色々なIF集   作:超人類DX

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続き。本編よりも相当イカれちゃってます


オーフィスといっしょ その2

 人間らしい生活を送る為に義務教育を終え、世間の常識に合わせて高校卒業の資格を取る為にオーフィスと一緒に高校を選んで通ってみたけど―――

 

 

「待ちなさい変態共!」

 

「何時まで覗きをすれば良いのよ!!」

 

「大人しく捕まれ!!」

 

 

 

「フハハハ!! 捕まって溜まるかってんだ!」

 

「「ヒャッハー!!」」

 

 

 わざわざ人格を作って、さも騒がしくて目立つ生徒を演じてるけど……駄目だ何も感じない。

 恐ろしくつまらない。今やってる行為も偶々話す機会が多かった二人のクラスメートに合わせてやってるけど、これの何が楽しいかが全く解らない……。

 

 

「良いもんが撮れたぜイッセー!」

 

「よくやった松田! 後は女子を撒いて現像すりゃあウハウハだぜ!」

 

「絶対に捕まるか!!」

 

 

 クラスメートの一人が更衣室で着替えてた女の姿を覗こうと誘ってきて、一応作った性格に合わせて乗って女の着替えてる姿をもう一人のクラスメートと三人でアホ顔晒して除いたけど、アレの何に楽しさがあるのか、どうでも良い女が着替えてるから何だというのか……。

 

 一応こうしてハシャイでるけど、やはり俺には理解ができない……と、表向きはどうでも良い女から逃げてる己を演じて走ってると、何かが俺の足に引っ掛かり、そのまま前のめりに床へとスライディングした。

 

 

「いてぇ!?」

 

「ぐあ!?」

 

「な、何かが足を……」

 

 

 クラスメートの松田と元浜も転んだらしく、三人仲良く床にひっくり返ってしまった。

 単なる廊下なのに何を転ぶ事があるのか……。

 

 それは俺達の足に引っ掛かった――というより確実にわざと引っかけて来たのが居たからだ。

 

 

「あ、お前は神代!?」

 

「なにしやがる!!」

 

「何って、廊下を走ってるからだろ? それにどうせまた覗きか何かをして追い掛けられたんだろう?」

 

 

 白い髪、赤い目をした男。

 いま元浜が神代と呼んだ男が俺達の足を引っ掛けて転ばしたのだ。

 二人が怒るのに合わせて俺も怒ってるフリをしてると、追い掛けてきた女達に追い付かれてしまった。

 

 

「捕まえたわよ!」

 

「カメラは渡して貰うわ!」

 

「ありがとう神代くん、コイツ等を捕まえてくれて」

 

「気にするな」

 

 

 松田の手にあったカメラが没収され棒だか何だかでボコボコに殴られる横で、女の一人が神代―――なんだっけ? そんな苗字の男にお礼を言ってるのが見え、その時一瞬だけ俺と目が合った。

 

 

「…………………」

 

 

 その時ソイツが俺に向けた目はある意味昔を思い出させる。

 『お前が気にくわない』からなんて理由で父さんと母さんを巻き込んで殺しに来た男が向けた目に似ていた。

 恨みを買った覚えの無い嫌悪と憎悪の目……。

 

 

「これで少しは懲りたかしら?」

 

「いえ無理ね、もう何十回とやってるのよ」

 

「この変態共め」

 

「「「ぐぇぇ……」」」

 

 

 ……。俺って何で関わりの無い奴から恨まれるんだろ――なんて今更考えるつもりは無いし、恨むなら勝手に恨めば良い。

 ただ……。

 

 

「くそ、神代の野郎……」

 

「何時も俺たちを見下しやがって……!」

 

「………………くくっ」

 

「? どうしたイッセー?」

 

「いや……くっくっくっ」

 

「お、おいおい、さっき女子達にしばかれた時に頭やられたのか?」

 

「クックックックッ……! 大丈夫大丈夫、昨日見たお笑い番組の事思い出しただけ……クククッ!」

 

 

 何かするというのなら……俺は父さんと母さんを殺した糞野郎を殺した時の様にしてやる。

 ましてや、その時みたいにオーフィスを俺から引き剥がそうとするなら――考えうる苦しみを与えてから殺してやる。

 

 だから精々嫌いたければ嫌えや――何処かの誰かさん?

 

 

 

 

 一誠という少年の心は世間への関心というものが削除されている。

 この茶番めいた学園でのやり取りも全ては『自分は只のちょっとお騒がせな男子生徒です』というものをアピールする為に作り上げたものであり、実際の彼はどうしようも無く壊れていた。

 

 

「………」

 

 

 学園の生徒を賑わす二大お姉様なる存在やそれに追従する存在を前にしても取り敢えず周りに合わせるだけで、彼女達の何が良いのかなんてわからない。

 

 

「会長、今日の分です」

 

「ありがとう」

 

「………………………」

 

 

 偶々すれ違った生徒会の横を素知らぬ顔で横切った一誠の頭の中は家で待っててくれてる少女の姿へと自分の為に作り替えた龍の事だけ。

 すれ違い様に一瞬眼鏡を掛けた生徒会長がイッセーを見たが、本人はオーフィスの事しか考えてないので気づかない。

 

 

「? どうかしました会長? ……って、アイツ確か変態三人組の一人っすよ。珍しく一人だけどまた良からぬ事でも考えてそうっすね」

 

「……」

 

 

 それが分岐点の一つとなっていた事について互いに気付く訳もない。

 今日まで互いに一度たりとも関わった事すら無い、ただの他人同士なのだから気付く筈もない。

 

 

「何でも無いわ、行きましょう」

 

 

 それはきっと幸福なのかもしれない。

 要らぬ進化をせずに済むという意味で。

 トボトボとオーフィスの為に今日はどんな晩御飯を作ろうかと真剣に考えてる少年の背中を見た生徒会長の支取蒼那はそれ以降彼を見ることは無く、そのまま何も無かったかの様に歩き出した。

 

 

「今日はオムライスにしよう。うんそうしよう」

 

 

 永続進化という道を見出だす事無く……。

 

 

 

 そんな分岐点があった事など知るわけも無いまま放課後となり、元浜と松田の誘いをそれとなく断って学園を後にした一誠は、走りながら自宅へと帰る。

 その際学園で人気者の部活集団がキャーキャー言われてる所の真ん前をどうでも良く走り抜けて顰蹙を一部買われたりもしたけど、本人にとって美女だの美少女だのの集団なぞどうでも良く、走って自宅へと戻った。

 

 待っている龍に会いたいから。

 

 

「あ……あの……」

 

「……………」

 

 

 シスター服を着た金髪の外国人が困った様に、されど意を決した様に話しかけようとしたのも聞こえない。

 

 

「神代くん、私の為に死んで?」

 

「やはりな」

 

「……………」

 

 

 足を引っ掛けて転ばせてきた男が見たこと無い女に死ねと言われ、それに対して無駄にドヤッてるやり取りがある公園の真ん前を無関心に突き抜け……。

 

 

「ほう、人間が迷い混むとはな……くく、そのまま食らって――」

 

「退け、虫けら」

 

 

 どう贔屓目に見ても人間じゃない生物の根城を近道だからと横切ったついでに、イキッた台詞を言わせる前に一瞬でバラバラにし……。

 

 

「オーフィス!!」

 

 

 一誠は自分が素になれる家へと辿り着く。

 そしていの一番に部屋のドアを開け、不安そうな声と表情でその名を呼んだ。

 

 

「? おかえりイッセー、どうした?」

 

「………!」

 

 

 お世辞にも良いとは思えないオンボロアパート部屋。

 しかもこの部屋は過去に10人以上の借り主が自殺したと言われる曰く付きのものな為、異様に家賃が安い。

 そんな部屋の居間でベッドをソファ代わりに足をパタパタさせながら小さいテレビを見ていたオーフィスがキョトンとした顔をする。

 

 その姿を見た瞬間イッセーは学園での仮面を外し、心底安堵した表情でオーフィスに駆け寄り、その身体を抱く。

 

 

「はぁ……ただいまオーフィス……」

 

 

 考えたくも無いし、あり得ないと頭では思っているのだが、もし帰って来てオーフィスが居なくなっていたらとネガティブに考えてしまう困った少年になってしまったイッセーが安堵感丸出しで抱き締めてくるのをオーフィスは小柄ながらも大きく受け止め、胸に顔を埋めるその頭を優しく撫でる。

 

 

「嫌なことでもあった?」

 

「別に無い。昔殺した奴と同じ目をした奴が居たぐらい」

 

「そう」

 

 

 皮肉な事に互いの『無限』と共鳴し、イッセーの傍に居るようになってから、イッセーにのみ人間的な感情――強いていうなら母性を持つ様になったオーフィスに、昼間あった事を話しながらトクントクンと鼓動する心音を聞いて安心していく。

 

 

「まだそういうのがイッセーを虐めるんだ。

それなら我が何とかしてあげる」

 

「いや良い……オーフィスが行ってソイツに変な事されたら自分で自分がどうなるかわからない」

 

「我がそんなのに触れさせると思う?」

 

「触れさせるのは論外だけど、お前をソイツに見せたくない」

 

 

 抱く腕を少し強めながらイッセーはオーフィスの胸に顔埋めたまま話す。

 親を失った直後に出会い、ずっと傍に居てくれた唯一の存在なだけに彼のオーフィスに対する信頼と執着心は絶大だ。

 

 前にそういった輩がオーフィスの正体を看破し、連れ去ろうとした事があったが、その時のイッセーは理性の無い獣の様にその者達を惨殺した程にオーフィスしか無いのだ。

 

 

「我もひとつ聞いて良い? イッセーから知らない雌の匂いがする」

 

「? あぁ、学校ってのは女も居るからだと思う。けど接触なんてしてないよ――――あ、でも今日は演じる為に殴られたから多分それのせいだよ。うん、それ以上はなにもない」

 

「ホント?」

 

「うん本当に本当」

 

「なら良い。じゃあその雌達の臭いを取ってきて? じゃないとダメ」

 

「ん、わかった」

 

 

 しかしオーフィスもオーフィスで、永年求めた静寂よりと安心できる同類の少年に対して、それまで無かった執着心持っており、学校に行く度に多少付いてしまう知らない女の臭いに敏感になってしまっており、風呂に入って落とせとまで言う。

 それに対して本人は普通に応じるので問題は無いのだが、端から見たら多分引かれるだろう。

 

 

「入ったよオーフィス」

 

「すんすん……ん、雌の匂いはしない」

 

「そりゃ良かったよ、こんなんで嫌われたら嫌だし」

 

 

 風呂から上がり、匂いが無くなった事に満足そうにするオーフィスにホッとする一誠。

 

 

「飯は?」

 

「後でで良い。それより我はイッセーが欲しい……今日も帰ってくるまで我慢してた」

 

 そして無くなったと同時にオーフィスはもじもじと身体を揺らして頬を上気させると、一誠の手を引っ張って一緒に使ってるベッドへと寝かせる。

 

 

「イッセーが成熟してからずっとイッセーが欲しい……我の身体……熱い……」

 

 

 と蕩けた様な声で身体の症状を訴えて覆い被さる一誠の首に腕を回す。

 

 

「ポカポカしよ?」

 

 

 その言葉を引き金に一誠はギュッと抱き締めた。

 

 

「オーフィス……!」

「あは♪ そんなところペロペロするとくすぐったい♪」

 

 

 何者だろうと入り込むことは許さない二人だけの時間……。

 

 

 

終わり

 




補足

人間なのに人間らしさが壊れたのとは裏腹に、オーフィスたんは人間らしさを覚え、一誠くんにのみ母性愛を覚醒させた………。

つまり果てしなく無敵な龍神ちゃんに……。


その2
原作一誠くんっぽい性格に振る舞ってるけど、中身は完全にイカれてます。

例えるならオーフィスたん以外が死のうが滅ぼうが、お菓子食いながら眺めてるだけとかそんな感じ。


その3
なのでもしオーフィスたんにちょっかい掛ける様なら――


その4
本編にあった繋がりは消滅してます。

代わりにオーフィスたんとのイチャイチャが凄まじい。

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