色々なIF集   作:超人類DX

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続きっつーか……


拗れに拗れる

 

 

 

 師匠は極端な区別主義者だ。

 身内と他人へのオンとオフがあまりにも露骨というべきか。

 敵と認識した相手に対するやり口が一々えげつないというべきか。

 

 少しでも身内と認識した者が傷つけられたと知れば、それがどんなに些細な理由であろうとも、師匠は即座に報復行動に出る。

 

 おおよそのこの世の価値観や基準で考えてしまえば、きっとまともな人――とは言えないだろうし、他人からしたら師匠は暴力的な男性と思うだろう。

 

 しかし私はそんな師匠の極端さが――そして区別主義者でありつつも偏見の目の薄さが憧れであり、個人的には好意を抱く。

 私が鳥人と人のハーフであることをお嬢様よりも先に打ち明けた時も師匠はあまりにもリアクションが薄かった。

 

 

『あっそう……で?』

 

『え……あの、驚くとか、怖いとか、気持ち悪いとか思わないのですか?』

 

『は? なんだそりゃあ? 鬱陶しい小娘だとは思うだけで別にな……。

つーかなんだ怖いって? オメーみたいなチビをか? あるわけねーだろ、俺を嘗めんな』

 

 

 当時より更に幼い頃、ハーフであることを知った人達から受けてきた仕打ちのせいで親友と読んでくれるお嬢様にも言えなかった秘密。

 詠春様のような『大人』はこんな私を受け入れてくれださったから、同じ『大人』である師匠にも――そうトラウマを圧し殺して打ち明けた私にしてみれば、肩透かしを食らうリアクションだった。

 

 

『それを言ったらリアスちゃんなんて生粋の悪魔だし、俺も俺で進化しまくったせいで人間かどうかも微妙な生物なんだぞ。

まあ、元々初めてオメーを見た時から普通の人間じゃない気はしてたし、詠春さんからも話は聞いてたさ。

オメーがその話を俺にして、俺にどう返して欲しいのかは知らんが、俺は別にオメーが半分人間じゃなかろうがどうでも良い。ただのガキでしかねぇ』

 

 

 

 考えてみたら、生粋の悪魔であるリアス姉さんと共に居る時点で、師匠が私を嫌悪や拒絶するという事は限りなく薄かったのだけど、それでもぶっきらぼうに言ってくれた師匠の言葉は私を心底安心させてくれた。

 まあ、そんな師匠が常に見る相手はリアス姉さん――いや、今はリアス先生だけであるのは私もお嬢様と重々承知している。

 しかしその一種のブレなさが余計に惹かれるというか……。

 

 私やお嬢様が懐けば何時も嫌そうな顔をしながらも、なんやかんやで『一人の人間として』見てくれるものだから――解っていても惹かれてしまう。

 

 だからこそちょっとした危機感を最近抱くというか……。

 

 まさか師匠の存在そのものと対極に位置するというか、文字通り住む世界そのものが違う宮崎さんがあそこまで師匠を慕うなんて……。

 

 リアス先生は『常に私を守る為にそれこそ世界に中指立てながら生きてきたイッセーが、こうやってアナタ達のような子に懐いてくれるのを見るのが最近ちょっとうれしいのよ……』と、大人の余裕っぷりを見せるのだけど、私はまだ大人にはなれないらしい。

 

 

「良いですか師匠? 今日は宮崎さん達の事は無しにして私の修行を見てくださいね?」

 

「はいはい……。

はぁ、結局自称弟子は諦めなかったなお前……」

 

「当然でしょう? 誰に殺されてしまおうが私は死んでもイッセーさんの弟子ですから」

 

 

 早い話がちょっとした嫉妬のようなものを感じてしまうのだ。

 

 

 

 

 桜咲刹那の基本戦闘スタイルは京都神鳴流を軸とした剣士だ。

 が、イッセーとリアスとの、本来ならばありえぬ出会いにより+αでイッセー式我流喧嘩術を体得しおり、割りとえげつなさの光る体術で敵をなぎ倒したりすることもある。

 

 それ故に刹那の実力自体は実はかなりのものであり、リアスによって魔力のコントロールをモノにしている木乃香とのコンビを組むと、実はそこら辺の者達では手に負えない強さを発揮できたりもするのだ。

 

 

「棒を持って戦うってのはあまり得意ではないんだが、最近とあるSF映画を観てな。

実戦に転用できるか試してみることにした」

 

 

 そんな刹那は現在、文字通り指を咥えながら羨ましそうにこちらを観ているのどか達や、応援してくれるリアスや木乃香達を背に、SF映画を見て真似してみたとか言い出しながら鉄パイプを手にするイッセーに応じる形で獲物を構えていた。

 

 イッセーが剣術の類いには疎い事は当然知っているものの、それとは別にそこら辺に落ちてる枯れ枝で鋼鉄を破壊できる事は身を以て知っていたので、勿論油断せず、むしろ斬り伏せるつもりで構えている刹那。

 

 

「ライト○ーバーって格好いいよなぁ……」

 

「くっ!?(素人特有のかなりの大振りなのに、一撃一撃が重すぎる上に妙に隙が無い!?)」

 

 

 

 遠い昔、遥か彼方の銀河系的SF映画の某選ばれし者が好む型を思わせる動きで刹那のガードを弾きまくるイッセーは、その映画に出てくる光る剣について言及しながら、自身の腕や肩の関節を駆使し、鉄パイプを鞭のようにしならせながら刹那の刀を弾き飛ばすのであった。

 

 

「け、剣術でも太刀打ちできないなんて、私の立場が無いじゃないですか……」

 

「剣術じゃねぇ、ライト○ーバーの型だ。

それに、ただの見よう見まねだ」

 

 

 訓練用の剣(真剣)をあっさりへし折られてしまった刹那は、痺れる両手を振りながら鉄パイプを振るうイッセーにちょっと自信を失いかけるつつも、今だけは木乃香やリアスではなく、自分を見てくれる師に心を震わせるのであった。

 

 

 

 

 

 内に秘める多量の魔力を幼少期から自覚させられ、その扱いとコントロールを学んでいたりする木乃香にとってすれば、リアスはまさに師であった。

 それ故に実は戦闘となれば割りと自力でなんとかできちゃう程度には強かったりするのだが、この日の木乃香は『取り囲まれていた』。

 

 

「仮契約……なぁ」

 

「は、はい……その、是非といいますか、今後の事も含めてイッセーさんとの仮契約なんて出来ちゃったらなぁ……とか思ったり思わなかったり」

 

 

 

 寮の部屋が同じなので仕方ないといえばそれまでだが、基本的に修学旅行以降もイッセーやリアスの普段の行方や用務員室の存在についてはアスナやネギ達には一切話さずに煙に撒いてきた木乃香だが、ここに来て痺れでも切らせたのか、とうとう間に入ってくれ的な懇願をされた木乃香は、何故か頬を紅潮させながらもじもじしてるネギに、若干引きつつ遠い目になっていた。

 

 

「その仮契約ってのをするには契約対象と……アレするんやろ?」

 

「は、はい……」

 

「……なぁネギ君。

ネギ君にはまだというか一生早いんちゃうかなぁと思うやけど?」

 

「は、早いなんてそんな……。

アスナさんとは仮契約しましたよ?」

 

「そらアスナは女子やしわからんでもないけど、イッセーくんは男やで?」

 

「パ、仮契約に性別は関係ないですし!」

 

 

 カモやアスナも同じことを思っているのだろうか、死んだ目をしながらなんとも言えない顔をしているのをチラ見しつつ、木乃香はいたいけな男の子が道を踏み外さないようにと説得するも、ネギ本人は既にイッセーと仮契約の意思がダイヤモンドよりも固い。

 

 

「なぁなぁアスナ? 本当に止めないとネギくんの将来が色々と拗れてしまうで?」

 

「わ、わかってるわよ。

アタシだって反対したわよ。

でも……」

 

「……。あの男と仮契約できたからネギの兄貴の格が跳ね上がると思うと微妙に否定しきれないっつーか、オレ的にはあのリアスって女の方が良いとは言ったんだが……」

 

「今のは聞かなかった事にするけど、死んでもイッセー君の前で吐かん方がええで。

その手の冗談はまったく通用せんからな」

 

「………。やっぱりそうだよな……」

 

「前にリアスおねーちゃんにストーカーした男がおったんやけど、数日後に行方不明になり、野良犬が加えてた肉の一部がその男だったって事も――」

 

「ぜ、ぜってー言わねぇ! ね、ネギの兄貴! やっぱり辞めたほうが良いぜ! あの男、マジでやばいって!」

 

「でも愛する人の為なんだよね? ……その人の為なら殺人すらも辞さないその漆黒の様な意思……。

ああ、やっぱり僕の思い描く通りの人だよぅ……」

 

 

 

 好き好んで惨殺現場を見たい訳ではない木乃香の警告に、カモ自身もイッセーとリアスがただならぬ関係であることを察しつつも予想以上に触れるとやばいタイプである事に戦慄している。

 

 

 

「チッ、認識阻害の結界を何重にも張り巡らせているせいで、学園で奴等を見つけるのは難しい。

ジジイならなんとか出来るだろうが、奴等に関しての事はどれだけ脅しても手は貸してくれん。

だから貴様の協力が必要なのだ」

 

 

 殺人行為すら辞さないという、間違いなく正義とは程遠い話を聞いても尚、頬を染めながら称賛するネギに、どうしたものかと困る木乃香。

 

 

「協力って言われてもなぁ……」

 

 

 更に困る事に、今現在この場にはネギ達の他に最近やっと人前に出られる程度には回復したエヴァンジェリンや、真名、古菲、楓といった『イッセーの被害者の会』のメンバー達までもが集結してしまっているのだ。

 

 

 

「恐らく貴様や桜咲刹那、それから宮崎のどか、早乙女ハルナ、綾瀬夕映達は奴等の認識阻害をすり抜けられるようになっているのだろう?」

 

「あー、あんま難しいことはわからんけど、イッセーくんとリアスおねーちゃんの『許可』を得るとその手の結界が自動的にすり抜けられるらしいんや」

 

「それなら木乃香についていれば会えるって事なのね?」

 

「まー、理論上はそうなるかも……。

せやけど止めて欲しいというか、リアスおねーちゃんはまだしも、イッセーくんが今の状況を知ったら―――わかるやろ? どうなるか」

 

『…………』

 

 

 

 然り気無い脅しのつもりで放つ木乃香に、ネギ達は閉口する。

 確かに木乃香に無理矢理便乗してイッセーを探し当てる事は可能にせよ、それを知ったらイッセーがどんな行動に出るかは今までの出来事で痛いほどわかるのだ。

 

 

「ふん、私は構わんぞ。

別に恐れてはないからな」

 

 

 唯一エヴァンジェリンだけは登校地獄の呪いが継続しているのにも拘わらず自信満々だ。

 

 

「奴の攻撃で死ぬことな無いとわかった今、恐れるに足らん」

 

(昔、実家から逃げ出したリアスおねーちゃんを捕まえる為に追いかけてきた不死鳥の悪魔の不死性を『破壊』して殺したこともあるし、多分『不可逆』に切り替えたら死ぬと思うんやけど、黙っておいてあげよ……)

 

 

 本人はイッセーの攻撃で死にはしないので、耐久勝負に持ち込めば勝ち目があると踏んでいるようだが、その不死性をイッセーは『壊せる』事を知っている木乃香は、説明してもどうせ信じてはくれないだろうと思って敢えて教えることはせず、ネギやエヴァンジェリン達の他にここに居るクラスメート三人に視線を移す。

 

 

「というか、古菲や楓や真名もイッセーくんに会いたいって、なんでなん?」

 

「や、私というよりは――」

 

「真名がどうしてもというか……」

 

 

 困り顔になりながら話す古菲と楓がソファの真ん中に座る目がガンキマリ状態の真名を見る。

 

 

「……散々探したけど、見つけられない。

リアス先生に聞く手もあったけど、下手に近づいたらそれこそ彼に……」

 

「あー………」

 

 

 目がバキバキに開けながら話す真名に木乃香は色々察した。

 このメンツにおいてはエヴァンジェリンよりもある意味でイッセーにやられまくっている事は刹那経由で知っているのだ。

 

 

 

「カモくんに忠告した通り、イッセーくんはどんなに些細な事でもリアスおねーちゃんに関することは冗談が一切通じないんや。

大体は真名とイッセーくんの間に何があったのかは聞いとるけど……やっぱり難しいと思うえ?」

 

「……。別に私は彼と仲良くなりたい訳じゃない」

 

「エヴァンジェリンさんと同じ理由ってとこかいな?」

 

「大体は。

それと、宮崎達には優しいのがちょっとムカつくだけ…」

 

(えぇ……? つまり嫉妬やんけ)

 

 初対面の際に両腕を蹴り折られて以降、完全にケチがついてしまった真名からすれば、イッセーとのイザコザを乗り越えられなければ先は無いと思っているのに加え、自分に対しては辛辣なのは変わらないのに、一般人ののどかなハルナな夕映には普通に甘い対応なのがとても気にくわないらしい。

 

 

「わかったわ。

いきなりは絶対によくないけど、取り敢えず本人に聞くだけ聞いてみてからでええか? それで『嫌だ』ってなったら諦めるしかないけど」

 

 

 

 仕方ないので一応協力の意思を見せる事にはした木乃香に、ネギ達は一旦納得して引き下がる事にした。

 それを確認した木乃香は、今頃刹那の修行相手になっているであろうイッセーの元へと向かい、今回の事を話してみたのだが……。

 

 

「くだらん、ふぁっきゅー……とでも返しとけ」

 

「あはは、イッセーくんならそう言うと思った。

はぁ、最近ますますイッセーくんを探そうと躍起になっとるんやけど、撒くのも面倒なんや」

 

「……じゃあ殺っちまうか――――って訳にもいかねぇのか。

チッ、てか刹那と同じ部屋にして貰う訳にはいかねぇのかよ?」

 

「それなら用務員室に入れて欲しいわぁ」

 

「ええ、おはようからおやすみまで師匠とリアス姉さんと一緒なら怖いものなんてありませんからね。そうと決まれば早速――あいた!?」

 

「ふざけんなバカ。

プライベートまでテメー等に使う気なんぞねぇからな」

 

 

 

 木乃香の提案を聞いた途端、さっさと引っ越そうとする刹那の頭をひっぱたいて拒否するイッセー。

 とはいえ、これ以上ネギやら何やらから探されるのも鬱陶しいし、そもそも仮契約ってどういう事だと思う訳で。

 

 

「ほら、ネギくんって魔法使いやん? せやから契約ってのをして従者にしたりする――みたいな?」

 

「へぇ、クソ良い度胸してんなあのガキ。

俺を下僕化させるだァ?」

 

「仮契約とやらにはキスって……いや、絵面的にアウトにも程があるのですけど……」

 

「一部界隈にはウケそうな気もするけどな?」

 

「しかし委員長さんがもし見たら吐血しながら絶命するレベルのショックを受けてしまわれるのでは?」

「あはは……! 確かにそやな……」

 

 

 下手したら別ベクトルでイッセー被害者の会のメンバー化してしまいそうだと、ネギに好き好き光線を出すクラスメートにて委員長の雪広あやかについて考えながら苦笑いを浮かべる木乃香と刹那。

 

 

「はぁしょうがねぇな。

要は一度そのガキ共に会って話を付ければ良いんだろ?」

 

「え? ……ええの?」

 

「しょうがねーだろ、じゃないと今後もお前が面倒になるんだからな……」

 

「「……………」」

 

「………なんだよ?」

 

「……。いーや? ふふふ♪」

 

「……。本当に師匠って……ふふふ♪」

 

 

 こうして仕方なく一度きりのつもりの会合に了承することになったイッセーの身内認定した者への不器用きわまりない態度に、中学生女子二人は何故かキュンキュンするのだった。

 

 

 

 

 明くる日、意外にも木乃香から『一度なら会ってもええって言ってたえ~?』と、妙にほくほくした顔で言われたネギ達は、緊張した面持ちで会合の場となる学園長室にやって来たのだが……。

 

 

「おいネギ・スプリングフィールド……。

会長(イッセー)の盃(仮契約)寄越せやとコラァ……」

 

「え、こ、このか……さん?」

 

「な、なんでスーツ着てるのよ?」

 

「ワレェ、何様のつもりじゃコラ! ボケ!!」

 

「「ひっ!?」」

 

 

 何故かヤ○ザしか着なさそうなスーツを着た木乃香が、 恫喝としか言い様のない口調で凄んでいた。

 今朝――というかつい数分前まで普通だった木乃香の突然の豹変と妙な迫力に思わず悲鳴が出るアスナとネギとカモ――と、ちょっと引いてる楓、古菲、真名とエヴァンジェリン。

 

 

「それで? ウチの会長と盃交わした後、お前等の今後の喧嘩のケツを持てやとコラ? 調子に乗るんもええ加減にせぇよコラ! ボケェ!!」

 

「う、ぼ、僕はそんなつもりで言った訳じゃあ無いです。

た、確かに今後の状況次第ではありえなくはないですけど――」

 

「せやからテメーの盃交わしてウチになんの得があるじゃコラオー!!? テメー何言ってんのかわかってんのけ!? テメー等の下に付けって喧嘩売ってるのかい!?」

 

 

 木乃香に続くように刹那までもがテーブルを足で蹴りながら恫喝する。

 

 そんな様子をドン引きした眼差しで見ていた学園長とタカミチがしらーっとした顔で見ていたイッセーに耳打ちをする。

 

 

「この場所を貸して欲しいって言うから貸したのじゃが、一体どうなっとるんじゃ? 孫娘がヤ○ザみたいになってしまっとるし……」

 

「交渉っす」

 

「いや交渉って……一方的な恫喝にしか見えないのだがね」

 

「どこからどう見てもただの交渉っす」

 

「…………あ、ああそう」

 

 

 萎んでいくネギ達に暴力を振るう気は無くて安心したのもつかの間、まるで輩のような恫喝にたいしてただの交渉と言い張るイッセーに学園長とタカミチは飲み込むしかなかった。

 よく見れば木乃香と刹那の他にのどかやハルナや夕映までもが不自然なスーツ姿で直立不動の姿でネギ達を見ているけど、あくまでも交渉らしい。

 

 

「ふん、くだらん茶番で主導権を握ろうとしている所悪いが、私としては漸く貴様のそのひっぺがしてやりたい面を拝めて――」

 

「下僕にしてください」

 

「そうそう、これで漸く貴様の下僕に―――――はぁ!?」

 

 

 そんな折に、何故か自信満々なエヴァンジェリンが復讐を改めて宣言しようとした時、目がバッキバキだった真名がその場の空気が凍りつく事を言い出したせいで、恫喝中だった木乃香達も思わず素に戻ってしまう。

 

 

「ちょ、真名!?」

 

「突然何を言ってるアル!?」

 

「げ、下僕ってアンタ、この人が憎かったんじゃあないの!?」

 

「そ、そうか……逆に僕がイッセーさんの従者になるって手もありかも……」

 

 

 これには他の面々達も次々と真名を揺さぶって正気に戻そうとするし、だんだんと状況が飲み込めてきた木乃香達側は一斉に無意識の殺気を真名に向ける。

 

 

「キミ、彼女に何をしたんだい?」

 

「色々とアウトな事を言っとるぞ?」

 

「身に覚えなんてございません」

 

 

 イッセーを一点見し続ける真名にただならぬものを感じたタカミチと学園長だって当然どういう事だと疑問に思うのだが、イッセー本人を虫けらを見るような顔で戯言だと切り捨てている。

 

 

 

「リアスさんにしてしまった事をいくらアナタに謝っても許してはくれないのはわかっている。

だからこそ、私が出来るのはアナタの奴隷になることだけ……」

 

「ふざけるなァ!! 師匠の下僕だと!? そんな羨まし――んんっ!! いけない立ち位置なぞ一番弟子であるこの桜咲刹那が許さんぞ龍宮!!」

 

「「「「…………」」」」

 

 

 リアルにテーブルを蹴り飛ばしながら憤慨する刹那に、木乃香達が無言で同意するかのように頷く。

 

 

「じゃ、じゃあ僕はダメですか? これでも多少魔法の心得もあるのできっと役に立てるかなと……」

 

「っ!? だ、ダメだぞネギ君! そんな事をしたらサウザントマスターが悲しむぞ!?」

 

「で、でもこうでもしないとイッセーさんとは会えないから……」

 

「き、キミ! 兵藤君!? この子になにをしたんだね!?」

 

「何もしてねーわ」

 

「嘘を言え! 何もしてない訳が――」

 

「知るか!! ガキの戯言だろうが!!」

 

 

 

 英雄の息子がやばい道に進もうとしている事に、当然タカミチは盛大に狼狽えるのだが、リアルな話、ネギには本当に何もしていないイッセーからしたら鬱陶しいだけの事だった。

 

 

「お、お願いです! 僕を傍に置いてください!!」

 

「なんでもします」

 

 

 しかしネギと真名はここが最後のチャンスとばかりに床に手を付いて土下座までし始める始末。

 

 

「信用できないのなら今この場でこの両手を切り落とす。

そうすれば二度と銃も握れなくなるから……」

 

「ぼ、僕はイッセーさんの苛烈な強さが大好きなんです! もっと傍で見たいんですぅ!!」

 

「ええぃ! これ以上イッセー師匠に近づくんじゃない。

その立ち位置は私とお嬢様だけの特権なのだ! 他の誰にも渡さんぞ!!」

 

 

 こうして一度きりのつもりの会合はカオスな空気と化すのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「い、イッセーさんってその……胸の大きな人が好きだったりします?」

 

「は?」

 

「だ、だってリアス先生は大きいですし、龍宮さんもよくよく見たら結構―――」

 

「別にそんなこだわりなんてねーし、俺はリアスちゃんしか――――ああ……」

 

「な、なんですか?」

 

「微妙に顔が優しいんですけど?」

 

「…………………。ま、なんだ……。まだその年だし、成長性はあるだろ多分。

俺は別にどうとも思わないけど、まあ、まな板のまんまでも趣味な男と出会えれば大丈夫だと思うぞ? ぷっくくくく……!」

 

「わ、笑った……!」

 

「い、今私とのどかの胸見て笑いましたね!?」

 

「いーや? 年頃の子なんてそんなもんなんだなぁって思っただけだ……ははははは!」

 

 

 

 終わり

 

 

 

 

 時を同じくして、傷を癒している最中の白龍皇が、結局その後も付いてくる人達と潜伏中であったりする訳で……。

 

 

 

「そろそろラーメンを食べないと死ぬぜ!!」

 

 

 

 世間的には割りと高級と呼ばれるホテルのスイートルームにて傷を癒す為に潜伏中であるフェイト(ヴァーリ)は、イッセーによる一撃により右半身が吹き飛ばされるほどの重症を負っていたのだが、自分を助けに来てくれた気の良い奴等に言った通り、二日ほど飯食って牛乳飲んで寝たことで吹き飛んだ右半身が『再生』しており、現在はここ暫く食べる暇がなくて食べられなかった主食ことラーメン中毒の禁断症状に襲われていた。

 

 

「師匠! 出前のラーメンが来たで!」

 

「最早なれたけど、ラーメンに命かけすぎやろ……」

 

「落ち着くえヴァーリ! ちゃんと座って食べなアカン!」

 

 

 禁断症状が起こると、どこぞの『寿司を愛するもの』みたいに、『常にキレてる異常者』みたいなハイテンションボイスと化す――――ということを既に知っている気の良い奴等こと小太郎、月詠、千草の三人は出前させたラーメンをむさぼるフェイトを呆れながら見ている。

 

 

「ラーメン! 美味すぎるだろ! 反省しろ!

クソッ! 今日もラーメンが美味いぜ!!

この美味さは反則だろうが! ラーメンーー!!!」

 

 

 

 

「普段はクールやのに、何でラーメンのことになるとああなるやろな師匠は……」

 

「出汁のベースから早口で語り始めた時は引いたなぁ……」

 

「まあ、暫くしたら落ち着くやろ……」

 

 

 数分で約50杯のラーメンを平らげたフェイトの致命的な変人っぷりに、アホの子を見る目で見守る三人を気にせずラーメンを摂取するのであった。

 

 

「………ふぅ、という訳で消し飛んだ部分はなんとか再生させたが、それは見た目だけでな。

まだまともに戦うこともできん」

 

 

 結局100杯のラーメンを数分で喰らい尽くした辺りで漸く落ち着きを取り戻したフェイトは、積み上がったラーメンの器を片付けながら、傷は完全に癒えていないことを三人に告げる。

 

 

「むぅ、師匠がそんなに深刻なダメージを負うなんて、あの赤龍帝の男は化けもんやで……」

 

「何故か出てきたリョウメンスクナをついでとばかりに消滅させてましたからなぁ?」

 

「お嬢様とその従者といい、完全に計算外やったわ」

 

「ああ、オレとしても赤龍帝があそこまでの領域だとは思わなかった。

完全にオレのミスだ」

 

 

 

 一応その後指名手配されているのだが、落ち着いたフェイト(ヴァーリ)と共にズルズルとラーメンを食べる小太郎、月詠、千草は、リベンジの為に力を蓄える事を改めて誓い合うのだった。

 

 

「しかし良いのか? オレについてきても特に得られるものなんて無いぞ? こんな風に好き勝手に生きてるだけだしな」

 

「お尋ね者になっている今、ヴァーリはんの傍に居る方が安全ですからなぁ」

 

「俺はまだ師匠の技を会得しとらんしな」

 

「ま、まあ……一人で逃げるよりは安全やし……。

そ、それよりもやっぱりまだ両手が完全に治っとらんやろ? し、仕方ないから食べさせてあげてもええよ?」

 

「? 別に箸はちゃんと扱える程度には再生―――」

 

「え、ええから!! ほら口開け!!」

 

「むががががっ!?」

 

 

 

 

 

 

「ヴァーリはんにド嵌まりしとるなぁ……」

 

「流石師匠やで」

 

 

終わり

 

 

 




補足

拗れた結果……なんでこうなった
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