でも彼は気にくわないし、何故そうなったかに至る人物二人についてはまるで知らない。
結局春人のお祝いに向かう者は居らず、次の日に箒とのほほんさんとで『おめでとう』の一言とこれから大変だろうが頑張れという意味での滋養強壮ドリンクを渡しといた。
その際、何でか苦虫を食い潰した様な顔をしていたのだが、何か言いたいことでもあったのだろうか?
「春人に睨まれまくってるんだが、俺何か変な事言ってたか?」
「横で聞いてる限りでは特に穴は無かったと思うぞ? リ○Dだって渡したしな」
「そうそう、しかもちょっと割高なタイプを1ケース分でねー?」
春人がクラス代表になったお祝いをクラスメート――聞けば+αも居たらしいが、とにかくお祝いをされてる最中、イチ兄とリアス姉の所に居た俺達はその現場に居たのほほんさんや先輩さん二人、それから山田先生とちょっと仲良くなれたと思う。
いや、というか現に今日の朝飯は箒と二人では無く誘ってくれたのほほんさんと食べ、教室に来ても他愛の無い話をして暇を潰す程度の関係になっている。
春人にガン見されているのは――うん、やっぱりわからん。
あいつそんなにリ○Dが嫌いだったのか?
「でさー、会長が――あぁ、良いや。お嬢様が何でもかんでも話しちゃうんだー」
「先輩が絡む所を見ていたよ。
なんというか……失礼かもしれないけどポンコツになっていたな」
「それなんだよねぇ、私は見てて楽しいから良いんだけどさぁ」
「ちなみに向けられてる本人は相当戸惑ってると思うぜ? 好意というものが苦手で懐疑的だから」
まあ、春人の事は置いておいてだ。
箒と以外でまさか二人の事について話せる人と巡り会えるとは思わなかったぜ。
ちなみに名前は敢えて伏せている――二人ともあまり目立ちたくないって言ってるしな。
「……………」
オルコットさんやその他女子に絡まれてる最中もこっちを春人の視線はずっとバシバシ感じたりしたけど、二人について話すのはやっぱり楽しくてあんまり気にならない。
ちなみにその直後、隣のクラスの転校生で春人の幼馴染みと名乗る、よくよく見たら中学の途中までちょくちょく家に押し掛けてきた中国人の女子が出てきたりしたけど、あんまり関わりの無かった俺は、箒とのほほんさんとでそのやり取りを眺めるだけだった。
IS学園に入るのは完全に決まっていた事で自分でも思っていた流れだった。
やっと原作がスタートする……そう思っていたのだが、思っていた以上に転生してから今までの間に千冬のブラコンに拍車が掛かりすぎてしまっていた。
そのお陰で自由が限られてしまっている――と、春人は内心愚痴る。
自分が色々と根回しした結果、千冬の一夏に対する関心がかなり薄れていて、かなり格差が出ている事については都合良く考えていないのは彼の性格だ。
ともかく、転生し、チート能力による代償として死にはしないが身体が弱くなっている春人は、その女子と見紛える容姿と愛嬌を振り撒いて自由がそれなりに無いなりに女子達からの受けを買いまくる事は何とか成功させている。
現に二番目の起動者となっている一夏には専用機は無いし、セシリアとのフラグも一切無く自分がたてた。
予想外として暴力ヒロインとして嫌悪していた箒が信じられないレベルに大人しく、しかも自分の知らぬ所でこの六年の間一夏との交流を続けていたという所か。
一夏に押し付けてやったつもりが、原作での性格を見事に裏切る性格に変わっているのは春人としても、この箒なら……と思える。
多分本人が聞いたら無慈悲かつ残酷な一言で『都合の良い事だな』と斬り伏せられるし、一夏に至ってはこの角の立たない様な立ち回りを捨てて半殺しにするだろうが……。
とにかく色々と一夏と箒については予想外だった春人だが、最近はそれに輪をかけた予想外な展開が多すぎた。
まずひとつが、このクラスに所属する布仏本音。
何があったのかは定かではないが、今朝から一夏と箒に対してかなり親しげであり、二人もまたそんな彼女と食事をしたり何やら楽しげに会話をしている。
原作通りの箒であるならこの時点で本音と一夏が会話をしていれば、嫉妬による暴力が振るわれるのだが、この世界の箒にそんな様子は微塵も見られず、寧ろ完全に一夏を信じきっているのか、極々普通に本音を交えて会話している。
ハッキリ言ってしまえば、春人はそれが気に入らない。
転生し、うまく立ち回ろうとあれこれ努力してきたのに、何もしていない一夏が何もせずとも楽しくしているのがとても気に入らないのだ。
「ふーん、イギリスの代表候補生ね……あっそ」
「んなっ!? な、なんですのその反応は!?」
「アタシ、他国の代表候補生に興味ないし。
ねーねー、それより春人? 私が居ない間寂しかった?」
「えっと……」
「私を無視しないでください!」
箒が引っ越した後に幼馴染みとなる鈴音とはなんとかこの関係にまで持ってこれた。
しかし今の春人に充足感は無かった。何故なら二人の目を盗みながら向ける春人の視線の先には――
「んめーんめー」
「こらっ! 行儀が悪いぞ一夏!」
「だって箒の作った飯うめーんだもん」
「へぇ、篠ノ之さんにお弁当を作って貰ってるのねぇ?」
「すいません、お見苦しいところを……」
「いえいえ、仲が良くて結構な事だわ」
「ええ、それにしても篠ノ之さんは本当に先生にお声が似ていますね……」
「あ、お姉ちゃんも思った? しののんに親近感が沸くのってそういう事なのかな?」
箒と箒が作った弁当を食べる一夏……そして本音。
それだけでもおかしいのだが、それに拍車を掛けているのが、まだ接点のせの字すら無い筈の生徒会長とその従者が当たり前の様に同席している事だ。
(僕が先に持つ筈だったのに……なんで……)
一体何時の間にあんな状況になっているのか。
春人にしてみれば訳がわからないし、まさか自分の様な存在を全力嫌悪している別作品の主人公とヒロインがこの学園で非常勤養護教諭と用務員として働いている事など、千冬に束縛され気味の春人に知るよしも無く、ただただ何も努力すらしていない癖にと一夏に嫉妬するだけ。
「弟君がこっち見てるわよ?」
「へ? あー……朝からずっとそうなんですよね。何でか知りませんが」
「昨日行われたお祝いというのに出なかったからとか?」
「それはありませんね、ちゃんと今朝三人で祝いの言葉を送りましたし」
「そーそー、リ○D1ケース付きで」
尚本人はまるで気にしてないので、単なる悲しい思い込みなのだし、自分を巡ってセシリアと鈴音が喧嘩になり始めたのでそれどころじゃなくなってきたのだが。
非常勤養護教諭としてIS学園で働くリアスは、実は裏で女子の一部にお姉様だなどと呼ばれている程度には人気があり、その美しさは羨望の眼差しすら同僚の教師達に向けられる事もある。
とはいえ本人は過去のトラウマの影響によりそれほど自分に自信がある訳じゃなく、その心は出会ってから自分をずっと守ってくれた青年に向けられている。
なので当然、一夏と箒と知り合う理由となった織斑春人に欠片の興味も無いし、身体が弱くてちょくちょく仮にこの先保健室に来ようが当たり障りの無い対応をするつもりだ。
もっとも、そのリアスの美貌に危機感と軽い嫉妬を抱いている千冬がリアスの勤務日は絶対に春人を保健室の近くには近づけさせない様に徹底しているので、会うのは何時になるかもわからないのだが。
「一夏君と篠ノ之さんはキチンと予習と復習を怠らないので此方が問題を出して指してもちゃんと答えてくれてるんですよ~」
「そうですか、それを聞いて安心しました」
それはさておき、IS学園に勤務する事になってからリアスには友人と云うべき人物ができた。
去年までは研修生として在籍し、今年めでたく正式な教師として勤務する事になった同僚……山田真耶だ。
「ただ、授業中に弟君の方が体調不良を訴えまして、織斑先生がそのまま中止にして連れ出して…」
「? おかしいですね、彼は保健室に来ませんでしたが……」
「やっぱりそうでしたか……。
前に弟さんが入学すると決まった時期に一人で『春人とグレモリー先生を会わせたら何をされるかわからんから……』と仰ってましたので……」
「織斑先生は私を何だと思ってるのかしら……」
お互い目立つ髪色だが、妖艶な容姿のリアスとは対照的に真耶は実年齢よりも中々低く見られがちな童顔。
しかるに二人はどちらも文句無しの巨乳であり、それによるシンパシーにより仲良くなった―――というのは嘘であり、その理由は一人の男性が関係していた。
それが、今昼休みという事で来て共に食事をしているこの用務員室の実質的な主であり、ガラリと扉が開けられると共に入ってきた目深く帽子を被る紺色の作業着を着た青年……。
「お待たせ、リアスちゃんは烏龍茶で山田先生は緑茶だったな?」
「ありがとうイッセー」
「あ、ありがとうございます……! い、イッセーさんに奢って貰っちゃった……」
生徒のほぼ全てがその姿を目にした事が無い謎用務員……兵藤イッセーの存在だ。
飲み物を買ってきたらしく、二人にそれぞれの飲み物を渡したイッセーは用務員室の一部に備え付けられていた畳に座り、テレビをつけはじめる。
「来週、一学年のクラス対抗の試合があるとかで、試合場所に使うアリーナの席の点検作業してたわ」
「結果は?」
「特に問題なし。誰か座った瞬間椅子がぶっ壊れて腰を痛めるという事故も、関取り五人分の体重持ちでもない限り無い」
「本当に相変わらずお仕事がお早いですね、そ、尊敬しちゃいますというか……」
「これで飯食ってますからね。与えられた仕事はちゃんとやりますよ」
『つまんねーなこの時間の番組は……』とつけたばかりのテレビを即消したイッセーは、もじもじしながら褒めようとする真耶に対して、端から見れば冷たく突き放す様な声で返し、反対にリアスに対してはとても普通というか、長年連れ添った夫婦みたいな態度で返す。
「そ、それでもお一人でこの広い学園の雑用全てを行うのはとても凄い事だと思います…」
「あー……はいはい、ありがとうございます。それより早いとこ食べません?」
「そうね、イッセーも来たことだし」
リアスや10年という付き合いがあった一夏と箒を除いた他人からの好意が苦手――もしくは懐疑的なイッセーはこういう感情を向けられると全身が痒くなってしまうのでついついこんな対応をしてしまう。
それを真耶も、あの刀奈もリアスから聞いているので特に傷つきはしないし、寧ろこの冷たい態度の中に出てくる根のお人好しさに好意を持っているぐらいだ。
「一夏と箒にお友だちが出来たみたいなのよ」
「ん? 昨日の子の事か……?」
「はい、イッセーさんとグレモリー先生という共通のお知り合いが居るという事で今頃食堂で一緒にご飯を食べてる筈ですよ」
「そっか……」
まあ、本人はリアス一辺倒なので前途多難な道なのだが、とにかく山田真耶は正式に教師へとなった今でも、暇があればこうしてイッセーとリアスの二人と交流を続けており、今も一夏と箒の授業態度の事や、先程リアスにチラリと話した春人に対する千冬の度が過ぎる過保護さについての話をしている。
「さっきグレモリー先生にもお話したのですが、日を追う毎に織斑先生の過保護っぷりがおかしな方向に行ってる気がして……。今日も授業を途中で何度か中止にさせてましたし……」
「保健室には来てないし、何か私がその彼に妙な事するんじゃないかと疑われてるみたいなのよ。会った事すら無いのに」
「あ? なんだあのガキ、リアスちゃんを何だと思ってるんだ? 俺も話した事は無いが、そんな妄想に囚われる性格してたのかよ」
「流石に生徒の一部も異常に思ってるみたいで……」
「その内学園長に呼び出されて説教されるでしょうから好きにさせても良いんじゃありません? リアスちゃんに対するふざけた認識については一度みっちり話しておきたいですがね」
「まぁまぁその辺で。私は別にどう思われても良いから……」
実際本当に千冬からどう思われても平気だったりするので、リアスの事になると若い頃の気性に戻りがちなイッセーを宥める。
かつて資金調達の為にほんの少し出払ってた隙にリアスが追っ手の悪魔に捕まったどころか犯されかけた時、逃げの一手を一度やめてその連中を皆殺しにしたくらいは、イッセーはリアス馬鹿なのだ。
「良いなぁ、グレモリー先生はそんなに想われてて……」
そんなイッセーの一部を垣間見て恐怖するどころか、そこまで想われてるリアスを羨む辺り、研修生時代から数えて一年の間に、真耶もちょっとメンタルが変な方向に行ってる気がしないでもない。
無論刀奈もだが。
「まぁ、織斑先生がそういうつもりならそれで構わないけどな。
そのイチ坊の弟とやらがもしリアスちゃんを見てアレされでもしたら困るし」
「大丈夫でしょう、彼って山田先生に聞けば相当女の子にモテモテらしいし、私より若くてかわいい子に毎日囲まれてたらそんな事にはならないわよ?」
「そうは言いますけど、グレモリー先生もイッセーさんもこの学園の制服着て紛れても違和感ないくらい若いですし……………あ、そういえば偶然なのかもしれないけど、しょっちゅう転んでは誰かの胸に顔を突っ込んでたり手で掴んでたかも……」
「ほら見ろ! ほら見ろ!! 絶対に連れてくるなよ織斑先生! もしもそのガキがリアスちゃんに嘘にしか見えねぇ偶発的なセクハラかましたらチェーンソー持って死ぬまで追いかけ回しちまうから!」
「そうなる前に私が対処すれば良いし、そんなに興奮しなくても……」
「か、仮にですけど、もしも私がそうなったら……」
「あ、それは別に良いです」
「きゅ、急に真顔になって即答しなくても良いじゃないですかぁ……!」
以上、大人組の楽しいお昼。
少女はショックを受けたと同時に、アイデンティティを与えてくれたと思った人にそのアイデンティティを壊された。
「ま、待ってよ先生……ぼ、僕は大丈夫、だから……許してあげよ?」
「くっ……春人がそう言うのなら」
「………」
身体の弱い弟の元へと一刻も早く帰ると言われ、別れたあの日から少女は認めて貰う為に強さを願った。
そしてその恩人が教師をする学園に入った時、別れなければならない原因となった恩人の容姿に忌々しい程に似ている虚弱体質な弟につい手を上げてしまった。
その瞬間、少女は恩人に殺意を向けられ、突き飛ばされた。
「大丈夫……? ごめんね……僕が――」
「わ、私に触れるな!!!」
「! 貴様、また春人に――」
「す、捨てられた……わ、私は要らない存在……わたし……は――――っ……ぅ……ああぁぁぁっ!!!」
精神の拠り所にしていた者からの拒絶は、少女に多大なショックを与えるのに十二分だった。
だからもう一人の金髪の転校生がもはや空気になってる中教室を飛び出した。
走って、走って走って走り続け……赤い瞳を涙で滲ませ、とにかく泣き続け――やがて体力が尽きてそのばに座り込んだ。
「わたしはもういらない……」
誰も必要としてくれない、唯一手を差し伸べてくれた恩人すらも、もはや自分を必要とはしていない。
ならば生きる意味など自分にあるのか? いや、無い……。
だから死ぬしかない――と、木々が生い茂る森林地帯の真ん中で小さく体育座りしながら少女はこのまま自らの手で死を迎えようとしたその時だった。
「…………………」
「?」
帽子を目深く被った紺色の作業着を着た何者かが、無言で、しかも自分の目の前で黙々と地面に生えている雑草を鎌で刈っていた。
「…………」
「…………」
いつの間に……? 少女はしゃがんで背を向けながら雑草を手早く刈りまくる謎の人物に思うが、別にこの作業着を着た人物が突然現れた訳じゃなく、少女の方が周りが見えなくなる程の精神的錯乱の状態でやって来てそのばに座りだしただけだ。
「……………」
そうとはまだ精神的にキツい少女は気付かず、此方には全く目もくれずに作業に没頭する作業員を見つめると……不意に目が合った。
「あ……」
まずい、泣いている所を見られた。と、ちょっとだけ自尊心を取り戻した少女は慌てて涙を拭こうと制服の袖で乱暴に目元を擦るのだが……。
「………………」
「は?」
その作業員はそんな自分がどうでも良いのか、何の反応も無しに再び背を向けて作業に戻った。
あんまりな無反応さにちょっと驚いてしまう少女は、このまま行く宛も無く、教室に戻れないので暫く謎の作業員を見ていたのだが……。
「……………あぁ、もう!!」
「っ!?」
草を刈る手が止まって暫くした後、いきなり大声を上げながら立ち上がった作業着は、ちょっとびっくりした少女のもとへと近づき、目の前に立つ。
少女は座っていて、しかも小柄な為、自然とその者を見上げる形となり、また目深く被った帽子の奥が見えてしまい、その顔に尚驚く。
「お、男……だと?」
作業員は男だった。
いや、冷静に考えればこういう雑用めいた仕事に関しては男も女も関係なかったのだが、とにかく目の前に立つ人物が男で、しかも見た目はかなり若いともなれば少女もちょっと困惑してしまう訳で……。
「キミ、授業中だろう? こんな所で何してるんだ?」
その作業着男との偶発な邂逅は果たして吉なのか凶なのか……。
「あ、イチ兄! ちょっと緊急事態がはっ……せ……い?」
「え、イッセー兄さん? その背中に背負ってる者は……」
「………。草刈りしてたら急に大泣きしながら走ってきて、そのまま座り込んだもんで、最初は無視しようとしたんだけど、このままだと首でも吊りかねねぇと思ったからつい……。この子は二人のクラスの子か?」
「えーっと……今日転校してきた子で……」
「その……騒ぎになって教室を飛び出したんだ」
「なるほど、大泣きした理由を端的に聞いたぞ。
教官に要らないと言われてもう死ぬしかない――とかなんとか。そもそも教官って誰だ?」
まだそれはわからない。
「すーすー……」
「てか、俺はこの子をどうすりゃ良いんだ? 取り敢えずリアスちゃんのところに連れていくか……」
「じゃあ俺はこの子を一緒に探してくれてる山田先生やクラスメート達に見つかって保健室に連れていって貰ったと言っとくよ」
「あぁ、じゃあ頼む」
だって嘘予告なんだもの。
「私も仕事を手伝うぞ!」
「いや、授業受けろよ学生なんだからさ……」
「イッセーとリアスのお陰で『本当の自分』をやっと見つけられたんだ、その礼はこの命をもって返させて貰うぞ! だから手伝う!」
「だからさぁ、別に――」
「そ、それとも私は邪魔なのか? 要らないのか……迷惑……なの……か……?」
「が……わ、わかったわかったよ!! 頼むからそんな目で俺を見るな!!」
「あは♪ 嬉しい……えへへ……」
これも嘘だし……。
「ね、ねぇ……春人が怖いというか、最近お風呂入ってると、別にボディソープなんて切れてないのに替えのボトルをって言いながら中を覗いて来るんだけど…」
「何だアイツ、覗きにでも目覚めたのか? てかさ、変わらずうちの姉ちゃんと同室なのに、そもそも何で部屋に入ってくるんだよ?」
「そ、それがわからないから余計怖いんだ……! い、一夏には本当の事を事故とはいえ知られてるけど、春人は僕がまだ男子だと思ってる筈だから……」
「ひょっとしてホモだったのかアイツ……? やべぇな、シャルル君じゃなくてシャルロットさんなのに、男の塔なんて付いてないのに……」
「つ、付いてない所を一夏にバッチリ見られちゃったけどね僕……てへへ」
「ちなみに箒はもう見抜いてるからな?」
「え、嘘!?」
これも嘘だもの。
補足
流石に理性で抑えられるところは抑えてますが、リーアたんに何かしようものなら、限界突破して即若き日モードになっちまう……。
その2
最後の奴はさぁ……ネタフリされたからっつーか、うそからあんま気にせんといて?