そして絶望な事にこの世界のせいか何だか知らんけど前の世界よりパワーアップ。
ロリコンビは強いね。
先輩達に勘づかれて無くて助かりました。
お陰で前の世界なら感じる事の無かった気配を探知して居場所を特定出来たのですから。
でもいきなり顔を見せても芸もありませんし? 暫くは先輩の近くでイチ住人として生活してみましょうか? そうすれば後々の再会で実は先輩の近くに居ましたよなんて言えば、感動すること請け合いですしねー? ふふ、先輩はどんなお顔をするのでしょう? 美味しそうな顔をするのかな? あぁ、今からでも楽しみで仕方ないですよ。
それにしても先輩ったら油断し過ぎですね、劇的な再会をした時にはそこら辺を忠告しておきましょうか。
『何処に行こうが逃がさない』
って……ふふふ♪
オーフィスは無限の龍神として故郷での静寂を求めていた。
それをもうひとつの龍神のせいで邪魔をされ、ならばとその龍神を倒す事を目的に下界の様々な種族を集めて戦力を持ち始めた。
お陰で他の勢力からテロ組織と誤解をされて大変だったが、それ以上に――それこそ故郷での静寂を越えた安心を与えてくれる同類を見つけ出せた。
「しろね……どこ行くの?」
「勿論先輩の気配を感じ取れた場所。
どうやら先輩達は街か何かで日銭を稼いで生活をしているみたいですね」
まず一人目、後天的に無限と同等の領域に進化した猫の妖怪である白音。
最初に出会った事もあってもっぱらオーフィスはこの白音の横を引っ付いている。
「なら我達も行って捕まえる?」
「いえ、直ぐには姿を見せません。暫く近くからジーッと眺めてから、タイミングを見てから姿を見せる。
あ、気配は極限まで悟られないように抑えてくださいよ? やり方は教えましたよね?」
「うん。でもなぜ? 見付けたなら直ぐ捕まえてしまえば――」
「ふっ、アナタもまだまだですねオーフィス。
そんなの、暫く先輩の近くに居た事を後から教えれば先輩はびっくりするでしょう? そうしたら絶対先輩は……くふふ、逆上して
「……! 白音、頭良い」
そのせいですっかり、人でありながらベクトル違いの無限を持つ少年の白音の偏見百パーセントの教育によって価値観がグチャグチャになってしまった。
無垢な子供が狂った者によって罪悪感も無く他人を殺める事が出来るようになってしまった様に、白音と同じく別ベクトルの無限である少年に惹かれ、偏見による教育によりすっかり白音と同じストーカーと化してしまった。
「だから暫くは先輩達と同じ事を経験しつつ、遠くからじーっと眺める。
その方がもっと美味しく食べられる……」
「わかった、我頑張る……!」
「ふふ、良い子ですよオーフィス……」
無垢故に塗り替えられてしまった価値観。
白と黒……それはまるで本当の姉を差し置いて姉妹に見えてしまうのは何という皮肉か。
「じゃあ行きましょう」
「うん……!」
元の世界にて破壊の龍帝チームと同等の危険度として認識されていた白黒ロリコンビは着々と愛しき人へと近づいていく。
はじまりの街と呼ばれる街。
その街は文明的には元の世界と比べると古く感じるものの、インフラ設備などは魔法か何かで補われる様で、見た目とは違って割りと普通に生きていけるだけの文明である。
ましてや世紀末化した世界でトップクラスの危険生物として生きてきただけに、白黒ロリコンビにしてみれば目の前に広がる一見平和そうに見える町並みは実に――特に白音にしてみれば懐かしく感じる。
「へぇ、人と他種族が隠す事無く行き交いしてるとは、ある意味元の世界より緩くて住み心地が良さそうですねぇ」
「白音と同じ猫の耳してるのがいる……」
「あらホント。猫又じゃ無さそうですが、緩く見れば同族ですねアレは」
気配を頼りに辿り着いた街の門を潜った白音とオーフィスの目に飛び込むはある意味で新鮮な光景。
普通の人間だけじゃなく耳が尖った人型生物や獣人までもがそれに混ざって街中を往来しているというのは、元の殺伐としていた世界ではあまり見られなかった光景なだけに、猫妖怪と龍である白音とオーフィスは久々にちょっとだけわくわくした。
「しろね、しろね……! アレ美味しそう」
「? 変わった色と形の木の実ですね。りんご? いや、梨でしょうか?」
ついつい街中を旅行者気分で散策してしまうロリコンビ。
白音という『美食家』のせいですっかりちょっとしたグルメになったオーフィスも、出店に売られる食べ物に目をキラキラさせていた。
「食べてはみたいですが……うーん、困った事にお金が無いんですよね。
元の世界で貴族悪魔から頂いた冥界通貨が使えるとは思えませんし」
ゴスロリ衣装のオーフィス。思ひ出を大切に――という建前のもと、何時しか愛しき少年と行う制服プレイの為に複製しまくって着ている駒王学園の制服姿である白音は、この世界ではかなり浮いているので微妙に周囲からめずらしがられる様な視線を向けられるが、本人達は全く気にせずに手持ちに金が無いことを若干煩わしさを感じる。
「お前さん達、珍しい格好をしてるけど外から来たのかい?」
売られてる木の実くらいなら外に行けば採れると、出店の前で突っ立って考えていた白音とオーフィスに主人と思われる壮年の男性が話しかけてくる。
「そうですけど、何故そんな事を?」
話し掛けられ、白音が返事をする。
「いや、お前さん達の格好が少しばかり変わっているからな。外からという事はお前さん達は『冒険者』にでもなりにきたのか?」
「……! ええ、そうですけど」
「………」
冒険者という壮年の主人の言葉に一瞬金色の瞳の瞳孔を獲物を仕留めるそれの如く縦に開かせながら白音は頷く。
冒険者……それはこの街を賑わせる元のひとつであり、愛しき人が生活の根として利用しているもの。
「相棒と一緒に一山当てようと山奥の村から来たのですが、何分ここまで賑やかな街は初めてで……」
「なるほどなー 確かにこの街は此処等じゃ一番活気が良いし、山奥の村から来たなら驚くのも無理無いな」
全部嘘ですけどね。と内心壮年の男性の豪快な笑みを他所に呟く白音。
冒険者自体に興味は無く、実際は冒険者をやってる愛しき人の姿を生で見て暫く悟られないように網膜に焼き付けるのを目的としてるだけなのだから。
「ならこんな所で道草食ってないで、早いとこ登録しに行きな
ほれ、初めて街に来た選別だ」
「あ、どうも」
「いいの?」
「構わねぇよ。願わくばその選別を糧に魔王をとっちめてくれたらな! ガハハハ!」
「「………」」
珍しく思って見ていた木の実を一つずつ白音とオーフィスにあげながら壮年の男性は豪快に笑った。
既にその魔王軍のひとつを絶滅させたのがこの二人だったことを知らず……。
「ありがとうございます。行きますよオーフィス」
「ん」
「頑張れよー!」
そしてこの二人に今更魔王という存在を倒すつもりが無いことも……。
程無くして冒険者集会場――つまりギルドを示す看板を発見した白音とオーフィスは主人から貰った木の実を仲良くしゃくしゃくしながら中に入ってみると、様々な格好をした様々な人種が施設内をウロウロしている景色を前に、異世界なんだなぁと今更ながらに自覚する。
「先輩は居ないか。でも都合は良い」
「どうする白音?」
「勿論郷に入りては郷に従えですよオーフィス。
先輩が何故ここで仕事をしているかをまずは知り、同じ経験をする。
もし私たちが先輩と同じ事をしていたと知ったらどんな顔をするか……ふふ、今から楽しみですよ」
イッセーとの再会を夢想し、悦に浸りながら初心者受付と書かれた受付場に向かう。
「あのー……冒険者志望なのですが……」
「はいはーい、初めての方は当ギルドに登録をしますので、1000エリスの登録料をお納めください」
「む、登録料ですか……」
そして受付嬢に登録の話を持ちかけるのだが、そこにきてまたしてもお金の問題が発生し、白音ははてどうするかと思案する。
「オーフィスと合わせて2000……ちょっと待ってて貰えますか?」
考えた結果、白音は受付嬢にそれだけを伝えると、オーフィスをこの場に残してギルドの奥へと消える。
そして……。
「10000エリスです」
何故か戻ってくるや否や10000エリス札を握り締めており、それを登録料として受付嬢に差し出した。
持ってない様子だったのがいきなり10000エリス札を握り締めて戻ってきたので、受付嬢も何故かと疑いの目を向けたのだが……。
「適当に頼み倒してたら、賭けを提示されてそれに勝って掛け金として貰っただけですよ」
「あ、そ、そうですか……」
ニコッと可愛らしさとは裏腹のうもはも言わせぬ何とも言えない威圧感を前に、受付嬢はそれ以上深入りするのは危険なのかもしれないと本能で察知し、何も知らなかった事を装って手早く登録の準備をする。
「ではまずはお二人の潜在ステータスの鑑定なのですが――」
そして始まる潜在能力の鑑定。
イッセー達に気配を悟られぬ様にギリギリ極限までレベルを落としているので、白音もオーフィスも平均極まりないステータスだった。
逆に言えば一切の面白味が無いステータスともいえる。
「上位職には届かないものの、お二人ともある程度ステータスはありますので、上位職以外なら何でもなれますよ?」
「ふむ、それなら元・
「我は何でも良い」
「じゃあオーフィスも私と同じで良いですね」
本当ならもっとアレな職に付けるのに無難な所を取るのも目立たぬ配慮の為であり、職を決めると同時に早速イッセーのストーカー費用を稼ぐ為に軽いクエストを受注してみる事にする。
何でも繁殖期で増殖した巨大蛙の討伐らしい。
「ではお気をつけてー」
受付嬢に見送られ、クエスト場所へと赴く初心者ロリコンビ。
まあ、実際戦力は初心者どころじゃないのだが……。
それは偶然だった。
ホント偶々だった。
自分の極める道の為にやって来たこの街で、ちょっとつまづき掛けてる今日この頃にやって来た初心者の冒険者二人。
見た目は自分と同等に小柄な白と黒の少女で、確か聞き耳立てた限りじゃモンクという素手の戦闘職だったか。
その二人がなんと素手だと厳しいジャイアント・トードの討伐に出ていったのだ。
別に親しくなんてのは無いが、ちょっと心配だったのでウィザードの上位職に一応着いてる赤目の少女は、こっそり後をつけてみる事にした……のだが。
「どうですオーフィス?」
「弱い。ちょっと叩いたら砕けた」
少女が見たのは初心者冒険者という風評を真っ向から破壊する一方的な獄殺現場だった。
物理ではブヨブヨの身体に衝撃を吸収されて効かない筈のジャイアント・トードが、黒いフリフリの衣装を着た黒髪の少女が叩けば簡単に四散し……。
「あ、そうだ。
この世界でも自然エネルギーが集められるか確かめないと……」
両手を合わせ、軽く瞑想した白い少女は猫族だったのか、猫を思わせる耳と尻尾を出現させ、目の周りに隈取りの様な模様を出現させるや否や、同じく軽く小突くだけで巨大蛙を四散させる。
「仙術いけますね……なら折角ですし、六道仙術もやってみますか」
「それなら我も……」
それはまるでおとぎ話の様だった。
背に九つの黒い球体を出現させ、黒い杖の様な棒。
そして何より凄いと思わされたのは……。
「仙法・隠遁雷派……!!」
モンクなのに普通に……それも見たことすら無い魔法を使ってジャイアント・トードを一掃しているのだ。
「えい」
黒い勾玉が書かれた白い着物へといつの間にか着替えていた白い少女が黒い錫杖を片手に手から紫色の雷で一掃し、黒髪の少女もそれに負けじと抑揚の無い声とは裏腹にその紫電の網を掻い潜りながら謎のビームで蒸発させている。
「仙法・嵐遁光牙……!」
偶々気になってしまったという、只それだけの理由で追い掛けてみたが、今自分はひょってして物凄い光景を目にしているのでは無いのか? と少女は暫く見惚れる様に二人の少女が蛙に対してオーバーキルを噛ましている。
「寧ろ前より集めやすいですね、自然エネルギー」
「我も前より力がみなぎる」
「と、いう事はここは私たちにとって『実に住みやすい』という事ですかね」
一通り……といっても軽く50体以上は討伐し、姉の黒歌の仙術以上の領域である仙術モードを解除し、焼け野原になった地へと着地しながらオーフィスとのんびりと話す白音。
これでもお互いに全体の5%未満しか力を解放していないというのだから、余程イッセーは逃げ出したかったのだろう。
「六道のおじいさんなる人に使い方を教えて貰った時は疑ってましたが、お陰で先輩の領域に並べただけ良かったですよ」
「……我も使えたら良かったのに」
「修行すればその内使えるのでは? 私より元々のスペックはアナタの方が遥かに上ですからねー」
これだけ狩ればお金も暫く困らないだろう。
登録の際に貰ったギルドカードを確認しながら街に戻る事にした白音は、自分が至った領域に進めないと眉尻を下げるオーフィスにフォローをする。
何気にオーフィスには優しかったりするのだ。
「さて、と帰ってお金を頂く訳だけど……」
「………」
だが盗み見をする輩には優しくするつもりはない。
敢えて街の外に出てからずっと付いてくる何者かを敢えて泳がせていた白音と当然気付いていたオーフィスの視線が、こそこそと湿地帯の森の木々に隠れていた何者かに向けられる。
「隠れても無駄ですよ。とっくに気付いてますんで」
「………」
「!?」
ば、バレてた。と動揺する様子が気配でわかる。
「い、いやー……その……」
逃げたらヤバイと本能で察してくれたのか、観念したかのように茂みから愛想笑いとともに姿を見せたその者に白音とオーフィスは目を細める。
「子供?」
「い、いやー……多分アナタ方と変わらないような……」
「………」
姿を目にした白音の一言に思わず突っ込んでしまうのは、片目を眼帯で隠した小柄で細身な……それこそオーフィスや白音に近い見た目の少女だった。
「しょ、初心者で登録してる所を見てて、その、気になったので……」
「はぁ……」
確かに大人の方だらけでしたし、気になるのも無理は無いのかな? と眼帯少女の声に特に白音は納得する事にする。
「しかし凄いですね。というか、あの魔法は何なんですか!?」
「「………」」
それか只のアホの子なのか。
オーフィスとはベクトルの違うアホっぽさを感じ取った白音は、特に驚異に思えず、記憶を物理で消すという何気に物騒な思考は隅に置くことにした。
「白い方は着ていた服装まで変わって宙に浮いて魔法をつかうし、黒い方は手から私と似た魔法を――」
「あーあの……興奮してる所申し訳無いのですが、取り敢えず街に戻らせて欲しいんですよね? 換金したいので」
「あ、す、すいません」
しかし口は軽そうだし……と見事に魔法キャラっぽい格好の赤目少女に一旦街に帰ろうぜ? と促すと……。
「あ、あれ?」
少女はそのまま白音にもたれ掛かるように倒れ込んできた。
「何ですか急に?」
「………む」
突然糸の切れた人形の様に倒れ込んできた眼帯少女を取り敢えず受け止めてあげながら、何なんだと問う白音の横で、それまで静かにしていたオーフィスがムッとした顔で眼帯少女を睨む。
「あ、あはは……そういえばお金が無くて何も食べてませんでした」
「何も食べてないって……」
「いや実は私、アーク・ウィザードなんですけど、パーティを組むと高確率で外されちゃうんですよ。だからクエストも出来ずにお金も底を……」
「一人でやれば良い」
「は、はぁ……それも考えたのですが、その前に準備をしようと思って取っておいた泣け無しの一万エリスを落としてしまいまして……」
「………………………あ、そうですか」
白音のちっちゃい胸に抱かれる形で行き倒れの経緯を恥ずかしげに説明する少女に、白音は一瞬にして察してしまった。
というのも、先の登録料金は賭けでどうのこうのでは無く、ギルド内をうろついた際に偶々地面に落ちていたのを拾ったからなのだ。
つまりあの登録料として手に入れた一万エリスはほぼ間違いなくこの少女の泣け無しのお金だったのだ。
「…………。お腹をすかせる辛さは知ってるつもりですから、良かったらなにかの縁ですし、ご馳走くらいならしますよ?」
「え? い、良いんですか!? そ、そりゃもう願ったり叶ったりです!」
「しろね……」
「いやほら……可哀想だし」
流石にネオだの何だのとなっても、悪いと思った白音は、そのまま少女を軽々と背負いながら何故か羨ましそうに背負われてる少女を睨むオーフィスを連れて街に戻る。
そして大量狩りして得た中々のお金を使ってギルド内の食堂にて大量のご飯を注文し、眼帯少女を加えてこの世界にて初の晩餐を楽しむ事にした。
「しゃくしゃく……んっ♪ 美味しいですねここのご飯」
「初めての味……♪」
ギルドの食事は元の世界では味わえない新しさだったようで、グルメ化している二人はすっかり気に入っていた。
「こんなに注文して食べられるんですか?」
「これでもセーブしてますよ。全然余裕です」
「おいしい……♪」
「私と変わらないのに食いしん坊さんなんですねー……」
どこそのサイヤ人ばりに注文してはしゃくしゃくしまくる白音とオーフィスに、眼帯少女はまたしても唖然としつつ、ご馳走して貰った料理を食べる。
「あ、一応口止めですけど、さっきの光景は誰にも話さないでもらえます? 騒がれるのは嫌なんで」
「えぇ!? も、勿体無いですよそんなの……」
「良いから黙ってて。喋ったら許さない」
「……。わ、わかりました。じゃあその代わりアナタ方のパーティに加えて頂けませんか? その、アナタ方と一緒なら私の爆裂魔法はもっと強くなれそうですし、なんなら三人で一緒に無敵爆裂魔法パーティを……!!」
口止めの代わりに何故かパーティに入れろと言ってきた少女。
どうやら彼女の中で何かの火が着いたのか、爆裂魔法がどうのこうのと連呼しまくってる。
「白音、どうする?」
「うーん……」
オーフィスが横から小さく聞いてくる中、白音はどうすべきかと考える。
パーティならオーフィスだけでぶっちゃけ釣りが来るレベルで間に合ってるし、元々こういう真似事にしてもイッセー達がした経験を体験したいが為というだけの事だった。
つまり所謂お遊びであり、この眼帯少女が何を目的として……それこそ魔王を討伐を目的としてるなら、悪いが目立つので断りたい。
「つかぬ所を聞きますが、アナタはなんで冒険者に? 正直に言いますけど、私とオーフィスは腕っぷしに自信があるのと手っ取り早くお金を稼げるから冒険者になっただけですよ?」
「私は勿論、この爆裂魔法を世に広める事です! もし爆裂魔法で魔王軍を成敗できたからそれだけで有能であることの証明にもなりますね!」
「………」
テンション高めに志を語る眼帯少女。
その爆裂魔法っていうのは知らないが、要するにその魔法が如何に使えるかを世間に知らしめてやりたい……みたいな感じらしい。
「あ、そういえば名前を名のってませんでしたね」
微妙に厄介な相手かもしれない。と思われてるのを知ってか知らずか、眼帯少女は此処に来て名前を名乗ってないことに気付いて席を立つと、羽織っていたマントをバサリと靡かせながら……。
「我が名はめぐみん!
アークウィザードを生業とし、最強の攻撃魔法、爆裂魔法を操る者!」
「……」
「めぐ……みん……?」
何ともリアクションに困る名乗りを上げるのだった。
というかパーティ入りする気満々だった。
「めぐが苗字でみんが名前ですか? というか本名……?」
「ええ、私の一族はこういう名前が普通ですよ? 寧ろ私達から見ればアナタ方の名前の方が――って、そういえば名前を伺ってませんでしたね」
「え? あー………白音です。で、こっちが……」
「………。オーフィス」
変なのに掴まって困るロリコンビは果たしてロリトリオになるのか……。
乞うご期待。
終わり
オマケ 貧乏組にお恵みを。
よくわからんまま入れろ入れろとめぐみんなる少女にせがまれるロリコンビは、取り敢えず保留にしてご飯を食べることにしたのだが……。
「………………」
ふと隣席にいつの間にか座ってた二人組にガン見されていた。
しかも自分達というよりは、どちかといえば大量に注文した料理の方を。
「何か?」
隣の席に並ぶ料理は実に貧相であり、二人組の顔からして羨ましがられてるんだろうと察しつつも惚けて問い掛ける白音にハッとなる。
「い、いーえ? そんなに食べられるのかなぁとか、残すくらいなら仕方ないから食べてあげないことも無いかなぁとか思ってないわよ?」
「ばっ!? この駄女神! 物乞いなんて真似するなよ!
ますますみっともないだろうが!」
「うっさい! アンタがしょうもないからこんな貧相で貧しい食事しか取れないのよ!」
「お前が無駄遣いするからだろーが!!!」
要するに羨ましいらしい。
確かにあんな蛙の唐揚げ一皿だけではお腹なんて満たされる訳もない。
しかしそれ以上に白音は、今図々しく言ってきた青髪の少女が醸し出す僅かながらの力を察知し、怪しむ様に見据えていた。
「さ、叫んだら余計お腹が……」
「む、無駄な労力使わせやがって……!」
しかしどう見てもしょぼくれてる様にしか見えず、また脅威の脅の字にもなりそうもなかったので、仕方なく元の世界ではサーロインステーキクラスのお高いステーキを二人のテーブルに何も言わずに置いてあげた。
「良かったらどうぞ」
「!?」
「!?」
白音にしてみれば煩かったからだというだけの事だった。
だがしかし、貧乏生活を強いられていた二人組からしてみればこんな高級料理をシレッとしながら与えてくれた白髪の少女がそれこそ神に見えた。
「あ、ありがとうございます! ありがとうございますぅぅ!!」
「アナタは神か!? ロリ神か!?」
「………………。馬鹿にしてるんですか?」
いっそ床に額を擦り付ける勢いで平伏する二人組。
どうも自分らしくない……そう思いながらこの世界では高級品である蟹の足をしゃくしゃくしながら、涙まで流してステーキを食べる二人組と、変わった方々ですねー? と自分の事を差し置いて呟くめぐみんに視線を移しながら食事を続けるのだった。
そう……。
「え、パーティですか?」
「駄目です! 白音さんとオーフィスさんと私で爆裂魔法パーティと既になってますので、引き抜きは駄目です!!」
「……。別に我と白音はお前と組むなんて言ってない」
「ぐぬ!? い、良いじゃないですかオーフィスさぁん……」
「我って……変わった一人称だなあのゴスロリのロリっ娘は、てかロリしかいねぇ……」
「悪かったですねロリで」
「あ、いや別に馬鹿にしてる訳じゃ……」
「余計な事を言うなこの引きニート! 折角仲間を集めてあの憎き蛙にリベンジできると思ったのに、怒らせてどうすんのよ!」
「引きニートは関係ねーだろうが!?」
この絡みが後々あんな事になるなんて……。
「お願いします白音さんとオーフィスさん……絶対にお役に立ちますからぁ……」
「あーはいはい……もう何でも良いですから、一々抱き着かないで貰えます?」
「……。白音に抱き着くのは駄目、そこは我の位置」
「いや、別にアナタの位置でも無いですからね?」
終わり
補足
イッセーが安心院さんと精神邂逅した様に、ネオ白音たんは何と某忍者の仙人じーさんと邂逅。そして覚醒。
つまりクレイジーサイコロリ
その2
偶々のせいでロリコンビからロリトリオになるのかどうか……というかさりげにイッセー側よりアレなポジション。
その3
アレだね、もしそうなったらロリロリで百合ったりとかしたらアレだよね。
皮肉な事に白音たんが長女ポジになっちゃってるっていうね。