色々なIF集   作:超人類DX

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折れなかった魔法先生と基本的に重い赤龍帝先生

 

 神楽坂アスナにとって、ネギは教師であるとはいえまだまだ子供だと思っている。

 最初の出会いこそ最悪だったが、ネギのひたむきさに絆されたと言われたら否定は出来ないし、だからこそ魔法使いである彼を可能な限りサポートしようとも決めていた。

 

 では逆に兵藤一誠に関してはどう思っているのか。

 

 

 一言で言うなら女に頗るだらしのないお調子者だ。

 

 アスナからしたら年の行った女に鼻の下を伸ばし、自分達といったイッセーにとって年下の女子の事は小娘呼ばわりして割りと雑な扱いをする。

 

 とはいえ、それでもアスナはイッセーを悪い人間とは思っていないし、今も思ってはない。

 

 

 お調子者で、ガキっぽくて、すぐムキになる性格だからといえばそれまでなのかもしれない。

 そして何よりも一度夢で見た『あの光景』がどうしても頭から離れない。

 

 イッセーと――イッセーと年の頃が近そうな少年達とそんな少年達を守る為に散ったイケメンの男性。

 

 直接聞いた際に憎悪と殺意を向けられたが故に、あの夢は単なる夢ではないと確信出来てしまった。

 

 

 友や恩師達と共に、見知らぬ場所で懸命に生きようと足掻いていたイッセーを。

 あの夢の光景があったからこそ、化け物のような力を持っているのだと。

 

 ただ明日を生きたいが為にもがいた結果が今のイッセーなのだと。

 

 

「何時も以上にド派手にボコボコにされちゃったわねぇ……」

 

「途中から完全に容赦せんかったもんなぁイッセー君」

 

「で、でも……いてて……僕はこうして生きてますから……。

これもまた修行の内だと思えば辛くなんてありませんよ……いたたたた!?」

 

 

 培った努力を真正面から、それこそただの『暴力』で返り討ちにされてしまったネギは現在アスナ達に運ばれる形で寮の部屋で治療を受けていた。

 途中から完全にえげつなさを前面に押し出す喧嘩殺法で半殺しにされたネギだが外傷とは裏腹に骨を折られたという訳ではなかった。

 

 

『安心しろ、一応可能な限りは手加減してある。

さっさと連れ帰って手当てでもしてやりな』

 

 

 そうイッセーが言っていた通り、重症ではないネギの様子にアスナやこのか達はホッとしつつ手当てを続ける。

 

 

「まだまだ僕はイッセー先生には及びませんが、諦めたりはしません。

くーふぇさんや楓さんも引き続きコーチをしてくれる様ですし、必ず届いてみせますよ……!」

 

 

 そしてネギもボコボコに腫れた顔面が痛々しいものの、心が折れた様子は無く、寧ろ目の前に君臨する大きな壁を前に闘志すら燃やしている。

 

 そんなネギにアスナは内心良かったと胸を撫で下ろす。

 

 

「その調子よネギ。

確かにイッセーは素人目でも異常に強いわ。

修学旅行の時も、結局アイツの『躊躇いの無さ』に救われてきたし、その借りを含めて必ず返せるようにならないとね」

 

「はい……!」

 

 

 心は折れていないが、鼓舞の言葉を送るアスナにネギは元気よく返事をする中、このかや古菲や楓――果てにはまき絵や刹那までもが、『なんか頭良さそうな発言』をしているアスナに対してツチノコでも目の前にしているような顔をしてる事に気づく。

 

 

「な、なによアンタ達?」

 

「いや、何故かはわからないけど、アスナの癖に頭良い事を言ってる気がしたアル」

 

「うむ、前々から思っていたがたまに頭が良さそうな発言をするようになったな?」

 

「思えばイッセー君に関連する事で語彙力が少し高くなる気がするわぁ……」

 

「大丈夫? もしかして熱でもあるんじゃあ……」

 

「失礼ねアンタ達!!!?」

 

 

 揃いも揃ってUMAでも見るような顔を向けてくるクラスメート達にアスナは憤慨するが、言われてみれば以前からイッセーの裏の顔を知って以降、イッセー関連の事になると微妙に頭が冴える気はしていた。

 

 

(目を離したらそれこそ何かやらかしそうな気がするから見張らないとと思ってるだけだっての!

……まあ確かに本音を言えばあのアザゼルって良い声してる人の事をもう少し聞いてみたいけど……)

 

 

 珍獣でも見つけたような目をするクラスメート達の視線を受けながらアスナは一人心の中で呟く。

 確かにイッセーの事は気になるし、あの普段のアッパラパーやってる性格は嫌いではない。

 

 年上の異性が好みという意味ではある意味話も合う。

 

 だが決してアスナはイッセーに対して異性としての意識は皆無なのだ。二十歳の時点で若すぎるし。

 寧ろ気になるのは夢で見た――まあタカミチの次くらいには格好いいと思ったアザゼルの方だ。

 

 

(あの夢の出来事が本当なら、アザゼルって人はもう……)

 

 

 血なんて繋がってもない。

 というか背中に翼なんて広げてた時点で種族すら違うというのに、まだ子供だった頃のイッセー達を守る為に戦った姿がどうしても頭から離れない。

 

 有り体に言えばアスナは知りたいのだ。

 イッセーの過去を。

 

 

「ま、まさかアスナ……イッセー先生が好きなんてことは」

 

「な、なんだと!? そうなのかアスナ!?」

 

「や、やめた方が良いアル! ただでさえエヴァンジェリンに取られてばかりなのにこれ以上イッセー君を取られたくないアル!」

 

「絶対にありえないっての。

精神年齢が下手したらあたし達より低いお子さまなんてごめんよ」

 

 

 イッセーがイッセーとして生きていたであろうあの頃の事を。

 

 

 

 

 

 

 

 表側とはそこそこながら、裏事情を知る教師や生徒達からはエヴァンジェリンの件以降完全に腫れ物扱いされているイッセーは、ネギに『相手をぶちのめす術の基礎』を文字通り身体に叩き込んだ後、学園長に呼び出されていた。

 

 

「いやー、ネギ先生を殺してしまうのではないかと肝を冷やしたわい」

 

「いやー……割りと良い根性してたのでついテンションが上がっちゃいましてね」

 

「キミは一度線が切れると誰であろうと躊躇いが無くなるからね。

要らぬ心配だっとはいえ不安はあったんだよ」

 

 

 ある程度イッセーの事情を知る者だけの集まり。

 学園長の近衛近右衛門と学園の広域指導員であるタカミチ・T・高畑の二人がそれに該当する。

 

 

「それで? 個人的にはお主がエヴァンジェリンを説得してネギ先生に魔法の指導をして貰いたいのじゃが…」

 

「あー……呪いの枷から抜け出してからのエヴァってあんましネギ先生に興味無いみたいなんすよねぇ。

なんなら当初は拘ってたネギ先生の親父さんにも最近は……」

 

「キミという未知という言葉が服を着て歩いている男と知り合ったせいで、エヴァンジェリンの中での価値観が変わってしまったのかもしれない訳か……」

 

「そこまではわかりませんがね。

それとなく話題に出しても、もはや過去の事だとばかりな様子っすねぇ……」

 

 

 

 イッセーが魔法では無い、未知の力を扱う『異界の存在』であり、ある意味エヴァンジェリンが丸くなっている理由だからこそ、彼を介してネギに魔法関連の指導をさせたいのだが、会話の通り既にエヴァンジェリン自身ネギとナギに対する感心が薄らいでしまっていると聞かされ、学園長とタカミチは困ったと呟く。

 

 

 

「キミのお陰でエヴァンジェリンは呪いが解けても悪さはしなくなっているし、キミを責めた裏を知る教師や生徒達の声も沈静化はしたのは良いことなのだが……」

 

「うむ、今のエヴァンジェリンの意識はお主一人にしか向かない様じゃなぁ……」

 

「なんかすんません?」

 

 

 ネギの成長にはエヴァンジェリンの闇の魔法使いとしての知識や経験が必要だと思うからこそ困る二人にイッセーは、なんとなく謝りなかまらもしゃもしゃと饅頭を食べている。

 

 

「体術というかなんというか、喧嘩といいますか、敵をぶち殺す術に関しては可能な限り協力はしますよ」

 

「うむ。

しかしキミの戦い方は魔法でも気の力でもない独自のものだからなぁ……」

 

「逆に俺は魔法ってのを使ってみてーですけどねー。

あの噛みそうな詠唱とか言いながら」

 

「キミの龍拳やドラゴン波なる必殺技を逆に使ってみたいがね」

 

「隣の芝生はなんとやらって奴っすねぇお互い」

 

 

 もっともイッセーの本心はそこまでエヴァンジェリンを説得する気は無かったりするのだが。

 

「あの人がエヴァンジェリンにかけた呪いが残ったままだったら、少しは違っていたのだろうが……」

 

「あの人というとネギ先生の親父さんの事ですか。

まぁ、多分その通りでしょうけど……」

 

「キミとあの人が会ったらどうなるかも個人的に興味があるよ僕は?」

 

「……。エヴァと知り合う前ならイザ知らず、今の俺だったら微妙に態度が悪くなりそうなんであんま会いたくはねーっすね」

 

「? それはエヴァンジェリンが理由で?」

 

「ええ。

今のアイツは既に過去の事だとその人の事を振り切ってるから良いすけど……。

ここだけの話、もしエヴァがその人にまだ拘ってたたしたら――多分顔見た瞬間全力で殺しに掛かると思いますわ」

 

「それは……」

 

「また……難儀じゃのう」

 

「エヴァが良い奴過ぎるせいで、エヴァを好きになってるみたいなんですよ。

ガキの頃からの悪癖なんですけど、どうも俺は好きになった相手に対してうざったくなっちまう質でしてね。

好きと思った相手が誰かに意識が向いてるのを見てると、その相手をぶち殺したくなるんですよね。

めんどくさいでしょ?」

 

「あー……うん、正直言うと重いと思うよ?」

 

「エヴァンジェリンは知っとるのかのぅ?」

 

「まさか。

言ったらドン引きされるのが関の山なんで態度にも出しちゃいませんよ。

アイツに嫌われたら凹むじゃ済まないですし」

 

 

 

 本人が聞いてたら軽くテンパるであろう事を平然と口に出すイッセーに、タカミチと学園長は微妙な顔をする。

 過去が過去のせいか、自分を受け入れてくれた相手に対してはそれこそ世界そのものに喧嘩を売るし、少々甘えた所を見せる。

 

 

 エヴァンジェリンはまさにイッセーにとってそんな存在なのだ。

 

 

「まあ、俺のキモい話は置いておいて、引き続きエヴァにはそれとなく説得はしてみますよ。

学園長やタカミチ先生にも恩はありますから」

 

「うむ、お主が味方で心底安心するわい」

 

「敵には回したくないと心底思わされたのはキミが初めてだ」

 

 こうして年代の離れている男同士の会談は厳かに終わるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『エヴァが良い奴過ぎるせいで、エヴァを好きになってるみたいなんですよ。

ガキの頃からの悪癖なんですけど、どうも俺は好きになった相手に対してうざったくなっちまう質でしてね。

好きと思った相手が誰かに意識が向いてるのを見てると、その相手をぶち殺したくなる。ね、めんどくさいでしょ?』

 

 

 

 

「…………………………………………」

 

 

「マスター、見ないのですか? 呼び出されたイッセー様のことが気になると思ってカメラとマイクを仕込んだのですが」

 

「…………………………………………………………………あのジジィとタカミチに余計な事を吹き込まれてやしないかと思っただけで、くだらん会話だったからな。

もう切っても良い、寧ろいますぐ切れ」

 

「………? マスター、目が泳いで居ますし、お顔が紅いのですが?」

 

「し、知らん! ちょっと空調が熱いと感じてるだけだ!!」

 

 

 

 おもっくそ本人に聞かれてるとは知らずに……。

 

 

「オーオー、ヨカッタジャネーカ御主人? イッセーノ奴カラ御主人が好キッテイッテ貰エテヨー?」

 

「データによれば、イッセー様が帰って来られた際に『おかえりのチューをすべし』と出ています」

 

「バカを言え! な、なんで私がそんな真似をしなくちゃあならないんだ!!?」

 

「毎日ノヨウニイッセーノダキマクラヤッテル時点デ今更ジャネーカ?」

 

 

 終わり




補足

何故かイッセーが関連すると基礎知能が向上してしまうアスナさん。


その2
『好き』になると途端に重さ爆発になるイッセー君。
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