ほんと、書いてる私が訳ワカメ
ちょっと色々いじくり加筆
異常な一誠の憧れ人
試練の問題の話だ。
俺の師匠は基本的になんでも出来る。
だからこそ色んな修行をさせてくれる。
例えばそう……俺が基本的に真似してるオリジナルの人が生きている世界で試しに生活してみるとか。
「イッセーくん。兵藤一誠くーん!」
「はい、ただいまー」
まったく、修行だと言ってくれるから乗ったものの、何で赤ん坊から人生をやり直さなければならんのだ……なんて文句を言ったところでアイツは笑うだけ。
故に俺は兄貴達やらリアスやらアーシアやレイナーレが居ないこの世界での人生リセット生活を修行だからと頑張っている。
平々凡々な家庭に生まれ、平々凡々で平々凡々過ぎる平和な生活を送ってたつもりで何処が修行なんだからわかりゃしねぇ。
今も体調が悪いとか病気をしているなんて事もないのに、俺はこんな馬鹿に大きな病院に居る。
そしてナースの人に呼ばれ、診察室に赴いてみれば『え?』っと一瞬だけ騙されてるのかと疑わしく思う……つまりどう見ても今の俺と同じ年齢にしか見えない主治医の先生とトークをする……っての繰返し。
「こんにちはイッセーくん。先生のこと覚えてるかしら?」
「そりゃあ昨日会ったばっかりですから、バッチリと」
「ん、よろしい」
言われる質問に答えると、見た目からして詐欺にしか思えない主治医の先生は満足気に頷く。
人吉瞳……それが病気なんてしてない俺の主治医らしい。
平々凡々な両親が、俺の姿を見て『おかしい』と言ってこの病院にここ最近はずーっと連れてくるのだが、ハッキリ言ってその理由の自覚もあるので恨みなんてものも無い。
というか、こういうのは思っちゃいけないのかもしれん が、正直な所本当の兵藤一誠としての両親と比べるとこの世界の両親にはあまり情が沸かない。
まあ、だからこんな所に連れてこられてるだろうけど……。
「
俺からすれば、そうであろうとなかろうと、そう判定された本人の気持ち次第だと思うんですがね」
「子供がそこまで普通な顔して言い切れる時点でアナタそういう判定なのよ……。
ま、キミみたいな子ならこの先大丈夫だと思ってるわ。
でもね、世の中に居るキミみたいな子が、キミみたいな考えを持ってる訳じゃないの。
だから私は此処で医者をやっている」
「……。なるほど、立派ですね」
異常……イレギュラーの存在が故に、自分を見失わないようにと自分自身を虐め抜き、その結果として目覚めたスキルが異常だというのなら俺はそうなんだろうが……。
「さてと、今日は此処までにしておきましょうか」
「ども」
『診察』が完了し、俺は椅子から降りて出口に向かう。
その際主治医の人吉先生は……。
「アナタの持つその考え。
……出来ればずっと大切にして欲しいと思う」
俺を見ながら、どこか自嘲しているように見える笑顔でそう告げてきた。
「…………。俺は俺ですから、一々人に影響される程繊細でも無い只の馬鹿ですし、恐らく一生こんな感じですよ」
だから俺は、別に安心させるという意味でも何でも無く、考えは崩さないとだけ言って診察室を後にした。
さて暇だ。
てのも両親が迎えに来るまで暇なのだ。
暇潰しの道具の一つでも持ってくれば良かったか……なんて思いながら両親が来ても分かりやすい様とを考慮し、結局この待合室に座ってボーッとしていようと決めたのだが…………。
「………………」
よく分からんが、何か見られてるんだよね……年の頃は『今の』俺と同じ位の女の子に。
リアスと同じアホ毛があって、でも色は藍色で……なんだか微妙に目付きが悪くて……。
「なんだ? 俺の顔に何か付いてるか?」
「……!」
いや、別に良いんだよ見たければ見たいで。
でもそんなガン見されると気になってボーッと出来ないし、何より暇で話し相手も欲しい……。
どうせこの場所に居る時点で大なり小なり俺と同じ性質を持った子供であるなら、話も通じるだろう……だから俺はジローッて見てくる女の子に何用かと訪ねてみると、何故か驚かれた。
「あ……いや……すまん……。此処に居るということはお前も『そう』なのかと思って……」
『そう』なのか、ね。
異常なのかどうなのか……まあ、実年齢が高校生+αでしたと考えればこれもまた異常なのだろう。
「『そう』という意味がそうなのならそうだよとだけ答えるよ」
「そ、そうか……」
故に俺は肯定すると、このアホ毛がリアスと被って実に特徴的に見えてしまう女の子は、何処かホッとした表情だ。
「おう」
「……」
「……」
「「………………」」
……。あり? 会話が途切れた。
変だな、こっから膨れ上がる予定が……。
うーむ仕方がない……此処は精神年齢17の俺が頑張らないといかんな!
「じゃーんけーん……」
「え? え??」
「じゃんけんだよ。
診察終わって両親が迎えに来るまで暇なんだ、だからじゃんけんに付き合ってくれよ?」
「は、はぁ?」
「ほら、じゃーんけーん……ぽん」
「う……ぽ、ぽん!」
その結果……このくらいの年の暇潰しならこれが一番違和感も無いだろうとじゃんけんになり、ほぼ無理矢理付き合わせて始めたじゃんけんの結果……勝ったのは。
「ふっ……」
「なっ……!」
俺がチョキ、女の子がパー……………そう、俺の勝ちである。
「はっはっはっ! 俺の勝ちだな(ドヤァァァァ)」
「ま、負けた……初めて……」
女の子の方が後出しだったのに俺が勝利した。
この事実に、何か知らんけど勝ち誇った気分になった俺と、何気に凄いことを言いつつあり得ないとブツブツ言ってる女の子。
だが関係ない……だって勝ったのは俺だもん。
「お、お前! も、もう一回勝負しろ!」
「ん、構わんよ。そーら、じゃーんけーん……」
「ぽん!!」
プルプルと震えながら、まるで何かを確認するかの如く挑んでくる女の子の挑戦を受け、もう一度じゃんけんをした結果……。
「な、なんだと……?」
「ぬわっはっはっはっ! 今度も俺の勝ちだな!(ドォォォヤァァァァ!!!)」
ちゃんと二人でタイミングを合わせてのじゃんけんは俺の勝利である。
ふはははは…………は?
「す、凄い……。
私以上の『それ』が居たなんて……! お前、名前は何というのだ!?」
あ、あれ? 負けてるのに悔しがらんぞこの子。
それ処かめちゃくちゃ満面の笑みで名前を聞いてくるし……。
ま、まあ、名前くらいなら教えて……って、そういやネームプレート胸に付けてるの忘れてた。
「あ、あぁほら……一誠……兵藤一誠だ」
「一誠か……そうか……! ふふ、あはは!」
……。何だこの子?
変な子だな……いや、なじみよりは変じゃないけど。
「なぁ一誠……いきなりで悪いが聞いて良いか?」
「む?」
一誠……まあこの年代なら名前呼びで良いかと、流しながら何やら聞きたいことがあるというので頷いて見せると、アホ毛の女の子は何処が期待を持った表情を浮かべながら、聞いてみたいこととやらを口にした。
「お前は何の為に生きてるんだ?」
「は?」
趣味は何だ? とか聞かれると思ってたのに、まさかまさかの重い話題に俺は思わずポカンとした表情を浮かべて、凄い真面目な顔付きになってるアホ毛の女の子を見つめてしまう。
そんな難しい質問に対して答えは無いし、というか名前教えたんだから俺にも教えて欲しいのだがな。
えっと、ネームプレートには―――――なぬぅ!?
「め、めだか……?」
「む? あ、すまん。私の自己紹介がまだだったな……」
その名前に身に覚えがありすぎる俺は、思わず声に出しながら固まってしまうと、うっかりしてたといった顔をしてから、突如椅子から降りてピンと背筋を伸ばし、背後に凛という文字が見えてしまいそうな程の覇気を放ちながらアホ毛の女の子はその名前を口にした。
「黒神めだかだ。さあ、教えてくれ一誠よ。
お前は何の為に生きてる? そして私は何の為に生まれた?」
「……。な、生めだかちゃん……だと?」
「え?」
いやこの世界に居るのはなじみに言われて知っていた。
しかし、まさかこんな……こんな早く会うだなんて。
「……? おい、どうした?」
「………………………………………………。ハッ!?」
し、しまった……まさかの展開につい意識が――いやそんな事よりもだ!
ど、どどどど、どうしよう!? さ、サインねだったら引くよな? えっと、ええっと……! 取り敢えず今された質問に答えなければ!
「んんっ……! 何の為にという質問だが、俺はとある人物に背中を任される事を目標にして常に自分を高めている………かな?」
正直に何の為にと言われてもこれしか答えられん。
俺は誰かの役に立てる程強い人間じゃない……精々出来て手助け程度。
そして俺にはその先の……アイツと交わした約束がある。
「とある人物?」
とある人物と言われても彼女には分からないだろう。
キョトンと首をかしげているのは当然だ。
「うむ……その人物が誰なのかはちょっと言えんが、まあそんな所だ。
誰に笑われても、馬鹿にされても諦めずに己を高めるのが好きなもんでね」
そうだ、俺は結局何処に居てもこのルーツは忘れてない。
兄貴と名乗る男が突然ひょっこり現れ、俺以外の誰もが『まるで最初から兄貴が存在してた』という認識の下、自分の居場所が消えそうになり、これじゃいかんと兄貴と肩を並べられる男になろうと自分を苛め抜き、その結果を獲られる事に快感を感じる変態……それが
「それがお前の生きる意味か。
そうか、昨日出会った男の子は……人生なんて無価値で無意味で無駄なんだからと言ってたが……」
ほう、それはそれで実に達観した子だな。
是非とも会ってみたいものだが……。
「すまないが、俺は他人に対してどう生きるべきなのかと抜かせる程ご立派な人間じゃあ無い。
だから俺も、キミが昨日会った男の子にも、キミが何の為に生まれたのか答える資格なんて無いよ」
俺もその男の子もキミにどうこう抜かせる様な立場では無い。
だって俺は、近い未来のキミという姿をなじみに聞かされ、そして憧れたんだから。
でもまぁ……。
「しかしそうだな……その男の子に対抗させて貰うとするなら、キミはキミで居ろ。
周囲にどう言われようとも、思われようとも自分を隠さず自分を貫け。
そういうキミを何時かちゃんと受け入れてくれる人も居るし、貫き通したキミに救われる人も沢山出てくるかもしれないだろ?」
何となくこれだけは言わせてくれ。
めだかちゃんはめだかちゃんであるべきだということを。
「自分を貫く……?」
「そう、価値観が人其々なのは当たり前……それが人間だもの。
自分には無いものを他人に感じれば確かに変な目で見てくるかもしれない……。
だがな、それで腐っちまうくらいならいっそ常に本気になってしまえ。
本気になって自分を高め、何かの壁に通せんぼさせられてる他の人に手を差し伸べてあげれば良いのさ。
恐らくキミなら可能だ、俺が保証してやるよ――って、これも結局は価値観の押し付けなんだけどな、はは」
教えないと言っといて、結局誘導しちゃってる自分に対して変な笑いが出てしまう。
まったく……俺は黒神めだかがどんな人物だったのかなじみから聞かされてただけで、実際会ったのはこれが初めてだが安心したよ。
彼女も一人の人間だってことにな。
最初から完璧な人間なんて……いや、いくら高めても完璧にはなれないのだからな。
「壁に通せんぼされて困ってる人に手を差し伸べられる人間に……」
「まあ、俺の目標の最終地点はそこってだけよ? 結局道を作って歩くのは自分自身さ。
キミはキミが信じる道を歩いたら良いと思う。
何の為に生まれただなんて、そんな事誰も分からないさ……だから道は自分で開き、自分が頼れると思う友達を作れ……子供ならまずはそこからだ」
「………」
いやー……自分の憧れの人とまさかこんな場所で会えるだなんて人生とは分からん。
ん? てことは待てよ? もしかしてこの近くに人吉善吉が――ん、ちょっとタンマ、人吉…………あぁっ!?
「ま、まさかこの近くに居るのか!?」
「わっ!? きゅ、急になんだ!」
何故気付かなかったのだ、俺のあんぽんたん!
人吉瞳って……善吉くんのお母さんの名前だろ! なじみが随分前にくっちゃべってたのを忘れてたなんて……くっ、こうしちゃ居れぬ!
「悪いが急用を思い出した! 俺はこの辺で失礼するぞ黒神めだか!」
善は急げ!
両親が迎えに来る時間まで1時間以上もあるのだ! その前に俺は善吉くんを探しだして……アレだ、握手して貰う!
若干ミーハー的な思想を抱きながら、ポカンとしている黒神めだかに別れの挨拶をしてその場から走り出すのだが……。
「待て、何処に行くのかは知らんが私も暇だから付いていくぞ!」
何故か彼女は走ってる俺の隣にピッタリ並走しながらついてきます宣言をする。
なんか物凄く憑き物が落ちた笑顔を向けてきながら。
………………あれ、何か俺余計な事した? まぁ良いか、取り敢えず善吉さんを探しに――
「こら! 病院の廊下は走っちゃいけません!!」
「あ、す、すいません……。お、おい黒神めだかよ。
歩いていくぞ……」
「うむ……。看護師さんの言う通り、廊下は走っちゃ駄目だからな」
行こうとするために走ってたら怒られた。
くっ……ど正論過ぎてグゥの音もでやしねぇ……。
「用事を思い出したと言ったが、何の用事なのだ?」
「む? あ……あー……アレだ、確証は無いのだが、この院内にとある人物が居るかもしれないと思って……」
「? 誰だ?」
「人吉善吉……ほら、あの人吉先生の息子さんなのだが、考えてみれば仕事場に子供を連れてくるわけ無いか……」
「む? そういえば病院には託児所みたいな所があった気がするが……」
な、なん……だと……? それだ!!
「それだ、それだぜ黒神めだか! はは、やっぱりキミは最高だぜ! 人吉先生は確かシングルマザーだった筈! となれば善吉くんはそこだぁぁっ!!」
人吉先生の『診察』の時、息子が居ると聞いた事があり、その時は右から左になってたが……ククク! これはもしかしたらもしかするぜ!
「善吉って誰だ……?
お前がそこまでハシャぐとなると、かなりの人物なのか?」
「おう、キミにとっては特にそうかもな……」
「は?」
「ふっ、何でも良いから行くぞ! ヒャッハー!!」
久々だな……本当に久々にワクワクして仕方ない。
そのせいでまた看護師さんに『病院の廊下で大きな声を出さない!』って怒られてしまったが、今だけ許してくれ看護師さん。
俺にとって黒神めだかも人吉善吉も憧れなんだよ! あっははのは!!
終わり。
補足
時系列はアーシア、レイナーレ、リアスと友になった所らへんです。
そこから安心院さんが……よっしゃ行けーと彼を飛ばしました…………的な。
続きは本当に無い、だって一発ネタだもの