色々なIF集   作:超人類DX

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後一回だけやります。
もうこれでおわり。

絶対需要ないから


バグ

 突如として現れた人外と、人外なのかもよく分からない少年により、平和で穏やかでグダグダな日々へとなることはまず無いと察した生徒会および生徒会長の黒神めだかは、まずは安心院なじみに対する対抗馬として、自身達の後継者を育成すべく、早速全校中学生を対象とした学園見学会を開催した。

 

 

「急な開催なのに、かなりの人数だなこれは」

 

「正直驚いた、これもめだかちゃんの影響力か……」

 

 

 阿久根高貴の言うとおり、急な開催だと云うのに、集まった中学生は約六百人であり、その中には中学生にして色んな意味で名の知れた者も集まっていた。

 そして……。

 

 

「きつねうどん超うめー」

 

 

 その中には当たり前の様に、先日安心院なじみの様に現れた兵藤一誠なる男が食堂ででも購入したのだろう、きつねうどんを食べながら校庭の隅に立つ木の下に座っていた。

 

 

「アイツ……何で居るんだよ? 中学生じゃないだろ」

 

「そういえばまだめだかさんとは会ってない。多分めだかさんに接触しようとでも思ってるのかもしれないな」

 

 

 周囲の中学生が『何だコイツ?』という顔を向けるのも何のその、ドマイペースにうどんの汁まで飲み干して綺麗に食べ終え、ヘラヘラした顔で何かを待っているのが見える。

 

 

「一応中学生じゃない人は断ってるって言ったんだけど……」

 

「居座られたと?」

 

「うん……」

 

 

 年齢がイマイチわからないし、中学生には見えないという理由で一度は追い返そうとしたと言う喜界島もがなを責めるつもりは二人に無い。

 何せ違う意味であの男の事も探らなければならないのだから。

 

 

「『へぇ』『やっぱり居るね彼も』」

 

「ふむ、奴が貴様達が言っていた男か」

 

「めだかちゃん、球磨川……」

 

 

 そうこうしている内に生徒会長のめだかと副会長である球磨川が姿を見せ、偶々近くに居た男子中学生とくっちゃべってる一誠を見る。

 

 

「なるほど、確かに何かはあるかもしれん」

 

「どうするよめだかちゃん? 中学生以外はお断りと追い返すか?」

 

「いや、わざわざ『遠い所』から足を運んで貰ったのだ、ただ追い返すのは失礼に値する。

しかしこの人数を『教化』するというのも骨が折れるし時間も掛かる。先程球磨川とも話したが、面白半分で来た者達にハッキリと所信表明をし、帰って貰うことにしよう」

 

 

 何かもう仲良くなりかけてる様子の一誠を気にしつつ、本日集まった約六百人を篩に掛けるとマイクを手にするめだかに、球磨川が口を挟む。

 

 

「『待ちなよめだかちゃん』『例え面白半分だろうとも半分は本気なんだぜ?』『だったらその本気を少しは汲んであげようよ』」

 

 

 球磨川の言葉にめだかが難しそうな顔をする。

 

 

「言いたいことはわかるがしかし、先程も言った通り、実際六百人もの人物をとなると時間が掛かり過ぎる。

ならば残酷かもしれぬが、ここはハッキリと言うべきで――」

 

「『だからその残酷という役割は僕がやるよ』『所謂適材適所って奴さ』」

 

 

 そう言って球磨川が半ば掠め取る様にしてマイクを取ると、めだかが止めようとするのも聞かずに壇上に上がるや否や、眼前に広がる六百人もの中学生に向かってただ一言。

 

 

「『朝早くからご苦労様です――――』」

 

 

 

 

 

 

 

 

「『モブキャラの皆さん!!』」

 

 

 たった一言の言葉。されど負完全と呼ばれた男の(マイナス)の言葉。

 その言葉は中学生の心をバッキバキにへし折り、一瞬にしてその場に崩れ落ちてしまった。

 

 

「『おやどうしましたかモブキャラの皆さん!』『何かありましたか無個性なる皆さん!』『気分が悪くなったのなら帰った方がよろしいのではないでしょうかその他大勢の皆ーー』」

 

「球磨川ァァァッ!!!」

 

 

 それに畳み掛ける様に負の言葉をぶつけまくる球磨川にめだかが怒りの形相で飛びかかり、胸ぐらをひっつかむ。

 

 

「貴様は、貴様は!! もう一度私と戦いたいのか!?」

 

「『ち』『違う違う!』『ちゃんと手加減したって!』『ほらその証拠に何人か残ってるし……』」

 

「何だと? 貴様の言葉に折れぬ者など――」

 

 

 胸ぐらを掴まれ、揺さぶられて目を回す球磨川が何とか差した指の先をめだかは追う。

 すると確かに一瞬にして心を折られて崩れた者の中に平然と立つ五人の個性豊かに見えてしかたない女子中学生と――

 

 

「おーい、キミ大丈夫か? あ、こりゃダメだ。球磨川さんにしてやられてノックダウンだ」

 

『これが本場の過負荷(マイナス)という奴か。

俺達の時代には他に誰一人として居ないから、少し新鮮だな』

 

 

 ちょっと仲良くなりかけていた中学生の屍をツンツンと突っついてる、年齢不明の少年・一誠がこれまた平気な顔をして残っていた。

 

 

「まぁでもこれでよく見える。はっはっはっ、生黒神めだかさんだよ。サインとかくれねーかな」

 

 

 そして徐に立ち上がった一誠は、めだかと目を合わせとても嬉しそうに笑うのだった。

 

 

 

 

 

 結局の所、残った五人と生徒会役員達が個々に別れて軽い面談をする事となった訳だが、その前にまたしてもひょっこり現れた安心院なじみによる言葉の審議を確かめるという意味合いがあった。

 

 

「あの五人に悪平等(ボク)が混ざってたりするけど、キミ達にとっては何の問題もないだろ? 気を付けろよ? キミ達の選択でフラスコ計画の後継者が作られちゃうんだから」

 

 

 だからこその面談。

 しかし五人との面談を各自終えた後に集まって話し合っただけでは探る事も出来ないし、球磨川とめだかの証言はほぼ当てにならなかった。

 

 

「例の奴はどうする? 奴の言ってる事が本当なら間違いなくクロだぞ」

 

「未来の安心院さんの悪平等と言ってたけど、そんな話も荒唐無稽過ぎるし……ていうかアレ? 彼は何処に……?」

 

 

 となれば残りは……いや、殆ど自分でバラしてるせいで黒が確定している一誠を残すのみとなる訳だけど、ふと喜界島が一誠の姿が見えない事に気づく。

 

 

「む、私は知らんぞ」

 

「『僕も』『てっきり他の誰かが見てるのかと思ってたし』」

 

「え、俺も知らねーぞ。阿久根先輩はよ?」

 

「俺だって知らないさ。随分と自由な奴だな。面談をボイコットするなんて」

 

 

 実は一誠にのみ全員で面談をする事になってたのだが、その一誠が何処へと消えてしまって面談が出来ない。

 

 

「………………。帰ったのか? 飽きたとかいう理由で」

 

「『あー』『ありえそうだね』『彼だけ最後にして随分と待たせちゃってたし』」

 

 

 帰ったというのならそれで良いし、何と無くそのまま永久に姿を消すという事は考えられない。

 故に生徒会達は取り敢えず本日の行程を終了させ、明日に備えるべく解散するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 さて、そんな消えた一誠はというと……。

 

 

「悪平等ってさ、俺知らないんだよねー? へぇ、この五人もやっぱりそうだったんだなー」

 

 

 夜空に輝く星の下、箱庭学園体育館の天井に立つ安心院なじみと不知火半纏。そして今回生徒会との面談を切り抜けた五人の中学生……いや、悪平等の前にヘラヘラとした面持ちで立ちはだかっていた。

 

 

「アンタ、私達以外で残ってた奴……」

 

 

 五人の悪平等の内の一人である財部が『線引き』を忘れて、音も無く安心院なじみの横に現れた男を睨む。

 

 

腑罪証明(アリバイブロック)でも向こうの僕から借りてるのか?」

 

 

 ヘラヘラしながらガムを取り出して口に放り込む一誠にこの時代の安心院なじみは問う。

 未来の自分の悪平等であるなら、スキルの貸し借りのやり取りも当然行われてるだろうし、今の自分に対して嫌がらせをする為に送り込んだとするなら相当数の数を与えてると考えられるのだが。

 

 

「あぁ、俺はアイツとスキルの貸し借りは一度もしてないよ。

俺が何度か貸したとかなならあるけど……口写し(リップサービス)とかされるの嫌だし」

 

 

 一誠の答えはノーだった。

 

 

「悪平等ってんならそこの女子中学生もある程度俺が何なのかくらいわかるだろうし、今更自己紹介もしない。つーか中学生は色々と対象外だしねー」

 

『!?』

 

 

 そして財部、鰐塚、喜々津、与次郎、希望が丘の五人が全く感知すら出来ない速度で背後に回り込む。

 

 

時由時在(オーバークロッカー)暴飲暴喰(ネオ)幻実逃否(リアリティーエスケープ)安察願望(キラーサイン)悪循完(バッドエンド)無神臓(インフィニットヒーロー)……………赤龍帝の籠手(ブースデットギア)。俺が持つのはこの程度だ」

 

 

 ひひっ、と嫌がらせしたくて堪らねぇって顔でニヤニヤする一誠の口から飛び出る様々な単語に、末端悪平等たる五人の顔色が変わる。

 いや、そうじゃない……顔色を変えたのは末端だけではない。

 

 

「そして、獅子目言彦の技術(スタイル)。俺の引き出しはこの程度だよ。

まったく、この手数で昔のアンタと悪平等に嫌がらせしてこいだなんて、アイツはドSにも程があるぜ? そうは思わない?」

 

「言彦だと……?

おい待て。何でキミがこの技術を……」

 

「覚えさせられたんだよ、ドS女に。ったく、お陰であの女、俺を実験台に進化しまくったせいで縮まり掛けた差がまた開いちゃったんだぜ? やってらんねーよ」

 

 

 さも当たり前の様に言彦という名前が出てきたので、思わず顔色を変える安心院なじみと不知火半纏。

 だがしかしもっと驚いたのは、その言彦を未来の自分は超越したという所だった。

 

 

「でも今のアンタになら俺でも勝てる。

いやー良いねぇ、違うとはいえアンタに嫌がらせしてて悔しがらせるとか楽しくてしょうがねーや!」

 

「………」

 

 

 ケタケタケタケタと笑いながら、プチ嫌がらせとばかりにまだ封印状態の安心院なじみの頬をプニプニし始める一誠に誰も何もできずにその場に立ち尽くす。

 結局の所、この少年は未来の己に勝てないのを今の自分で憂さ晴らししようというのだ。

 

 悪趣味極まりない話である。

 

 

「七億の悪平等なんて居ないから全部俺が担わされてめっちゃ苦労してたんだ。その分くらいはアンタに嫌がらせでもして晴れさせて貰うぜ? なぁ、過去のなじみよ?」

「とことん悪趣味だな、未来の僕は」

 

「まあ、それは否定しないな。人の恋路に水差して滅茶苦茶にまでするしねぇ?」

 

 

 超越者……そう吟われる少年による行動がこの先どうなるのか。

 今はまだ誰もわからない。

 

 

おわり

 

 

 

 

 

 その男は、理不尽であった。

 

 

「人吉善吉さん。今からアンタを黒神めだか以上に進化させる。勿論、あの女に対する嫌がらせとしてだから、一切聞く耳は持つなよ?」

 

「………。本当にめだかちゃんに勝てるのかよ」

 

「あぁ、俺の師匠が昔俺に施してくれたプログラムをキミが出来たらの話だけど」

 

 

 その男は進化という概念を擬人化させる様だった。

 

 

「俺の持つスキルの一つである無神臓は永久に進化をし続ける異常である。

さてここで問題です、果たして黒神さんが完成(ジ・エンド)によって自分の中で完成させたとしたら、俺を叩きのめせるのでしょうか? 答えはノーだ。だって、俺の無神臓(コレ)は完成させたら無意味になるスキルなのだから」

 

 

 安心院なじみにより引き裂かれ、一人になっためだかと戦う事で、彼女にも安心院なじみに対して嫌がらせするかの如く進化を促す。

 

 それこそ一誠のルーツであり、役割だった。

 

 

「そう、完成の先へと行けば良い。そうすればキミを現状越えた善吉さんと肩を並べられる。

それはアナタが一番望んだ事ではないのか?」

 

 

 そして真に完成する完成(ジ・エンド)と――

 

 

「やぁ、過去の僕。『僕の』一誠が随分とやってたみたいだけど、どうだい? 僕達は同じだから思うだろう? アイツが欲しいって?」

 

「……。何処で手に入れたんだ、アイツを?」

 

「さぁ? それは過去の僕なんだから自分で考えろよ? あ、ちなみに無いとは思うけど、もしアイツに唾でも付けようなら、過去の僕だろうと怒っちゃうぜ?」

 

 

 降臨する元凶……いや、超越せし未来の安心院なじみ。

 

 

「確かに僕には七億居た悪平等も、不知火君も居ない。

しかしその代償に僕はアイツを手に入れられた。

無限に進化し、アイツに認められた者まで進化を促すというのは、ある意味今のキミの悲願であるフラスコ計画そのものだからね。

まあ、今の僕にそんな計画も何もかも必要の無いものなんだけどね。一誠が居れば後は何にも必要ないし、誰にも渡さない。

言ってしまえば過去の僕であるキミに自慢したかっただけだもの」

 

 そう、全ては自分の所有物として絶対的な執着を持つ一誠を自慢したいが為。

 それこそ、悲願をこの時期に抱く過去の自分への最高の嫌がらせでもある。

 

 

「いでででで!?!? な、なにすんだよ! ちょっと箱庭学園の女の子とご飯食べに行こうとしただけだろうが!」

 

「僕は嫌がらせをしろとは言ったが、他の女に手を出せなんて一言も言ってないよな? 普通に何を破って遊んでるんだ? え?」

 

「ぐぇぇ!? ね、ネックブリーカーはやめろ、地味パンツが丸見えなのに全く嬉しくね――かへ……」

 

 

 終了




補足

全シリーズに出てきたオリジナルスキルを全て持つのが今回の一誠。

ひんぬー会長のしかり、ゼノヴィアさん然り、黒歌さん然り、ネオ白音たん然り然り然り……。


つまりバグ

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