色々なIF集   作:超人類DX

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や、ヤミたそがピーンチ!


地雷踏んだ結果

 容姿も性格も違うのに、その性質を見た時、リトは確かにイッセーに戻りかけた。

 急激な成長の理由が自分にあるというドライグの言葉を認めてはやる。

 

 だがしかし……それでもリトは――

 

 

「殺してやる……」

 

 

 リアスでも無い小娘にリアスの影がチラつくのだけは許せなかった。

 

 

「殺してやる――――――殺してやるっ!!

 

「……!」

 

 

 明確な殺意が荒れ狂う闘気となりてヤミに襲い掛かる。

 

 

ガァァァッ!!!

『っ!? 避けろ小娘!!』

 

「!? 誰かの声が――っ!?」

 

 

 その怒りはまさにリトを理性の無い獣へと変貌させ、技術もへったくれも無く力任せにヤミへと襲い掛かる。

 その瞬間、ヤミの耳に聞こえた聞き覚えなき声が入ると同時に今のリトがヤバイと理解し、咄嗟に身を躱す。

 

 

「死ねぇぇっ!!!」

『小娘、右だ!!』

 

「っ!? 一体誰なんですか!?」

『話は後だ! 避けなきゃ貴様が死ぬぞ! 今のイッセー――いや、リトは怒りで周りが見えてない!』

 

「その様です……ねっ!!」

 

 

 その声の正体はわからないが、怒りで理性が吹き飛んでいるリトの攻撃から的確に補助してくれているのだけは確かなので、力任せに地面を叩き割る拳を、空を切り裂かん勢いの裏拳を躱しながらヤミは使い勝手が何故か上がってる気がするトランス能力を使って距離を取る。

 

 

『よし良いぞ小娘、そのまま怒りが収まるまで躱し続けろ』

 

「それは良いですが一体貴方は何なのですか? そもそもどこから……」

 

『リトの左腕を見ろ。赤い籠手の様なものが見える筈だ』

 

「見えますが、あんな物をいつの間に……? そもそもアレは――」

 

「チョロチョロしてんじゃねぇクソガキィ!!!」

 

「うっ!?」

 

『説明は後でいくらでもしてやるから今は避けろ! 気を抜けば死ぬぞ!!』

 

「みたいですね、しかしあの結城リトが何故いきなり怒り狂ったのか……」

 

 

 技術もクソもない。手負いの獣の如く狂暴な形相で再び襲い掛かってきたリトに、謎の声との会話を中断し、当たればまず間違いなくタダでは済まない破壊的な一撃を躱しまくる。

 

 

「グォォォッ!!!」

 

「まるで野獣ですが、不思議な事に冷静な時のアナタの方が余程驚異的です……よ!!」

 

 

 金色の髪を変質させ、大振りの一撃の隙を突いて反撃に転ずるヤミには幸いな事に今のリトの動きが読め始めている。

 加えてヤミにとっては姿も形も見えない謎の声……ドライグからのアシストもあるので余計に解りやすかった。

 だが無尽蔵に近いリトとのスタミナの差はやはり顕れてしまう。

 

 

「くっ、そろそろ辛くなってきました……」

『スタミナの差が出てきたか。現状のリトでも三日三晩は全力で戦えるが……』

 

「ふ、ふざけたスタミナですね。聞いていた地球人像とはかなりかけ離れている」

『リトが例外的なんだよ……とはいえ、怒り狂っていているせいで余計な体力を消費してはいる。

そこで提案だ、隙を見て左腕の籠手に直接触れろ』

 

「あの赤い奴にですか? 触れたら何が……」

『やってみれば分かる。どうする? 出来るか?』

 

「どの道このままではじり貧が続き、やがて潰される……ならば貴方の言うことに賭けてみましょう」

 

 

 普通なら――普段ならこんな何処の誰とも知らぬ存在の言うことを聞くつもりはない。

 だが怒り狂うリトを上手く町から外れた廃工事現場まで誘導させられたのはこの声の主のお陰であったし、リトをよく知っているのはこれまでのやり取りで理解できた。

 ならばじり貧の果てに潰されるくらいならいっそ言うとおりにしてみる。

 

 

「死ね、10倍ドラゴン――

 

『今だ!!』

「はぁぁぁっ!!」

 

 

 大きな賭けだがヤミはBETし、以前とは違う構えでエネルギーを溜め始めたリトへと肉薄し――

 

 

「触れ……た!」

 

「!?」

 

『よくやった小娘!』

 

 

 リトの左腕に出現していた赤き籠手に触れる事に成功した。

 

 

「グォラァァッ!!」

 

「うぐっ!?」

 

 

 だがその瞬間両手にエネルギーを溜めていたリトがその動作をキャンセルし、地面を叩き割る程の威力の拳がヤミの身体を叩き、咄嗟に交差させて防いだ両腕がへし折られる音と共に地面へと叩きつけられた。

 

 

「う、うぅ……!」

『小娘! 生きているな……?』

 

「な、何とか……。不思議な事に……」

『咄嗟に貴様に向けて俺の力を分け与えたからな……さて、これで漸く止められる』

 

 

 ギリギリの瀬戸際で何とか命を繋ぎ止められたヤミはフラフラになりながらも立ち上がると、先程よりもより鮮明に謎の声が聞き取れていた。

 

 

『無理矢理になるし一時的にしかならんが、今から貴様に俺の力を分け与える。自分の左腕を見ろ』

 

「さっきよりも声が……って、これは……!?」

 

 

 その理由は、先程の大ダメージ覚悟でリトと左腕に触れた際に起きた裏技によるものであり、ヤミの左腕には先程までリトが身に付けていた赤き籠手が纏われていた。

 

 

『俺の名前は赤い龍(ウェルシュドラゴン)――――いや、長いのでドライグで構わん』

 

「ドライグ……」

 

『イッセー……否、結城リトを宿主にして今を生きる龍だ、宇宙にそういう生物が居るのなら特に驚く事でもないだろうが……』

 

「十二分に驚いています。それで、貴方が私に何を?」

 

『リトの怒りを鎮めて止める協力をさせろ。今の覚醒したての貴様一人ではではリトは止められん』

 

 

 自身の左腕に出現する不思議な籠手から発せられる声が協力すると申し出ている。

 色々と他にも知りたい事はあるが、確かに今のリトを止めるには一度眠らせなければならないかもしれない。

 

 だからヤミは黙って頷き、既に殺意の塊となって再び襲い掛かってきたリトを見据えながら構えた。

 

 

「来る……!」

 

『基礎戦闘力は及第点だ。だからその力を俺が底上げさせる……行くぞ―――Boost!』

 

 

 既にドライグが一時的にヤミに力を貸している事すら分からなくなっているリトが獣を思わせる咆哮と共に右の掌にエネルギーの弾を作ってそのまま殴りかからんと振り下ろさんとしている。

 

 

「!? 力が……!」

 

 

 それと同時にドライグの力がヤミの全身に駆け巡った時、彼女は今までに無かった力のみなぎりを感じ、振り下ろしたリトの拳を―――――掴んだ。

 

 

「な……ニィ!?」

 

「この力のみなぎりは……」

 

『驚くのは後だ、今の防ぎでリトに隙が出来た! 行け!!』

 

「っ……はっ!!」

 

「ぐぅ!?」

 

 

 ドライグに言われてハッとしたヤミはそのまま髪を変質させ、リトの顎にアッパーカットをする。

 

 

「き、効いた……?」

 

「ぐ、お……?」

 

 

 出来てかすり傷しか与えられなかったダメージが今初めてまともに通った事に驚くヤミにドライグが追撃をかけろと激を飛ばす。

 

 

『もう一段階倍加する、一気に畳み掛けろ!!』

 

「っ!? さ、さっきより更に力が……! これなら……!!」

 

 

 顎に貰った事で脳が揺らされ、フラフラとおぼつかない足取りに戸惑うリトに向けて二段階目の倍加を与えられたヤミは髪を拳の形に変質させ、ありったけの数をリトの全身に叩き込む。

 

 

「ぐ、ぐぉぉぉっ!?」

 

「っ、倒れろ、倒れろ! 倒れろ! 倒れろっ!!!」

 

 

 最早宇宙の殺し屋としての面は無い。ただ目の前の暴走した少年を倒す為にヤミはらしくないレベルの感情を爆発させ、全力の追撃を何百発と叩き込む。

 

 

「図に乗るなクソがァッ!!」

 

「!?」

『まずい! 避けろ小娘!』

 

 

 だが相手は復讐の為にかつて人の理から外れた人外。

 そのタフネスもまた化け物であり、極限にまで達した怒りの一撃がヤミの眼前へと迫り、ドライグが焦った様に避けろと叫ぶも、その拳の先はは彼女の頬へと到達し――

 

 

「!?」

 

 

 首を傾ける事で拳の力を逃がした。

 

 

「今やっと理解した――そした覚えた……」

『小娘……お前……』

 

 

 目を見開いて固まるリトにヤミは小さく呟く。

 その時間は瞬きすら許されない程の僅かな時間だったが、ヤミは確かに言った。

 

 

「今の貴方に勝っても、勝った気なんてしない……! だから頭を冷やしてください!!」

 

 

 開けた扉の意味を。

 薄く細い僅かな時間が永遠にも思える程にすら感じながら、ヤミは自身の一撃の威力を逃がされた事に目を見開くリトに向け、トランス能力による一撃ではなく自身の一撃を――

 

 

『explosion!!』

 

 

 叩き付けた。

 

 

「…………………」

 

「はぁ、はぁ……はぁ……!」

 

 

 顎に叩き付けた渾身の一撃により、リトの身体は吹き飛ばなかったものの白目を剥いてその場に崩れた。

 うつ伏せに倒れるその姿を見たヤミも、限界以上の力を無理矢理引きずり出した反動がアドレナリンが切れると共に訪れ、全身を襲う痛みと疲労によりその場に尻餅をきながら息を切らす。

 

 

「ぎ、ギリギリだった……」

 

『よくやった小娘。礼を言う……』

 

「ええ、まったくです。

意識は私が持っているのに、意識を失った結城リトは殆ど無傷ですからね……これじゃあ勝った気にすらなれない」

 

 

 ただ意識を手放し、殆ど無傷のリトに比べて満身創痍なヤミはらしくもなく冗談っぽく話す。

 誰も居ない廃工事現場に流れる風が虚しくも彼女耳に流れる中、いつの間にか意識の無いリトの左腕に戻っていたドライグが何者かを問う。

 

 

「結局貴方な何なのですか? それに結城リトは何故これ程までに怒りを……? ――――いえ、何故怒り狂ったのかは何となくわかってきましたけど」

 

『約束だから話はする。だがこの事は誰にも洩らさないで欲しい』

 

「言った所で信じて貰えそうにも無いですからね。約束しましょう」

 

『なら左腕にある俺に触れてみろ』

 

 

 ドライグとは違う自分の中にあるナニかについても、そして結城リト自身についても知る必要があるとヤミは、気絶するリトの左腕にあるドライグの籠手に触れた。

 

 

『今から俺が見て記憶したものを見せる。信じるかどうかは貴様に委ねる』

 

「…………!」

 

 

 そして流れ込むドライグの記憶はヤミにとっても到底信じられないものだった。

 神によって転生した人間に全てを奪われた茶髪の少年。

 

 その少年がリトと同じ様に左腕に籠手を纏って己を鍛え、そして使いこなす。

 

 そして今のリトと同じ頃の歳になった際に出会った同じ奪われし者達と赤髪の綺麗な少女。

 

 

「これは……」

 

 その者達と共に更なる力を身に付けていく過程で、少年は赤い髪の少女と惹かれ合っていき、お互いの中に持つ性質を補い合っていく。

 

 

「この人は私と同じ……?」

 

 

 その少女がたった今自覚した自分のコレと酷似している事も……。

 ドライグの記憶を見終え、閉じていた目を開けたヤミは何故リトが怒り狂ったのかを完全に理解した。

 

 

「結城リトは……その、兵藤イッセーという者の生まれ変わり……という奴ですか?」

 

『………………………』

 

「だから……彼女と同じ性質を持った私が許せなかった……」

 

『あぁ……』

 

 

 結城リトの本質まで知ってしまったヤミはドライグの肯定の声に対して無言でリトの姿を見つめる。

 

 

「私はリアス・グレモリーじゃない……」

 

『わかっている、その事に関しては俺が必ず解らせる。貴様には迷惑を掛けたな』

 

「いえ……」

 

 

 自分はリアス・グレモリーではない、そしてリアスにはなり得ないしならない。

 全てを知った上でヤミはそう宣言すると、ヨロヨロと立ち上がる。

 

 

「私は金色の闇であってリアス・グレモリーではない」

 

 

 生まれも育ちも種族も違う。だからなろうとは思えないし思わない。

 ヤミは再びそう呟くと、踵を返す。

 

 

「だから貴方を仕留める――必ず」

 

 

 やはり仕留めるべき相手である事を改めて認識したヤミはそのまま立ち去ろうとする。

 皮肉にも結城リトによって得られた未知なる領域への道をモノにする為に……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 なんて宣言をしたヤミだが、事件はこの時起こった。

 

 

「え?」

 

 

 今度は素面のリトを倒して今度こそ仕留めるという宣言をして去ろうとした時だった。

 そのまま歩こうとした彼女の足首を突然リトがうつ伏せのまま掴んで止めたのだ。

 

 

「!」

 

 

 咄嗟に臨戦態勢に入るヤミだが、足を掴んで離さないリトは確かに意識を失っており、何やら呻き声にも似た声が聞こえたのでよくよく耳を傾けて聞こうとしたのだが、多分それが間違いだった。

 

 

「り、リアスちゃぁん……!」

 

「っ!?」

 

 

 足首を引っ張られ、そのままバランスを崩してひっくり返ってしまったヤミは再び尻餅をついたのだが、気絶してるというよりは単に寝ぼけてる様にしか見えないリトが突然、聞いた事も無いだらしのない声でヤミの腰に腕を回して抱きついてきたのだ。

 

 

「な、ななっ!?」

 

 

 余りに突然すぎて驚いて硬直してしまうヤミに、ドライグがなんとも言えない声で話す。

 

 

『寝ぼけてるな。多分リアスと楽しくやってる夢でも見てるのだろう』

 

「だ、だからって何で私が……ぐ、腕の力が強い……!」

 

『スマン、色々と本当に……』

 

 

 リトの保護者の如くひたすら腰を低くして謝るドライグにヤミはバシバシとリトの頭をトランス能力まで使って叩いてやっても起きる気配も無く、それどころか腰に回した腕の力を離さんとばかり強め……位置的に胸元に顔を埋め始めた。

 

 

「な、何を! え、えっちぃのは嫌いです!!!」

 

『済まぬ、こうなると中々起きんのだコイツは』

 

 

 普通なら即お縄案件なのでドライグもとにかく謝るが、やられてる本人からしたら溜まったものではないし、自分はリアスではないのだ。

 だから思いきり叩き起こそうと渾身の力を込めたその瞬間だった――

 

 

「ん……あ、あれ……リアスちゃん……? 胸しぼんだ……?」

 

「………………………………………………………」

 

『ね、寝ぼけてるだけだから。なっ?』

 

 

 今度はリトが地雷を踏んだ。ヤミの。

 一気に表情が冷酷になるヤミ。

 

 確かにドライグの記憶に見たリアス・グレモリーは胸も何もかもアレだったが、萎んだとは何だ。

 

 

「………………」

 

 

 この日、廃工事現場が原因不明の更地に変貌した……らしい。




補足

殆ど無傷です。
ヤミたそ頑張りました。皆さんで褒め称えましょう。


その2
ていうかドライグさんのアシストのせいでヤミたそが世界で最初に知ってしまったという、ロケットで横をぶち抜いた感が……。


その3
……まぁ、リアスちゃんと比べたらしょうがないよね。

でもほら、ヤミたそだから大丈夫さ!

ヤミたそー

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