色々なIF集   作:超人類DX

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ふざけて書いただけ。

別ネタです


ありふれなくなった日常にもありふれた日常を

 

 

 

 ただ、普通に生きていたかっただけだ。

 ただ、当たり前を生きたかっただけだ。

 ただ、自由に生きたかっただけだった。

 

 

 それなのに、どうして放ってくれなかった。

 何故皆が俺を怖がるんだ。

 

 どうして皆は俺を『怪物』と呼ぶんだ。

 

 

 俺は人として生まれ、人として死にたかっただけだ。

 

 それなのに、お前達は人として死ぬ『自由』すらも俺から奪った。

 

 

 だから俺は人でありながら人でなしになったんだ。

 

 

 俺から何もかもを取り上げたお前達から奪い返す為に。

 

 人として死ぬことすら取り上げたお前達のことは絶対に許さない。

 

 お前達が俺を『こんな風に』したんだ。

 

 

 俺は、俺の自由を否定したお前達を絶対に許さない。

 

 

 どいつもこいつも消えてしまえ。

 悪魔だろが神だろうが人間だろうが、俺から奪う奴等は全員―――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――――――――――(ミナゴロシ)だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 とても荒んだ瞳だった。

 全てを諦め尽くした目だった。

 

 出会ったのはただの偶然。

 されど、その目は同年代の誰も持ち得ない程に荒んでいるというのに、何故かとてつもなく惹かれてしまった。

 

 私の目指した『強さ』とは正反対の―――――――ただ生きる為に敵を喰らい尽くす『狂気』を孕んだ人。

 

 他の誰もが彼を指して『怖い』と言う中、私だけは恐怖ではなく、どうしようもなく『焦がれて』しまった人。

 

 

 

 

 行き着く先が『破滅』を予見させるのに―――どうしても『安心感』を感じてしまう、寂しそうな怪物(ビースト)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 人は目を閉じて生まれる。

 そして大半の人間はそのまま生涯を終える。

 

 

 

「………………………」

 

 

 

 『自由』を掴む為に、闇雲に戦い。

 『自由』の為ならば喜んで人でなしになった。

 

 

 だが『目』を開けてしまった俺は――――――

 

 

 

 

「……………………………………」

 

 

 

 自由の為に戦い続けた俺は確かに自由(ハッピーエンド)を掴んだ筈だった。

 恋い焦がれるように追い求め続け、ひたすらに駆け上がり続けた。

 

 

 その内気が付けば立っていたんだ………。

 

 

 

「……………」

 

 

 自由という名の頂上に。

 

 

 誰からも否定されない。

 誰からも奪われない。

 誰にも邪魔をされない真の自由を確かに掴みとった。

 だけどその喜びは決して長くはなく、すぐにある感情だけが毒のように俺の精神を蝕んだんだ。

 

『何にも無くなった』

 

 

 頂上から見下ろした景色に喜びは確かにあった。

 死ぬ気で奪い返した自由への達成感も確かに感じられた。

 

 だけど、それも全ては一瞬で、残ったのはただの虚しさだったんだ。

 

 自由という山の頂に到達した俺の目には―――そこから見えた景色は『無』そのもの。

 目指すべきものが何一つない場所だった。

 そこから先に踏み出せる道もない。

 

 どんな犠牲を払ってでも掴みとったのに。

 

 人でなくなることも覚悟して奪い返したのに。

 

 

 自由という名のゴールはあまりにも『無』だったんだ。

 

 

 けれどだからと言って歩かない訳には行かなかったさ。

 だから探したさ、自由の先にある道って奴をさ。

 

 

 でも見つからないんだ。

 

 これ以上進む事も、戻る事も出来なくなっちまったんだ。

 

 自分を終わらせることも、なにもかもな。

 

 

 ああ、確かに俺は自由を奪い返したよ。

 

 けれど同時に気付かされたんだ。

 

 

「ふふ、俺は何時『終われる』んだろうな?

なぁ―――ドライグよ」

 

 

 

 所詮、自由も不自由も変わりゃあしない……表裏一体でしかなかったってな。

 

 それに気付いた頃には、最後までこんな俺に付き合ってくれた相棒も居なくなっていた。

 俺に出来る事はただひとつ。この掴みとった自由を精々虚しく謳歌しながら『朽ち果てる』のを待つだけだったんだ。

 

 

 

 だがよ、くくくく……! 本当に俺という人間かもどうかわからなくなっちまった『化け物』は人として当たり前の『死』すら選べなくなっちまったらしい。

 

 

 

「…………………」

 

 

 

 何せ俺は未だにくたばれていないんだからな……。

 

 

 

 

 ありふれた日常。

 それこそが青年の望んだ結末(ハッピーエンド)だった。

 

 ありふれた日常をただ普通に生き、そして普通に老いて死ぬこそが青年の掴みたかった『自由』だった。

 

 しかし青年がその自由を掴み取る為には、あまりにも多くの『普通』を代償として払い過ぎてしまった。

 

 あまりにも『普通』であることを捨て過ぎた。

 

 故に青年は今を虚の心のまま生きていた。

 

 世界が朽ち果てても尚消滅すら出来ず、新たな生命体として別世界に生まれ変わっても尚……。

 

 自由を奪わんとする存在が架空の存在となっている世界にて、恋い焦がれた『ありふれた日常』を送ることになったとしても。

 

 

「アナタの事だから、約束をしてもすっぽかすと思っていたら先手を打っておいたわ」

 

「………………………」

 

 

 普通なら自分を見て『化け物』と怯える筈の、ただの人間の少女に何故か憑き纏われながら……。

 

 

「やっと起きたのね!?

ほら、折角迎えに来てくれたのだから早く準備しなさい!」

 

「あ、お構い無くお義母様。

まだ登校までの時間には余裕もありますし」

 

「ホントにごめんなさいね~?」

 

「…………。謝る必要なんて無いだろ。

第一、呼んでもなければ、ましてや約束すらしてもないのに勝手に図々しくも来てるのはコイツ――でっ!?」

 

「なんて事言うの!? こんな素敵なお嬢さんに来て貰えてるだけ幸運と思いなさい!!」

 

「…………………………」

 

 

 皮肉なことに、ありふれた日常を生きる青年は、慌ただしいながらも仲の良い『普通の両親の一人息子』として新たな人生を歩んでいた。

 悪魔も、天使も堕天使も妖怪も神もそんざいしない普通の世界のありふれた一般家庭。

 

 勿論、この両親には己の『本質』だけは見せない。

 見せたら最後、きっとこんな両親でも自分を『怪物』と恐れるのが解りきっているから。

 

 だから青年はこの両親の子として生まれ変わってからは一度も己の本質を封じてきた。

 それなのに、何故かその『本質』を約10年程前に感覚的に察知してしまった者が現れてしまったのだ。

 

 その者こそがこの目の前で図々しく青年の母親と楽しそうに話をしている少女……。

 年は今の自分よりひとつだけ下の変人少女に……。

 

 

「(こんな時、どうすりゃあ良いんだよドライグ?)」

 

 

 この少女が何を考えているのかがわからない。

 かつての―――永遠に答えてはくれかい相棒に問い掛ける青年の日常なこんな感じである。

 

 

 

 

 

「…………」

 

 

 ありふれた日常を過ごす上で欠かせないのが学校生活である。

 

 かつて――言うなれば前世と呼べる頃の青年は紆余曲折あってまともに学生をやれなかったので、実を言うと学生生活に関しては本人なりに楽しんでいる。

 

 

 

「待ちなさいって! もう、登校時刻までかなり余裕があるのだから、もっとゆっくり歩きましょうよ?」

 

 

 ――――ただひとつ、この若干鬱陶しい、高校まで同じにしやがった小娘が居なければ、だが。

 

 

「うるせぇ。

頼みもしてねぇのに、勝手に家に上がり込みやがって」

 

「お義母様の許可は頂いているわよ?」

 

「人の母親をその呼び方で呼ぶんじゃねぇ」

 

 

 世間的な価値観だけでいえば、この少女は所謂美少女の部類でる。

 長い黒髪を後ろで一つに結び、涼ややかで凛とした――可愛いとよりは綺麗系というべき美少女。

 故に青年と少女が通う学校内では、二大女神だなんて呼ばれている訳だが、青年からすればただの『鬱陶しい小娘』でしかないし、彼女の近くに居ると彼女のファンからのやっかみが非常にウザいので、出来れば今後とも良き他人でいたいとすら思う。

 

 

「第一オメー、何時も居るダチ共はどうしたんだよ?」

 

「? 光輝と龍太郎の事? 勿論アナタと登校するとは言ってないわよ? 皆に内緒にしながら隠れて一緒に登校するとドキドキする―――」

 

「そっちじゃなくて、もう一人居たろ女子の」

 

「ああ、香織の事? ………………なに? 香織が気になるの?」

 

 

 そんな青年の切実な気持ちをガン無視するどころか、ロードローラーで押し潰してくる勢いでグイグイと寄ってくる少女は、親友であり、同じく二大女神呼ばわりされている少女について言及した青年に対して若干ムッとした顔をする。

 

 

「ちげーよ、ダチなんだろ? そいつ等と居れば良いだろって言いたいだけだ」

 

 

 本当に偶々出会って10年くらい経つ訳だが、何故か青年が異性の話をすると小二辺りから不機嫌になる少女に、青年は『まともな奴等と関われ』と遠回しに忠告する。

 

 

 

「だって、光輝も龍太郎もアナタを嫌な目で見るか怯えるし、香織は朝から用があるから……」

 

「(怯えるが『正常』なんだよバカ)」

 

 

 

 そんな忠告も徒労に終わるとばかりに、少女は理由を説明しながら、前を歩く青年の横に然り気無く近づく。

 

 

「だから今の私はイッセー専用よ?」

 

 

 そして、普段――というか香織という親友を除き、幼馴染や実の両親にすら見せることの無い、少し甘えたような表情をしながらフリーになっていた青年と腕を組もうと軽く飛び付く。

 

 

「うぜぇ」

 

「あいたっ!?」

 

「俺は小娘は趣味じゃねー」

 

 

 超激レアな少女の行動であり、彼女のファンなら卒倒すること間違い無い………が、青年には全く通じず、うざそうに頭をひっぱたかれてしまう。

 

 

「も、もう高校生なのにまだなの?」

 

「まだも何も、未来永劫ありえねぇわ」

 

「あ、相変わらず固いわねイッセーは。

頑張って胸だって大きくなるように頑張ったのに……」

 

「誰も頼んでねーだろアホが」

 

 

 ひとつ年上で先輩である青年……イッセーに対して犬みてーに懐く八重樫雫の、本人すら知るよしも無い『本来ありえない出会い』を果たした日常はこんな調子なのである。

 

 

「はぁ、折角香織と恋愛成就の本を読んで勉強したのに……。

香織の方は上手くやれるのかしらね……」

 

「……。ああ、用事ってそういうことか」

 

「ええ、中学の頃思い切ってイッセーに相談してから色々と試行錯誤はしてるのだけど―――って、香織をやけに気にするのね? やっぱり香織の方が気になって――――」

 

「あの小娘が気になる相手の奴に少し同情してるだけだ。

あの小娘、オメーみてーなストーカー気質をそこはかと無く感じるからな……」

 

「失礼ね。私は常に堂々とイッセーと会うじゃない?」

 

「ああそうだな。

堂々と人の母親懐柔してあることないこと吹き散らかすオメーは堂々としたストーカーだ」

 

 

 

 

 

 こんな日常が続く。

 少なくともこの時のイッセーはそう考えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………………」

 

 

 

 またしても非日常に強引にねじ込まれる事になるあの瞬間までは。

 

 

 

 

 

 

 

 

 事の始まりは、うざい後輩に見つからない様にこっそり下校しようと教室に居た時だった。

 

 何故か自分の足元だけに気色の悪い――されどどこか忌々しい思い出を思い出す魔方陣が出現したと思えば、気付けば教室じゃない――なんかもう破壊してしまいたくなる衝動に久々に駆られるような建物の大広間に立っていた。

 

 

「………………………………………………………………」

 

 

 まず視界に飛び込んできたのは、謎の大広間と軽くパニックになっている同じ学校の制服を着た――あまり見慣れぬ生徒達。

 

 

「……………………」

 

 

 『ここはどこだ』だの『さっきのは一体』等々といった声が聞こえるのだが、イッセーの学年のクラスメートは誰一人居ないし、よくよく彼・彼女達が履いている上履きのラインの色が一学年の色であることにここで気付く。

 

 

「……………………………」

 

 

 取り敢えずどうすべきか、というか自分と同学年の生徒が一人も居ないのは何でだ? といった疑問を抱きつつ、謎の大広間の祭壇上から此方を見下ろすローブを着た老人の顔が何となくムカつくので、尋問がてら半殺しにでもしちまうか……と、明らかに日常とは駆け離れた現象に巻き込んでくれた元凶と断定したイッセーが、永らく封じていた『野生(ビースト)』を解放しかけたその時だった。

 

 

「イッセー!!」

 

『!?』

 

「……………」

 

 

 スイッチが切り替わりかけた瞬間、自分の名前を大きな声で呼ぶ少女の声に、イッセーの狂暴性のスイッチにブレーキが掛かる。

 それと同時に一学年の他の生徒達の視線が一斉に、本人には自覚は無いものの、ある意味で『有名人』である二学年のイッセーに向けられる。

 

 

「兵藤先輩……だよな?」

 

「なんで二学年のあの人がここに居るんだよ……?」

 

「もしかしてここに来たのは私たちだけじゃないの?」

 

 

 等といった、まあ良い意味でも悪い意味でも実はそこそこ名が知られてしまっているイッセーの姿を見ながら、一年生達がヒソヒソと小声で話をしている中、そんな生徒達を押し退け、後ろの方で『ちょ、待て雫!?』という制止を完全に無視した八重樫雫が、ロケット花火を連想させる勢いで一旦殺意を引っ込めたイッセー目掛けて飛び込んできた。

 

 

「良かった……イッセーも一緒だったのね!?」

 

「……………………………」

 

「本当にいきなりの事で私もまだ何が何だか分からないのだけど、危うくあの怪しいお爺さんの歯を一本ずつ引っこ抜いてしまうところだったわ……!」

 

「………………………………。よりにもよって何でオメーと考えが同じなんだ」

 

「え!? もしかしてイッセーもあの変な人達をボコボコにしようとしてたの? ふふ、やっぱり私たちって似た者同士――これって所謂『運命の赤い糸』で結ばれ―――」

 

「――てねぇからさっさと降りろ邪魔だ」

 

「むぅ、こんな訳のわからない状況でもイッセーはイッセーなのね……。

まあ、何にせよこれで安心だわ」

 

『…………………………』

 

 

 飼い主を発見した大型犬のような勢いを彷彿とさせる雫の様子に、普段の彼女を知るクラスメート達――果てには幼馴染すらも心底驚愕させられた。

 

 学校内での噂では、あの兵藤とかいう若干薄気味悪さを感じる男が、雫に憑き纏っているという触れ込みだったのに、これではまるで―――

 

 

「もう、いきなりでびっくりしちゃったよ雫ちゃん。

でも兵藤先輩も居たなんて気付きませんでした」

 

「ああ……そうだな。

取り敢えずこの君の友達をさっさと引き剥がしてくれるのを手伝ってくれると助かるんだが」

 

「あー……こうなると暫く止まらないです」

 

 

 果てには接点すら無いと思われていた白崎香織も、イッセーに対して知り合いのように接している。

 こうして、特に意味のないヘイトを若干買う羽目になってしまったイッセーは、咳払いと共に声を掛けてきた怪しき老人から『非日常』を一方的に押し付けられるのであった。

 

 

 

「異世界ってそんな……。

仮にここが異世界で、あの人達が言っている事が本当だとしたら、何で私達が他所の世界の戦争に介入しなければならないのよ……」

 

「それを向こうで仕切ってるオメーのダチに言ってやれば良いだろ。

あの小僧がやる気になったせいで、周りも少しずつやる気になってきてるぞ」

 

 これは自由と不自由に苛まれた虚無となった青年と、そんな青年の心に住んでやろうと頑張る少女の物語。

 

 

「それで何故兵藤先輩だけがオレ達と一緒にこの異世界に来たのでしょうか?」

 

「……………。そんなの、逆に俺が聞きたい―――」

 

「あまり言いにくい話なのだが、以前から……いや昔からアナタは雫に憑か纏っているという噂があった。

だからあの時もアナタは雫に近づく為にオレ達のクラスに―――」

 

「………………………………」

 

 

 勝手に雫のストーカー扱いされて、電子レンジがチンしそうになったり。

 

 

「やっぱりそうだったのかアンタは? 昔から変な人だとは思ってたが……。

この際だから言うが、もう雫に憑き纏うのは止めて――――」

 

「…………………………………………ぶっ殺――」

 

 

 しかしやっぱりチンしようと思ったり。

 

 

「ちょっと待ちなさい二人とも。

さっきから勝手な解釈している所悪いけど、イッセーは私に憑き纏っているわけではないわよ」

 

「し、しかしそう考えないと二学年の彼だけがオレ達と共に召喚された理由の説明が……」

 

「学校でも元々噂だったしな」

 

「偶然イッセーだけが召喚されたのよ。

もしくは、異世界に召喚したと思われる神でも私とイッセーの間に結ばれた『運命の赤い糸』は切れなかった―――あいたっ!?」

 

「余計ややこしくなるからオメーは喋んなこのバカ」

 

「で、でもそう考えた方が辻褄が――」

 

「合うか間抜け。

そもそも俺はあの時自分の教室に居たんだよ。

そしたら俺の足元だけにきしょい魔方陣が出てきてこのザマだったってだけだっての」

 

 

 異世界召喚が現実であることを若干ながら飲み込んだせいなのか、それまでひた隠しにしてきた『素』を出す雫に、幼馴染達やクラスメート達はショックと驚愕をし。

 

 

「兵藤くん、大丈夫ですか? 兵藤くんだけ二年生ですし、孤立しないかと少し心配で……」

 

「別に……。

というか先生って社会科担当で、彼等の担任じゃあないですよね? …………逆に運がありませんでしたね先生も」

「ま、まあ……。

で、でも皆さんと必ず元の世界に帰れるように頑張りますから! だから兵藤くんも困ったことがあったらなんでも相談してくださいね?」

 

「…………」

 

 社会科教師の人に孤立してやしないかと目を掛けられてしまったり。

 

 

 

「あ、あのぅ……」

 

「? あ、キミって確か南雲君――だったよな?」

 

「え? ぼ、僕の事を知ってるんですか?」

 

「ああ、ウザい後輩のダチから割りとノイローゼになりかける程度には聞かされた事があってね。

なんというか――まあ、頑張れよ? 色々な意味でな……」

 

「は、はあ……。(な、なんで同情されたんだろう?)」

 

 

 程度は違えど、憑き纏われてるという意味では同志だったので、ソフトな対応をしたり。

 

 

「っ……な、なんすか? 今オレ達忙しいんすけど?」

 

「寄って集って一人を魔法とやらで袋叩きにしてるだけで、忙しいようには見えないんだがな。

別にオメー等には用は無くて、南雲君に聞きたいことがあるだけでな。

だからとっととその揃いも揃って歯ァへし折りたくなる間抜け面を俺の視界から消え失せてくれると助かるんだが」

 

「あ……? アンタ、いくら先輩だからって、高々オレ等より一年上なだけで偉そうにされたくないんだが?」

 

「偉そう? なあ、ひとつ聞きたいんだが、檻の中で粋がって騒ぐだけの猿以下の畜生にわざわざ偉そうにしようと思うか?」

 

「んだとコラ? 八重樫のストーカー野郎の分際で――」

 

「あれ、言葉も通じねぇのか? なんだ―――――ただの虫けら共だったわ」

 

 

 周りから悪意を向けられる少年が、ほんの少し昔の自分に似ていたので、八つ当たりがてら少年にしていたことと同じことをしてやったり。

 

 

「あ、ありがとうございます。

で、でも檜山達をあそこまでボコボコにする必要は――」

 

「久々の喧嘩なもんで少し加減を間違えたんだ。

断じて八重樫のストーカー呼ばわりされてムカついたからではないし、ちょっとステーキが食えなくなる程度にしたんだ。問題はないだろ………多分」

 

 

 こんな真似をするせいで、助けられた本人である南雲ハジメ以外のクラスメート達から、ただのストーカーから、危険なストーカーにランクアップさせられて近寄られなくなったり。

 

 

「取り敢えず治癒師の香織のお陰で檜山君達の傷はなんとかしたわ」

 

「ちょ、ちょっとだけ怖かったですけど、南雲君を助けてくれてありがとうございます……!」

 

「………………。いや、怯えろや。

二度と近寄りたくねぇって思うだろうが普通は」

 

「あ、あはは。僕も白崎さんと同じで、ちょっとまだ怖いですけど、先輩の事はスゴい人だって思います」

 

「スゴいって思っちゃダメだろ。

やってることはただのチンピラだぞ俺は……」

 

 

 と、思ったら元から色々察してる雫や、ハジメ関連の事で色々と巻き込んでる香織、助けられた本人であるハジメは例外だったり。

 

 

 

「と、ところでなんですけど、八重樫さんと兵藤先輩ってどういう関係なんですか? 元の世界の時に噂だった先輩が八重樫さんのストーカー―――という風には見えないですし」

「別にただの―――」

 

「逆に!!!! ……逆にどう見えるのかしら?」

 

「え? ええっと―――――――――――かな?」

 

「…………………………い、嫌だわぁ~! 南雲君ったら~! そんな風に見えちゃうの~? ま、参っちゃうわねも~!」

 

「……………………。おい南雲君よ。

今なんでアイツにだけ小声で話したんだよ? なんて言ったんだ?」

 

「な、仲は悪くないように見えるって言っただけですよ?(嘘)」

 

「ぎゃ、逆に今の私と南雲君ってどんな関係に見えるか教えてほしいなぁって……」

 

「は? ―――――――――――――――――――――か?」

 

「!? ほ、本当ですかぁ!? や、やだなぁ! えへへへ、そんな風に見えちゃうなんて困っちゃうなぁ~!!」

 

 

 

「………………に、似てますね白崎さんと八重樫さんって。

ところで今白崎さんになんて?」

 

「……。キミと似たような感じだよ」

 

「い、いや僕の場合こんなまともに白崎さんと話すのってここ最近なんですけど……」

 

「(中学の頃辺りから付け回されるぞ南雲君よ……)」

 

 

 そんな二人をやっかむ者は多いが、キレたらヤバイ先輩のせいで具体的に手出しできなかったり。 

 

 

 

「………で、ふざけた罠のせいと、明らかに俺等に向かって魔法ぶっぱなして来たどこかのボケ共のお陰でめでたく何階層かもわからんくらい下まで落ちた訳だが……」

 

「す、すいません。

僕が弱いせいで先輩の足を引っ張って――」

 

「片腕喰いちぎられて、片目失った状態で意識を飛ばしてないだけ上等だ。

寧ろ、一緒に落ちたのに助けが間に合わなかった……悪かったな」

 

「そ、そんな!! 謝らないでください! 僕がこうなったのも、僕が弱いから……!」

 

 

 しかしそれでも悪意によって奈落に落とされてしまったり。

 

 

「キミが完全に回復するまでの間、キミを生き残らせる『術』を教える。

正直、俺のやり方は脳筋の極みだが、乗り越えさえすれば少なくともこのダンジョンの畜生共を一方的に狩れるようにはなれる」

 

「………覚悟はしているし、僕が望む所です。

お願いしますイッセー先輩、僕に戦い方を――生き残る術を教えてください!」

 

 

 生きることへの『執念』をか弱き少年から感じ取った『怪物』により、運命に抗う術を叩き込まれる事になったり。

 

 

「まずは落ち着ける場所を探し、その傷を―――――がばっ!?」

 

「うわぁ!? せ、先輩大丈夫―――ばわっ!?」

 

 

 シリアスな空気となった筈なのに、『上から来るぞ! 気をつけろ!』が発令し、一気にシリアルになってしまったり。

 

 

「うう……落ちた南雲君とイッセーを見てつい脊髄反射的に後を追って降りてみたけど、ここは………あら?」

 

「…………」

 

「あ、い、イッセー……?」

 

「……………ああ、俺だよ」

 

「や、やっぱり私達は運命の赤い糸で結ばれているわ! 降りていきなりアナタと会えるなんて! し、しかもこの体勢は所謂ラッキースケベ的な――」

 

「わかったから、取り敢えず俺の隣に落ちてきたダチを心配してやれ。

あっちの方がラッキースケベだろが」

 

「へ? あ、そうだわ。香織も一緒に降りたんだったわ。

というか南雲君は―――」

 

「「………」」

 

「あ、あら……」

 

「あの子が落ちた場所に南雲君が居たけど、ご覧の通りあ南雲君の顔面にあの子の―――――まあ、早くなんとかしてやれ」

 

 

 暗闇ラッキースケベが発令されたり。

 

 

「おう、大丈夫か?」

「ご、ごごご、ごめんね南雲君?」

 

「は、はい……らいじょうぶれふ……」

 

「鼻血が大変なことになってるわ……」

 

 

 見えちゃったハジメが暫くダウンしてしまったり。

 

 

「そ、そんな……。片腕と片目を……」

 

「すまん。落下した場所が微妙に離れてたせいで助けが間に合わなくてな。

俺の責任だ」

 

「だ、大丈夫ですよ! 腕は最悪錬成師として義手を作れば良いですし! それにこれから強くなればこんなことにはならないですから!」

 

「でもここの魔物達は上とは比べ物にならないくらい強いわよ……。

イッセーだけがなんか普通に蹴散らせちゃっているけど……」

 

「……」

 

 

 運命が大分変わってしまった事により、未来がどうなるかは誰にもわからない。

 

 

「わ、私の事は香織で良いよ南雲くん―――うぅん、ハジメくんって呼んでも良い?」

 

「あ……う、うん……良いよ香織……ちゃん」

 

「す、すごいわ。

危機的状況を共にすることで急激に二人の仲が縮まっている……!」

 

「………」

「そんな二人に倣って私達もこの危機的状況による仲を更に急接近させるべきだと思うわ。

と、取り敢えず手を繋いだり、だ、だ、だ抱き合うとか―――ふぎゃ!?」

 

「趣味じゃねーって言ってんだろうが」

 

「だ、だったら趣味にしてやるわ!!」

 

 

 

 

 

「ふふ、ホントに仲良しだよね、あの二人。

雫ちゃんも自分らしくなれてるし」

 

「し、知れば知るほど八重樫さんって子供っぽいところがあるんだね……。

結構先輩から雑にされてるけど……」

 

 

終わり

 

 

 

「うー……」

 

「なんだ、また文句か?」

 

「な、納得いかないわ! 畑山先生にはソフトな対応なのに、私には常にツンケンしているのが!」

 

「別に普通だろ」

 

「普通じゃないわ! だ、だって私の事を名前で呼んでくれないし……畑山先生みたいにイッセーに看病されたいのに……」

 

「…………雫」

 

「なんだか南雲君と香織にどんどん先を越されて―――へ?」

 

「………………………」

 

「い、今なんて……?」

 

「雫………って呼べって言ったのはオメーだろ。なんだよ? まだ文句あ――――ぶっ!?」

 

「け、結婚よ! 結婚しましょうイッセー!!」

 

「するかバカ! 話が飛躍し過ぎだ!!」

 

「だ、だって今ちゃんと私の事を名前で呼んだじゃない! それはつまり結婚だわ!!」

 

「=になってねーんだよ!! ぐぐ! む、無駄に進化したせいで振りほどけねぇ……!?」

 

「と、取り敢えず正式な婚約を祝して少し早い初夜を……!」

 

「黙れポンコツ!! お、おいそこで見て無いでこのポンコツを止めろぉ!!」

 

 

 

 

 

 

「今日も仲良しさんだねハジメくん?」

 

「なんで他の人達は先輩の方がストーカーだと思ってたんだろうね……って、どうしたのユエ、シア?」

 

「や……あの二人に倣って」

 

「私達も初夜をと……」

 

「え……あ、いや僕まだ学生――」

 

「ふふふ、ダメだよ二人とも。

ハジメくんの初めては私が最初だもん」

 

「だったら同時で良い」

「そうすればきっと揉めませんから……!」

 

「せ、せせせ、せんぱーい!! 助けてください! 僕の危険が危ないんですけど!!!?」

 

 

 

終了




補足

色々とスレまくってるけど、ギリギリ人間らしさを保持してるという設定。

ただし、やることは基本的に極端です。


その2
ロケット花火みたいに突っ込んでくるし、スイッチONの殺戮モードになろうとも全然ビビらないどころか、ロードローラーで押し潰してくる後輩のお陰で、ある意味踏みとどまっている感はある。


その3
現在の彼は赤龍帝の籠手も使えなくなっている状態なので、ドラゴン波といった類や赤龍帝としての戦闘スタイルが完全に封じられてます。

単純な身体能力のみです。



続きは――知らん
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読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

未来視持ちの聖女にギャン泣きされた(作者:みょん侍@次章作成中)(オリジナルファンタジー/冒険・バトル)

 ――ああ、俺たぶん死ぬわこれ。▼ 冒険者稼業で日銭を稼ぐ毎日を送っていた冒険者のロータスは、ある日未来を見る力を持った聖女にガチ泣きされて死の未来を予感する。▼ どうせ死ぬなら、昔馴染みに会いに行こう。それで酒を飲んで、積もる話もなくなるぐらいになれば、明日死ぬにしても後悔は無い。▼ なんてやってたら昔馴染みが全員曇って激重感情をぶつけてくる。▼ そんな話…


総合評価:16520/評価:8.39/連載:28話/更新日時:2023年07月13日(木) 23:06 小説情報

たとえ全てを忘れても(作者:五朗)(原作:ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか)

 ある日、一柱の女神が一人の男を拾った。▼ 色が消えた髪と、浅黒い肌の一人の男を。▼ 男には記憶がなかった。▼ 何処から来たのか、自分が何者なのかも分からず途方に暮れる男に、女神は言った。▼ 「ボクの【ファミリア】に入らないかい?」▼ これは、全てを忘れてしまった男の物語。▼ 記憶を、願いを、理想を、全てを忘れてしまった男の新たな物語。▼ 記される筈がなかっ…


総合評価:19274/評価:8.17/連載:101話/更新日時:2022年10月16日(日) 12:00 小説情報

鬼灯の冷徹かと思ったが………(作者:超高校級の切望)(原作:ハイスクールD×D)

転生+クロスオーバー


総合評価:13713/評価:7.71/連載:54話/更新日時:2020年03月14日(土) 21:29 小説情報

やはりこの生徒会はまちがっている。(作者:セブンアップ)(原作:かぐや様は告らせたい)

 自己満で作成したクロスオーバー作品です。何番煎じか分かりませんけど、作りたくなったので作りました。面白ければ見続けて欲しいですし、つまらなかったら読まなくても大丈夫です。▼ ではどうぞ、ご覧あれ。


総合評価:13614/評価:8.5/完結:115話/更新日時:2024年06月05日(水) 10:48 小説情報

ダンジョンでブラフマーストラを放つのは間違っているだろうか(作者:その辺のおっさん)(原作:ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか)

ガネーシャ・ソーマ「「何か間違っているのか?」」ヘスティア「いや、間違ってるからぁ!?」▼ダンまちって北欧、ギリシャは見かけるけどインド神話ないよねって思って書いた駄文▼初投稿なので温かい目で見てくれると嬉しいです▼ここをこうしたほうがいいとか教えていただければ幸いです▼ま、まさかあらすじを書き直すとは…▼


総合評価:7552/評価:6.88/連載:69話/更新日時:2026年04月13日(月) 00:00 小説情報


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