色々なIF集   作:超人類DX

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結構加筆しました。


内容としては……なんだろ、一誠が妬む程の匙きゅんとセラフォルーさんのアレコレ。

と、そうとは知らずに無駄な真似を考えてる例の奴


一発ネタだらけ
頑張れソーナちゃん


 聖剣と木場に何かしらの因縁があるってのを聞いた時は、前とそんなに変わってないと分かったのだけど、その件って周りが口を挟んで収まる話なのか? と疑問が尽きない。

 この御劔達は止めようとしてるらしいけど、木場が果たしてそれで収まるかどうか……。

 

 

「あ、店員のおねーさん、チョコレートパフェ3つお願いしまーす」

 

 

 当然一誠は他人事全開で、御劔達が金を出す事を良いことに、行き倒れ寸前だった悪魔祓いと一緒になってガツガツと飯を食っており、何とか呼び出した木場の話なんて全然聞いてない様子。

 

 

「うめーうめー」

 

『…………』

 

 

 元からマイペースが服を着て歩いてる様な奴だってのを知ってるから俺は呆れるだけだけど、何も知らんらしい御劔達の視線が若干厳しいものになってる。

 しかし本人はそれでも平然とチョコレートパフェにがっついている。

 

 

「教会の人ってのがこのお二人さんってのは分かったけど、結局の所何がしたいんだ? このまま木場でも探したら良いのか?」

 

 

 仕方ない、あんまり関わりたくないが一誠がこの態度だし俺がやるしか無いか。

 なんて、オレンジジュースを飲みながら俺は話進めるために、余程腹を空かせてたのだろう悪魔祓いと御劔達に向かって話を振る。

 

 

「それもあるけど、その前にその二人に提案したいことがあるんだ」

 

「む?」

 

「なぁに赤夜君?」

 

 

 ったく、こっちは只でさえ一誠で戦力は釣り来るレベルでるとはいえ、物理的な人数が完璧に不足しとるというのに、リアス・グレモリーさんのだからって少し下手に出すぎた感が否めんぜ。

 てかヤバイなぁ……今頃会長一人で生徒会の仕事してるのかなぁ……。

 

 

「聖剣の捜索を手伝わせてくれ」

 

 

 何気に聞いてると主の意向ガン無視してる話をしてる気がするけど、怒られるのはコイツ等だからスルーはしとくけど、俺達は俺達で別の意味で怒られそうな気がしてならねぇよ。

 

 まあ、その時は一誠を盾に火の粉を回避すりゃ良いんだけども。

 

 

「ふむ、一本くらいだったら構わんだろう」

 

「ちょっとゼノヴィア、本気なの!?」

 

「ああ、どちらにしろ私たち二人だけではコカビエルには勝てん、犬死するのが関の山だ。

相手は堕天使の幹部クラスだ。いくら聖剣を持っていると言えど勝てる見込みはほぼない」

 

「だからって、赤夜君といえど彼らは悪魔なんだよ!?」

 

「私たちの任務は死ぬことではないだろう?

それに、神を信仰するならなんとしてでも任務を終えて生きて帰ることこそが大事だろう」

 

「うわー……あなたの信仰ひねくれてるわね」

 

「なんとでも言ってくれればいい。私はここで死ぬつもりはない。かといって任務を放棄する気もない。ならば悪魔だろうがなんだろうが協力を頼むのがいいだろう。それに、だれも悪魔の力を借りるとは言っていない」

 

 

 てかこの青髪の人も結構思いきった事言ってるよな。

 いや、関係ないけど。

 

 

「ドラゴンの力を借りるだけだ。教会もドラゴンの力を借りるなとはいっていないだろう?」

 

「じゃあ協力させて貰えるんだな? ならもう一人この場に協力者を呼ぶから待っててくれ」

 

 

 すっげーな……なんだこれ? 結局コイツ等教会の人間と徒党組んじゃったよ。

 こんなんバレたら怒られるじゃ済まなそう――――は? ちょっと待て、今コイツ協力者を呼ぶって言ったよな? それってまさか木場か?

 

 

「コーンスープ超うめー」

 

「おい御劔。お前木場の居場所知ってるのか? さっき木場を探すのに協力しろって言わなかったか?」

 

「いや居場所はわからないけど、携帯の番号は知ってるから電話だけしてみようと……」

 

 

 そう悪びれもせず言いながら携帯に耳を当てる御劔。

 別に気分を悪くするとかじゃないけど、もしそれに木場が出て今の話しに乗ってここに姿を現したら、俺と一誠もお役ごめんだろう。

 そう考えると寧ろ木場からこっちに来いとすら思う訳で……。

 

 

「今電話に出た。こっちに来るってよ」

 

 

 よし、木場が来たら帰ろう。もう俺等関係無くなった。

 

 

 

 

 

 木場祐斗との連絡が付き、尚且つ聖剣捜索云々の件について話をしたら普通に姿を現した。

 あれだけ行方不明だと騒がれてたのに、こんなアッサリで良いのか? と疑問に感じる元士郎だけど、これで帰る口実も出来た事だし深くは考えなかった。

 というか、一誠をだまくらかしてソーナに黙って呼び出した事に対する何かしらのフォローを早くしたい。

 

 なので木場祐斗が来て聖剣との因縁について語り終わった後、元士郎は未だに追加注文してはムシャムシャと食べまくる一誠を無理矢理立たせると、何故か『え?』って顔してる御劔達に向かって、一誠が食べた分としてのお金を置いて帰ると宣言する。

 

 

「何か木場もあっさり見つかったみたいだし、俺達はもう帰るぞ。

見つかって良かったな。あ、これコイツが食った分の金ね……おら行くぞ一誠」

 

「えー? そこの教会のねーちゃん二人に一声掛けたいんだけど――」

 

「駄目だ、会長にバレたら怒られる」

 

 

 ゼノヴィアとイリナなる名前の悪魔祓いに向かって転生悪魔が何だと言わんばかりにナンパしようとする気満々の一誠を諌めつつ、半ば強引に腕を引っ張りながら去ろうとした元士郎。

 この分だと多分木場の過去について全く聞いてないと思われる。

 

 

「え、ま、待てよ。木場の過去聞いて何も感じないのか?」

 

 

 一万円札を伝票入れの筒に丸めて入れてから帰ろうとした元士郎が、何故か帰られると困る様子で御劔に引き留められた。

 

 まるで協力して貰えるのが当たり前といった顔だった。

 

 

「木場の過去? おう、聖剣計画の実験台にされたって奴か? いやまぁうん……そりゃお気の毒と思うけど、だからと言って基本的に悪魔は不干渉とそちらの悪魔祓いさんに言われてる以上、俺も一誠も聖剣の捜索までは付き合えないだろ」

 

 

 何でそんな体なのかは考えるだけ無駄と思いつつ、何か俺達が間違えてる? と真顔トーンで返す元士郎に何故か『薄情な奴』みたいな目で見られる。

 

 

「お前、木場が可哀想だって思わないのかよ? 同じ悪魔の仲間なのに……」

 

 

 まるで同情して協力するのが当たり前だと言わんばかりの御劔の主張に木場と悪魔祓い二人を除いた御劔のお仲間達が無言の同意の眼差しを向けてくる。

 

 

「いや、え? これ俺が悪いのか? だからさ、木場の過去は確かに聞いた限りじゃ壮絶だし同情は覚えるけど。

俺とコイツの主はソーナ・シトリーなの、わかる? そもそもお前は木場の捜索を手伝って欲しいって言ったよな? 聖剣の捜索の事なんて一切聞いてない。

それと、お前は木場が可哀想とか言ってるけど、その言い方は聞きようによっては木場に対する侮辱に聞こえるから気を付けろよ」

 

「………」

 

 

 そう言って木場へと目配せする元士郎すると、木場本人は目を逸らす。

 多分本人も可哀想と言われて思うところでもあったのだろう。

 

 

「あのさ、木場君は聖剣捜索するのに俺達も手伝って欲しいって思うわけなの?」

 

「……。いや、僕は無理にとは言わないし、キミ達にまで迷惑は掛けたくない」

 

「だ、そうだぜ?」

 

「………」

 

 

 それまで口を挟もうともしなかった一誠の問いに対して木場はそう返す。

 その受け答えだけで木場は大分マシなんだなと今更の様に思ったりしたが、木場本人じゃなくてお仲間が非難する様な目を向けて来るのが何とも鬱陶しい。

 

 

「今見たことは誰にも言わないから安心しろ……おら、行くぞバカ」

 

「へー? 悪魔祓いって大変なんだ――ちょ、待て匙。俺はこの悪魔祓いちゃんとのトークがまだ――」

 

「また今度にしろ今度に!」

 

 

 いつの間にか若干引いてる悪魔祓い二人に対してナンパじみた真似をし始める一誠を無理に引っ張り、木場を除いた御劔達の非難めいた視線を背に今度こそ去る。

 結局な所、元士郎にとって重要なのは、自分にとって大事な人達とののほほーんとした時間であり、その為の労力は惜しむつもりは無いにしても、周囲を巻き込もうとする連中と遊ぶのに労力を割くつもりは無いのだ。

 

 ましてや、この件は状況は違えど二度目だし、その時と比べるまでもなく進化をしたのだ。

 この連中が自分達の代わりに処理してくれるというなら、是非とも頑張ってと思うだけで終わるならそれに越した事はないのだ。

 

 ましてや、今回まともに話をしてみてこの御劔という男は妙にセラフォルーを気にする様だし、一誠の言うとおり信用できないので距離を置きたい……と、元士郎は思っていた。

 

 

 

 

 

「――以上の事から、どうやらグレモリー先輩の眷属は女王を抜かし、悪魔祓い達と組んで聖剣の捜索をする様です」

 

「どこに行ったのかと思ったら、そういう事だったのね」

 

 

 内緒にしておく……と御劔達に言っておきながら、戻るなり早速ソーナに留守にしていた理由を話す元士郎。

 主と他眷属とを天秤に掛けた結果、迷い無く主に傾いたからこその報告であり、本人に罪悪感は一切ない。

 

 寧ろソーナも元士郎も聖剣の件についてはある程度『知って』いるので、自分達の記憶には居なかった御劔によって何故か協力をさせられたという話をすればソーナも察した様に頷いていた。

 

 

「私と匙が知ってるこの件って、フラフラ現れた一誠が『うるさいから』って理由であっさり片付けちゃったのよね」

 

 

 寧ろ当時の時点で理不尽となっていた一誠による災害じみた襲撃によって聖剣もろとも粉々になってしまったのを今でも鮮明に覚えているソーナと元士郎にしてみれば、まあ、例の怪しい御劔殿が何やかんやで頑張るじゃない? と楽観的な構えですらあった。

 

 いざとなればコカビエルが一誠の輪ゴム鉄砲で射殺されたのを唖然として見ていた時から遥かに進化した自分達が片付ければ良いし、リアス達が倒して名を上げてくれるならそれで良し。

 ソーナにとってシトリーの名前は大切かもしれないけど、それ以上に求めるものがあるが故に以前と比べるまでも無く楽観的であった。

 

 

「俺が? 俺何かしたっけ?」

 

「……。あぁ、お前はそういう奴だよな。わかってたさ」

 

「一誠らしいといえばらしいわ」

 

 

 寧ろその時の事を全然覚えてないって顔の一誠に苦笑しか出ない。

 

 

「オーフィスをおんぶしたまま、輪ゴム鉄砲で射殺した姿を見た時は、恥ずかしながら怖いと思っちゃったから私はよく覚えてるわ」

 

「……。少し思い出してきた。そっか……そういやその後アンタとのやり取りで『化ける』って確信した時期だったな」

 

 

 コカビエルの件以前から顔見知り程度であった関係が急激に変化した事件だったというソーナの言葉に僅かながらに目を伏せながら思い出す一誠。

 予想を越えた覚醒をする前のソーナはまだちょっと可愛らしかったのに……と密かに思ったのは秘密だ。

 

 

「それで、話は変わるけど姉さんのコスプレ会にアッサリ釣られたんだって?」

 

 

 まあ、それでも自分という存在と親しくしてくれるという意味では一誠としてもソーナは寧ろ好意に値する者だったりする。

 ソーナの姉であるセラフォルー――というか、自分以外の女の話が出ると何時もこうなってしまうのがアレだが。

 

 

「コイツ本当にアッサリ引っ掛かりましたよ。いやそうやって釣る俺も俺だとは思いましたけど、コイツやっぱりバカなんじゃないかと」

 

「俺はお前に純粋な少年心を踏みにじられたんだけど?」

 

「少年心って……スケベ心じゃないかしら?」

 

 

 ソーナと一誠。追いかける者と追われるもの。

 失った友は多い分、残った者を何よりも優先するという考えが同じな分、二人の呼吸は皮肉にもかつて以上にぴったりだった。

 

 

「リアスにはこの事をそれとなく話しておくわ。

あの子だって自分の眷属が心配だろうし」

 

「まあ、主の考えガン無視で勝手に突っ走られても困りますからね、それが良いんじゃありません?」

 

「あーちきしょう、あの悪魔祓いちゃんをナンパし損ねたのが痛いぜ」

 

 

 同類が故に。

 

 

 

 自分の知る知識と違うというのは、既にその知識とは違う行動をしていたので自覚はしていた。

 しかしながら、だからと言って赤龍帝では無い一誠が一般人じゃなく寧ろ逆に主の幼馴染みの悪魔の右腕ポジションに居るのはいくらなんでも剥離し過ぎだと御劔は、とことん掴めない性格となってる一誠……そして元士郎に対して思っていた……苦々しく。

 

 

「本当に帰っちゃいましたけど……」

 

「良いよ、確かにあいつ等には木場を探すのを手伝ってくれって言っただけだし」

 

 

 知識通りなら木場の過去を聞いて同情し、役に立つ立たないじゃなく協力を申し出てくる元士郎からにべもなく断られてしまった事に、先程一誠が話をしていた件もあって、御劔赤夜は穏やかな口調とは裏腹に内心焦っていた。

 

 

「同じ悪魔なのに……」

 

「違うなアーシア・アルジェント。私からしてみれば協力させてくれと私達に言ってきたお前達が変なだけで、あの二人の対応が普通だと思うぞ」

 

「天敵同士だしね」

 

「………」

 

 

 いっそ薄情にも感じた一誠と元士郎の態度に少し傷ついた的な顔をするアーシアにゼノヴィアとイリナの二人は『あの態度が普通だ』と、フォローのつもりじゃ無く言う。

 それに対して木場祐斗も同意する様に頷くので、アーシアは腑に落ちない顔をするもののそれ以上は何も言わなかった。

 

 

「でもまさか匙がそんな前から転生悪魔だったなんて驚いたな……イッセーもだけど」

 

 

 そんなアーシアを横に、御劔赤夜は元士郎が悪魔に転生した時期のズレについてそれとなく口に出す。

 本来なら原作の一誠より少し前程度に転生するのが匙元士郎であり、もっといえばソーナとできちゃった結婚を目標にしている性格だった。

 

 確かに自分がソーナの眷属の大半と親しいせいで彼女の眷属はほぼ壊滅的に居ないのは知ってたけど、しかしまさか女王の代わりが赤龍帝では無い一誠で、元士郎は原作よりも大分前に転生しているせいか、随分と冷静な性格をしていた。

 

 いやそれどころか、ソーナに好意を寄せてる訳じゃない事にも驚いたが、よりにもよってソーナの姉のセラフォルーに好意を持ってるだなんて……。

 

 授業参観時に接触する気満々だった御劔赤夜は少しばかり元士郎を『邪魔』に思ってしまう。

 

 

「あの人達の事は先輩が眷属になる前とかに何度か顔合わせをした事はありますけど、いまいち何を考えてるのかが良くわからないんですよね」

 

「独特の雰囲気があるというか……ね」

 

 

 介入前に何度かリアスとソーナを介して顔を合わせた事があるらしい小猫と祐斗が苦手そうに呟く辺り、一誠も一誠で美少女ならなんでもオーケーな性格では無いという事が赤夜は察した。

 まあ、ソーナの女王――男性だから将軍(ジェネラル)であるのと赤龍帝では無い時点で相当原作とは離れてる存在であることはわかるにはわかるのだけど……。

 

 

「しかし赤夜先輩がレヴィアタン様がどんな方なのかを知ってたのは意外でした。

いやまぁ、既に悪魔の事も知ってたみたいだったのであんまり驚きはしませんけど」

 

「……。それなりに調べておこうかと思った過程で知ったんだよ……」

 

 

 小猫に対して御劔赤夜は尤もらしい言い訳で誤魔化す。

 調べたもなにも、最初から知ってた事を話すつもりは無さそうだ。

 

 

「取り敢えず俺たちだけで聖剣の行方を探さないと」

 

 

 まさか元士郎という、眼中に無い男が阻んでくるとは思わなかった事も話すつもりは無い様で……。

 

 

 

 

 元士郎と一誠により、悪魔祓い達の動きを知る事が出来たソーナは、早速とばかりに女王の朱乃しか傍らに居ないリアスの元へと訪ね、普通に御劔赤夜達が聖剣捜索を行ってる件を話した。

 

 

「あの子達ったら……!」

 

「貴女の騎士の事を思っての行動らしいし、悪魔祓いの二人もどうやら御劔君に宿るドラゴンの力を借りる体で行くらしいから良いんじゃない?」

 

「そんなのは只の屁理屈じゃない! 干渉するなと言ったくせに……!」

 

 

 オカルト研究部の部室のソファに座って対面するソーナとリアスの後ろには其々女王と将軍である一誠と朱乃が、更に一誠の一歩後ろには元士郎も控えているという構図でぷりぷり怒るリアスをソーナは落ち着かせていた。

 

 

「ソーナの下僕の子達が着いてくれたら安心だったけど、何というか偉いわね……」

 

「ぶっちゃけちゃうと面倒そうだったんで理由付けて退散しただけなので……なぁ?」

 

「相手は天界側ですからね。余計な真似して関係に亀裂でも入ったら大変だし」

 

 

 妙にリアスから感心された二人が軽く苦笑いしながら返す。

 まさか『お宅の眷属さんが普通に信用できないから』とは言えないので、二人なりに言葉を選んでの台詞だ。

 

 

「でもあの……御劔君って言いましたっけ? 赤龍帝の」

 

「? 赤夜がどうしたの?」

 

「その彼にレヴィアたん―――んんっ! レヴィアタン様の事を細かく教えて上げたりでもしたんですか?」

 

「へ? いいえ、ソーナの事すらこの前まで言ってなかったから私は何も……。どうしてそんな事を?」

 

「いや、彼と話してたら何かレヴィアタン様の事を異様に気にしてたんで……なぁ匙?」

 

「えーっと、はい確かに……」

 

 

 御劔達を早いところ回収しようと考えるリアスに対し、一誠が突然ファミレスでいやにセラフォルーの事を気にしていたのと、何故か普通に当たり前とばかりに知ってる体だった事を話す。

 

 それに対してリアスは首を傾げながら教えてないと答えた。

 

 

「考えてみたらあの子って詳しくない様で私達悪魔の事に詳しかったわね……」

 

「確かに……今まで気にすることもありませんだしたが、こうして考えてみると不思議な子ですわね」

 

「「「……」」」

 

 

 リアスと朱乃が今になって不審に思う素振りを見て、一誠、ソーナ、元士郎の三人は気づかれないように三人互いに目を合わせる。

 今更御劔本人の行動で本来仲間だった筈の者達との接点が無くなった事に恨み言を言うつもりもないし、調査の結果事情がある者以外は至って普通の生活をしているらしいのでそれはそれで良いんじゃないかとも思ってはいる。

 だがだ、かつて御劔とは違う赤龍帝を名乗る男が無謀にも一誠をボロクソになじった挙げ句オーフィスを無理矢理連れ出そうとした事があったので、赤龍帝という存在がいまいち信用できない。

 

 それに加えてあの御劔のセラフォルーに対する食い付きっぷりがまた警戒心を抱いてしまう。特に元士郎が。

 

 

「あの子曰く、昔はぐれ悪魔に襲われた所を他の悪魔に助けて貰った縁で知ったっていってたけど……」

 

「あらそう……。

まあ、何でも良いけど、もしかしたらその流れで知ったのかもしれないわね。ほら、うちの姉さんははっちゃけてるし」

 

 

 もし、もしもオーフィスの時の様にセラフォルーにちょっかいを掛けるのであるなら、元士郎はすぐにでも出撃をするだろう。

 というか、元士郎はセラフォルーに関してだと直ぐに頭に血が昇ってしまう。

 

 かつて戦役を共にくぐり抜け、一誠に居た白龍皇や英雄の魂を持つ男……そして無限の龍神と共に『外の神』を始末した繋がりと、その時に交わした永遠の約束がある為に。

 

 

 

 

 

 セラフォルー・レヴィアタンは、災害バカ三人組のボス的存在と見なされていた少年が原因でおかしなベクトルに急成長した妹という共通の話題によって仲を深めた少年が居た。

 その少年はソーナの兵士であり、何でもソーナに一目惚れしたから眷属になったというのだが、そのボス的存在の少年のせいでおかしな方向に行ってしまったソーナに若干『あれ、なんか違う』という気持ちにさせられてしまった、またそうさせた少年に対する愚痴を溢すのを聞いてる内に、中々親しくなり、何時しか災害バカ三人組を倒すという目標を持って切磋琢磨をする姿を応援する様になった。

 

 特にソーナを進化させた三人組のボス的存在である一誠なる男には並々ならぬライバル心を持ち、何度も何度も戦いを挑んでは片手間に処理されては、その都度諦めないど根性で立ち上がる姿を何度も見てる内に何時しかただの愚痴仲間から互いを高め合う相棒となり――

 

 

『五大龍王を越えた俺だけのオリジナル。我が名は呀! 暗黒騎士!!』

 

『……。え、五大龍王ってああなるの? なんか確か五つに別れた意識云々っていってなかった?』

 

『その筈だけど、多分一誠に挑んでる内に、無神臓の影響を受けて進化でもしたんじゃないか? もはや五大龍王の欠片も無いもん』

 

 

 何時しか元士郎は五大龍王を超越し、神器や神滅具の理からをも外れた新たな領域へと進化した。

 血反吐を吐く強烈な鍛練と、それを支えたセラフォルーへの期待に応えたい想い……そして何度も打ちのめしても挑んでくるその気位を『気に入った』一誠のスキルの祝福が、元士郎を普通なら有り得ない場所へと引き上げたのだ。

 

 

『最強の力、究極の力――大魔獣陣!!』

 

『でかっ!? な、なんじゃありゃ!?』

 

『む……奴の周りに見たこと無い生物がまとわりついてそれが一つとなってる……のか?』

 

『……。魔王とはまた違う力を感じるんだけど、結構やばくないか?』

 

 

 進化した力はなんと一誠に傷を負わせた。

 勝利こそ叶わなかったが、それまで何をしても届かなかった一誠にやっと届いたという真実は、元士郎を少年をから男へと変えた。

 そしてその頑張りを見ていたセラフォルーもまた、妹の眷属という認識を変えていた。

 

 

 それを見届けたセラフォルーもまた自身の可能性を模索し、力を付けていき、やがて超越者と呼ばれた魔王をも凌ぐ領域へと進化を果たした。

 それはど根性で進化した少年に負けてられないという気持ちも確かにあったけど、一番は、その時から既に少年に『守られ始めていた』自分に対して、このままではダメだと思ったからこその追究であり、気付けばセラフォルー・レヴィアタンに暗黒騎士ありと言われる程の名コンビへとなっていた。

 

 それこそ、一誠がめっちゃ羨ましがる程に――

 

 

 なので『最後の戦い』によって過去へと遡り、人生のやり直しを自覚した際、最初に確かめたのは妹のソーナが『覚えている』かと、元士郎が自分の知る元士郎である事だった。

 

 結果的にそこに一誠という進化の元凶が加わった事で、過去とは違ってかなり早い段階で元士郎も転生し、過去以上に傍に居る時間も増えてセラフォルーにとって嬉しいこと三昧だ。

 ……。赤龍帝によって妹の眷属が元士郎を除いて誰も居ないという事もあったが、代わりに『じゃんけんで勝った』という理由で加えた一誠により、寧ろ人数こそ少ないけど個々の戦闘力なら密かに最強だ。

 

 

 なのでセラフォルーは今世を非常に大切にしている。

 恐らく誰よりも大切にしていて、そして誰よりも元士郎という少年を愛していた。

 

 故に彼女は彼以外の男性からのアプローチは即答で断る。

 妹のソーナの姉であるだけに、いっそ清々しく断る。

 

 

「やっほーソーナちゃん! コカビエルちゃんの件………………という名目で遊びに来ちゃった☆」

 

「姉さん……何ですかその格好。うちの女子の制服じゃないですか」

 

「レヴィアたんだ! ひゃほー!!」

 

「セラさん……」

 

 

 もう自分が誰のモノなのか、決まっているから。

 

 

「変かな? ねぇねぇ、元ちゃん的にどう?」

 

「うっす、完璧っす……!」

 

「ホント!? わーい、元ちゃんに誉めてもらっちゃった~☆」

 

「ぬお!? ちょ、ちょっとセラさん、当たってるっす!」

 

 

「ちっ、あの匙の野郎……超羨ましい」

 

 

 

 

終わり

 

 

 

 

 

オマケ・戦闘校舎のフェニックスの裏側。

 

 

 実際問題ソーナは普通に美少女である。

 そしてその家柄故に、ライザーフェニックスとリアスの間に結ばれた婚約話の様な事も多々ある。

 

 しかしそういった話があっても悉く跳ね返される。

 何故か? 理由はソーナ個人の戦闘力がそういった話を文字通り捩じ伏せられるレベルであったりするのもそうなのだが……。

 

 

「無駄な事を……今楽にしてやる……!!」

 

 

 今世では、リアス・グレモリーの兵士と親しいが故に女王では無い真羅椿姫の代わりの位置となる少年が、張り切って相手を某伝説の野菜人みたいな台詞を吐きながら消し炭にしてしまうのだ。

 

 

『訊け、闇の咆哮を―――牙皇降臨!!!』

 

 

 そしてその兵士もまた同じく。

 つまり、ソーナを欲しければ、彼女の不変貫き過ぎて拗らせた想いをねじ曲げるより前に、この二人を何とかしなければならないのだ。

 ハッキリ言ってしまえばソーナを娶るのは無理である。

 

 

『勝者・ソーナ様とその眷属の皆様でございます』

 

 

 これがリアスがライザー相手に婚約を破棄する為に仲間と奮闘していた頃の裏側話なのだけど……。

 

 

「匙のあのオーバーキルのせいですぐ終わったじゃねーかよ」

 

「仕方ないだろ、セラさんが奥義使う所を久々に見たいっていうから……」

 

「グダグダ時間かけても仕方ないし、私としては全然構わなかったわ」

 

 

 本人達は片手間にやってるつもりなのがまた理不尽であり、ソーナの婚約者を名乗ったボンボン悪魔の心はベキベキにへし折れたのは云うまでもなかった。

 

 

 

 

その2・初めての……。

 

 

 娘が突然、同じ年頃の人間の少年を連れてきていきなり『これこれしかじかで私は彼をこの家に迎えたいと思います』と言われた時は両親揃って面を食らったが、成長すればするほど残念な何故か性格になっていく次女の手綱を取れるのは最早この少年しか居ないと思っているが故、今にして思えば大正解だったと、ソーナの両親――特に父親は思っていた。

 

 

「ソーナとはまだ寝てないのか?」

 

「……………は? 何ですか急に」

 

「普通の口調で良い。で、ソーナとはまだ寝てないのか? そろそろお互いにそういう事を意識する年齢だろう?」

 

「いやだからさ、何がどうしてそんな話に? おっさんボケた?」

 

 

 貴族ボンボンとの件も文字通り瞬殺にて終わってから数日後。

 ソーナの父とたまたま二人きりで話をする事になった一誠は、突然そんな話を切り出されてポカンとする。

 

 というのも、何時も茶化す様に言ってくるのとは違い、何処と無く切実さを感じる顔で言われたのだ。

 

 

「あの子に連れてこられ、我が家に迎えた時からずっとあの子はお前しか見てない。

というかその……ちょっと執着が半端無い」

 

「あー……まあ、あの人変態だからね」

 

 

 仮にもソーナの親の前なのに堂々と娘を変態呼ばわりする一誠だが、ソーナの父親はそんな一誠の言い方に対して寧ろ『そうだな』と同意する様な顔だった。

 

 

「わかってる、昔の嫁そっくりだから私にはお前の気持ちが嫌でもわかる。

だが考えてみろ一誠よ。他に居ないだろ? ここまで自分だけしか見ない女性というのは」

 

「いや、まあ、ある意味他にはこの世にいないけど……」

 

「純血の血が途絶えるのを懸念してるのなら気にする必要は無い。

セラフォルーもそうだが、娘二人には自由な恋愛をして欲しいのだ……今回の婚約騒動の事もあって余計に」

 

 

 そう尤もらしい事を言う父だが、実際セラフォルーもソーナも並の男じゃまず釣り合わないのと、男の方が速攻で逃げるだろうと思ってるが故に、そのカテゴリーから外れてる一誠と今はこの場に居らず、セラフォルーに連れてかれた元士郎には期待をしている様だ。

 

 

「とにかく、その……気が進まないなら強要はしないが、もう少しソーナの事を見て上げて欲しいのだ」

 

「………」

 

 

 元士郎の場合はほっといても子供をポンポン作りそうな関係にセラフォルーとなってるのでまだ大丈夫だと思えるが、一誠とソーナの場合は距離感は近いがそれ以上が無いので、父としても切実にいつの間にか自分の嫁さんの若いころばりに拗らせた娘との仲を深めて欲しいと思ってこそだった。

 

 だがしかし問題がある。一誠は女にだらしない様に見えて正攻法で攻める手段に出た事がじつは無いのだ。

 というかそもそも、ソーナに対して一誠の抱く感情は『同類意識』と『友達』であり、恋愛感情についてはまともに考えたことすらも無かった。

 

 されど自分を普通に迎え入れてくれたシトリーには恩はあるし、別にソーナは嫌いじゃないというのも本音なので、一誠は地味に困りつつも『善処はするけど……』と答えてしまった。

 

 そしてその答えを聞いた瞬間のシトリー卿の弾けるような歓喜っぷりを見てますます断りづらくなったのは云うまでも無かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「お父様と何を話してたの?」

 

「いや別に。よくやったぞーと誉められただけ」

 

 

 普通に約束してしまったまんま人間界へと戻った一誠は、学園に通う間借りてる部屋に、流れで同棲してるソーナと共に帰ると、取り敢えずリビングで寛いでいた。

 

 そして父との約束を考えつつ、お茶を飲むソーナを不自然な程にガン見し始めるせいで怪しまれるのはすぐだった。

 

 

「……………」

 

「……。お父様に何か言われたでしょう?」

 

 

 じーっ、と本当にじーっと、見てくる一誠にちょっとくすぐったい気分になりつつソーナは察した様に問い質す。

 何せ向かい合ってソファーに座ってる間、自分の顔をまじまじと眺めてくるのだ。今までじーっと見られるのは何度かあったけど、それにしても今の一誠は何かがおかしいとソーナは付き合いが文字通り前世から故に敏感に察したのだ。

 

 

「………」

 

「あの、そんなに見られると身体が熱くなるんだけど」

 

 

 が、ソーナもソーナで残念な子なので、段々一誠に見られてるというだけで発情したかの様に頬を染める。

 ストーカーレベルで執着しているのは伊達じゃない。

 

 

「ねぇ、ひんぬー会長」

 

「なぁに?」

 

 

 ひんぬー会長と呼ばれるのは今でもちょっと嫌だけど、一誠だけが呼ぶ自分の愛称みたいなものだと思えば寧ろ嬉しいとすら真面目に思ってるソーナが、ちょっと惚けた声で返事をする。

 

 先に言うと、ソーナは一誠を攻める事には慣れている。ていうか、攻めて攻めて攻めまくるせいで引かれても攻める姿勢を全く崩そうとしない。

 その攻め方も婚期を逃した三十路の女レベルなのだから笑えないのだが……。

 

 

「いや、違う……なぁソーナ」

 

「な~に一誠――――――――――へ?」

 

 

 逆に対しての免疫は実の所殆ど皆無に等しい。

 そう、それこそ急に真面目なトーンで何時もの呼び方をやめて自分の名前を言われるだけで、ソーナはそれまでの惚けた顔が止まり、鳩が豆鉄砲を食らった顔になる程度に。

 

 

「え、あ、あの一誠? どうしたの? お父様に何か余計な事言われたの?」

 

 

 不意打ちよろしくに名前を呼ばれて一気にテンパるソーナ。

 心臓も恋を知ったばかりの少女の様に激しく鼓動しており、じーっと見つめてくる一誠から思わず目を逸らしてしまう。

 

 実の所一誠も内心はソーナと改めて名前で呼んだ瞬間全身がゾワゾワしてたりするし、ぶっちゃけるとこの先の言葉を言うのもかなり迷っていた。

 

 しかしそういった心境を顔には出さず、かつてオーフィスに食い下がってまで自分の友達であってくれた目の前の最早切れない縁を思い返し、踏ん切りでも付いたのか……。

 

 

「ちょっと試しに一緒に寝ようぜ」

 

 

 テンパるソーナに素早く近寄り、さっと姫様抱っこをすると同時に、ソーナにしてみれば逆に冗談に聞こえる一言を言い切った。

 

 

 

「ね、寝るの? 一緒に? あ、でもベッドは別よね?」

 

「いや違うけど」

 

「うぇ!?」

 

 

 何やかんやで普段は別々だった就寝を一緒にと、一誠の寝室へと姫様抱っこで連行されたソーナは、普段一誠が使うベッドの上で完全にテンパりながら、部屋が一緒なだけだと確認すると、返ってきた言葉まさかすぎるものだった。

 

 

「一緒!? ひとつのベッドに!?」

 

「うん」

 

 

 何度も言うが、ソーナは攻めるのは慣れすぎても攻められるのには免疫が無い。

 ましてや求め続けてる一誠からこんな事を言われる日なんてまだ相当先だと思ってただけに、寝間着にさっさと着替える姿に興奮するよりも前にテンパってしまう。

 

 

「な、なにか変なものでも食べたの!? そ、それとも私が要らなくなったの!?」

 

「違うけど……なにテンパってんだよアンタ。普段引くほど変態な癖に」

 

「い、いやだって一誠から言われるなんてまだ先だと思ってたからぁ……!」

 

 

 変態呼ばわりされてても怒らない辺りが流石かもしれないが、それ以上に攻められてる状況にただひたすらパニックになるソーナだったが、一誠も内心相当テンパってたりする。

 何せ、以前ゴスロリ衣装を着せた時のしおらしい態度の時以上に変な緊張感を覚えていたのだから。

 

 しかしそんな面を見せたら負けた気分になると思ってたので、必死こいて平静を装っていた一誠は、そのままテンパるソーナが居るベッドにギシリというスプリング音と共に乗ると……。

 

 

「ほら、眼鏡外しなよ」

 

「ぁ……」

 

 

 テンパるソーナの肩に軽く触れ、掛けていた眼鏡を外してあげた。

 

 

「あ、あの……そ、その前にシャワー浴びたいのだけど。

そ、その……ちょっと汗かいちゃって……」

 

 

 眼鏡をはずされ、いよいよこれは夢じゃないと自覚をしたソーナは、困惑はしたけど訪れたこの時に頬を染めながらシャワーを浴びたいと訴えた。

 多分父になにか言われたのだろうけど、それで一誠がその気になれたのなら自分としてはもう滅茶苦茶にして貰いたい訳で。

 

 

「いいよ寝るだけだし」

 

「はぁ!? 寝るだけ!? 男女が一つのベッドの上なのに眠るだけ!? そこに来てそんなボケ噛ますの!?」

 

 

 文字通りただ普通に寝るだけと言い出したばか野郎にソーナは割りとマジでキレるのも無理は無いのかもしれない。

 

 

「それは無いでしょうが!? ここにきてそれはありえないでしょ――きゃ!?」

 

「うるさいな、俺は言われた通りにしてるだけなんだっつーの」

 

「そ、そんな……お父様は言葉の足らないせいでこんな……。

も、もう良いわよ……取り敢えず普通にお風呂に……」

 

「別に変な臭いとかしねーよ、普通にアンタの匂いだからもう寝ようぜ」

「ちょ、ちょっと、いっせ……ぇ……!」

 

 

 貧乳とバカにしてるその胸に、顔を埋めてすんすんする一誠の頭をポカポカ叩いて抗議するソーナは、さっきよりも心臓がバクバクと激しく鼓動し、全身が発火してしまうのでは無いかという程に熱くなる。

 

 アンタの匂いしかしないなんてシレッと言われてまたしてもドキッとしてしまったらしい。

 

 

「うぅ……一誠の癖に……」

 

「いや、実の所俺も自分でやらかしてる事ぐらいは自覚してるんですけどね?」

 

「不意打ちは卑怯よ……。何時もは相手にもしないくせに」

 

「だから俺だってそれなりに緊張してるんですってば。証拠に全然寝付けないし」

 

 

 きゅーっとオーフィスに昔していた様に抱きながら顔を見せないようにソーナの胸に顔を隠す一誠。

 

 やがてソーナも観念したのか、こうされてる事自体は寧ろ喜ばしいと考え、そのまま一誠の頭を撫で撫でする。

 

 

「オーフィスとは毎日こうしてたの?」

 

「毎日じゃないけど……してはもらってたかな……」

 

「そう……私はオーフィスの代わりかしら?」

 

「いや、そうは思ってないっすよ。それは流石にアンタに失礼だしね」

 

「ふーん?」

 

 

 かつて一誠の傍らに常に居たオーフィスを引き合いに出し、内心『少し意地悪だったかしら』と反省しつつ表情が見えない一誠の頭を撫でる。

 考えてみたら一誠という男は割りと甘えてくるタイプだった。

 

 

「それよりその……あんまりくんくんされると流石に恥ずかしいのだけど……」

 

「だから別に変な臭いはしないって。慣れたアンタの匂いだよ」

 

「普通に 生殺しよこれ? ほら、お腹が凄い熱くなってるのわかる―――――って、あ……」

 

「……………………。いや、これは俺の腰骨の角だから、違うから」

 

「その誤魔化しは無理があるわよ? へー? ふーん?」

 

「…………んだよ?」

 

「別に何でも? ふふ……もう、下着が大変な事になっちゃうじゃない」

 

「………。だから嫌だったんだよ……あーぁ、不覚――んむっ!?」

 

「ん……ぷは……あは、あははは♪ 私これでやっとオーフィスに追い付けた」

 

 

 簡単に言ってしまえば、他人から見れば『え、そうじゃないの!?』と驚かれるレベルに距離が二人は近いのだ。

 

 

 

 

その3

セラフォルーさんと元ちゃん。

 

 

 本日の元士郎はセラフォルーと一緒だった。

 というのも、遊びに来たセラフォルーが元士郎にくっついて離れなかったので、そのままの流れで行動を共にする事になったのだ。

 

 

「ん? 御劔? って、リアスちゃんの所に新しく入った兵士の子でしょう? うん、元ちゃん達の所に来る前に偶然会ったよ?」

 

「え!? …………………な、何か言われました?」

 

 

 元士郎が転生悪魔である事は既に両親は知っており、転生してからずっと来ては仲良くしてくれるセラフォルーの事も殆ど認知同然に家に上げてる。

 ので、今は元士郎宅の自室にセラフォルーは駒王学園の制服では無く、彼の部屋のクローゼットに置いてある自分専用の部屋着に着替えて、ベッドの上を占拠しており、話の内容は御劔の件だった。

 

 

「特に何も……張り切って自己紹介とかされたくらい?」

 

「…………」

 

「え、まさか元ちゃんったら、私がその子を好きになるとでも?」

 

「いえ、そうは思ってないですけど、一誠の奴が昔体験した事が起きたら嫌だなぁ……って」

 

「あ、その話私も聞いた事あるけど、当時のオーフィスちゃんだって突っぱねたんでしょ? 大丈夫大丈夫、私もそんな事に絶対にならないから☆」

 

「はぁ……」

 

 

 ふふんと妙に得意顔になるセラフォルーに、元士郎はそれでも若干不安だという態度を隠せてない様子。

 するとそれを察したセラフォルーは、ベッドの上に座ってた体勢からそのまま横になると、両手を広げで笑顔を見せながら言う。

 

 

「もー、元ちゃんは心配性だなー☆ 一応私の方がお姉さんなんだから信用してよね? でも、それだけ私が他の人に取られたく無いって思ってくれてるのは嬉しいな。

だからほら、そんな心配事とかも忘れさせてあげるから……おいで?」

 

 

 ここでカミングアウトなのだが、実の所この二人の距離感は相当に進んでる。

 それこそ一誠達よりも尚先に進んでたりする。

 

 具体的には言えないが、ゆったりとした白いネグリジェの姿でおいでおいでとセラフォルーが言えば、すすすと乗っかる程度には進んでおり、今も元士郎は照れながらだけどセラフォルーが横になるベッドに入り込む。

 

 

「あ、元ちゃんの心臓が凄くドキドキしてる」

 

「そりゃセラさんとこうしてるし……緊張もしますって」

 

「そっか、えへへ、でも実は私もドキドキしてるんだよ?」

 

 

 そう元士郎と向かい合う様に横になってるセラフォルーが無邪気に笑いながらその手を取り、自分の胸に当てる。

 

 

「ね?」

 

「は、はぁ……あのでも……めっちゃ胸が当たっちゃってるんですけど………」

 

 

 確かに伝わる胸の鼓動と、柔らかい感触に尚緊張する元士郎にセラフォルーはそのまま静かに目を閉じながら何かを待っているような仕草を見せた。

 

 

「ん……元ちゃん、ちょうだい?」

 

 

 それは簡単に言えば合図。

 目を閉じ、徐々に顔を近づけてくるというのはそういう意味である事を元士郎はよく知ってるし、断る理由も一つだってない。

 

 

「ん……ぅ……」

 

 

 だから元士郎は、目を閉じたセラフォルーと唇を重ねる。

 

 

「えへへ……元ちゃんのちゅー好きぃ☆」

 

「っ……」

 

「あっ……♪」

 

 

 ちょんちょんと最初は軽い感じだったのがやがて重ねる時間が増え、少し蕩けた表情になる彼女を見たその瞬間に何かが元士郎の中でぶった切られた瞬間、セラフォルーは嬉しそうな声をあげながら目の前の大好きな男の子に身を委ねる。

 

 

「ねぇ、元ちゃん……赤ちゃん沢山欲しいな?」

 

 

 そう……ぶっちゃけのらりくらりと逃げて来た一誠よりそこら辺は普通に勝ってる男……それが元士郎だった。

 

 ちなみにこの後どうなったかは二人のみぞ知る。

 

 

終わり

  




補足

かつてオーフィスたんがしていた事をやっと自分が求められたということで、ソーナたんはえげつなくパワーアップしましたとさ。


 勿論スキルの進化という意味でもね。


その2

無意識にですけど、ソーナさんの婚約話の破棄の件で一番張り切ってたのが一誠だったり。

匙きゅんとセラフォルーさんもシトリー家の皆さんもそれを察してたけど、言ったら絶対ヘソを曲げるので生温く見守ってたとさ。

ちなみにどんだけ張り切ってたかというと、話の中にあった通り、某伝説の超野菜人みたいに手からポーヒーって音がするギガンテイックでミーティアな魔力の塊をぶっぱなしてゲーム会場ごとをデデーンしたとか。

てか、然り気無く匙きゅんもデデーンクラスの奥義ぶっぱなして空間が消滅しました。

匙きゅんの奥義についてはググれば多分出る。



その3

どこかのIFみたいにレーティングゲームがプレイ可能になる大家族化するかは誰にもわからないし、今回の話の後普通にお寝んねしただけかはご想像にお任せします。

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