の声はなんなのかなーとか……色々と聞きたいことが多いというかー……」

 

 

 若干遠慮がちな雪蓮の質問に、小蓮、冥琳、梨晏の三人も同意するように頷く。

 すると一誠は四人に赤い装甲で覆われた左腕をプラプラと振りながら口を開く。

 

 

「お前等とナニした後に繋がった――消えた筈の力の残骸」

 

「それは精神の力のことなのか……?」

 

「いや――」

 

『違う。

オレは――一誠の力になる為だけの存在だ』

 

 

 一誠がどう説明すべきか微妙に困ったのを見計らったドライグと説明をしようと四人に向かって言う。

 

 

『言葉にすると長くなる。

だからオレに触れてみろ』

 

「「「「………」」」」

 

「まあ、胡散臭いと思うわな。

が、俺も説明するのも怠いし、取り敢えず言われた通りにしてみろ」

 

 

 一誠がそう言うのならと、四人は一誠の左腕に触れてみる。

 するとその瞬間、左腕の装甲が淡く紅い輝きを放ち――

 

 

「「「「っ!?」」」」

 

 

 四人の頭の中に映像として大量の知識と記憶が流れ込む。

 神器という個性な力とはまた別の力の存在。

 神器として封じられ、宿主を転々としてきた赤い龍の存在。

 

 日之影一誠の真の姓。

 本来の持ち主が兵藤一誠という名の――日之影一誠とはまた別の一誠の存在。

 そして何より、兵藤一誠と共に戦い、身を寄せ合い続けた『赤髪の美しい少女』の事……。

 

 

 

「こ、これって……」

 

「一誠だが別の一誠……?」

 

「神器……」

 

「これが一誠の居た『未来』の世界……」

 

 

 ドライグとして見てきた兵藤一誠と日之影一誠の……同じだけど違う一誠の記憶を見終えた四人はゆっくりと左腕から手を離すと、あまりにも荒唐無稽すぎる一誠のこれまでの人生に絶句した。

 

 

『これがオレの相棒だった一誠と、今力になりたいこの一誠を見てきたオレの記憶だ。

オレは……オレは相棒を守ることも出来ずに朽ち果てた筈の龍を名乗ることも出来ぬ残骸だ。

だが、こうしてお前達との繋がりにより残骸だった無神臓によってやっとオレの声が届いた……。

だから、残骸として朽ち果てる前に一誠の全てを取り戻す手伝いをしたい』

 

「……………」

 

『だが今のオレと一誠だけでは奴等から取り戻す事は難しい。

だから……頼む、一誠に力を貸してくれ。勿論、お前達が生き残る為の術は可能な限り教えるつもりだ。

頼む……一誠を支えてくれ』

 

 

 種族を越えた父性と共に人に懇願する龍。

 誰よりも、何よりも守れなかった相棒を守るために。

 

 その残りの命を全て差し出してでも……。

 

 

「正直、コイツに対しては俺は色々とありすぎたひとつだから複雑な気分だ。

だが、コイツが言うようにこれ以上一人で強がっても限界があるのは事実だ。

引き上げた後の責任は必ず取る、だから俺に力を貸してくれ」

 

 

 

 ただこの先の未来を生き続ける為に。

 ドライグに続き、一誠が初めて頭を下げるのを受けた四人はお互いの顔を見合ってから即座に一誠の身に手を伸ばして触れる。

 

 

 

「当然よ。

曹操なんかに……天の御使いなんかに一誠は渡さないわ」

 

「ああ、寧ろ連れていってくれるのは喜んで私は一誠に付いていくさ」

 

「嫌だって言ってもね!」

 

「言われなくても一誠は絶対に離さないよ……!」

 

 

 他者と真に繋がり――共に先へと進み続ける。

 日之影一誠では不可能だった――並行世界の兵藤一誠とリアス共に戦い続けた赤い龍によってもたらされた真骨頂。

 

 それが世界を越えた新たな道の無神臓(インフィニットヒーロー)

 

 そして残骸と化した無神臓を自覚し、受け入れ――繋がりを真に認めたからこそ掴み取る日之影一誠の新たな道。

 

 

 

「っひ!?」

 

「うぇ!? ど、どうしたの!?」

 

「くく……い、いや……久し振りの感覚でついな……。

くくく……くくくくっ! ハハハハハァ!!」

 

「お、おう……あまり大丈夫そうに見えないのだが……」

 

「なんか顔赤いし……」

 

「そもそもこんな笑う一誠ってあんまり見ないし……」

 

『……どうやら壁を乗り越えたな。

わからんだろうが、壁を乗り越えるのは一種の快楽のようなものなのだ一誠にとってはな……。

要するにお前らが一誠相手に昨晩やらかした事とほぼ同じだ』

 

 

 

 悪夢黎明(ディアブルドリーム)

 




補足

残骸ではありますが、悪魔の執事にて赤龍帝の誕生。
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