色々なIF集   作:超人類DX

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300越えてたので単発。

その内消します。

クロスです


勝手に記念
300話越えたから勝手に記念単発『生まれ変わった龍帝と妖怪』


 人以外の全てを憎んだ男が居た。

 

 その男に何度も拒絶され、殺されかけても尚拘り続けた少女が居た。

 

 二人は何度も殺し合った。

 片方は嫌悪と殺意を剥き出しに、片方はそんな男の感情を愛と思い続けて。

 

 

 その戦いは誰にも止められない。

 戦えば戦う程無限に進化し続ける化け物となった二人に茶々を入れる事など誰も出来はしなかった。

 

 

「これで漸くテメーをぶっ殺せる」

 

「鬱陶しい仕掛けも全部食い尽くせましたからねぇ?」

 

「くっ……。下等生物の分際で神である我に干渉するなど……!!」

 

 

 けど、そんな二人は今、全てを思い通りに出来る神を前に並んだ。

 生物の枠を越え、神すらも踏み越え始めた化け物消そうとする邪魔者を消す為、二人は共に戦ったのだ。

 

 

「嘗めるなよ下等生物がぁッ!!」

 

「「っ!」」

 

 

 外の神を自称する者が全身から巨大なエネルギーを放出する。

 その力は地を砕きながら二人に襲い掛かる。

 

 

「チッ! 神を名乗るだけあってしつこいぜ」

 

「お陰で星が滅茶苦茶ですよ……!」

 

 

 既に疲弊しきっている二人は両手を突き出してそのエネルギーを止めるのに精一杯だ。

 だがそんな中、奇しくも力を合わせる結果となっている大嫌いな白い猫に向かって男は言った。

 

 

「おい、あの野郎を始末出来た後の約束を覚えてんだろうな?」

 

「先輩……」

 

「覚えているのかって聞いてんだ!!!!」

 

「……………。覚えてますよちゃんと。

先輩の言うことならちゃんと聞くと昔から言ってるのは先輩なら一番知ってるでしょう?」

 

「っ!? クソが、だからお前が嫌いなんだ」

 

 

 

 こんな状況でも尚笑う白い猫に、男は吐き捨てると彼の左腕にある赤い籠手から声が聞こえる。

 

 

『ふっ、仲直りは済んだか?』

 

 

 男にとっての相棒の龍の声に、男は嫌そうな顔をする。

 

 

「死んでも直るかよ……!」

 

 

 大嫌いなんだからな! そう心の中で付け足した男は少女と共に最後の力を振り絞った。

 

 

「「ハァァッ!!!」」

 

 

 

 赤と白銀色のエネルギーが神の力を砕く。

 

 

「なっ!?」

 

 

 砕かれた神は尚力を残す二人の化け物に戦慄し、硬直してしまう中、殺し合ってきた化け物二人は――

 

 

「うおぉぉっ!!」

 

「ハァァァッ!!」

 

 

 神へ最後の戦いを挑んだ。

 そして――

 

 

 

「俺を奴に向かって投げ飛ばせぇっ!!」

 

「!? 分かりました!」

 

 

 ただひたすら進化し続けた二人は……。

 

 

「がぁっ!? じゃ、邪魔をするな人間が!!」

 

「ぐはっ!?」

 

「いい加減に死――」

 

「だぁぁぁっ!!!」

 

「な、なにぃ!?」

 

 

 共通の敵と戦う事で……。

 

 

「「うぉぉぉっ!!」」

 

『決めろ! イッセー! 白音!!』

 

「こ、この我が……! こんなちっぽけな生物二匹に――

 

 

 

 

 

 

 

「「ハァァァッ!!!!!」」

 

 

 神を越えた領域に進化する。

 そして神との戦いの果て、二人は世界から消え去った。

 

 

 

 

 

 

 その果てにどうなったのかは誰にも分からない。

 生きているのか、それとも死んだのかさえも。

 

 ただ、その戦いを知る者は口を揃えて言うだろう。

 

 究極の聖戦と……。

 

 

 その後、戦いの果てに神を屠った白い猫と赤い龍帝の姿を見た者は居ない。

 何故なら二人は全く別の世界へと飛ばされたのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 力はある、相棒も居る、衰えている所は何一つない。

 問題なのは俺が俺でない者に生まれ変わって居るという自覚と記憶があることなのだ。

 

 

「…………」

 

『15年かあれから……』

 

 

 白ガキと協力せざるを得なかった神をぶちのめしてから15年、兵藤一誠であった俺は名前も顔も違う者に生まれ変わり、元に比べたら死ぬほど平和な世界で普通に生きてきた。

 両親も居るし、捨てられる事も無く、ただただ普通に――俺がある意味求めていた生活を送ってきた。

 

 

『本当に良いのか?』

 

「…………」

 

 

 だがそんな普通の生活も、高校に進学する事で終わる。

 何故なら俺はこれから普通じゃない高校に入学するのだから。

 

 

『15年も白音が接触してこないのだから、この世界には居ないのかもしれんのだぞ?』

 

「いや、居るね。あのガキは絶対にどこかで生きている」

 

 

 その理由は、あのガキ――白音がこの世界に俺と同じ様に生存しているかもしれないから。

 そして奴と決着をつけなければならないから。

 その為には普通では無い者が集まる所に出没する可能性を考え、俺もそこに侵入する必要がある。

 

 だからこそ俺は、この世界に居る時からあちこちで感じた人じゃない気配が多く集まる場所を探した結果見つけた場所――

 

 

「あんたも……陽海学園に入学する生徒かい?」

 

 

 その場所に行くのだ。

 

 

「これから入学するんです」

 

「ヒヒ、だったら覚悟しておくことだ……この長~いトンネルを抜けるとすぐに学校だ。陽海学園は恐ろしい学校だぞ~~~~!!」

 

陽海(ようかい)だけに、ですか?」

 

「ヒヒッ!」

 

 

 薄気味悪いバスの運転士と短い会話を交わしてトンネルを抜ける。

 

 

『感じる。多くの人間とは違う気配だ』

 

「あぁ……」

 

 あのガキに借りを作ったままなんて真っ平ごめんだと思う俺は、到着と共にバスを降りて湿っぽい森林地帯を抜けていく。

 

 

「………」

 

 

 もし居たら借りを返す。

 その決意を胸に、違う人間に生まれ変わっても密かに鍛えた力を軽く放出すると、森林がざわめきカラス達が悲鳴の様な鳴き声と共に大量に飛び立つ。

 

 

「ど、どいてください!!」

 

 

 するとカラスの鳴き声に驚いたのか、後ろから走ってきた自転車のハンドル操作を間違えでもしたのか、前を歩いていた一誠に突っ込んできたのだ。

 

 

「あ?」

 

『む……?』

 

 

 振り返った一誠の目に飛び込んだのは、長いピンク髪の少女が乗っている自転車をウイリー走行させている画であり、その前輪がそのまま顔面に――

 

 

「へぶ!?」

 

「………」

 

 

 ぶち当たる……という事は無く普通に横にズレて避けた。

 その代わりピンク髪の少女はそのまま大木に激突してしまい、転んで自転車をおしゃかにしてしまう。

 

 

「い、いたたた……」

 

「…………」

 

『人間じゃないなこの小娘は』

 

 

 転んで自転車を破壊した少女が尻餅をつきながら痛そうしているのを見下ろす一誠と、その少女が普通じゃないのを見抜く相棒と暫く眺めていると、少女がこちらに気付いて慌てて立ち上がる。

 

 

「あ、ご、ごめんなさい! 怪我は……」

 

「いや」

 

 

 少女の謝罪にぶっきらぼうに返す一誠。

 するとそんな一誠の服装を見て気付いたのか、少女が尋ねてきた。

 

 

「あれ、その制服はもしかして、貴方も陽海学園に?」

 

「まぁ」

 

 

 あんまり話を広げる気が無い一誠はとても無愛想な返事をするのだが、気にしないタイプなのだろうか、少女は笑顔を浮かべている。

 

 

「私もそうなんです! 私、赤夜萌香っていいます!」

 

「………………」

 

『…………。名前くらい教えてやれば良いんじゃないか?』

 

 

 別に聞いてないんだけど。と内心呟く一誠の心を読んだのか、相棒の龍が呆れた様子で教えてやれと言う。

 相棒に言われてしまえば仕方ない……そう思った兵藤一誠は、この世界で生まれ変わった際に授かった名前を口にした。

 

 

「青野月音……」

 

 

 皮肉にも、あの白猫の真名と同じ音が入る名を。

 

 

「月音か、私の事は萌香って呼んでね?」

 

「………」

 

『警戒心の無い小娘だな』

 

 

 名を教えた途端、いきなり下の名前で呼んでくれとグイグイ来る少女にドライグが同意せざるを得ない感想を洩らしている。

 人外が嫌い――という感情すらも既にどうでも良くなっていた一誠改め月音はそのまま背を向けたのだが。

 

 

「あ?」

 

 

 突然その萌香なる少女が背中に抱きついてきたのだ。

 

 

『よせよイッセー』

 

 

 脊髄反射的に引き剥がしてぶちのめすのではないかとドライグが先に釘を刺す中、いきなり抱きついてきた萌香は一旦月音を解放して向かい合わせると、まるで発情期に入った白音を思わせる表情で言うのだ。

 

 

「おいしそう……」

 

「…………?」

 

「私ね、この香りが好きなの……」

 

 

 そう言ってちょっと鋭い犬歯が光る口を開けて月音の首筋に突き立てようと――

 

 

「ぶぇ?」

 

「鬱陶しいからベタベタするんじゃねぇ」

 

 

 する事は出来ず、両頬を片手で掴まれた阻止されてしまった。

 

 

「吸血鬼の類いかお前?」

 

「あ、うん……よくわかったね?」

 

 

 引き離された萌香は、ちょっと残念そうな顔をしながらも正気に戻ってうなずく。

 

 

「あれ、あんまり驚かない? 吸血鬼(ヴァンパイア)って力の大妖って呼ばれてるのに」

 

「驚いてるよ一応……じゃあね」

 

 

 どうやらこの世界の吸血鬼はそれなりに強いランクらしいと初めて知った月音はとりあえず口だけは驚いたとだけ言ってそのまま彼女を放置して行こうとする。

 

 

「あ、待ってよ! 一緒に……」

 

 

 それを見て萌香は慌てて後を追いかける。

 ………首元のロザリオが鼓動していることに気付かないで。

 

 

 これは皮肉にも、借りを返す為に白い猫を探す生まれ変わった龍帝の話。

 

 

 

「うちは妖怪が通う妖怪の為の学校でーす」

 

「白ガキと同族か? あの担任は」

 

『恐らくはな』

 

 

 妖怪だらけの学校。

 

 

「あ、月音~!」

 

「………」

 

『おい、小娘が呼んでるぞ?』

 

「………………。なに?」

 

「一緒に学校の中を見に行きましょう?」

 

「そこで俺を睨んでる連中に頼めば?」

 

『変に懐かれたな……』

 

 

 最悪な事に容姿が良い萌香に絡まれて変な意味で目立ったり……。

 

 

「よぉ待ってたぜ色男?」

 

「…………」

 

 

 そのせいで妖怪男達に呼び出されてしまったり。

 

 

『話にならんな』

 

「ひ、ひぃぃぃっ!!?」

 

「…………」

 

 

 でも即落ち2コマ単位でぶちのめし。

 

 

「ふむ、こうして話すのは初めてだな月音よ?」

 

「………」

 

「おい! 無視するな!!」

 

「チッ、はいはいはいはい、何だよ吸血鬼? 今俺は暇じゃないんだよ」

 

「なっ!? も、もっとあるだろう!? こう、力を解放した私を見て驚くとか!」

 

「わぁーすごーい(棒) ………………満足した?」

 

「き、貴様……身の程を知れ!」

 

 

 所謂裏萌香を相手にしなかったら怒って襲ってきて……。

 

 

「な……!」

 

「満足したか吸血鬼?」

 

 

 片手間に遊んでやって……。

 

 

「お、お前は一体……私の力が通用しないなど」

 

「さぁね、教えない」

 

「ま、待て!」

 

 

 変に関心を持たれて……。

 

 

「おい」

 

「チッ、居ない」

 

「おい!」

 

「教師の中には混ざってないか。なら上の学年――」

 

「おいってば!! 聞け! わざわざ私になってるんだから聞――」

 

「さっきから後ろでガタガタとうるせぇんだよボケェ!!」

 

「う……」

 

 

 そのしつこさについついキレてしまい……。

 

 

「ピンク状態はまだ空気が読めるが、その状態のテメーはマジでうぜぇ……! 今すぐ戻れクソが!!」

 

「わ、わかった黙る! 黙るから取り合えず無視はするな! なっ!?」

 

「チッ!」

 

 

 力の大妖はその剣幕にちょっとビビるという、妙なやり取りの日々が続くなか、本人が探す白音は見つからずに様々な妖怪と知り合ってしまう。

 

 

「サキュバス?」

 

「あぁ、目を合わせると催眠状態に陥ってしまうのだが、やはりお前には効果が無いようだな」

 

「げ!? あ、赤夜萌香!? し、しかもロザリオが外された……」

 

 

 例えばサキュバスだったり。

 

 

「貴様程度がどうこうできる訳がないとは思っていたものの、月音にちょっかいを掛けたのが気に食わん。身の程を――」

 

「帰る」

 

「知れ――ちょ、ちょっと待て! 今私が決めてる所なんだぞ!? 帰るとは何事だ!」

 

「どうでも良いわそんなもん。つーか放っておけよ、 別に何もされてねーし」

 

「私は別にお前の為等とは一言も言ってない! 単に私のテリトリーを土足で侵入されたのが気に食わんだけだ!」

 

「じゃあ勝手にぶちのめしてろよ。俺は帰る」

 

「だ、だからその私の姿を見ろって……ま、待って! 置いていくな!!」

 

 

 学園に白猫は存在しないとわかってガッカリしたり。

 

 

「おい、白音とは誰だ? もう一人の私が気になってると煩い」

 

「お前の知らない奴だよ」

 

「だからそれが誰なんだと聞いてるんだ? べ、別に私は気にならんぞ? ただ、表の私がだな……」

 

「…………」

 

 

 それが表より気になってしょうがない裏だったり。

 

 

「ZZZ……」

 

「……(ごくり)」

 

『おい小娘、寝てる間に吸血しようと考えてるならやめておけ。

というか、力の大妖ともあろう者がそんな真似をするのか?』

 

「!? す、するわけが無いだろう! 私を誰だと思っている!! た、確かに吸った事は無いし、美味そうとは思うが……」

 

 

 裏萌香は今日も振り回されるのだった。

 

 

終わり




補足

元ネタは……これマイナーなのかな? そこんところよく分からん。

冒頭の共闘は、悟空とフリーザ様がジレン相手に最終決戦した時みたいな感じです。


その2
皮肉にもネオ白音たんを探す物語です。
その過程で吸血鬼少女に絡まれ、特に裏人格にめっちゃ絡まれながら探す物語。

その3
裏萌香さんは文字通り凸ピンで叩きのめれました。

結果、コイツだけはギャフンと言わせてやると、隙あらば気合いでロザリオ外して出てきては、白音たんを探してるイッセーこと月音くんの後をちょこちょこ付いてってます。


続きはねーっす。

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