色々なIF集   作:超人類DX

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続き。

無茶苦茶おかしな方向にジャンプしましたとさ


ロックオンされた赤龍帝

 

 

 俺達が京都ぐんだりまで来た理由は、学園長からの『仕事の依頼』だ。

 

 魔法使い教師小僧ことネギ・スプリングフィールドの様子を見守れという――正直出す金額によっては即刻拒否したかった仕事だ。

 

 まあ、この世界の京都には関わりがあるし、一応世話になった人も居るので、挨拶がてら引き受けた俺とリアスちゃんは文字通りネギなる小僧が感知不能な箇所からただ見ていた。

 

 下手に関わって俺達――特にリアスちゃんの事を知られるのは何かとめんどうな事になるのは勿論、俺個人的にも小僧とリアスちゃんが知り合うのは嫌な予感しかしなかったんだよ。

 

 というのも暫く小僧の事を見ていてわかったが、あの小僧はどうも『持っている』と見て間違いない。

 持っているってのは神器やら異常だとか過負荷でもスタイルでも――魔力でもなく、俺が散々煮え湯を呑まされ続けた『補正力』というものだ。

 

 

 その昔、まだリアスちゃんと会う前に俺に生き残る術を教えてくれた後は一度も会うことは無かった謎の女が言ってた。

 どんな理不尽な状況に陥ろうとも、『偶然の幸運』で乗り越えられてしまう。

 

 どんな強力な力を前にしても、『その時不思議なことが起こった』でその力を乗り越えられてしまう――謂わば世界における主人公。

 

 曰くガキの頃の俺がそれを持っていたらしいが、奴の出現でその力は強引に移り変わったとの事らしいが、その忌々しさは身を以て体感している。

 

 まあ、だからこそ俺は『異常』というあの世界には存在しなかったらしい概念を学んで取り込めたらしいんだけど―――話を戻すとだ。

 あのネギとかいう小僧は間違いなくこの世界における『主人公』だということだ。

 

 俺達『世界から害として見なされた存在』にとっては天敵となる存在。

 

 

 ああ、断っておくけど、だからといって俺はあの小僧が憎いとかいう感情は無い。

 比べるまでも無いが、あの小僧はクソッタレ野郎のような『埋め込まれた養殖』ではなく『天然産』だからな。

 人格にしても、寧ろ10程度のガキとは思えないくらいまとも過ぎて将来グレたら反動やばそうだなとか思うくらいだし。

 

 ……とはいえ、あんまり関わりたくはないってのは本音なんだがな。

 あの小僧がリアスちゃんと変なハプニングがあるんじゃねーかとか、それを見たら反射的にマジで殺ってしまう自信しかないからな。

 

 お互い要らぬ殺し合いは避けるべきなんだと思うわけで……。

 

 

 

 

 

 

「あ、貴女は保険医のグレモリー先生!? ど、どうして京都に!?」

 

「話は後ですスプリングフィールド先生。

まずは今の状況を冷静に対処しないといけませんよ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………………」

 

『いやほら、非常勤だしな……そりゃあリアスだってあのガキと会ったことくらいはあるじゃないか?』

 

「……………………………………ああ」

 

 

 オイ馬鹿ふざけんなよガキ、それ以上近寄ったらマジ殴るぞ。

 ………と、そんな俺の心配はとっくの前に破綻して粉々でしたってオチに俺は取り敢えずふっとい柱に頭を叩きつけながらクールになろうと努めた。

 リアスちゃんの言うとおり、今はそんな状況でもないので。

 

 

 

 

 何か気付いたら屋敷の人間の殆どが石化させられていた。

 完全に石化する寸前に所謂『てへぺろ』顔しながらやって来た詠春から。

 

 

『キミ達二人が居るという事で完全に油断してしまった。

あははは、此方からも特別ボーナスを出すから助けてくれないか?』

 

 

 と、イッセーとリアスにグミくれよ的なノリで懇願した詠春はその言葉を最後に石化してしまった。

 イッセーとリアスの傍に居たことで幸いにも、のどか、夕映、ハルナという一般人側の三人は石化を免れているものの、今まではぼんやりと『この世は思ってたよりファンタジーな概念が存在している』と思っていたのだが、ここに来て目の前で寸前まで喋っていた詠春が石になったのを目の当たりにしたことで疑念は確信へと変わってしまった。

 

 

「お父さんが……」

 

「長のような御方が石化させられるとなると、敵はシネマ村での連中とは一線を画しているようですね」

 

「ドライグ」

 

『わかっている。既にそれらしき気配を辿ってはいるが――チッ、複数石化を免れている気配があるせいで完全な断定は出来んな』

 

「それならしらみ潰しにするしかないわね」

 

 

 イッセーは左腕に赤い籠手のようなものをどこからともなく出して嵌め、リアスは冷静に部屋の外の様子を伺っている―――という姿を実を言えばイッセーとリアスが部屋の外へと向けて放つ『消滅の魔力』によって石化に至る条件そのものを『消滅』させていることで石化を免れているのどか、ハルナ、夕映の三人は、何が何だかわからないものの、これがただのドッキリやらおふざけではない事だけは理解した。

 

 

「セツナ、コノカ、ノドカ、ハルナ、ユエは絶対に私かイッセーの傍を離れちゃダメよ?」

 

「は、はい……!」

 

「わかりましたけど、一体外で何が……?」

 

「さぁな、わからんが、平穏なお時間という訳ではないのだけは確かだな。

というより寧ろお前等の方が詳しいんじゃないか? そうだろ刹那、木乃香?」

 

「イッセー師匠とリアス先生に分かりやすく説明をすると、恐らく、シネマ村にてお嬢様を誘拐しようと襲撃してきた関西呪術協会の『はぐれ』ですね」

 

「昼間返り討ちにした報復なんかなぁ?」

 

「……」

 

 

 イッセーとリアスがとにかく頼りになると完全に信頼しきってるせいか、絶妙に緩い空気とのほほんとした口調である刹那と木乃香にイッセーは無言で二人を見る。

 

 

「え、どうしたん?」

 

「え、ええと……ひょっとして怒ってますか?」

 

「…………。別に。

ただ、それなら何故その時点で完全に息の根を止めなかったんだとは一瞬思ったが、昼間の出来事でしかも人目も大分あったんだろうと――何よりガキのお前等にいうべき事じゃねぇわと思っただけだ」

 

「ぜ、全部言ってるじゃないですか!」

 

「それを言われたらかなり痛いわぁ……」

 

 

 敵をぶちのめしたら完全に殺すまでは勝ったと思うな。

 実に荒れた半生を伺えるイッセーの考え方に、刹那と木乃香は居心地が悪そうに目を逸らす。

 

 

「まあ、そのナマモノ共をお前等は一方的にぶちのめしたらしいし、そこは及第点をくれてやれる。

今後はそういうことも頭に入れておけ、良いな?」

 

「「………!」」

 

 

 そんな二人にイッセーは障子の隙間から見える外へと視線を戻しながら、本人なりのフォローの言葉を送る。

 

 

「ほ、褒められましたねお嬢様?」

 

「イッセーくんが久々にウチ等にデレたえ……」

 

 

 全くの無自覚なのだが、昔からこのイッセーは二人に対してこうした飴と鞭的な言葉を送ってしまっており、対して二人もそれに填まってしまっているらしく、それはそれは花開いた少女全開の表情だった。

 

 

「……。リアスちゃん、俺が先行する。

暫く『守り(ディフェンス)』を任せるけど……」

 

「ええ、勿論よ」

 

 

 そんな二人に気付いてないイッセーは、自分がPM(ポイントマン)をすると言ってからもう一度襖を少し開けて外の様子を確認した後、手をひらひらと振る。

 

 

「よし……じゃあ部屋を出るぞ。

忠告しておくが、さっきの詠春さんみたいにコチコチの石になりたくなったら絶対にリアスちゃんから離れるなよ?」

 

『……は、はい』

 

「刹那と木乃香もリアスちゃんと三人の周りを警戒しろ」

 

「「はぁい……」」

 

「……。おい、なんだその気の抜けた返事は? ふざけてるとそのまま見捨てるぞ?」

 

 

 

 こうしてこの騒動を引き起こした存在への報復の為に動き始めるイッセー達。

 これが後に『チームD×D』と呼ばれる傭兵戦闘集団の初陣となることはまだ誰も知らない。

 

 

 

 

 

 

 

「見つけたー!!! 覚悟ー!!!」

 

「あ?」

 

 

 もっとも、部屋から出たその瞬間イッセーの顔面目掛けて謎の飛び蹴りが叩き込まれるという、そこそこ不安な立ち上がりだった訳だが……。

 

 

「あ、アスナ!?」

 

「そ、そうか……神楽坂さんはネギ先生と仮契約をしているから」

 

「イッセーさんが!?」

 

「こ、これってアスナが何気に凄いのかな? 何となく不意打ちされてもイッセーさんって岩みたいに動じないと思ってたけど……」

 

「廊下をゴロゴロ転がりながら吹っ飛びました……」

 

 

 

 

 

 

 

 何気にイッセーの顔面に飛び蹴りで吹っ飛ばしたという快挙にも近い事を成し遂げた神楽坂アスナは、送れてやって来たネギ共々あれから何処へと走り去ったまま戻ってこなかった5人の女子が何か普通に無事なのと、その傍に赤髪の綺麗な女性が居ることに漸く気付く。

 

 

「あ、アンタ達無事なの!? 石化は!?」

 

「落ち着いてーなアスナ。

見てのとーりウチ等は無事や」

 

「リアス先生達のお陰でねー」

 

「り、リアス先生……?」

 

「こんばんは、大変な事になってしまってるみたいね?」

 

 

 クラスメート達が無事である事に困惑と安堵の表情を浮かべるアスナはここで漸くリアスの存在に気付き、ちょっと勢いが削がれてしまう。

 

 

「先生ってどういうこと?」

 

「アスナは会った事無いんやっけ? こちらのリアス先生は学園で非常勤やけど保険医をやっとるんやで?」

 

「ええっ!? ほ、保健室の先生だったの!?」

 

「まあアスナは病気も怪我もしないからなぁ……」

 

「じゃ、じゃあ今私が蹴っちゃった人は……」

 

「先生ではないけど、少なくともウチ等の味方やで?」

 

 

 数メートル先の廊下の床で、のどかと夕映に揺さぶられながらひっくり返ってる青年が味方と知り、顔色を真っ青にしてしまうアスナ。

 

 そんな状況の最中、肩におこじょを乗せたネギがリアスに困惑混じりに挨拶をする。

 

 

「グレモリー先生がまさか京都に居たなんて……」

 

「あらこんばんわスプリングフィールド先生?」

 

「え!? ネギ、アンタこの先生の事知ってるの!?」

 

「前に一度怪我をして保健室に行ったら、グレモリー先生が勤務の日だったので、その時に。

まさか京都で再会できるとは思いませんでしたけど……」

 

「す、すっげー……特盛すぎるぞこのねーちゃん……」

 

 

 ネギにとってはしずなと同じく年上の女性という認識があるらしく、カモなるオコジョは主にリアスの胸の戦闘力に戦慄している。

 

 

「でも、これで確信しました。

グレモリー先生も魔法使いの事をご存じだったんですね?」

 

「ええ……。

一応数年前まで彼女の『家庭教師』の真似事をしてたから」

 

「木乃香さんの?」

 

「そ、そうだったんだ……知らなかった」

 

「まー……わざわざ話すことやないしなぁ?(喋ったらイッセー君に死ぬまで口聞いて貰えへんと思ったし)」

 

 

 然り気無く魔法関連を把握してることに関して納得できそうな話を埋め込みつつ、ネギとアスナは無音でむくりと起き上がる茶髪の青年は大丈夫なのかと見つめる。

 

 

「だ、大丈夫ですか?」

 

「思いきり顔に入りましたね」

 

「ああ、刹那と木乃香に偉そうな事抜かしておいた矢先にこれだからな。

一々締まらんぜ……ったく」

 

 

 どうやら全くの無傷だったらしく、のどかと夕映と話をしながら立ち上がると………………。

 

 

「では今から処刑を開始する」

 

 

 どこの世紀末救世主が悪人モヒカンを成敗するかの如く左右の指を鳴らしながら、アスナ、ネギ……そしてついでにカモに向かって処刑宣告を何故かするのだった。

 

 

「な、なに言うとんねんイッセーくん!?」

 

「そうですよ師匠! イッセー師匠なら神楽坂さんの不意打ちなぞ取るに足らないでしょう!?」

 

「い、一応クラスメートと担任のスプラッターは見たくないよ!?」

 

 

 当たり前だが、突然殺す宣言するイッセーを止めるし、言われた本人達はイッセーの放つ異次元の圧力にお互いに肩を抱きながらガクブルして涙目だ。

 

 

「な、なにあの男。よ、よくわからないけど今まで会った連中の誰よりもヤバイ気がするわ……!」

 

「ヤバイ気ではなくて、実際本当にヤバイですよ……!? でもなんだろう……? あの男の人とは前にどこかで見た気が……?」

 

「な、なんで俺まで!?」

 

 

 本人達からしたらいきなり殺すと言われる覚えなんて無い。

 いやまあ、アスナの不意打ち飛び蹴りが該当するのだろうが、そんな事でイッセーは殺意を向けない。

 問題なのは、普通に知らぬ間にネギがリアスを知っている事だし、もっと言えばあの謎生物がぼそっとリアスの胸を見て呟いた言葉に対しての殺意だった。

 

 

「わかったわかった、じゃあ殺さない。

だがその代わりそいつ等の脳天をぶっ叩いて記憶をちょいとめちゃくちゃに……」

 

「ダメですって!? 師匠の拳骨は頭蓋骨を粉砕して耳や鼻から灰色の何かが吹き出る威力ではないですか!?」

 

「ほんまに急にどうしたんや!?」

 

 

 こうしてイッセーが落ち着くまでの間、クラスメートと担任とついでに小動物を殺させてはならぬと、女子達は全員してイッセーにしがみつきながら止めんと奮闘する。

 

 

「チッ……」

 

「あ、あのすいませんでした……」

 

「……………」

 

(む、無視されたわ。

そ、そりゃあそうよね……)

 

 

 結局今のこの騒ぎの間だけはイッセー式記憶改竄術(物理)を控えてやることにし、まずはこの騒動というかどう考えても襲撃されている状況をどうにかする為に、何故か無言でイッセーをガン見してくるネギと、ぺこぺこ謝るアスナを無視しながらリアスの傍に居ろと言ったのに何故か自分にひっついたまま離れやしないのどか、夕映、ハルナの三人を抱えたまま、ドライグの察知した気配のある場所を目指して屋敷の廊下をのそのそと歩く。

 

 

「チッ、面倒な。

どうせ建て直せるだけの金持ちならいっそ京都ごと消滅させた方が……」

 

「文化遺産がなくなりますって……」

 

「今後特別ボーナスも出なくなるえ?」

 

「仮に建て直せても人は建て直せませんよ師匠?」

 

 

 基本的にドライグ共々かなり大雑把な性格なので、一々探すよりこの場所ごと消してしまえば早いのではと言い出すイッセーを『どうどう』と宥める娘さん達。

 そのあまりにも気安い会話に、今までこのイッセーと呼ばれし青年の事を知らなかったアスナとネギは半歩後ろを歩くリアスにおずおずと質問をする。

 

 

「あ、あのー……私はグレモリー先生とも今日が初対面なんですけど、あの男の人も先生だったりするのですか? 木乃香や桜咲さんのみならず、あの三人も前からの知り合いだって感じで話をしているので……」

 

「うーん、イッセーは先生ではないわ。

そうねー……これ言うとイッセーが怒っちゃいそうだから言うのは止めようと思っていたけど、こんな形で二人と顔を合わせた以上は言っておくわ。

彼はイッセー、学園で『用務員』をしているわ」

 

「え!? よ、用務員の人だったんですか!?」

 

「今まで見たことありませんでしたけど……」

 

「普段は人前に出ずに、生徒さんや教師の方々の目に付かないで仕事をしてたから……。

だからイッセーを知ってるのは学園長やタカミチ先生といった極一部の先生くらいだわ」

 

「なんでそんな隠れるような……」

 

「あー……シャイだからかしら?」

 

「てことはあの男も関係者って事で良いのか?」

 

「ええ、それに関しては間違いないわ」

 

 

 本当はアナタ達に関わるどころか死ぬまで存在を悟られたくなかったから……とは言えないリアスは笑ってそれらしい理由で誤魔化していると、先程からずっとイッセーを見て怪しむような顔をしていたネギがボソボソと呟き始める。

 

 

「あの声……やっぱりどこかで聞いたことが」

 

 

 どうやら段々と以前目にした時の記憶が甦って来たらしく、確認するようにネギがリアスに質問をする。

 

 

「もしかして、あの方は学園では顔を隠すように帽子を深く被っていて、作業着のような服装でしたか?」

 

「………………。ええ、正解だわ。

あー、そういえばエヴァンジェリンさんとの一件で一度イッセーを見たんだったわね先生は?」

 

「や、やっぱり。

じゃああの人があの時助けてくれた……!」

 

「は? へ?? なんの事よネギ?」

 

「そういやエヴァンジェリンと兄貴がやりあってる最中、通り魔みないな奴が現れてエヴァンジェリンを半殺しにしてたな。

まさかその時の奴があの男なんですかい?」

 

「え!? そうだったの!?」

 

「間違いありません。

さっき僕達に向けた殺気に凄く覚えがありましたし、何より声もそのままでした!」

 

(…………。ノドカが襲われたって知った途端、碌に変装もしないで行っちゃったのが思いきりバレちゃってるわね……)

 

 

 エヴァンジェリンを八つ裂きにした時の記憶と、イッセーという青年の特徴がネギの中で完璧に一致し、確信へと変わる様子をリアスは苦笑いしながら聞き耳を立てる。

 

 

「あの時助けてくれた人……!」

 

「いや兄貴……?」

 

「すっごくキラキラした目だわ……」

 

 

 本人が聞いたら全力で否定しそうな話だが、ネギはエヴァンジェリンを通り魔的に襲撃し、一方的に叩きのめした謎の男の事がずっと誰なのか知りたかったのだ。

 

 今よりもっと幼い頃、故郷が襲撃された時に無力だった自分を助けてくれた父のナギの姿と重なって見えた。

 そして疑念が確信へと変わった瞬間、のどか達に何やら話をしているイッセーという青年がとても輝いて見えてしまったのだ。

 

 

(珍しいわ。私に対してもだけど嫌悪といった感情を抱いてないなんて……。

ネギ・スプリングフィールド……か……)

 

(えぇ? 私はもっと渋くてかっこいいダンディな人だと思ってたのに……。

思ってたより若いし……なんかガキっぽいわ)

 

 

 そんなネギの態度に、やっぱりこの世界は変わってるわと思うのと同時にちょっとだけ嬉しい気持ちになるリアスと、エヴァンジェリンの件で現れた男の正体に対して割りと残念に思うアスナ。

 まあ、あの引っ込み思案側ののどかがあんな楽しげに話をしているのだから悪い人間とは思わないが……やはりこう、タカミチや詠春のようなダンディ男を想像していたアスナ的には残念だという気持ちが強いらしい。

 

 

「あ、あの……」

 

 

 そんなアスナの気分とは別に、やっと見つけられたと思ったネギは先程思いきり殺意を向けられたというのに、健気にもイッセーに話しかける。

 

 

 

「? どーしたんネギくん?」

 

「あ、いえ……そちらの……イッセーさんに少し……」

 

「と、うちのクラスの担任の先生であるネギ先生が仰っておりますがイッセー師匠?」

 

(イッセー師匠……?)

 

 

 まるで推しのアイドルを前にしてる緊張したファンのような態度のネギは、刹那がイッセーを師匠と呼んでいる事に気付く中、先頭を歩いていたイッセーが死ぬほど無愛想に口を開く。

 

 

「…………なんですか?」

 

(あ、塩対応モードや)

 

(これは塩間違いなしだな……)

 

(私も最初の頃こんな対応だったなぁ……)

 

(それでも一応敬語なんですね)

 

(一応ネギ先生だしねぇ……)

 

 

 あまりにも感情が欠落したような声に、女子達は即座にイッセーが『懐かない犬』を彷彿とさせる塩対応状態であることを、己等の体験を元に察知する。

 

 

「あ、あの! 以前学園でエヴァンジェリンさんと戦っていた時に助けてくれましたよね!? あ、あの時のお礼をどうしても言いたくて……その……」

 

(おぉう……)

 

(これは委員長さん辺りが見たら卒倒しそうですね……)

 

 

 もじもじと、ショタコンに見られたら即座に襲われそうな態度をするネギだが、イッセーはそんなネギに一瞥たりともくれることなく無愛想に返す。

 

 

「貴方にお礼を言われるような真似をした覚えは、生憎の所俺にはございませんね。

あの吸血鬼の件の事を言っている様ですけど、勘違いしないで貰いたい。

あれは『個人的にあの吸血鬼にムカついた』からぶちのめしに行っただけの事であって、別に貴方達を助けた訳じゃない」

 

「……」

 

 

 事実、のどかがエヴァンジェリンに襲われたのを聞いたからムカついてぶちのめしに行っただけで、たまたまその時ネギやらアスナが戦ってただけだったので、助けたつもりは皆無だ。

 

 

「偶々ムカつく吸血鬼を半殺し程度にぶちのめしに行ったら、偶々貴方とそこの女子生徒とその他生物が吸血鬼とやりあってた場面で、そこに割り込んでったってだけです。

だから礼は要らないし、言われたくもないし、つーか今後ともかかわり合わない様な遠い関係で居ましょう?」

 

『うっわぁ……』

 

「イッセー……。昔はもっと人懐こい子だったのに……」

 

「その他生物ってオレのことか!? その他生物呼ばわりなんて失礼な奴だな!」

 

「あ、アンタね! あの時の恩人であることとさっき間違って蹴っちゃったから悪いと思って黙ってたけど、そんな言い方しなくても良いでしょうが!!?」

 

 

 

 下手したらしずな以上の塩対応のイッセーに、自分がもし同じ事を言われたらと想像するだけで心が折れそうになるのどか、ハルエ、夕映、木乃香、刹那と、大人になるにつれて社交性を捨ててるイッセーに物悲しい気分になるリアス。

 当然ネギ側であるカモやアスナはあんまりな言い種のイッセーに怒る訳で……。

 

 

「……………」

 

「え、ネ、ネギ?」

 

「あ、兄貴?」

 

 

 勿論言われた当人は一目見たその瞬間からその強さに憧れのような感情を抱いた相手から徹底的な塩対応をされたというわけで、凹みに凹むと思われたのだが、何故かネギは凹むどころか寧ろ頬まで染めながらキラッキラとした目をしていた。

 

 これにはアスナやカモのみならず、のどか達もギョッとなる。

 

 

「な、なんて控え目でクールな人なんだ……!」

 

「「「「「「「……………………は?」」」」」」」

 

 

 この子は何を言っているのだ? と全員が10才児を見る。

 

 

「謙遜し、助けた相手を巻き込まないために敢えて突き放すような言動……。

ああ、僕が小さい頃思い描いていた英雄(ヒーロー)そのものだぁ……」

 

 

 どうやら言われた言葉の全部を勝手に自分の理想形に変換してしまったらしく、某嵐を呼ぶ園児とその妹と同じような表情で『えへー……』と笑っていた。

 

 

 

『おい、お前の言葉が通じてないぞ?』

 

(ガ、ガキに対して気色悪いと本気で思ったのはこれが初めてなんだが。

頭沸いてんのかコイツ……!)

 

 

 当然イッセーも、今までに無い反応であるネギに妙な恐怖を抱く。

 

 

「ぼ、僕の名前はネギ・スプリングフィールドです! 夢は父のような立派な魔法使いになることと、アナタのような強くてクールな英雄(ヒーロー)になることです!』

 

「ちょ、ネギくん……?」

 

「凄い、イッセー師匠が圧されているなんて……」

 

「………。少年(ネギ)に迫られる青年(イッセー)ってネタで描いたら委員長辺りに高値で売れないかな?」

 

「一部の女子には受けそうですね。

それに、イッセーさんを英雄(ヒーロー)というのは何故だか納得してしまいます」

 

「う、うん……」

 

「そりゃあ本屋ちゃんからしたらまさにそうだもんねぇ? うりうり~」

 

「や、やめてよぅ……」

 

 

 

 

 

「ね、ネギ……」

 

「これは思ってもなかった展開だわ……。

てっきり敵と認識されてるとばかり……」

 

 

 イッセーが警戒していたネギが持つ『主人公力』の作用なのか、それとも別の何かなのか。

 

 

「学園に帰っても僕と会ってくれますか? ……あ、やっぱりイッセーさんはそのままで良いです、必ず自力で見つけて僕から会いに行きますから! もし会えたらイッセーさんの事を教えてください! 普段は何をしているのかとか好きな食べ物とか趣味とか僕の魔法を見て欲しいとか。

あ、さっき桜咲さんがイッセーさんのことを師匠と呼んでたってことはつまりそういうことですよね? だってシネマ村で戦っていた時桜咲さんは途中で刀を捨てて素手で戦ってましたしその時の戦い方がエヴァンジェリンさんをぼこぼこにしたイッセーさんっぽいなって思いましたしこのかさんも似てましたしそっかぁ桜咲さんとこのかさんが羨ましいなぁ僕も是非イッセーさんの戦い方を知りたいなぁ? こう腕に赤い籠手みたいなものを纏ってビシッバシッって相手を叩きのめすんですよね? 凄いなぁ僕は魔法ばかりに頼りすぎてそういう戦いかたが下手くそなんですよぉ。

だから是非僕にイッセーさん流の戦いかたを教えて――いえこの身に直接叩き込んで欲しいなぁ?」

 

「……………………………うん、そーだね」

 

 

 

 

 

 

「ちょおアスナ? ネギくんがバグっとるんやが……」

 

「し、知らないわよ!? あ、アタシも初めて見たわあんなネギ……」

 

「完全にネギの兄貴に引いてるぜあのイッセーって奴……。いやすげーわかるけど」

 

「イッセーもイッセーで戸惑ってるわね……」

 

「ええ、しかし何故かムカムカしてきますね……」

 

 

 

「あれ、本当にそっちの気とかじゃないよねネギ先生?」

 

「これをネタに委員長さんを煽ったらどうなるか絶妙に興味深いです」

 

「…………………………………」

 

「既にのどかさんが凄い目でネギ先生を見てますけどね……」

 

 

 『主人公』に目を付けられた時点で逃れようがなくなったイッセーなのだった。

 

 

終わり




補足

ナンテコッタイ!
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