色々なIF集   作:超人類DX

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タイトル思い浮かばんかった


にゃんこキラーな執事

 

 

 

 惚れた女の為に戦い続けた赤龍帝。

 

 普通に生きるという『当たり前の自由』の為に、否定する全てと戦い続けた赤龍帝。

 

 生きることを諦めなかった最後の赤龍帝。

 

 

『俺達は死なない……! 誰が何と言おうが! 害であろうが!! 俺達は絶対に生きてやる!』

 

 

 

 自分と同じく、全てを奪われた。

 されど歩んだ道は悪魔に拾われた自分とは違い、ゴミを漁り、蔑まれながらも宿す龍の意思と共に生き続けた。

 

 成長し、己を害悪と断ずる者達への抵抗をしながら生き続け――やがて同じ傷を持った悪魔の少女と出会い、彼女の自由の為にその力を無限に肥大化させ続けた。

 

 

『ひとつ教えてやろうぜ……! リアスちゃん! ドライグ!!』

 

『ええ……!』

 

『ああ!』

 

 

 俺であり、俺ではない俺が進んだ道。

 同じ精神を燃やしながら、俺とは違う力へと昇華させた男の人生。

 

 

『地獄で会おうぜ……! ウルトラビッグバン―――』

 

 

 己の為ではなく、他の為に命を張りつづけた――

 

 

ドラゴン波ァァァァッ!!!

 

 

 

 ―――もしもの俺が歩んだ道の夢。

 

 

 

 

 

 

 一度は完全に捨てた兵藤一誠としての過去の一部が、複雑ながらも再び宿す事になった日之影一誠は周囲が迫る曹操への対抗の為に軍備を着々と進める中、赤龍帝の籠手の扱いに慣れる訓練をしている。

 

 貧弱した己の力を一時的にとはいえ底上げさせることが出きる赤龍帝の籠手は今の一誠にとっては皮肉にも相性が良い代物であるし、この底上げによって限界を感じていた魔力の出力も大幅に改善させることも出きる。

 

 なにより、この赤い龍が生きた世界の自分自身もまた魔力を扱えたらしくその経験も豊富だった。

 

 

『リアスとの繋がりによりアイツは消滅の魔力を扱えるようになった』

 

「だろうな。

最近アンタの世界の俺自身の夢を見るようになったが、余程向こうの俺はじゃじゃ馬に執心だったらしい」

 

 

 左腕に赤い籠手を纏いながら、周囲にある物体を的に消滅の魔力を使って次々と消し飛ばしながらドライグの生きた並行世界について話をしている一誠。

 

 

『お前の生きる世界のリアスは幸せそうで何よりだ……』

 

「その分ぽんこつだがな」

 

 

 あらかたを消し去り終えて一息つく一誠。

 

 

「しかしこの分ならアンタの倍加を利用して魔力を練り上げれば、分身が一体作り出せそうだな」

 

『分身? そんなものを作り上げてどうする気だ?』

 

「当然、無神臓を使い潰してる奴等の根城に侵入させる。

当初は俺が奴等に捕まるフリして潜入して内部からぶっ壊してやろうと考えてた」

 

『なるほど、敵の足場を崩すか』

 

 

 思っていた以上にドライグからの恩恵が大きいと理解した一誠のアイデアにドライグは納得の声を出す。

 わざわざ真正面からバカ正直に戦わずとも敵の戦意や士気を落とせる方法があるのなら利用しない手はない。

 

 ましてや戦うのは自分一人ではないのだから。

 

 

「―――」

 

 

 氷の魔力をベースに氷像を造るようなイメージを既に頭の中で想像していた一誠は、試作してみようと瞳をアメジスト色に変化させながら魔力を再び解放するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 最近、ますます影が薄くなってしまっている気がしてならない。

 そんな悩みを密かに抱える地味女こと孫権――真名を蓮華は、腹心である甘寧こと真名を思春と共に、相変わらず一誠との関わりが極端に薄いという状況にどうすれば良いのかわからずにいた。

 

 

「結局、あの日以降特に彼が私たちに接し方を変えた――という訳ではなかったわ」

 

「ええ……」

 

 

 一誠からガン無視される被害者の会的な面子の筆頭である蓮華と思春は自作のチョークを額に投げつけられて以降、未だに一誠に相手にされていないという状況に対して愚痴っていた。

 

 

「大体姉様達や母様達と何が違うというのよ?」

 

「全くです」

 

 

 そこら辺で生えてる雑草でも見るような目を常にし。

 口を開けば『地味女1号と2号』と最早姓や名や字ですら呼ばない。

 だというのに姉や妹や母やそれに近しい年代の女とはなんか普通に年相応な感じで喋っている。

 

 これが誰に対しても無口で無表情を貫くのなら納得もするが、ああも相手によって態度を変えるのを目の当たりにしてくれば、ふざけるなと言いたくなるわけで……。

 

 

「そうは言いますが、前よりは大分軟化されたと思いますけどねぇ……?」

 

「ええ、前までは話しかけた瞬間思いきり舌打ちしながら無視されてましたけど、それも無くなりましたし……」

 

「そもそもあの人の姿を見つけること自体が稀ではありますけどね……」

 

 

 そんな蓮華や思春と同じく一誠にガン無視される会の会員には、陸遜こと穏や周泰こと明命、それから呂蒙こと亞莎やら魯粛こと包等がおり、蓮華や思春が一誠に対する不満半分悪口半分の愚痴り合いに対して、彼女達なりに感じた一誠の変化について話す。

 

 

『ニャー♪』

 

『グォッ!? ガンメンニヒッツクナクソネコ!!』

 

 

 

 

「あぁっ!? う、噂をすれば日之影様がお猫様に囲まれています! う、羨ましいです!!』

 

『!?』

 

 

 そんな……絶妙に居たたまれなくなる空気の最中、被害者の会の秘密の会合部屋の外を偶々見ていた明命が大量の猫に囲まれながら歩いていく一誠の姿を発見すると、被害者会員達の視線が一斉に白い野良猫の腹で顔面が塞がっている一誠へと向けられる。

 

 

「な、なにあの大量の猫……?」

 

「日之影の身体中に猫達がひっついている……」

 

「日之影様はお猫様達の王なのです! ですからああしてお猫様達にあんなモフモフされているのです!」

 

「けど、ちょっと異常じゃないですか……?」

 

 

 猫に並々ならぬ執着を持つ明命だけが、猫ハーレム中の一誠に対して目を輝かせている横で、それにしても異常な数の猫に付かれている姿に他の面々は引いていた。

 

 

「しかし、今なら偶然を装って話しかけられるのではありませんか?」

 

 

 そんな中、ぽつり呟く穏の一言に蓮華や思春はぴくりと反応する。

 確かにさっきからにゃーにゃーと猫に囲まれまくりな一誠の姿は常人が見ても異様だし、何があったんだ的な感じで然り気無く話しかければひょっとしたら応じてくれるかもしれない。

 

 

「日之影様~!」

 

「まことに奇妙ですので、少しお話してきますね~?」

 

「あ!?」

 

「ま、待ちなさい明命! 穏!!」

 

 

 そんな事をバカ真面目に考えながらどうしようかと迷っている間に猫に取り憑かれし少女は我慢出来ぬぅ! とばかりに飛び出すと、然り気無く後ろについていた穏と共にキジトラ、茶、ハチワレ、三毛、白、黒、灰、サビ等など、ありとあらゆる毛色をした猫に引っ付かれ過ぎて、とうとう諦めたようにその場に座り出していた一誠の元へと駆け寄って行く。

 当然慌てて蓮華達も遅れて猫だらけになっている一誠の元へと近づくのだが……。

 

 

『ふしゃー!!!!』

 

「ひっ!? お、お猫様がお怒りです!?」

 

「こ、これだけの猫に威嚇されると流石に怖いですねぇ……」

 

 

 一誠に近づいたその瞬間、それまでゴロゴロと喉を鳴らしまくっていた猫達(ほぼ雌)が一斉に近づいてきた蓮華達に向かって威嚇をする。

 

 

「おい猫共……威嚇するのはやめろ」

 

『にゃ!? ……にゃー』

 

 

 しかし、そんな猫の威嚇も一誠の一言で渋々といった感じで止めると、触れさせてなるものかとばかりに座っている一誠を守るようにして囲む。

 

 

「お、おぉ……!? お、お猫様達が日之影様の一言でしゃーをやめました」

 

「あのー……猫と話せるのですか? 明らかに今日之影さんの声に反応して止めたように見えましたけど」

 

「……。なんとなくは」

 

 

 膝に乗ってゴロゴロする白い毛並みの猫の喉を指で撫でる一誠に、返答はないだろうと思った上で質問をした穏。

 するとそんな予想を裏切るように、一誠はぶっきらぼうながらも返答をしてくれたことに被害者の会達は心底驚いた。

 

 

「わ、私も是非お猫様に触りたいのですが……」

 

「………と、この子が言ってるから触らせてやれよ?」

 

『にゃー! にゃー!!!!!(イッセー先輩以外の雌が私達に触れたらシャクシャクしてやります)』

 

「………………。触ったら八つ裂きしてやるぞ雌が………だって。

触るのはおすすめできねーぞ」

 

「そ、そんなぁ……」

 

 

 

 穏に続き、明命に対しても返答する一誠に蓮華達もすかさず声をかける。

 

 

「きょ、今日はどうしたの? 一人で居るなんて珍しいじゃない?」

 

「そ、そうだ。

雪蓮様達とは一緒ではないのか?」

 

「…………………………」

 

 

 が、何故か蓮華と思春の声にだけはなんの返答をせずふいっと目を逸らした。

 

 

((は……???))

 

「あ、あの日之影様……。

この前頂いたお茶の事なのですが……」

 

「あとあの不思議な食感の食べ物とかー……」

 

「あ? なんだ食いたいのか? 忘れてなかったら作ってやるよ」

 

「「…………はぁっ!?!?」」

 

 

 挙げ句には後から話しかけた亞莎と包にはきちんと返答をするという確定っぷりに、今度こそ蓮華と思春はプッツンした。

 

 

「き、貴様ァ! わ、私はともかく蓮華様に対してなんのつもりだ!?」

 

「あ、あの……この前アナタの話の邪魔ばかりしたことを怒ってる?」

 

「お、落ち着いてください思春さん~!」

 

 

 片方は怒り、片方は割りと悲しめな顔をする二人。

 

 当然明命や穏達もなんでこの二人の事は無視のままなのだろうかと若干ハラハラしながら猫達にスリスリされている一誠を見ていると、キジトラ柄の猫に肩に飛び乗られながら一誠は口を開いた。

 

 

「今、俺に話しかけたのか? 悪いな、アンタ等が地味過ぎて全然気付かなかったわ」

 

「「」」

 

 

 地味過ぎて、印象があまりにも無さすぎて話しかけられたことにすら気付かなかったという……酷すぎる理由を。

 

 

「き、貴様! も、もう許さん!!」

 

 

 完全に喧嘩を売られたと判断した思春は、その場で体育座りでもしそうな蓮華を侮辱された事を含めて一誠に抜いた剣の切っ先を向けた。

 

 

「お、落ち着いてください~!」

 

「そ、そうですよぉ~ 無反応だった頃と比べたら今は大分マシになったと考えた方が~」

 

「黙れ! 私はともかく蓮華様への侮辱は許してはおけぬ!!」

 

 

 

 当然といえば当然で正当な思春の怒りを周りは宥めんとするが、それで落ち着く訳も無く―――

 

 

 

「天誅!!」

 

 

 

 何故かじーっと見ているだけの一誠に剣を振り下ろしてしまった。

 

 

「え……?」

 

 

 当然怒りこそすれど、思春も一誠の理不尽な戦闘能力は承知していた。

 どうせ簡単に避けられるのだろう……そう思っていた。

 

 だが思春の振り下ろした剣の刃が呆気なく一誠の肩から腰下まで斜めに切り裂かれたのだから……本人すら思わず目が丸くなってしまう訳で……。

 

 

「…………」

 

『にゃー!!』

 

「え、う、うそ……思春、アナタ……」

 

「ひ、日之影さんを斬ってしまったのですか……」

 

「ち、違う!!? 違います!! だ、だって日之影なら簡単に避けられる筈でしょう!? こんな簡単に斬られる訳がないって思って……」

 

 

 倒れ伏す一誠を前にパニックになる思春達としらーっとした目を何故かしている気がする猫達。

 

 

 

「な、なあ冗談だよな日之影? お、お前がこの程度でやられる訳……」

 

「い、息をしていないわ……」

 

「」

 

 

 目を見開きながら倒れている一誠の口元や胸に耳を当て、心臓が動いてないことと呼吸をしていないことを確認する蓮華達に、思春は持っていた剣をその場に落としながら両膝を付く。

 

 

「そ、そんなバカな。

わ、私が日之影を殺してしまったのか……?」

 

「「「「「………」」」」」

 

 

 思春の声に誰も慰めの言葉が見つからずに俯く。

 

 

「……?」

 

 

 そんな時、ふと震えながら膝を付く思春の剣に視線を向けた穏が違和感に気付く。

 確かに一誠は間違いなく死んでいるが、そういえば思春の剣やなんなら一誠の身体から一切の血が出ていない事に。

 

 

「??? ちょっと変じゃありませんか? 思春さんの剣にも日之影さんの身体からも血が一切出ていませんよ?」

 

 

 穏の言葉に蓮華達もそういえばと気付き屍(?)になっている一誠を観察する。

 

 

「今思春に斬られて息絶えたにしては、日之影の身体が冷たすぎる気もするわ」

 

「冷たすぎるどころかまるで氷のような……」

 

「お猫様達が先程から私達を意味深に見ているのも変です」

 

 

 一誠の遺体(?)に触れながら、その違和感が更に増えていく。

 

 すると突然屍であった筈の一誠が突然……ぬっと起き上がる。

 

 

「きゃあ!?」

 

「ひ、ひ、日之影様が生き返りました!?」

 

「そ、それとも化けて出たのかもしれません!!」

 

「ひぃ!? ゆ、許してくれ日之影! そ、そんなつもりじゃなかったんだ!!」

 

 

 いきなり起き上がる一誠にパニクる蓮華達。

 思春に至っては普段のクールキャラが消し飛び、半泣きになって謝る中、ゆらゆらと不気味に立ち上がった一誠はそのままちょっと涙目になっている思春を――

 

 

「ふぇ……?」

 

「は?」

 

「はい?」

 

「え……?」

 

 

 周囲の目を点とさせながら、彼女の身体に抱きついたのだ。 

 あまりにも唐突すぎる行動にたっぷり一分程静寂な時間が過ぎた後、突然一誠に抱きつかれた思春があわあわと顔を真っ赤にする。

 

 

「な、なな、なな、何をしている日之影!?」

 

「…………」

 

 

 妙にひんやりしている一誠に抱きつかれてテンパってるのか、顔は真っ赤だわ目がギャク漫画みたいに渦巻きに回っているわで、完全に何時もの彼女らしさが消え失せている。

 

 

(嫌なら突き飛ばせば良いのに、言うだけで抵抗はしないのね……)

 

(なんだかちょーっと腹が立ってきましたねぇ……)

 

 

 離れろだなんだと喚く割りには抵抗していないことに気づいている蓮華や穏がしらーっとした視線を向けている中、完全にテンパってしまった思春は無言で抱きつく一誠の吐息が彼女の耳元をくすぐる。

 

 

「ぁっ……! や、やめろ……! わ、私の事を真名で呼ばない癖に、そ、そもそも人前でこんな……! し、しかしこれで納得したぞ日之影! や、やはりお前は実は私の事をそういう目で見ていたのだな!? だがお前は素直じゃないから、私の事を無視したり地味女と呼んだりして……」

 

「流石にそれは無いと思うわよ思春?」

 

「というか日之影さんも何時まで思春さんにそんなことしてるのですか~? 冥琳さんに言いつけちゃいますよー?」

 

 

 お目目ぐるぐる真っ赤な思春のよくわからない言葉に完全に冷めた顔で冷静に突っ込む蓮華と穏。

 

 

「し、仕方ない。蓮華様に手を出させぬ為にも私が身代わりになってやる。

だ、だから今後は私の事を思春と呼べ。そして出来ればお前の事を真名で呼びたい……」

 

「…………」

 

 

 完全に変な世界に飛んでいる思春がここぞとばかりに真名で呼べと言い出し、それに対して一誠は彼女に抱きついたまま小さく、耳元でささやくように何かを口にした。

 

 

「な、なんだ……? なにを……」

 

「………いむ」

 

「よ、よく聞こえないぞ? もう少し大きな声で―――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ver・セラフォルー―――アイス・タイム」

 

 

 

 

 

 

 

「…………え?」

 

 

 

 それが思春が意識を失う前に聞いた一誠の言葉であり、その瞬間思春の意識は全身を襲う強烈な冷たさと同時に失うのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「精度が最低だな。

分身は作れたが、戦闘力がクソ過ぎる」

 

 

 

 思春達がいる場所から割りと離れた森林地帯にて、胡座をかいて座っていた一誠がゆっくりと目を開く。

 

 

「試しに作った分身を町に送ってやったら地味女連中に絡まれて、適当に喧嘩ふっかけてみたが簡単に斬られちまった」

 

 

 お察しの通り、蓮華達と絡んでいた方は自身の魔力を元に作り上げた分身体であり、精度のテスト目的でわざと喧嘩を売ってみたのだが、思春に簡単に斬られる程度の戦闘力に加えて遠隔操作で魔力を行使してみても発動までかなりのラグもあったと、戦闘目的では使えないと愚痴る。

 

 

『しかも分身を操る範囲も限られてるな。

もし例の連中の根城に送り込む場合は、なるべくそこに近づかんとならんな』

 

「………」

 

 

 今頃かちんこちんにされてる思春と、氷の欠片と化してバラバラになった一誠の分身体とで大騒ぎになっているであろう蓮華達のことはどうでも良さそうに、話をする一誠とドライグ。

 一応氷付けにさせた思春は二分くらいしたら勝手に解凍する程度なので死にはしないと踏んでいるからなのもあるが、それにしても酷い話なのは間違いない。

 

 

「今度は作る際に魔力の量を増やすか……」

 

『魔力の量だけやれる範囲も広がるだろうからな』

 

 

 それよりも今は曹操の勢力内に送り込む分身の精度を更に上げる研究が大事である一誠は、更に魔力の込めた分身を作ろうと目を再び閉じようとしたのだが……。

 

 

 

「見つけましたぞ主様!」

 

 

 

 人も寄り付かない森林地帯に響く女の声に、魔力を解放しかけていた一誠の瞳は元の色に戻り、同時に舌打ちをする。

 

 

「おい赤い龍、アンタの客だろあの声は?」

 

『オレだと? い、いやそうかもしれんがな……』

 

 

 あの声の主が誰なのかは分かっていた一誠は、低い声で籠手が纏われた己の左腕に視線を落とし、ドライグは逆に自分が責められている事に困惑の声だ。

 

 

「あの女はアンタによくわからん感情を持っているだろが」

 

『そ、そうかもしれぬが、オレはどうすれば良いのだ?』

 

「知るか。アンタがなんとかしろ」

 

 

 困惑するドライグにピシャリと言った一誠は、既に此方に向かって駆け寄っていた水色髪の女性から視線を外し我関せずとばかりに目を閉じる。

 

 

「ふぅ、やっと追い付けた。

日之影殿の移動が速すぎて見失ってしまいましたぞ?」

 

「………………」

 

『おい小娘、昨日も言ったがお前に主呼ばわりされる謂れは無いし、修行の邪魔になるから――』

 

「星です」

 

『――は?』

 

「私の真名は星でございます主様。

どうか星とお呼びくださいませ……」

 

 

 丁重にお帰り頂こうにもにも、逆にこっちを押し潰さん勢いでグイグイと真名まで言い出す趙雲にドライグは割りと困る。

 

 

「……………」

 

『いきなり真名で呼べと言われても、その……普通に困る』

 

「むぅ……」

 

 

 一誠の左腕に纏われる籠手と会話しているという、事情を知らぬ者からしたらシュールにも程がある状況で、一誠は知らん顔をしながら目を閉じ続け、ドライグはただただ困惑し、星と真名を名乗る女性は押せ押せの精神そのままにドライグに話しかけ続ける。

 

 

「主殿のお名前を知りたいです……」

 

『………ウェルシュ・ドラゴンだ』

 

「うぇるしゅどらごん? 変わった名ですな。

姓がうぇで名がるしゅ……そして字がどらごんでしょうか?」

 

『姓も名も字もない。

その名もただの通り名のようなものだ』

 

「………………」

 

 

 龍の癖に妙に人が良いせいか、わざわざ質問に答えているドライグに一誠は『変な龍だな』と思いながら無言で居る。

 

 

「では私は主様のことはどう呼べば?」

 

『………ドライグだ。

一応その呼び名がオレにとっての真名だ』

 

「ドライグ……様」

 

『さあ、名を教えてやったのだ。

だから大人しく帰れ――』

 

「ドライグ様……ふふふ♪」

 

『……聞けよ』

 

「……………」

 

 

 余程嬉しいのか、子供みたいにニコニコ微笑む星にドライグは『変な小娘だな……』と呟き、一誠は『やっぱこの世界の女ってどこかネジ外れてる奴が居る』と思いながら、籠手状態のドライグに頬擦りしようとしている星から然り気無く左腕を離すのだった。

 

 




補足
魔力を利用した分身体のステータス

A~E判定


破壊力・C(鋼鉄を凹ませる程度)
スピード・B(感覚に訴える程度の分身が可能)
射程距離・B(本体から離れる程破壊力とスピードが弱体化する)
持続力・C(致命的なダメージをくらうと維持不能になる)
精密動作性・C(一般雑用程度)
成長性・A

能力・消滅&凍結系魔力の行使(発動までかなりのラグが発生する)



その2
白いにゃんこが何故かどこかの後輩食いしん坊猫みたいな気がするが、べつにそんなことはない。

その3
なんか星さんが後を犬みてーについてくるのを見られたせいで、変な誤解をされたとかされなかったとか。

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