色々なIF集   作:超人類DX

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ダラダラっす。
ホントにダラッダラ。

いやーうん……


決意の王

 話は纏まったという事になってるが、実際はそうでは無い。

 ライザー・フェニックスが俺に対して『見誤っていた』と言っていたが、それは俺も同じだ。

 まさか悪魔という存在自体が異能である存在の中にもなじみの様な雰囲気を持った存在が居たなんて、ただただ驚く結果でしか無く……更には。

 

 

「確実に今の俺の上を行ってる。

フフ……ライザー・フェニックスか」

 

 

 久々に立ちはだかる壁をライザー・フェニックスから感じた事から、奴は俺の上に立つ男と簡単に推測出来た。

 素を見せたあの時に体内のリミッター(なじみ曰く乱神モード)を外しておかなければ、あのプレッシャーだけで俺は潰されていただろうし、何より……。

 

 

「黒神ファントムをああも簡単に止めてくるとは……ふふ」

 

 

 なじみに教えられた技で最も気に入って使用し、教えられた時から独自に訓練して使い慣れていた筈の黒神ファントム.モデル1stを、挑戦する意味合いでぶちかましてみれば、楽々と……しかも片手で体当たりしようとした俺の身体を止めたのだ。

 大きな壁を感じざるをえない……そして心が踊る感情しか浮かばない。

 

 

『期限は10日。互いの準備期間としては十分だろう? じゃあな兵藤、リアス……』

 

 

 飛んできた蝿を追っ払うかの如く、黒神ファントムした俺を片手で止め、そして床に叩き付けた後にリアスと俺へ向けて笑みを見せたライザーは、10日というチャンスまでも与えてくれそのまま去っていった。

 その際、ライザーと同じく金髪でちょっとつり目の女が俺を見ていたのが印象に残ったが……。

 

 

「10日か。

クフフ……彼を驚かせるのには十二分な期間だな」

 

「自分の身まで勝利恩恵の対象にされてるというのに……やっぱりイッセーって少し戦闘狂の気があるわね」

 

 

 ライザー・フェニックスとその眷属達は、メイド悪魔と共に冥界とやらに帰っていった。

 そして部室に残るは俺とリアス率いるオカルト研究部の面子達。

 ライザー・フェニックスの底知れぬ異常性を垣間見て不安がっている木場同級生、姫島三年、搭城一年には申し訳ないと思いつつも、先程から湧き出てきて仕方ないわくわく感についつい笑みが浮かんでしまう俺をリアスが呆れたといった顔で見てくる。

 兄貴は……相変わらず俺を毛嫌いしてると解る目を向けてきてるけどね。

 

 

「でもどうするんですか? 兵藤君の力量が本当に予想外の領域にあるのは認めますけど、このままだと私達は確実に彼に負けますわよ?」

 

「わかってるわ……その為の10日なのもね」

 

 

 姫島三年がリアスに問い掛け、リアスが頷きながら答える。

 そう……リアスが言うように10日もある。

 やりようによっては食らい付ける所まで強化は出来る。

 まあ今回は食らい付けるだけじゃ駄目なんだが……。

 

 

「勘を取り戻す為に、なじみに『10日間一緒に引きこもってくれ』と頼めばなんとかなるが……」

 

「え、彼女に頼るの? なんていうか……10日で千回は死んでしまいそうな気がするわね」

 

 

 ちょっと不安そうか表情を浮かべるリアスに、俺も思わず笑ってしまう。

 実際は千回じゃ足りないくらいハードなんだよって意味ってのもあるが、俺は極力なじみの力は借りない主義なのだ。

 

 

「いや借りない。

ライザー・フェニックスだって、自分の仲間以外に隠し続けたまま己の力であそこまで上り詰めたのだからな」

 

 

 そもそもなじみが引き受けてくれるかも分からんしね。

 アレで結構めんどくさがりだし、何でもかんでもアイツを頼るのはちょっと違うと俺は思ってるし………っと?

 

 

「その気位は誉めて遣わせてやっても良いが、決してそれは美徳とは言えねーぜイッセーくんよ?」

 

 

 突如この場に居る誰でもない、少女の声が俺の真後ろから聞こえ、その声に聞き覚えのある俺とリアス以外がハッとしたように俺の真後ろに視線を向けると、それは俺の影の様にヌッとその姿を現す。

 

 

「……。相変わらず耳が早いわね、安心院なじみ」

 

 

 長い髪とセーラー服という、見た目は本当に俺等と年の差を感じさせない容姿を永遠に保つ俺の師である安心院なじみに、見覚えの無い木場同級生、姫島三年、搭城一年、そして兄貴は警戒した表情と空気を醸し出すのをリアスが手を軽くあげながら制止させつつ、何とも言えない様子でなじみを見つめていた。

 

 

「まぁね、世に出した弟子がどういう成長(ケッカ)を見せるのかは僕の最近の楽しみなんだよ。

まさか同類と名乗る悪魔くんがあんな事を言うとは安心院さんもビックリしたけどね」

 

「どうかしら……」

 

 

 な、イッセーくん? とヤケにニヤニヤしているなじみに、俺はさっきライザー・フェニックスから言われた敗北した場合に置ける事柄について思い出し、何と無く目を逸らす。

 

 

「聞いてたのなら話しは早いが、俺はお前の力は借りないぞ。出来れば今回は己のやれる範囲で成長したい」

 

 

 そして話を本題に入れる。

 何と無くね……ホントに何と無くな。

 

 

「ん、まあそれならそれで僕は構わんよ。

どうせ頼まれても『一誠』……お前しか相手にするつもりなかったしねー」

 

 

 『僕はそこまで面倒見の良い奴じゃないもの』と締めるなじみに対してリアスが眉を潜め、兄貴達はただただ成り行きを見てるだけしか出来てない様子の中、俺には教えるつもりで、他の者には教えないその理由(ワケ)を聞いてみる。

 

 

「一応聞くけど何でだ? お前なら10日どころか2日で彼等を……」

 

「あー……まー……出来るちゃあ出来るよ。

今から全員を半日程でサーゼクス・グレモリー君くらいには出来るよ」

 

「じゃあなんで……。

アナタだって既に知ってるでしょう? 負けたらライザーの妹とイッセーが……」

 

「うん、それもわかってるけど僕は別に慌てもしなければ悲観もしちゃいない。

現時点であの悪魔くんが一誠の格上だとしても、それでも僕の弟子が越えられない……なーんてあるわけが無いと思ってるし」

 

 

 む……くすぐったいな……。

 

 

「第一、ハッキリ言えばキミ達悪魔のようなベクトル違いの人外を一誠が認識・理解した今では、10日もあれば一誠単騎で冥界を征服出来るくらいに仕上げる事くらいに造作も無いよ。

ま、本人は昔から自己上昇主義で僕に極力頼る真似はしないけどね」

 

 

 『そして僕もそんな意味の無い事はしない主義だし』とニコニコと実に人の良さそうな笑みを見せ、人に対して語りかける際によく取るポーズを人差しを立ててながらリアスにこうも言った。

 

 

「20数年前までの僕は大なり小なり誰に対しても平等的に接する様にしてた。

それがとある世界でとある主人公に感化され、12年前に――言うなれば『イレギュラー』にその資格を剥奪された一誠と出会い、その時の気まぐれで育ててみた結果、今の僕は実に不平等だ。

その理由は――キミになら理解できるだろう?」

 

「……。だからアナタは私達には何もしないと?」

 

「うん。

どうせ教えても『今の』キミでは僕のセッティングするプログラムをこなせるかどうか怪しいし、仮にプログラムを完了して強くなってゲームに勝利しましたー…………なんて結果にキミ自身は納得できるのかな?」

 

 

 そう言ってソファに座りだすなじみにリアスは何も答えず無言で俯く。

 

 

「そうね、確かにそう。

元を辿れば私が原因だものね」

 

 

 そして小さく呟き俯かせていた顔を上げると、真っ直ぐとなじみを見据えた。

 

 

「良いわ。それこそが貴女からの『課題』だというのなら、イッセーが嘗てそうだった様に、私も乗り越えて見せるわ」

 

 

 迷いを切った言い方に、話が見えてこないって様子の姫島三年達に説明を挟みながら見守っていた俺は思わず口が緩む。

 なじみの『直接教えない』という言葉からそこまで察する事が出来たのなら上等だ。

 ククッ、教えないなんて紛らわしい事言っておきながらしっかりリアスに課題を与えてる辺り、結構リアス自身を気に入ってるな? 俺には何と無くわかるぜなじみ。

 俺もそうだからな。

 

 『何処の誰とも分からん連中』から『我儘姫』だの『無能王』だのと笑われしまおうとも、挫けずに登ろうとする姿勢を今見せた時点で、なじみの課した遠回しの試験は合格してる。

 

 後は…………。

 

 

「なじみ……。

レイナーレとアーシアに『10日間程学園を頼む』と伝えといてくれんか? あと『コレ』を預けとくともな」

 

 

 『会長』の腕章だけを外し、リアスを見ながら薄く微笑んでるなじみに渡す俺もリアスの覚悟に応える必要がある。

 

 

「別に良いけど、レイナーレちゃんのご機嫌が下降しちまうだろうぜ?」

 

「む……だったらスマンと言っといてくれないか? 埋め合わせはするともな」

 

 

 今だけ『生徒会長』の称号を返上し、只の兵藤一誠に戻る。

 その事自体身勝手過ぎる行動かもしれんし、友の為だとか言い訳に聞こえるかもしれない……いや事実そうだ。

 何せ俺は……。

 

 

「どんな壁を前にしても登ろうとする奴が、人も悪魔も堕天使も何もかも問わずに俺は大好きだ。

だからリアス……一緒に這い上がろう。で、ライザー・フェニックスを驚かせてやろうぜ」

 

「ええ、やってやるわ……!」

 

 

 差し出した手を取ってくれたリアスの表情は好戦的な笑みを見せている。

 これでリアスはもう平気だ……いや、もしかしたら俺以上に成長をの見込みがある分……フフフ。

 

 

「木場同級生、姫島三年、搭城一年、兄貴……貴様等はどうする?

なじみの事はさっき横で説明させて貰った通りだ。

まあ今回は『教えない』からあんまり関係ないかもしれんが……」

 

「話がぶっ飛び過ぎて実感は沸きませんが、私はリアスに付いて行きますわよ……変わりません」

 

「僕も同じく」

 

「私も先輩達と同じです。

何も出来ずに負けたままは嫌ですから」

 

 

 それはリアスという『王』に感化された眷属達も同じであったらしく、しっかりと意思の見える目を俺達に向けていた。

 実に素晴らしい……………が。

 

 

「兄貴はどうだ?」

 

 

 最後の砦である兄貴だ。

 正直、兄貴の才能はべらぼうに高いのは俺は知ってるつもりだ。

 故に10日後に開かれるゲームとやらに必要なのも理解している。

 

 

「………」

 

 

 ずっと言葉を発する事無く、俺となじみを何を考えているのかイマイチ読めない目で見てただけの兄貴は、俺の問い掛けに返事をしてくれない。

 

 

「俺という存在は無視で構わん。

リアスに付いて行くのか―――――っ!?」

 

 

 興味無さげに兄貴じゃなくて部室を見渡してるなじみ以外が兄貴に視線を向け、その中の一人である俺がどうするのかと問おうとした瞬間の話だった。

 突如、憎いという感情が吹き出ている様な目付きと形相を浮かび上がらせた兄貴が殺気を向け、思わず身構えてしまった俺に向かってこう口を開いた。

 

 

「化物になった理由がそこの女のお陰なのは分かったよ。

成る程……要するにお前はそこの女を使って強くなっただけだったんだな……」

 

「セーヤ、アナタまだそんな事を……! イッセーは……!」

 

 

 怨念、憎悪、憤怒……そんな感情を感じさせる兄貴の物言いに、リアスが顔を歪ませながら咎めようとするのを手を上げて制止させる。

 

 

「……。何が言いたいんだ兄貴?」

 

「御大層な事を言っておきながら、結局お前のその才能とやらはそこの女によって『作られた』ものだろうが。

それで偉そうにほざくなよ」

 

「っ……!」

 

 

 吐き捨てる様にして言った兄貴の言葉に俺はほんの一瞬だけ全身を駆け巡る血管が沸騰しそうになった……が、それは一瞬の出来事であり、すぐに冷静になれた。

 他ならぬリアスとなじみが無意識に兄貴に突っ込もうとしていた俺の両肩を押さえてくれたからだ。

 

 

「………。スマン二人とも」

 

「構わないわ……」

 

「一々怒んなよ。まあ、否定される辛さは分かるがな」

 

 

 少し怒ってる様に見えるリアスといつも通りのなじみに謝ると、二人は其々気にするなと言いつつ、リアスは俺の手を握り、なじみは薄く笑いながら俺を睨む兄貴の前に立つ。

 

 

「それで? 言いたい事はそれだけか小僧?」

 

「言いたい事? そんなもの――――ッッ!?!?」

 

 

 そしてなんというか、何時もより若干低い声と完全に見下した目をしながら兄貴を威圧し始めた。

 その重苦しさと死への錯覚は、先程のライザーなぞ可愛いレベルなまでの極悪さであり普段が普段ゆえに迫力が半端なかった。

 リアス、姫島三年、木場同級生、搭城一年も……此処に来て初めて『なじみ』が『なじみ』である理由を思い知り、ダラダラと冷や汗を流しながら膝を付いている。

 

 

「ぅ……あ……あぁっ……!?」

 

 

 それは真正面に立たされている兄貴には如実に伝わっているせいか、今にも吐きそうな死人を思わせる顔色のままその場にヘタリ込んでしまっている。

 そういや、なじみが他人を威圧するなんて割りとレアだな……大体は笑顔で強烈な皮肉をぶつけて折るだけなのに。

 

 

「何でもかんでも上手く行かない理由を全て『一誠の存在』にする時点でキミは所詮、成り代わりにすらなれんカスだな。

一体何処の誰にそうさせられたのかは分からんが……一つだけ教えてやるよ。

確かに一誠は僕の弟子だが、今の一誠があるのは彼が自分自身で積み上げたものであり、僕が関与した事は無い――――なーんて言ってもキミは信じないだろうし、信じて貰う必要も無いが、次僕の前で同じ事をほざいてみろよ――」

 

 

 安心院さんでも怒っちゃうぜ?

 それは擬似的な死刑宣告にも近く、そうやって締めるなじみの威圧感を受け続けた兄貴はそのまま昏倒してしまった。

 

 

「なじみ、もう良いって……兄貴が泡吹いちゃってるってば」

 

「おや? ついつい熱くなってしまった。

やっぱり一誠のせいで贔屓屋になってるね僕も」

 

「ごめんなさい。本当なら私が言うべきだったのに……」

 

「「「……」」」

 

 

 ケロッとまた何時もの雰囲気に戻ったなじみに、関わりが薄い三人はちょっと怯えていた。

 まあ、うん……仕方ないよな。

 俺だってああ言う怒らせ方はしたことないからな。 

 やっぱし兄貴はある意味スゲーぜ。




補足

大丈夫、まだ兄貴は見限られてない!





てか、やはり感想を貰うと書き書きが捗るね。
ダラダラな内容ですけど

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