色々なIF集   作:超人類DX

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本人的には角を立たせず距離を置ければ理不尽な事を言われても別にオーケー。




大嘘予告・露骨すぎる色々

 オルコットさんと春人が試合するにあたり、春人には専用機が与えられるらしい。

 まあ、後で調べれば、イギリスの代表候補生で専用機持ちらしいし良いんじゃないかと思う。

 が、専用機が与えられるという話を明くる日の授業中に千冬姉から伝えられた春人にオルコットさんが挑発的な態度をしたりする中、クラスの一人がその流れに乗ってある質問をした訳だが、どうやら俺には専用機が無いらしい。

 

 

「二番目の起動者である織斑に話は無い」

 

「え、同じ男性起動者なのに……?」

 

 

 千冬姉が淡々と俺に専用機の話は無いと返された女子は驚いた様子で俺を見ている。

 考えてみたら今のところ春人と俺だけが男で起動させたという実績があるし、貴重さという面では俺も一応貴重な側といえなくもない。

 しかしだ、俺はそんな貴重さと狙われやすさを自覚した上で思うんだ。

 

 

「あの適正ランクって奴か? 春人はAだかSなんだかで俺はBらしいんだ。

それを考えたら春人を優先するのは自然な流れなんじゃあないか?」

 

「でもそれって……織斑くんは何も思わないの?」

 

「別に? 起動させてしまった以上はこの学園で精一杯お勉強させて貰うつもりだけど、専用機を持ちたいなんて目標は持ってないし、正直俺には手に余る代物だと思うし、もっとやる気のある他の皆の誰かが貰った方が良いと思うんだよね」

 

「でもさ、こう言うと失礼かもしれないけど、弟君は身体が弱いんでしょう?」

 

「弱いけど、本人がやる気あるんだから止めるのは無粋だろ。なぁ春人?」

 

「…………」

 

 

 専用機は手に余るので出来れば必要ないとオブラートに包みながら、妙に俺に専用機を与えられない事を気にする一部の女子達に話つつ春人に振るが無視されてしまった。

 運動とか殆どしないんだからこの機会だし、運動して身体を鍛えるべきだと思うんだよね。

 

 

「ふん、これだから男は……」

 

「幻滅させてしまった様で申し訳ないね」

 

 

 オルコットさんにディスられてもこの考えは変えないし、変えたところでその専用機とやらが与えられる訳でもないのだ。

 本音を言うと、専用機を与えられたら余計なトラブルが起こる確率が跳ね上がるという、イッセー兄とリアス姉に鍛えられた勘が警告を鳴らしまくってるからだったりするんだよね。

 なので精々春人には頑張って貰いたいし、本気で応援したいと思ってるからキミも山田先生もそんな同情じみた顔しないでくれ。

 

 

 

 ―――てな事が挟んだ後、試合当日になって到着した専用機に乗って春人はオルコットさんと試合をした訳だが、結果だけを言うと春人が勝った。

 白い機体に乗り、中距離から狙撃やフヨフヨ浮く兵器の攻撃を掻い潜り――えーっと、何だったっけか? 千冬姉が現役の頃に使ってた武装の後継機で切り伏せてハイ勝ちました。

 

 うん、近くでISに乗った者同士の戦いを見た感想としてはこんな感じというか――ヤバイよね、目が肥えちゃったせいか、俺や俺と一緒に観戦した箒が思った事は――意外にトロいんだな色々という感想だ。

 

 いや、これには理由があって、イッセー兄とリアス姉の軽い組手を見てきたからってのが大きい。

 なんというのかな、スピードもパワーも何もかも二人に比べたらちょっと……うん。

 

 

「おかしいな、何故オルコットは春人の攻撃を避けられないんだ? あんなに隙だらけの大振りなのに」

 

「だよな? オルコットさんのビットってのをわざわざひとつひとつ破壊してるんだからその隙に撃てば――あ、外してる」

 

「千冬さんに教えられてたのか、太刀筋は良いのだが妙に遅く見えるな――具合でも悪いのか?」

 

「いや、多分全然良いと思う。アイツ、アレ乗ってたら病弱も克服出来るんじゃないか?」

 

 

 

 ま、まぁ比較対照があの二人だからな。

 きっとこうやって外様から見てるだけじゃ分からないってだけで本当は凄い攻防なのかもしれないな。

 さっきから地味に春人のやり方がオルコットさんの精神を折る様なじわじわしたやり方に見えなくもないのもきっと気のせいだろう……多分。

 

 俺達の周りの女子達が、代表候補生のオルコットさんを追い込んでる春人に驚愕してたけど、多分きっと気のせいだろう。

 

 

 

 なーんてのが生で見たIS同士の戦いを見た感想であり、さっきの説明通り、この試合に勝ったのは春人なのでクラス代表とめでたくなりましたとさ。

 ……的な説明を山田先生がすると、アレだけ敵意丸出しだったオルコットさんは憑き物でも落ちたかの様に春人さんだなんで呼び、何やら色々とくっちゃべってる。

 

 その表情から察するに――あぁ、なるほどね。

 

 

「負けて春人に惚れでもしたらしいなオルコットは」

 

「箒もそう思ったか? 多分正解だと思うぞ、アイツはモテ男だからなぁ」

 

 

 曰く、女にしか見えないその容姿やら内面の強さとやらにコロッと堕ちるとか何とか。

 俺には理解できないし、さっきから露骨に春人に話をしまくるオルコットさんの姿を見ればどちらにせよ、箒の言うとおりだと思う。

 

 

「春人さんはお身体が弱いので無理させる訳には参りませんが、よ、宜しければ今後共に訓練なんかを」

 

「うん……良いよべつに」

 

「本当ですか!? ……ふふ♪」

 

「…………」

 

 

 ただ、千冬姉がさっきから物凄い目で睨んでるんだけど、早く気付いた方が良いんじゃないかなオルコットさん。

 

 

「と、とにかく織斑君にはクラス代表戦に出て貰うのですが、体調とかは大丈夫でしょうか?」

 

「大丈夫です……」

 

「本当か? あまり無理はするな」

 

「本当に大丈夫ですので心配しなくてもいい……」

 

 

 その空気を察したのか、山田先生が強引に話を切り替え、クラス代表戦に出れるかを確認すると、出るという本人に対して千冬姉がまたしても過保護を発動させ始める。

 ……む、なんか嫌な予感がしてきた。

 

 

「だがクラス代表は試合以外にもやることが。む、そうだ……おい織斑」

 

「あ、はい……」

 

 

 突然警報が俺の頭の中で鳴ると同時に千冬姉が俺を呼ぶと、やはりというか昔からそうなりすぎて最早諦めの領域になっている慣わしが此処で降りかかってきた。

 

 

「春人はクラス代表戦に出るが、その他の仕事までさせたら体調を崩してしまう。

だからお前がその仕事を代わりにやってやれ。出来るよな?」

 

「………」

 

『……………』

 

 

 ほーら、な。

 春人が突然弟として現れた時からそうだ。

 身体が弱いからだとか、兄だからとかそんな理由で肉体労働的な事を俺が代わりにやらされる。

 今回に関しては試合以外の――つまり雑用を俺がやれって事なんだろうがさ……いやぁ、隣に座る箒と雰囲気と表情が一気に冷たくなっててオラワクワクすっぞ! ……じゃなくて。

 

 

「はぁ……まぁしゃーないっすね、わかりまし――」

 

「ま、待ってください! お、織斑君――あ、えっと、一夏君はクラス代表でも無ければ今回立候補者ですら無いのに、雑用だけをやらせるというのはいくらなんでも……」

 

 

 ワッツ? 互いに平和に過ごせるならしょうがないと頷こうとしたら山田先生が千冬姉に物申しだしただと? こんな経験今まで無いし、大概が春人に味方するからこの意見には驚いて思わず箒と一緒に驚いて声が出せないでいると……。

 

 

「私もやまやと同じ意見です。なんだかおりむーに面倒な事を押し付けてる様に聞こえまーす」

 

 

 どう見ても制服の袖がよれよれのサイズ合ってない……誰だっけ? まぁ、とにかくその女子も山田先生の意見に同意する。

 

 

「え、やまや……?」

 

 

 尚本人はやまやと呼ばれてキョトンとしていて、さっきから何の意見も言わない春人は………その女子と山田先生をに目を見開いて驚いてる。

 

 

「わ、私も流石にそれは無いんじゃないかなって。

弟君の身体弱くて雑用までは無理ならクラス全員で協力すれば良いと思いますし……」

 

「だよね~?」

 

「そ、そうですよ! 皆さんが協力すれば織斑君一人がやる必要はありません!」

 

「……」

「……」

 

 

 お、おぉ? な、何だこの流れ。てか全身がむず痒いんだけど。

 箒とイッセー兄とリアス姉以外からこんな感じの援護をされた事が無かったから違和感が……。

 

 

「ほ、箒……背中がムズムズする」

 

「意外な展開で私も驚いているよ」

 

 

 結局この意見により、雑用関連はクラス全員で協力してやる事になったのだが、これによって千冬姉の評判が落ちやしないか地味に心配だ。

 春人は――苦虫食った顔しててよくわからん。

 

 

 

 

 やはり千冬は春人に対して甘すぎる。

 そして自覚してないままに一夏に対してその割りを食わせている。

 男性起動者としてIS学園に入学してきた兄弟を観察していた少女は、その露骨さが浮き彫りになった今回の出来事に対して異を唱えた真耶に乗じてつい口を挟んだのだが後悔はしていない。

 あれはいくらなんでも贔屓が露骨すぎたのだから。

 

 

「――という事があって、気分悪くなってきたから休ませて~」

 

「どう見ても具合が悪そうには見えないし、アナタまだ入学したての一年生なのに此処へ来すぎよ?」

 

「だってこっちの方が居心地が良いんだもん。お姉ちゃんの言ってた通り以上にー」

 

「だから私の事も知っていたのね? まったく、あの子ったら……」

 

 

 なのでそれを理由に少女は次の授業を冒頭から具合が悪いと言ってサボり、どう見ても具合が悪そうには見えない足取りで入学したその初日から実は何度も訪れている保健室へと来ていた。

 

 

「織斑先生と山田先生には内緒にしてあげるから、サボるのは控えなさい」

 

「えへへ、わかってまーす!」

 

 

 何で保健室にそこまで入り浸るのか。

 それはその場所には少女が、この学年にて三年生の生徒として在籍している姉からしつこい程聞かされた保健医さんの存在があるからだ。

 引くほど整った容姿、引くほどのスタイル、目を奪われる真っ赤な長い髪、そして愛嬌にしか見えないアホ毛。

 

 去年この学園の非常勤保険医としてして在籍しているリアス・グレモリーが居るから少女は授業すらサボって入り浸るのだ。

 

 

「でも先生とお話したりするの好きだからなぁ……控えはするけど――えへへ」

 

「そういう所がお姉ちゃんそっくりね。

あの子は普段真面目だし、見た目にも出てるのだけど……」

 

 

 言っても教室へ戻る気は無いと感じ、仕方なく目をつぶって彼女……布仏本音と話をするリアスは、自分とイッセーの弟分である一夏が露骨に雑用を押し付けられそうになった話を聞き、やはりそうなってくるのよね……と己が体験した忌まわしき出来事を思い出す。

 

 

「病弱なのもわかるし、心配なのもわかるんたけど、だからといって片方に押し付けるのっておかしいと思う。

おりむーだって先生の弟さんなのにさー」

 

「本人はなんて?」

 

「おりむーは『まぁ慣れてるし』って感じだったかな。でも、それだけおりむーに押し付けてたんだってすぐわかった」

 

「そう……」

 

 

 クラスでの一夏と箒の様子を聞き、微妙な気分になるリアス。

 判断力がどんどん狂わされてるのか……どちらにせよ一夏の反応から察しても既に無関心の領域なので本音が懸念している様な事はほぼ無いだろうとリアスは考える。

 

 

「ちゃんと違和感を感じて意見を言えたアナタは偉いわ、今時中々できないことよ?」

 

 

 取り敢えず本音を誉める事で遠回しにお礼を言ったリアスは、後でイッセーと一緒に二人から詳しく話を聞いてみようと考えていると、褒められたのが嬉しいのか、本音の表情がこれでもかと明るくなり、そのまま白衣を着て座っていたリアスに飛び付いた。

 

 

「えへへ、先生に褒められると嬉しい……」

 

「………」

 

 

 直接顔を合わせてそんな経ってないのに、何故かこんなに懐く一夏と箒のクラスメートにリアスは苦笑いを浮かべるつつ、引き剥がすのもアレなので取り敢えず好きにさせる。

 

 

「リアス先生、良い匂いがして好き……」

 

「はいはい、あの子の妹だけあるわ……ホント」

 

 

 本音の姉もそうなのだが、何故か懐れている。

 一部を惹き付けるものを持つ事に気づいてないのはイッセーと同じなのかもしれない。




補足

判断力がどんどん狂わされてるせいか、露骨度が上がり始めてる。
まあ、一夏本人は別にそれで角が立たなきゃ問題ないらしいのですが、箒ちゃん的には『おい』って思う。


その2
のほほんさんがのほほんできる相手が……なんとリアスちゃんだったらしい。
しかもお姉ちゃんも嵌まってしまったらしい』…ナンテコッタイ

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