軟禁生活からそろそろ抜けようと思って色んなコネを使い始める一誠くんと、意外な人が協力者となったって話。
キャラ崩壊確定ですね。
逃げる事に関しては自信がある俺、兵藤一誠は只今考えていた。
そろそろ悪魔さんたちから逃げてみるかしらと……。
ミッテルトちゃんを死なせない為に
てのも、あの悪魔さんが俺とミッテルトちゃんを監視してる理由って俺の持つ
まあ、彼等からは『只の回復能力』程度と見られているっぽく、それがもし『あらゆる事象から逃げて、都合の良い現実を作り出す能力』だったなんて事がバレたら、悪魔さんに転生してる兄者の身内だからとか変な理由で死ぬまで利用されるがオチだろう。多分ね。
だからそろそろ悪魔さん達から逃げようかなとか思ってるんだが……所詮負け犬が板に付きまくりな俺ではどうしようも無かったりするのが現実であり、こればかりは
だってそれは、己の人格を消すのと同等なんだからね。
「やあ一誠くん。ミッテルトちゃんとの生活を楽しんでるかい?」
なので、そんな時ほどドラ〇もん……じゃなくてなじえもんに助けて頂くべきなんだよ。
だから俺は悪魔さんたちに提供されて住んでいるボロアパートに呼んでみたんだよ。
なじえもんこと安心院なじみをね。
「お茶っす」
「ん、ありがと」
やっすいガラステーブルを真ん中にして、それを囲う様に座る俺と、二度程の失敗を経てやっと淹れるのに成功したお茶を白髪に巫女服姿という、何かテーマがよく分からん格好をしている安心院なじみに出すミッテルトちゃんは、そそくさと俺の隣に慣れない正座をしたのを確認してから、本題を切り出す。
「
「うん」
「で、だ……多分俺一人じゃ無理だからアンタの力を借りたいんだよね……」
「ほーん? キミがねぇ?」
借りは正直作りたくないんだが今は四の五の言ってられない訳で、回りくどいのも無しにぶっちゃけてみると、安心院なじみは薄く笑いながら俺を見る。
「別に借りたいのならいくらでも貸してあげるぜ? キミは貴重な男の子だしね。
それが負け続けの
だから構わんよ」
『おいミッテルトちゃん。このお茶苦いぞ?』
『え、マジっすか? どれどれ…………………うべ、苦いっすね……すいません』
なんてババアとロリのほのぼのしたやり取りも挟みながら無事に協力を仰ぐ事に成功したんだが…………あ、ごめんなさい。ババアと言ったのは謝るんでニコニコしながら湯飲みを投げようとしないで。
「協力はするけど、直接何かするのはしないぞ? でなければ意味が無いからな」
「意味? どういうことっすか?」
「うん、つまりミッテルトちゃん。キミは僕に助けられるより一誠くんに助けられた方がいい気分になれるとは思わないかい? こう、男の子が自分の為に身体を張ってくれました的な意味で」
「おお、そりゃ確かにキュンと来るっす!」
「だろ? だから僕は情報提供だけしかしない」
ババアと内心思った事を根に持ったのかよ……クソ。
ミッテルトちゃんも基本残念な子のせいか乗せられてるし……。
まあ良い……それならその情報とやらをくれや。
「うん……調べによるとリアス・グレモリーさんと愉快なお仲間は今面倒な事に直面している。
そこを利用すれば、彼女達はキミとミッテルトちゃんの監視をする暇が無くなると僕は思う」
「危機っすか? ウチがあの人達を見た時は、金髪の男の人以外の人達がイッセーさんのお兄さんを誘惑してましたけど……」
「マジで?」
ミッテルトちゃんの話が本当なら、あんな美人可愛いウハウハな人達からオモテになられてるという事だろ? それは見た目だけならパーフェクトな方々達なもんだから普通に羨ましい訳で…………おわぃ? 何だよミッテルトちゃんや、そのシラーっとした目は?
「ウチの事は見向きもしないのに、何で悪魔達にはそんな心境なんすか……」
「は? 俺声に出してたっけ?」
「うん、キミの考えてた事を僕がミッテルトちゃんに教えてあげたぜ」
「オメーのせいかコラ」
そうか、そうだった。
プログラムバグみたいな奴が目の前に居たことを忘れてた……あークソ、めんどくさいな。
「あー……うん、大丈夫だよ。
ミッテルトちゃんも基本可愛いぜ?」
「じゃ、じゃあ今夜こそ……」
「Dカップになってから出直したまえ、まな板ちゃん」
「うわーん! イッセーさんがいじめたぁ!」
「おーよしよし……。おいこら、
知るかそんなもん。
性犯罪者なんて真っ平ごめんだぜ俺は。
そんな事より、さっき言ってた悪魔さん達が直面してる面倒な事とやらを教えてくれや。
「ったく、せっかちな男は嫌われるぜ……と言いたいが、確かに話を進めるべきだと実は僕も同意するから話すぜ」
よしよしと泣き付くミッテルトちゃんをあやしながら、安心院なじみはやっと本題に戻ってくれ話を始めた。
そしてその話を元に、俺はこの現状から逃げる為の計画を立てる事となるわけだが、悪魔さん達の面倒事ってのもまたまたアレな話でザマーミロと思ったのは秘密な話だった。
というのも…………。
「ほう、キミが彼女の言ってた
「どもっす」
安心院なじみから話を聞いた約数日後。
俺は、計画を立てる為に悪魔の巣窟世界から人間の世界へとやって来ていた一人の悪魔さんと話をする為、ええっと、おっぱいの大きい紅髪の悪魔に挨拶し終えた所を突撃した。
新宿の歓楽街に居そうな風貌だったりするこの悪魔さんの名前は確かライザー・フェニックスというらしく、ライザーさんは俺とミッテルトちゃんを興味深そうにしげしげと眺めていた。
「俺の眷属以外で
「い、いえいえ、それはうちも同じ事っすから」
見た目の割りには結構しっかりしてそうな性格してるライザーさんが頭を下げると、俺とミッテルトちゃんは慌てて首を横に振る。
頼み事をしてるのはコッチだしね……頭なんて下げる必要が無いというか
「話は彼女から聞いてる。
うむ……正直気は進まないが、俺の表のキャラの事もあるし協力はするよ。というか、いくらグレモリー領だからと言って人間のキミを何ヵ月も軟禁生活を強いるのは余り良い話では無いしな」
「うっす、アザッス」
チャラ男はキャラだったのか……見た目も合間って結構しっくり来てるんじゃなかろうかと内心思いながら、笑って了承してくれライザーさんに今度は俺とミッテルトちゃんが頭を下げる番だとペコリと頭を下げると、ライザーさんは難しい顔をしながら『うぅむ』と唸る。
「しかしリアス・グレモリーさんにも困ったものだな。
知らない事とはいえ安心院さんのお気に入りである二人にそんな事をするとは……」
「? 俺とミッテルトちゃんが……」
「っすか?」
そうなの? って顔に揃って思わずなると、ライザーさんは軽く笑いながら頷く。
「でなければ彼女がそんな高い頻度でキミ等と直接会うことはないぞ。
俺なんか会いたいと思っても会えないしな……夢の中ならたまにあるが」
そうだったのか……初めて知ったな。
「そんな二人を軟禁するとは……はは、下手すれば悪魔が5分もたずに滅ぶだろうなこりゃ。
彼女は今のところキミ等二人の行く末を眺めて楽しんでいるようだから滅ぼされる事は無いけど」
自分の種族の事なのにまるで他人事だといわんばかりに笑って言うライザーさんだった。
「さっきもチラッと言った通り、表の
両親がグレモリー卿に話を勝手に通したせいでこうなっちゃっただけの話だからな」
「え、じゃあ結婚が決定したら……」
「うーん……一応そうなったら3日程で『何か合わないんでパス』的な事を言って、白紙にする代わりにキミ等二人を身請けし、俺の眷属に……とか何とか上手く表向きにはそうするという流れにするよ。
当然彼女には一切手を出すつもりは無い……というか俺自身かなり嫌われてるし」
なるほど情報提供程度と言ってたが、かなり強力なスケットだったって訳か。
どこまでも俺等は安心院なじみの手のひらの上ってか……。
「そもそも俺はあの小娘あんま好きじゃないしね。
我儘って話だし、居ても安心感がまるで無さそうだし。
俺の好みの女性とは正反対な気がしてならない」
「というと?」
「おう、俺の好みの女性はだね、なんかこう……一緒に居るだけで安心して眠れそうなタイプって奴でな? 俺に付いて来てくれてる眷属の皆がそんなタイプだったりするんだよ」
ほうほう、それは同意出来る話かもしれないな。
「だから表向きの性格を考慮したとはいえ、今回の話に乗った事に少し後悔気味なんだよ。
第一さ、考えてみろよ。魔王の妹とかどんだけ気を利かせなきゃいけないか……想像しただけで安心とは程遠いぜ」
「でもでも、おっぱいバイーンだし顔も綺麗っすよ? 正直羨ましいっすよ……ウチはちんちくりんな見た目だから……」
「ははは! 見た目だけならキミや俺の眷属だって負けやしないさ……。
いや、安心出来るだけ俺の眷属の方が全然上だと思ってるぜ」
大きな声じゃ言えないけどな! と豪快に笑いながら自分の持つ眷属を誉めちぎるライザーの様子は心の底からの本音と分かる顔だった。
だからこそ俺は分からんのだ。
「あの……それで何でチャラ男みたいなキャラを演じてるんすか? 別に安心院なじみから命じられた訳じゃないんでしょ?」
リ~アス! とか言いながら近寄るとか、大人数が見てる前で自身の眷属さんとキスするキャラをする理由がサッパリな訳で、こうしてライザーさんに聞いてみた所、ライザーさんは苦笑いしながら答えてくれた。
「わかんないんだよなぁ……。
何かいつの間にかそうなってたというか……。
どうにもこの見た目と、確か眷属達が全員女だからそんな事になったような……」
確かに見た目は本当にホストみたいだけど……。
「ま、良いんだが。
眷属達が本当の俺を知ってくれさえすれば、他が何を言ってこようがな」
「「……」」
何かフツーにいい人だなこの悪魔さん。
ミッテルトちゃんといい、何故
「いやそうでもないぞ。
俺を知る者以外は基本的に目の前で殺されようが知ったこっちゃないと思ってるし」
だからリアス・グレモリーもどうだって良いんだよと笑って言い切るライザーさんは、だからこそ……とちょっと苦笑い気味に先程あった話をし始める。
「キミの兄貴に『お前みたいなチャラチャラした奴なんかと部長は釣り合わない』なんて言われちゃった時は流石にイラッとして 思わず『いや、ごめん俺もお断りだわ』って返したかったけどね」
「何かすいません……」
「んーん、構わんさ。
でも、リアス・グレモリーさんもどうするんだろうな……。
実はキミのお兄さんが
「さぁ……」
「あの人って基本怒らずに、ニコニコ笑顔で何かしますからねー」
うん……こう……指差しながらスキルラッシュしてる時も笑ってそうだもんな。
「サーゼクス様も結婚してるのに未だに安心院さんに執着してるし……グレイフィア様にバレたら本当にヤバイ気がしてならないな……。
ハァ……グレモリー家って慈悲深いで通ってるけど、俺から見たら基本的に面倒だ家だぜ」
「おいおい、良いんですかそんな事言って? アンタの親玉の一人でしょうに」
「ああ、大丈夫大丈夫……今のは俺じゃなくて
どいつもこいつも悪魔が最強だとか、純血こそ真の悪魔だーとか言ってるけど、そのせいで数が減ったとなれば世話無いと思わね?
自分の種族とは言え、本当に『くだらねー』バカばっかりだ」
冷めた目になりながら自分の種族をくだらないと言い切るライザーさん。
「悪魔だろうが堕天使だろうが天使だろうが神だろうが、安心院さんの前では全て無価値なのに、それを知らない連中共はある意味幸せな事なんだろうけど……」
ああ、こういう所は悪平等だねと思わされるライザーさんの言動だったのだった。
てな訳で無事に協力を得た訳だが、この話から僅か半日後にまさか紅髪おっぱい悪魔さんから、『ある程度の自由を約束する代わりに眷属になれ』と断らせる気無しのシチュエーションで言って来た時は流石に頭に来て、思わず目玉に釘をぶっ刺してやろうかと思ってしまった。
補足
ライザーさんはシリアスイケメンバージョンのあの方ボイスでお願いします。
ちなみに、彼の眷属は原作以上に彼への忠誠心がヤバイですが、妹さんは眷属では最初からなかったりします。