色々なIF集   作:超人類DX

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切った切り札の差があった……それだけだった


悲しき幕引き

 

 狂うことも無く、奪われる事も無く、本来の運命を辿った青年が紆余曲折の果てに辿り着くひとつの境地。

 

 

 

  我に宿りし紅蓮の赤龍よ、覇から醒めよ

 

  我が宿りし真紅の天龍よ、王と成り啼け

 

      濡羽色の無限の神よ

 

      赫赫たる夢幻の神よ

 

  際涯を超越する我らが真なる禁を見届けよ

 

 汝、燦爛のごとく我らが完全なる燚焱にて紊れ舞え

 

 

 

 人はこの領域を『龍神化』と呼ぶ。

 

 運命から外れ、運命から外されたことを自覚した上で共に運命を相手に唾を吐きかけながら中指を立ててやる道へと進んだこの青年では決して辿り着くことはこの先もあり得ぬ、本来の運命を辿った少年のひとつの極致。

 

 

 この先、永久に取り戻すことも掴むこともできない―――さればこそ運命から外され、そして取り戻すという選択をしなかった青年は0から作り直した。

 

 皮肉にも、『無限の境地』に近しく………そしてもっとも遠いとも言える彼だけの無神臓(ムゲン)へと。

 

 無価値(ゼロ)へと堕ちたからこそ辿り着いた『兵藤イッセー』だけの進化。

 

 

 

 無へと堕とされし我等、宿りし精神と共に再び目覚めん

 

 全てを棄て、突き進むは永遠に極める事は叶わぬ無神臓の領域

 

 無限を越えて捩じ伏せ、夢幻を嗤って破壊せん。

 

 全てを粉砕し、全てを滅し、全てを無へと誘え

 

 魂をひとつとし眼前の全てを超越する我等こそ最後の赤龍帝なり!

 

 

 

 魂も肉体もひとつとなり、愛する悪魔と共に生きる為に戦う――それが『龍神化』ではなく『身勝手で我儘』と化した兵藤イッセーと赤い龍の掴み取った領域。

 

 

「こんな事を今になって訊ねるのは我ながら間抜けにも思うが敢えて聞かせてくれ――――――お前は『誰だ?』」

 

『「オレか? そうだな、龍と一誠が合体して龍誠といったところかな? 更に――』」

 

 

 龍と人。

 二人で一つの赤龍帝。

 

 

「『コイツが超龍誠!! ……なんてな?』」

 

 

 

 

 

 

 ヴァーリとしての本来の肉体やそれまで培ってきたスペックは喪われ、『特殊な出生』とはいえフェイトとしての肉体は白龍皇の器としては大きな枷だ。

 とはいえ、肉体的な鍛練を詰めば――果て無き『挑戦する精神』がある限り、何れはヴァーリだった頃の自分を超越できると信じるフェイトは、己の肉体へのダメージリスクを覚悟で今引き出せる全力を解放した。

 

 それに対して赤龍帝の彼もまた『全力』を解放してくれた事にフェイトの精神はこれまでに無く高揚したが……。

 赤龍帝である彼が示した全力は、相棒であるアルビオンから聞かされていた歴代の赤龍帝達が到達した領域のどれにも当てはまらない―――全くの未知であり今までのセオリーを完全に無視をしたものだった。

 

 

「行くぞ赤龍――ぶっ!?」

 

「『……』」

 

 

 神器として封じられていた筈の赤い龍が宿主の肉体から実体と共に出てきた。

 そればかりか出てきた赤い龍が宿主であるイッセーと触れ合ったら眩い閃光が発し、閃光が止めばそこに立つのはイッセーに近しい容姿をした赤髪の『青年』だった。

 

 

「ぐ……ぅ!?(し、信じられない。油断も慢心もしていなかったのに、この男の動きが全く見えなかった。

咄嗟に半減の力を展開させても尚この速さは……!)」

 

 

 自らを赤い龍と一誠が合体した存在と名乗り、その身から放たれる赤にも黄金にも見える闘気はまさに無尽蔵の輝きを放ち、天を貫く程に激しい。

 

「『……ほう?」』

 

 

 その途方も無き闘気も決してこけおどしではなく、己の寿命が削れることも覚悟で解放した魔王化した自分が視認不可能な速度で殴られる。

 

 勿論、「半減」「吸収」「反射」にといった白龍皇としての力も、アルビオンが最初から有していた猛毒の能力「減少」をも操る事が可能である魔王化形態ならば、咄嗟の攻撃にも対応可能な筈だ。

 

 

「『俺のパンチを顔面に喰らっておいてその鎧にヒビが入る程度で済んでいるとはな。

なるほど、それがお前が掴んだ領域か……』」

 

 

 この時も「減少」の力を発動させ、赤龍帝の「血や肉や骨――果てには臓器や魂といったあらゆるものを減少させて対応した筈なのに、この男はまるで効いた様子も無い。

 

 いや、厳密に言えばこの男の放つ無尽蔵のパワーがあまりにも強すぎて減少そのもの無意味となっているというのが正しいのかもしれない―――という結論に至ったフェイトは一撃で顔面付近の鎧がひび割れ、衝撃で軽い脳震盪に陥りながら思わず笑ってしまう。

 

 

「『しかし今の俺達のほうが強いのは間違いないらしい。

どうやら互いの切り札に差がありすぎたようだな? え? 白龍皇様よ?』」

 

 

 そう呟きながら首の関節を鳴らしながら手の平を向けた瞬間、高密度のエネルギーの塊を放つ。

 

 

「グォォォッ!?」

 

 

 あっという間に閃光に呑み込まれたフェイトは、全力で身を守る為に半減や反射といった力を使う。

 

 

「『……………ふっ』」

 

「はぁ! はぁ……! はぁ……!!」

 

 

 なんとか防げたものの、一撃で鎧が破壊寸前までのダメージを負わされたフェイトと、そんなフェイトに対して鼻で笑う合体状態のイッセー

 

 最早この時点で勝負は着いているようなものだが、フェイトの戦意は失われていないらしく、崩壊寸前の鎧姿でファイティングポーズを取る。

 

 

「まだだ……! オレはまだ死んではいないぞ……!!」

 

「『………』」

 

 

 これ程までの強さへと到達するに至るまで、一体どれ程の鍛練をし続けてきたのか――そしてこれ程の強さを持つ彼ともっと早く出会えていれば、師達は死ななかったかもしれなかったとすら思ってしまう。

 

 

「オレは死なん! 例え今ここでお前に殺されても、オレは絶対に死なん! そして必ずはい戻り、お前に再び『挑戦』してやる!」

 

 

 しかしどう考えても今の自分では勝てないのは認めなければならない。

 認めるからこそ命乞いも手心を懇願することも決してしない。

 

 

 

「『殺されても死なんなんて矛盾してるだろうが。

言われなくてもきちんとトドメは刺すから安心しろ』」

 

 

 手痛く負けても、恥であろうと『張り続けろ』という義父である堕天使の男の言葉を己の信念とするヴァーリ・ルシファーは、最早崩壊寸前となっている鎧から強引に全ての力をひねり出そうとするが、それすらも許さんとばかりに龍の帝王は大きく薙ぎ払うかのように腕を振るうと、破壊的な突風がヴァーリの身を包んでいた鎧を粉々に砕きながら吹き飛ばす。

 

 

 

「『わざわざあの子達から力借りてまで全力を引っ張り出してんだ。

吐き出さて貰うぜ……!」』

 

 

 人形の様に吹き飛んだフェイトにそう言いながら左手に自身のエネルギーで作り出した刃を生成しながら、閃光のごとき速度で追いかけ、切り刻みながら追撃する。

 

 

(く、ははは、粋がって喧嘩を吹っ掛けたというのに、こうまで一方的にやられるなんてね……)

 

『あの赤いのの宿主……信じられん奴だ……! くそ、このままではお前が……!』

 

 

 異次元の速度で全身を切り刻んでいく合体赤龍帝が、更に速度を上げてフェイトより先回りすると、今度は地面に向かって叩き落とす。

 最早抵抗も叶わず強烈な蹴りで地面へと落下したフェイトの真横で、両者の力に呼応するかのように勝手に出現したリョウメンスクナが居たり、あんまりにも五月蝿くてしつこいから仕方なくといった様子の学園長によって現場に召喚されたエヴァンジェリンがドヤ顔でリョウメンスクナと対面してたりするのだが、そんな約三名を上空から見下ろしていた合体赤龍帝は、左手に生成していたエネルギーの刃を―――

 

 

「『そら、遠慮は要らねぇぞ―――喰らぇぇぇっ!!!」』

 

 

 ✕の形に切り刻むかのように振り下ろしたのだ。

 

 

 

「くっくっくっ! さぁて? まずは貴様でウォーミングアップをした後に、あの鬼畜男への復讐を――――へ?」

 

『!?』

 

「う……うご……けん……な……ふ、ははは……」

 

『小娘共、小僧ォ!! ヴァーリをここから転移させろぉ!!』

 

 

 運が悪いというべきか、どや顔で登場したエヴァンジェリンと、外がなにやら騒がしいので見に出ててきただけのリョウメンスクナは、まるで通り魔に襲われるが如く―――

 

 

【ぎょぇぇぇぇ!?!?!?】

 

 

 閃光の刃によって残念な結果を向かえるのであった。

 

 

 

 そして……。

 

 

 

「みつ……け……た!」

 

「『? なんだ、またお遊戯好きの小娘か。

なんの用だ?』」

 

「……。何故かアナタの髪の色とか顔立ちが違うとかそんなのはどうでも良い。

私が来たのはアナタを――」

 

「………む?」

 

『時間切れか……。白いのと宿主の気配が急に消えたようだが……』

 

「……。チッ、直前で逃したっぽいな。

まあ、あれだけぶちのめせば暫くはまともに動けん筈だし、取り敢えずリアスちゃん達の所に戻るぜ」

 

『ああ、だがしかしその前に現在進行でお前の頭目掛けて鉄砲を乱射しまくる小娘は良いのか?』

 

「あ? ああ……おいガキ、そろそろ気は済んだか? 今お前ごときと鉄砲ごっこして遊んでる暇はないんだ」

 

「て、鉄砲ごっこなんかじゃない!!!!

効かないなんておかしい! なんで!?」

 

「一々説明するのも面倒だ、テメーで勝手に想像してろ」

 

「さ、桜咲とかには普通なのになんで私にはそんな態度なの……!? 確かにグレモリー先生の事は悪いとは思うけど――」

 

「あーぁ、結局あの子達に借りが出来ちまったなぁ―――――あ、えっとごめん、聞いてなかったけど今何か言った? てか早く帰れや小娘が」

 

「ぐぬぬぬ……! 小娘だのガキとかじゃない! 龍宮真名って名前が私には―――」

 

「うっせぇわクソガキァ!! そんなに話し相手が欲しいならならそこら辺の雑草相手にしてろやボケが!!!」

 

「うがぁぁぁぁっ!!」

 

 

 なんか旅館を脱走してきた女子に絡まれながら、イッセーはリアス達のもとへと帰るのだった。

 

 

 

「コ……コロス……ぜったい……コロス……!」

 

 

 一瞬で全身をバラバラにされた吸血鬼さんに恨み指数がめでたくカンストされたことへの自覚も無いし。

 

 

「ガルルル……!」

 

『おい、お前のせいでこの小娘が獣のように威嚇しているというか、思いきり噛みついてるんだが……』

 

 

 

 意固地になって気を引こうとしてくる銃使いの少女に飛び付かれて腕辺りに噛みついてこられたりしても、イッセーの区別主義は変わらないのだ。

 

 

「ぎゃうん!?」

 

「鬱陶しいクソガキが、そこで寝てろ」

 

 

終わり

 




補足

異界の二天龍の戦いの余波でちゃっかり復活した鬼神さんと、これでもかと喚いてなんとか召喚して貰った吸血鬼さんは、『遠慮はしねぇぞ、くらぇぇっ!(某ベジットのアクティブスキル風)』されて一発退場してしまいましたとさ。

その2
気配を辿って脱走したたつみーは、塩対応にバチクソ切れてキレた犬みてーに噛みついたけど拳骨で沈められちゃったとさ。

頑張れたつみー! 負けるなたつみー!
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