色々なIF集   作:超人類DX

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本人からしてみたら何で寄ってくるのかがサッパリわからない模様


好意が苦手な用務員さん

 春人がクラス代表になる事で試合には出るみたいだけど、クラス代表というものは試合に出るだけがお仕事では無く、解りやすく言うと学級委員的なソレ――つまり雑用もやらなきゃならない。

 

 が、千冬姉が春人の虚弱体質さを理由に雑用に関してを俺にやらせようとした。

 俺も余計な角が立たないなら別にそれでも良かったのだけど、この露骨さに違和感を覚えてしまったのか、山田先生や一部のクラスメートが色々と言ったお陰でクラス全員が協力して雑用をする事となった。

 

 それはそれで良いんだけど、どうも今までと違って高校だからというのもあるせいか、春人の過保護にされ具合に違和感を覚える人が居るらしく、それによってその過保護筆頭の千冬姉に変なイメージが付きやしないかちと心配だ。

 

 俺としてもそれで今まで上手く余計な波風も立てずに済ませられたので、変な方向にいかないか若干心配だったり……。

 

 

「これよりISの基本的な飛行操縦を実践してもらう、オルコット。試しに飛んで見ろ」

 

「先生、僕は……?」

 

「お前はやらなくて良い、心配だ」

 

「先生、飛ぶだけなら大丈夫です」

 

「だ、だが……」

 

 

 入学初の実践授業でも、専用機持ちによる演舞ひとつでもこんなやり取りが多いし、春人がオルコットさんとの試合後全身筋肉痛で辛かったからなんて言ったから余計こんな事になってしまったのだろうが、それにしたって何時まで経ってもISが実際近くで動いてる様を待っている他の女子達は、どっちなんだよと思い始める人もチラホラ……。

 

 

「もう大体わかってきたけど、過保護過ぎない?」

 

「本人もやれるって言ってるし、ちょっと上に飛んで降りてくるだけなんでしょう?」

 

「ねぇ、織斑君、昔からあんな感じなの?」

 

「そうだな、大体あんな感じ」

 

「それに加えて私の姉さんも春人にあんな感じだったぞ」

 

 

 やるやらないの言い合いでグダリ始めたせいか、偶々近くに居た女子が千冬姉の過保護さと過保護にされている春人について聞いてくるので、そうだと返す。

 千冬姉にすりゃあ、俺よりも遥かに自分に春人は似てるし、加えてしょっちゅう体調を崩したとか言うもんだし、ああなるのもしょうがねぇんじゃねぇのとは思わなくもない。

 まあ、外様から見てみればちと異常みたいだが。

 

 

「流石にちょっとどうかと思うよ……」

 

「反対に織斑君には冷たい様に見えるし」

 

「そうか? 別に兄弟なんてこんなもんだろ、寧ろいつまでもベタベタしてるもんでもねーし、俺別に身体弱くないし、なぁ箒?」

 

「私の場合はもっと特殊だから何とも言えないな」

 

 

 確かに箒との箒の姉ちゃん関係は特殊ではあるね。

 今ごろ何処で何をしてるのかも知らんらしいし、諦め通り越して無関心になってしまったからな箒は。

 っとと……そうこうしている内に春人が飛んでいったな。どうやら千冬姉とは話がついたらしい。

 

 けど確かに授業の度にこんなやり取りを挟んでグダらせるのかと思うと、ちょっとどうなんだとは思うわな。

 

 

 

 そんなこんなで授業は終わり、終始千冬姉が過保護になりすぎてる様を見てきた。

 殆どの女子はそんな春人が良いみたいだが、昨日クラス代表の雑用について意見していた一部の女子達はやはり異常に思えているらしく、そんな中春人に好意的なんだろう女子達が、クラス代表になった本人をお祝いしよう――とかいう催し者を企画した。

 

 時間は夕食後の自由時間―――と、俺は聞いたので取り敢えずそれまでの間を潰そうと箒と一緒に先日場所を覚えた用務員室へと押し掛けた。

 無論、イッセー兄――いや、俺をイチ坊と呼ぶお返しに呼ぶ事になったイチ兄の元へ……。

 

 

「何かありゃあ、うちの姉さんがあれこれ構うもんだから途切れ途切れの授業だったんだぜ」

 

「流石に異常と思われてしまってますね、春人に対して」

 

「ふーん……?」

 

 

 入ってみると、イチ兄は既に仕事を終わらせたのか、煎餅食べながらTVを見ていた。

 色々と調べてみると、イチ兄が用務員として仕事している姿はあまり見られてないらしく、いつの間にか雑草が刈られたとか、いつの間にか花壇に新しい花が植えられていたとか、いつの間にか壊れた備品が変わっていたとかとかとか―――まるで闇夜に紛れて暗殺する仕事人のような手腕だ。

 

 逆にリアス姉は保健医さんなので認識されていて、しかも結構な人気があるとか……。

 

 

「その内学園長に呼び出されて怒られんじゃないか? そうしたら控え――――るとはあまり思えないけど」

 

「そうなんだよなぁ、筋金入りだから他人がとやかく言っても聞かないと思うぜ」

 

「こればかりは時の流れに身を委ねるしかありませんよね……」

 

 

 そんなイチ兄に、授業中の際の二人について話すと、全く興味なさげだ。

 二人とは一度たりとも会った事は無いし、そもそも生徒ですら無いので当たり前だし、俺も何時までもこの話題をあげるつもりはない。

 

 

「リアス姉は来ないの?」

 

「俺と違ってリアスちゃんは保健医だから、拘束時間が俺より長いのさ。

もっとも、そろそろ終わるだろうけど」

 

 

 イチ兄に煎餅とお茶を貰い、それを飲み食いする俺と箒。

 奇跡的にもまだ春人は二人と会ってない―――いや、会ったところで二人にしてみればどうでも良い認識なんだろうから関係ないんだろうな。

 

 なんて思いながらリアス姉を待っていた俺達に呼応するかの如く用務員室の扉が勢いよく開かれた。

 お、リアス姉か? ……なんて思っていた俺と箒は扉の方へと視線を向けたのだけど、入ってきたのは――あれ、何者?

 

 

「やっほー! アナタの刀奈ちゃんですよー♪」

 

 

 いや、マジで誰だ? 何処かで見た気がしないでもないけど、少なくとも俺の記憶は感じだ。

 この学園の制服を着てるって事は多分生徒さんだし、よくみたら、箒が着ている制服の青色のリボンとは違う色のリボンてことはアレか、上の学年か? と、無言で箒と目を合わせながら思考していると、俺と箒に気付いていないのか何なのか、妙にテンション高く入ってきた先輩さん(仮)は、すんごい冷めた顔していたイチ兄に飛び付き――――あ、机蹴って椅子を移動して避けた。

 

 

「へぶ!?」

 

「Get out」

 

 

 顔から床に落ちて痛そうな……と思う俺と箒を背に、椅子に座ったイチ兄は妙に発音良く尻を突き出しながら床とキスしている先輩さん(仮)に出ていけと開けっ放しの扉に向かって手を翳す。

 

 

「今俺は死ぬほど忙しいんだ。申し訳ないけどお引き取り願うよ……」

 

「あたた、鼻擦りむいた……」

 

 

 むくりと起き上がる先輩さん(仮)が、擦りむいて痛そうな鼻を押さえながら涙目になってるが、帰る気配は無し……というかNOと言っている。

 

 

「嫌ですー! それより聞いてくださいよイッセーさん! 虚ちゃんとこの度生徒会役員候補として入ってくれた妹ちゃんの本音ちゃんに『用務員室を主な活動場所にしましょう』って言ったら、『バカなんですか?』って言うのよ!? 酷いと思いません!?」

 

「布仏さんとその妹さんが実にまともで真面目なんだなと俺は拍手を送りたいな。

ホント、あの子も苦労する……」

 

「あー! イッセーさんまでそんな事を……よよよ……」

 

 

 たった数分ながら、この先輩さん(仮)のキャラがかなり濃いってのはわかった。

 イチ兄本人はその濃さに巻き込まれるのが嫌で冷たい感じだけど。

 

 

「取り敢えず俺は今から正門の清掃に出るから出ていけ――」

 

「残念でした~! イッセーさんの事はなんでも知ってるんだなぁ~? さっきそのお掃除をしていたのを見てたし」

 

「チッ」

 

「あ、今舌打ちしました? ひ、ひどい……」

 

 

 リアス姉も言っていたけど、イチ兄は他人からの好意が物凄く苦手だ。

 それはイチ兄が過ごした子供時代の経験がそうさせたらしいのだけど、考えてみたら当初俺と箒の時も戸惑っていたかもしれない。

 だからこんな風に押しが強い相手にはたじたじなんだ。

 

 

「鼻は痛いし……うぅ、頭撫で撫でして貰わないと永遠に痛いわ……」

 

「………」

 

 

 それにしてもこの人、まさかとは思うけどイチ兄に……? だとしたらその……何だろうな色々と。

 

 

「あー……あの、イッセー兄さん? その方は確か生徒会長だったと思うのだが……」

 

 

 箒も察したのか、少し遠慮がちに話し掛けると、イチ兄と先輩さんがこちらを向く。

 てか思い出した、そうだ、この人生徒会長だ。

 

 

「? え、あれ? 一年生……しかも……え?」

 

 

 今気づきましたといったリアクションの生徒会長さんが、少し驚いている。

 

 

「ちょ、ちょっとちょっとイッセーさん? 何故二番目の起動者君と篠ノ之束の妹さんがここに?」

 

「此処に来たから」

 

「それじゃあ答えになってませんって! 何でこの二人が用務員室の存在を知ってるんですか!?」

 

「教えたからだよ俺が」

 

「それは何故!? Why!?」

 

 

 まるでどっかのリアクション芸人ばりのリアクションな生徒会長さんは、俺と箒がイチ兄とかなり親しい事を知らないらしい。

 まぁ当然か、まだ入学して日も浅いし、話す理由も必要性も無いんだし。

 

 

「お、教えてくれても良かったのにぃ……」

 

「言う理由も必要も無いだろう。あぁ、知ったからには黙ってて貰えると助かるんだが……」

 

「それは約束するけど……。あ、二年の更識です、生徒会長やってます……」

 

「ご丁寧にどうも、織斑一夏です」

 

「篠ノ之箒です」

 

 

 割りと普通に挨拶をしてくれたので、俺と箒も頭を下げながら自己紹介。

 どうやらあの押しの強さはイチ兄にのみ発動されるのか、なんというか普段は落ち着いてるのかもしれない。

 

 

「生徒会長であることは存じてますが、イッセー兄さんとは一体……」

 

「あ、それは俺も気になります、イチ兄に対して随分と親しげなのが」

 

「イッセー兄さんにイチ兄……ず、随分と親しいのね」

 

「まあ10年はお世話になってますし、リアス姉さんにと」

 

「あ、これも出来ればオフレコにして貰いたかったり。ほら、多分ご存じでしょうが、イチ兄もリアス姉も目立つのはあまり好きじゃありませんから」

 

「そ、そっか、グレモリー先生の事も当然知ってるわよね……。勿論誰にも話したりはしないわ。

グレモリー先生は保健医さんだから知られてるけど、イッセーさんは殆どまだ知られてないし――勿体無いし」

 

「………」

 

 

 最後の声が小さめな生徒会長さんに俺も箒もやはりと思う。

 この人は――いや、無粋だしよそう。

 正直、棘とかいう道じゃ済まないし、俺達はただ見守るしかできないんだ。

 

 

「遅くなっちゃったわね、実はこの子達が来てて――あら?」

 

「!? グレモリー先生……そ、それに虚ちゃんと本音ちゃん!?」

 

「やはり此処でしたか……。

申し訳ございません兵藤さん、ウチの会長が……」

 

「本当に用務員室に来てるんだね」

 

 

 なんて考えていたら開けっ放しだった用務員室の入口からリアス姉が、何故か俺達のクラスメートのほほんさんとまたしても見知らぬ女子さんを連れながらやって来た。

 

 

「のほほんさん……?」

 

「あ、しののんとおりむーだ。何でここに?」

 

「いや、寧ろキミがリアス姉と一緒に居る事に驚きなんだけど」

 

「リアス姉……? え、おりむー先生の事そんな呼び方してるの? 何で?」

 

「私と一夏は昔から姉さんと兄さんに世話になってて知り合いなんだ」

 

「へー? 良いなぁ……」

 

 

 ボソッと此方を見ながら羨むのほほんさんに教室でののほほんとした雰囲気が若干感じられずに居ると……。

 

 

「あれ、開いてる……? あ、あのー……イッセーさんは居ますか~?」

 

 

 またしても意外な……しかも今度に至っては俺と箒とのほほんさんのクラスの副担任の先生がやって来た。

 これにも俺達一年組は驚いてしまう。

 

 

「山田先生……?」

 

「へ? ……………あぁっ!? あ、あれれー? こ、ここはどこなんでしょうかー? ま、迷ってしまいました~」

 

「いや、今思いきりイッセー兄さんの名前を呼んでましたよね?」

 

「し、知らないですよ!? イッセーさんが篠ノ之さんと一夏くんとかなり親しいとか私聞いてませんからね!?」

 

「全部言っちゃってるよ、やまや……」

 

「はぅ!?」

 

 

 俺達も知らなかったけど、まさか山田先生とまで知り合いだったとは……。

 しかしこうして見ると……何だか凄そうな面子だな。

 

 

「ご、ごめんなさい……ば、バレちゃいました……」

 

「別に良いですよ、タイミングが悪すぎただけですし」

 

「結構な大所帯になってしまったわね……」

 

「俺としては保健医のリアス姉はわかるけど、用務員でしかもあんまり姿を見られてないとか言われてるイチ兄が山田先生や生徒会長さんと知り合いなのに驚いたぜ」

 

「どちらも偶々見られたんだ……。まさかこうなるとは思わなかったけど」

 

「運が良かったと今では思ってるわ」

 

「のほほんさんは何時リアス姉さんと知り合ったんだ?」

 

「お姉ちゃん、この人私のお姉ちゃんなんだけど、去年辺りからリアス先生の事を聞かされてて名前だけは知ってたんだー

で、入学してすぐ会いに言ったらお姉ちゃんの言うとおりで……」

 

「色々とお世話になりましたので……」

 

 

 副担任、生徒会長、生徒会役員二人……うーんよくわからないけど濃そうな面子だ。

 

 

「あ、それよりそろそろ弟君の歓迎パーティが始まりますけど……」

 

「え? あー……春人のクラス代表のお祝いだし、このまま居ようかなって思い始めてます」

 

「私も同じくですね。一言おめでとうと明日言えば良いかなって……」

 

「あ、良いねそれ。

私もそうしよっかなぁ~ リアス先生がここに居るんだしー」

 

「いや、クラスの催し物は出た方が良いんじゃ……」

 

「別にひとりふたりが欠けた所でどうってことないよー」

 

 

 と言いながら然り気無く座ってたリアス姉にもたれるのほほんさん。

 

 

「リアス先生と居たほうが楽しいもん」

 

「本音! リアス先生が迷惑するでしょう!」

 

「えー? 先生は迷惑?」

 

「え? えーっと……別に大丈夫よ?」

 

「ほーら?」

 

「ぐっ!? わ、私はそんな事されたことないのに……!」

 

 

 それを見て、どうやらのほほんさんのお姉さんらしい先輩さんがぐぬぬと悔しがる。

 

 

「………」

 

「イチ兄、ひょっとして怒ってる?」

 

「いや怒っちゃいないし、そこまでガキのつもりもないよ俺は」

 

「しかしリアス姉さんは随分と懐かれているな。

兄さんもそうだが……」

 

「えー? 現役女子高生よ私? こう、背徳感からムラムラしません? 私はムラムラしてます」

 

「え、ええっと……し、新人教師とかどうですか!?」

 

「知らないし興味無い」

 

 逆にイチ兄もそうだが、やはりリアス姉しか見えてないので物凄く淡々としている。

 というか、然り気無く山田先生もか……? 何気にスゲーなイチ兄。

 

 

「というか先生はイチ坊の弟君のお祝いやらに行かなくて良いんですか?」

 

「わ、私が居ても居なくても織斑先生も居るでしょうから……それにこのまま一人出ていくのは物凄く後ろ髪を引っ張られる思いですので」

 

「ちぇ、グレモリー先生と山田先生が居なかったらチャンスなのに。

ねぇイッセーさ――んぶっ!?」

 

「俺に寄るなよ」

 

「ぶー……イケズ。お望みならおっぱい触ってもいいのにー」

 

「触るかよ……そもそも俺は――」

 

「む、胸ならグレモリー先生くらいはあると思います私………あぅ……」

 

「ですから、俺にそんな話をしたって何の意味も無いでしょうが。

勘弁してくれないかな……」

 

 

 割りと冷たいようで親身だからなぁ……俺と箒がそうだった様に、この二人もきっとそうなんだろう。




補足

養護教諭なので、転生弟が来てもリアスさんは普通に対処すると思います。

ただ、リアスの事は千冬も知ってるので、恐らく行かせるとは思いませんが……嫉妬とかの関係で。

その2
特に布仏姉妹から懐かれてるリアスさん。

尚、何故なのかは本人にもよく分からない


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