色々なIF集   作:超人類DX

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チラ裏で番外編書いてたら再燃した。

そう……原点的な意味で。


人外イッセーとシトリーさん
表裏一体の二人


 別に転生者に奪われもしなければ、無限の龍神に見初められた訳でもないし、両親に捨てられた話でもない。

 

 敢えて言うなら数多の世界における原点(マイナス)のもしものお話……。

 

 

 

 

 

 劇的といえば多分きっと劇的なんだろう。

 自分が()()()ではないと、されどそれでも愛してくれる両親に心配かけまいと空元気をぶちまけ、徐々に孤立を感じた子供時代に出会った衝撃的存在。

 姿形は違えど、まるで鏡を見るような錯覚になる程自分と()()ものを持った人――いや、悪魔の女の子。

 

 多分きっとその出会いがあったからこそ自分を捨てられずにここまで成長――いや、進化できた。

 小さいときから胸はあんまり成長してないあの人に出会えたから……。

 

 

 

 目が覚める衝撃とはまさにあの時の事なのかもしれない。

 自分が他の人と――それこそ姉や家族達とすら違って()()()じゃないのだと、家族とすら溝がある様に感じ始めた子供時代に、実家を飛びだして初めて訪れた人間界で出会った私と()()男の子。

 

 まるで水面に映る自分を見ているかの様な錯覚すら覚える、種族が違う同類。

 きっとこの出会いが無ければ私は今の自分を消し去っていたし、きっと成長――いや、進化もしなかったた思う。

 

 私の胸を見て貧乳貧乳とからかうあの人に出会えなかったら、きっと私は自分を捨てていたと思う。

 …………ていうか私貧乳じゃないもん。

 

 

 

 

 支取蒼那は悪魔である。

 そしてこの名前は偽名であり、本名はソーナ・シトリーという実家がかなり大きいお嬢様な女の子だ。

 そんなお嬢様が何故人に混じって学校に通ってるのかというと、単に勉強目的であるのだがもう1つあった。

 

 

「えー、まず俺は今日の晩ご飯がハンバーグだと朝お母さんに言われてルンルン気分で帰宅してました。

はい、すると何ということでしょう、いきなしコノ変なのが出てきたかと思えば俺に告白したじゃあありませんか! 勿論俺はヒャッハーな気分のまま二つ返事で受けようと思いました……が!! 困った事にコレはどうやら見ての通り人間じゃあございませんでした! なのでやっぱり断った結果いきなし襲ってきたので、取り敢えず死なない程度に痛め付けて持ってきた所なんですよねー?」

 

 

 駒王学園生徒会室。

 読んで字の通り、生徒会役員が使用する場所である訳だが、そんな生徒会室にヘラヘラ笑ってペラペラ喋る少年が役員でも無いのに居る。

 足元に瀕死の女を添えて。

 

 

「ですので取り敢えずひんぬー会長に後処理頼みたいんですけど」

 

「突然返り血まみれで現れたかと思ったら、とんだご挨拶ね。あと貧乳言うな」

 

 

 半殺しにされた女堕天使(レイナーレ)が茶髪の少年に蹴られる度に呻き声をあげる。

 その光景に会長席に座る黒髪に眼鏡というオプションを付けた胸元が周囲の役員達と比べると寂しい少女は少年の足元に転がる女の安否よりも貧乳と言われてムッとする。

 こんな光景なので役員達もハラハラしてるのだが、少年と少女はピクピクと死にかけてる女堕天使を放置してマイペースに話を続けていた。

 

 

「事情はわかったし、この女堕天使はリアス辺りに押し付けるわ。

そんな事より私を貧乳と呼ぶのはやめて、ちゃんとあるし」

 

「ある……ねぇ?」

 

 

 女堕天使の事よりも貧乳呼ばわりを訂正させたいのか、あると言い張る生徒会長・支取蒼那改めソーナ・シトリーに対して茶髪の少年こと兵藤一誠はソーナ……そしてその隣に立って何とも言えない顔をしてる副会長の胸を交互に見ながら……。

 

 

「ヘッ……」

 

 

 鼻で嗤った。

 それもう、清々しいまでの嘲笑だった。

 

 

「なに今の小馬鹿にしたような態度!?

あるったらある! 知らない訳じゃないでしょう!?」

 

「知った上で言ってるんですよセンパイ? いやぁ悲しいね……ホント、何かもうカワイソーになってきたぜ」

 

 

 

 死にかけてる女堕天使は良いのだろうか……と役員兼眷属達が口を挟めない中、ひたすらに自分は貧乳じゃないと、一誠の前だと妙にポンコツになるソーナはちょっと半泣きになって主張し続けるものの、これまで何度もこのネタで言い争って一誠が認めた試しは無い。

 

「おっと、そろそろ晩ご飯の時間だ。じゃあセンパイ、そこのナマモノの処理お願いしますね。あでゆー」

 

「ま、待ちなさい! まだ私が貧乳じゃないということを認めてない――待ってってば!!」

 

 

 結局血まみれの女堕天使を押し付け、何時も通り生徒会長をおちょくるだけおちょくった一誠はケタケタとソーナの制止を完全に無視して帰ってしまった。

 

 

「……」

 

「い、何時も通りマイペースですね彼……」

 

「あ、あのー会長? この堕天使はどうしたら……」

 

「………え? あぁ、リアスの所の部室の前にメモでも添えて投げ捨てて来てちょうだい」

 

「え!? そ、そんな事しちゃって良いのでしょうか……」

 

「構わないわ、そういう仕事は向こうの方が上手くやれるし、私はほら、冥界だと結構無意味に嫌われてるから」

 

 

 そんな状態で残された者にしてみれば、主の怒りをどう鎮めるのかと頭を悩ませる筈だが、一誠が居なくなったとたん、さっきまでのやり取りが嘘の様に冷静に未だ床の上で死に掛けてる女堕天使を、もう一人の悪魔集団側に押し付けろと命じると、そのまま椅子に座ってぼんやりと天井を見つめ始める。

 

 眷属達は大なり小なりこのソーナ・シトリーという王に忠誠を誓ってるのだが、こういう感情の浮き沈みの激しさというか、何を考えてるのかが未だに読めない。

 それこそ付き合いが割りと長い女王ですら、ソーナの本質というべきものが解らない。

 そう……何時から知り合ったのか全く判らないあの少年以外は……。

 

 

 

 

 

 兵藤一誠はちょっと変人な両親に愛されながら順風満帆な人生を送ってる……と自分で思っている。

 内に宿った力と、自分という精神(チカラ)を隠すこと無く伸ばし、人でありながら立派に()()()()となっても両親は変わらないし、何よりそれを伸ばせるだけの安心があった。

 

 

「あの堕天使って低級だろ? あんまりモノにはならなかったな?」

 

『運が悪かったんだよ、あの女堕天使は』

 

 

 強すぎる自我、何物にも染まらない精神を持つ一誠はあまりにも強すぎた。

 内に宿る龍の力と己の精神を混ぜ合わせた力はまさに理不尽な力を生み出す。

 この世に蔓延る様々な力あるものを捻り潰せる程に。

 

 

「なぁなぁドライグ、100倍ビッグバン・ドラゴン波なんてどうよ?」

『あぁ、お前がガキの頃見ていたテレビの登場人物の技だったか? 良いとは思うが、下手したら星がぶっ飛ぶだろうよ』

 

「うーん、ならばお蔵入りかぁ……」

 

 それでも尚少年は強さを磨く事をやめない――いや、止められない。

 周囲から孤立してしまう程に、中毒者の様に進化し続ける事が止められない。

 

 それが一誠の精神の源であり、アイデンティティー。

 

 

『おい来たぞ?』

 

「んぉ? みたいだな」

 

 

 他の存在とは違うまともじゃない理由。

 異常なまでに力を求め、異常なまでの進化を続ける――無限に、際限無く、無神臓に。

 

 

「あーコッチっす~」

 

 

 その精神を理解してくれるのは、変人というか朗らかな一誠の両親。

 そして高架下の土手に今居る一誠が数十メートル先を見ながら笑って手を振る、此方に近づく存在……。

 

 

「とんだサプライズのせいで時間が掛かっちゃったわ」

 

 

 先程、貧乳貧乳と小馬鹿にしていた相手――ソーナだけだった。

 地面にめり込む程の重さがあるダンベルを簡単に放り捨て、やって来た『同類』にさっきとは違ってかなり嬉しそうに出迎える一誠に、ソーナもまたさっき貧乳とバカにされていたのを忘れたとばかりに笑いながら合流した。

 

 

「あの堕天使の事っすか? 正直手応え無さすぎて目の前を飛ぶ蚊を叩いた感覚しかなかったんすけど、アレからどうしたんすか?」

 

「ええ、怠いから適当な理由付けてリアスに押し付けたわ。

まあ、一応あの子がここらの領地を任されてるからしょうがないわね、押し付けた私は悪くないわ」

 

「くくっ、良いねその言い方、たまんないっすよセンパイ?」

 

 

 生徒会室でのやり取りとはどこかが違う二人の雰囲気。

 貧乳は趣味じゃないと言わんばかりの態度だったとは思えないくらい、ソーナの言葉に対して惚れ惚れするような顔を一誠はしていた。

 

 

「ただ、いくら会いに来る理由を付けるからって、私の事を貧乳呼ばわりするのはちょっと傷つくわ」

 

「あー……まあ、あんな感じの方が自然と絡めそうだと思って。

あ! ちなみにですけど俺は決して――」

 

「ふふ、わかってますよ。半分は本心で半分は嘘だって。そもそも周りが大きすぎるのが悪いのよ、絶対年取ったら垂れるわ」

 

 

 エキセントリックな姉や周囲に比べてちょっとコンプレックスになってる慎ましき自分の胸を抑えながら、ソーナは周囲の大きな胸の同性達を妬む。

 

 

「揉んで貰えば大きくなると信じてたのに迷信だったし、ミルクを飲んでも変わらないし……」

 

「ウチの母さんとかにレクチャーされても変わりませんでしたもんねー……主に中学くらいの年齢から」

 

 

 自分が貧乳な訳ではなくて周りがホルスタインみたいに無駄にデカいだけだと、これまで行っては無駄に終わった豊胸活動を思い返してソーナに同情する一誠。

 

 しかしソーナは小さいのは気にしてるものの、実のところ悲観はしてない。

 いや、してるのだろうが、それでも構わないと思える理由があった。

 それがこの目の前の同類こと一誠の存在だ……。

 

 

「そろそろまた一つ壁を越えられそうね?」

 

「やっぱセンパイには隠せないかー ええ、そっすね、もう暫くしたら壁を越えられます。

まあ、センパイもだけど」

 

「ええ、私とアナタのコレは表裏一体ですもの」

 

 

  ふふんと笑う一誠につられてソーナも微笑む。

 未だ他には見ない同類同士は、出会って衝撃を受けてから自然と惹かれあった。

 同じモノを抱える者同士の安心感、何より誰よりも深く解り合えるという深き繋がり。

 

 ソーナは内緒で一誠とその後も会い続け、一誠も会いに来るソーナを喜んで迎え入れ、互いにその精神を研ぎ澄ませ合った。

 

 

「えーっと、すいませんセンパイ、色々と失礼な事言っちゃって」

 

「事情も事情だから構わないわ―――と、言いたいけど、ちょっとは傷ついたわ。

ふふ、だから一誠くんからのお詫びが欲しいかな?」

 

 

 より強く、干渉すら許さない程に求め合う。

 お詫びが欲しいと言ったソーナに対して一誠は薄く笑いながら『喜んで』と返し、その手を取ると、そのまま腰に手を回して抱き寄せる。

 

 

「この時間が一番好きで安心できるよセンパイ……」

 

「私も同じよ……ふふふ」

 

 

 額が触れ合い、互いの吐息が頬に触れ……そのまま重なる唇。

 川のせせらぎと風の音が二人のくぐもった声をかきけし、暫く重なった唇が離れると、互いに頬を紅潮させながら微笑む。

 

 

「貧乳でも良いなら好きにして一誠……?」

 

「あー……やっぱり言いすぎましたね……すんません、でもセンパイの胸って安心するから好きだなぁ……あー……」

 

 

 胸に顔を埋めて甘えだす一誠を撫でると、ソーナは指をパチンと鳴らす。

 

 

「これで邪魔者はここに来ないし見られることも無いわ。

ん……ちょっとはしたないけど我慢できないの……だから来て?」

 

「センパイ……そりゃ願ったり叶ったりなんですけど――」

 

「センパイだなんて嫌、ちゃんと名前で何時もみたいに呼んで?」

 

「そうだったすね……行くぜソーナ?」

 

「ぁ……♪ うふふ……好き♡」

 

 

 二人の周囲に見えないカーテンの様なものが蜃気楼のように現れ、そのまま服が汚れるのも忘れて倒れ込む。

 同類の少年と少女は――とっくの昔に完成されていたのだ。

 

 

 

 兵藤一誠

 

 赤龍帝

 無神臓

 幻実逃否

 

 

 ソーナ・シトリー

 

 婚厄者

 悪循完

 

 

 備考・二人三脚の人外ペア

 

 

 

「んー……うふふ♪ 一誠くんの証がお腹の中で動いてるわ」

 

「俺は全く構わないんですけど、そろそろ互いに大人になってきたし、センパイが妊娠しちまうんじゃないかと思うんですけど」

 

「そうなったらなっただわ。寧ろ罵倒されながらアッサリ冥界から追い出して貰えるかもね……ふふふ」

 

「いや、センパイの両親とか例のお姉さんはその限りじゃ無いんじゃ……」

 

「姉はともかく両親はそうでも無いわよ。私という存在自体に理解ができずに嫌悪してるでしょうし」

 

「ふーん……俺の両親はそんな事無いからなぁ……」

 

 

終わり




補足

完全に完成してます。関係的な意味で。

外だろうが関係なしというか……殆ど本能みたいなもんですね。


その2
ひんぬーとバカにしてますけど、これは表向きに絡める口実であって、原点と同じくとにかくソーナさんが好きすぎる模様。

なので関心もソーナさんと両親以外は目の前で殺し合いしてようがポテチ齧りながら眺めてるだけという。


その3
続きがあるとするなら、イチャイチャする内容ばっかしになるかな……。

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