色々なIF集   作:超人類DX

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あっちもストーカー

こっちもストーカー

そっちもストーカー

むこうもストーカー


ストーカーだらけやで


妙に多い気のするストーカー予備軍

 ひょんな事から再会した姉がはぐれ悪魔の認定を取り下げられたばかりか、魔王の眷属に昇格したという、シンデレラもびっくりなサクセスストーリーを歩む姿を目の当たりにした妹の小猫は、その姉たる黒歌から仙術の指南を受けていた。

 

 

「うん、ある程度基礎は出来てきたね」

 

 

 まさかこんな風に姉と再び一緒になれるとは……と感慨に更ける暇も無く、それまで手を付けなかった仙術の修行をする小猫は今やっと基礎のマスターを果たすことになった。

 

 

「これが世間的に言われてる仙術の完成形なんだけど、これは単なる切っ掛けにしか過ぎない。

本当の仙術という概念はここからになるよ白音」

 

「その先の仙術……」

 

 

 そしてこれから始まるは、姉の黒歌のみが到達した領域の欠片。

 真に自然と一体化する仙人モードと呼ばれる形態の修行になる。

 

 

「おお、小猫ちゃんがロリ巨乳になったぞ! 仙術万歳! 白音モード万歳!!」

 

 

 肉体が活性化する事により、白音の身体は一時的に成長する。

 それは勿論胸も活性化される訳で、白音のついでに近接戦闘についての修行を受けていたイッセーが小猫の姿を前に万歳三唱しながら喜んでいた。

 

 

「………」

 

「わかりやすいねイッセーくんは」

 

「……。あんなスケベな先輩なんて知りません」

 

「そうかな? その割りには結構嬉しそうに見えるけど?」

 

「…………………」

 

 

 黒歌に心を読まれてしまった小猫はフイッと目を逸らす。

 ちょっとブラコンが入ってるとはいえ、割りとその時の姿にかっこよさを感じてしまってる小猫的には図星なのだ。

 

 

「……。次の修行をお願いします」

 

「ん、そうだね――と、言いたいところだけど少し休憩にしましょう。

よく学び、よく遊ぶ……常に心にゆとりを持たないと修行をしたところで何も身につかないわ」

 

 

 黒歌にそう促された小猫は所謂白音モードを解き、まだ万歳してるイッセーの向こう脛を軽く蹴飛ばしてから休憩に入る。

 

 

「いてて……」

 

「胸ばっかり見てるからですよ」

 

「正直よねイッセー君は……」

 

「それしか取り柄が無いからな! おっぱい万歳!」

 

 

 改築の結果庭まで大きくなった兵藤邸にて休憩する小猫にジト目で睨まれてもなんのそので胸の素晴らしさを語り散らすイッセー。

 彼もまた黒歌による修行によって、神器の扱いに耐えうる肉体へと進化しつつあった。

 

 

「今のイッセー君なら神器を禁手化させても長く維持しながら全力で戦えるんじゃない?」

 

「む、そうなのか? あまり実感は無いが……」

 

 

 割りとハードな修行の結果、イッセーも着実に進化を果たしており、彼の身体は前よりもより引き締まっていた。

 

 

「流石にまだまだ白龍皇に勝てはしないけど、前よりは喰らい付ける筈よ」

 

「実質負けてたからなあの時は。匙にも負けたし、アーシアの事もある。だからまだまだだぜ」

 

 

 しかしイッセーはこれでは満足しない。

 ハーレム王に相応しき男になる為の道のりはまだ先なのだ。

 

 

「そういえばそのアーシア先輩は今マコト先輩に護衛されながら夕御飯のお使いに出てるんですよね?」

 

「あぁ、そうだぜ小猫ちゃん。

サイラオーグさんを倒したマコトならまず狙われても大丈夫だからな」

 

「…………。多分だけど逆にアーシアって子が気まずいと思うけどね」

 

 

 絶賛ストーカーされてるアーシアの護衛になんとマコトが付いているという話題になり、黒歌の一言に小猫は特に同意していた。

 

 

「シャイだからなぁマコトは……でも大丈夫だぜきっと」

 

「いや、シャイというよりはもっと根本的な問題があるような……」

 

(元の世界では敵でしたからねぇ。

しかも考え方からして普通に嫌いとまで、あの時先輩は吐き捨てる様に言ってましたし)

 

 二人の会話を眺めながら黒歌はかつての世界にてマコトがアーシアに対して言っていた言葉を思い出していた。

 

 

『ああいう『話し合えば皆平和に解決です!』とかほざく輩は殴り倒してやりたくなる』

 

 

 力を求め、邪魔をする者全員を捩じ伏せる生き方をしてきたマコトにとって、甘い性格のアーシアとは相容れない物があった。

 そんな彼女を何の因果か護衛をしてるというのだから世の中というものは何があるかわかりゃしない。

 

 一体どんな空気になっているのやら――黒歌はこの世界の自分であり妹である小猫と想い人のじゃれ合いを眺めながら口許を緩めるのだった。

 

 

 

 

 

 

 そんな黒歌の考えは大体当たっている様で、居候だからとなるべくイッセーの両親のお手伝いをしていたアーシアはといえば、夕飯のおつかいの為に外へと出ていたのだが、気分的にはとても重苦しいものだった。

 

 

「……………………………………………」

 

(うぅ………き、気まずい)

 

 

 イッセーが修行をしているというから、代わりに暇そうにしていたマコトを手伝わせる――という母により実現してしまったこの空気にアーシアはとにかく気まずさしかなかった。

 一言も言葉を発する事をせず、ただお店へと歩く自分の半歩後ろを歩くその表情からして冷たい雰囲気がヒシヒシと放たれており、この機会にイッセーに言われた通りお話をしてみようと思っていたその決意は既にへし折れていた。

 

 

「……………………」

 

(や、やっぱり無理ですよイッセーさん……! とてもお話なんて出きる雰囲気ではありません……!!)

 

 

 これ程までにそっくりな容姿をしてるのに、何故こうまで違いすぎるのかがアーシアには分からない。

 イッセー曰く『シャイだから』との事だが、どう考えてもマコトが『俺に話し掛るんじゃねぇ』的なオーラを放ってるようにしか思えない。

 それを考えればよく小猫は彼をマコト先輩と呼べる様になったものだ……と、お店に到着して頼まれたものを探す最中もアーシアは思うのだった。

 

 

「えっと、サンマというお魚は……」

 

「…………………」

 

 

 護衛としては頼もしいのかもしれないが、一緒に居るとなると息が詰まりそうなアーシアは、早く家に帰りたい気持ちを抱きながらサンマという魚を探すのだが、如何せん外国育ちのアーシアはまだ秋刀魚という漢字が解らずにアジの開きに手を伸ばそうとしていた。

 

 

「それ違う」

 

「うぇ!?」

 

 

 そんなアーシアに、石像みたいな無表情で見ていたマコトが突然、それは秋刀魚ではないと声を放った。

 他のお客さんでスーパーは賑わっていたのだが、アーシアの耳にははっきりとイッセーにそっくりな声色のマコトの声が入ってしまい、思わず飛び上がる勢いでビックリしてしまっていた。

 

 

「ち、違う? で、ではこれですか?」

 

「それも違う、それは鮭の切り身だ」

 

「えっと、では――」

 

「チッ」

 

「ひっ!? ご、ごめんなさい!」

 

 

 鱈の切り身に手を伸ばそうとした時点で業を煮やしたマコトが軽く舌打ちをすると、叱られた子供の様に完全に怯えてしまうアーシアはちょっと泣きそうだった。

 だがそんなアーシアに対して一瞥すらくれなかったマコトは完全に萎んでるアーシアを他所に秋刀魚を――それもマシな鮮度のものをさっさと取り分けると、ビクビクしている彼女が持つ買い物かごの中に入れてあげる。

 

 

「あ、あの……」

 

「……………」

 

 

 別にされた事も無いが、てっきり頭をどつかれると思ってたアーシアは少し面を食らった気持ちになって買い物かごの中の秋刀魚とマコトを交互に見る。

 が、それ以降マコトが言葉を発する事はなく、アーシアはそのまま残りの買うものを取ってお使いを済ませ、気まずい空気のまま家へと帰る。

 

 

「……………………………………」

 

「……………………………………」

 

 

 こうして改めてみると本当にイッセーの性格と真逆すぎると、常にアーシアの一歩後ろを歩くマコトに対して思う。

 イッセーの弟なのだから悪人な訳ではないとは流石のアーシアだって思うが、なんというか誤解でもされやすい性格なのかもしれない。

 

 でもその癖、セラフォルーだの最近家に自分と同じく居候をする様になった黒歌等には――こう、普通に話したり返事をするのだから、きっとマコトは好き嫌いが激しいタイプなのだろう………と、ぼんやりと考えるアーシア。

 

 

(それにこうやってボディーガードもしてくれるし、きっと悪い人ではないですよね……!)

 

「…………」

 

 

 終始無表情のマコトに対して何とか前向きに考えるアーシア。

 その本人が実の所、イッセーに言われてるから仕方なくであって、アーシアには欠片の興味も無いと思ってると知らない方がきっと幸せなのかもしれない。

 

 

「………誰かが居る」

 

「え?」

 

 

 一度スイッチが入ると極めて凶暴化する本性を持つ事を含めて……。

 

 

 

 

 

 

 かつての姉の模倣をそれなりにしていた黒歌は、一応禍の団というその気になれば人員まとめて月の形に封印できそうな組織に居た。

 無論仲間と呼べる者は居ないし、冥界に来た際についてきた美猴という青年に関しても、最近入ってきた白龍皇の仲間であって黒歌の仲間ではない。

 

 というより、マコト達と再会してまた共に居れる様になった時点で組織は既に用無しだった。

 故に黒歌はそこまで接点も無かった筈の男の出現に少々ばかり驚いていた。

 

 

「美猴が意味のわからない譫言を言っていてお前の姿が無かったから探したぞ黒歌」

 

 

 背に白い光翼を広げ、空からこちらを見下ろす白龍皇に。

 

 

「お、お前はヴァーリ! 俺の家に何しに来やがった!」

 

「兵藤イッセーか、以前より少しは強くなってくれた様だな。

しかし生憎キミと戦う為に来た訳じゃない」

 

「なんだと? じゃあ何しに来たんだよ」

 

「決まっているだろう? 仲間である彼女を迎えに来たのさ」

 

 

 赤龍帝としての宿敵たる白龍皇のヴァーリの出現に以前戦ったイッセーが警戒体制へと移行する。

 しかし宙に浮いたままイッセーを見下ろしていたヴァーリは戦う意思は無いと言い、そのまま仲間である黒歌を迎えに来たと宣言した。

 

 

「姉様……」

 

 

 ヴァーリの言葉に少し不安気な眼差しを向ける白音だが、黒歌はそんな白音の頭を優しく撫でると、こちらを見下ろすヴァーリを見据えながら淡々とした声で言った。

 

 

「仲間? 可笑しいね、何時キミの仲間になったのか、私には身に覚えが全くないんだけど?」

 

「そうだぜ! 黒歌はお前の仲間なんかじゃないぜ!」

 

 

 馬鹿馬鹿しいと吐き捨てる黒歌に続いてイッセーも……まるでどこぞの生徒会庶務が時たま生徒会長との決闘相手に対して見せる小物っぽさを醸し出しながら帰れと言うも、ヴァーリはそれを無視して少しムッとした顔をした。

 

 

「黙ってろ兵藤イッセー、今お前と遊んでる暇はない。

黒歌、俺が知らないとでも思っているのか? お前の力は余りにも強大であり、その力を恐れないのはこの俺だけだ。

そして強くなるにはお前が必要なんだ、だから一緒に来い……」

 

 

 そう言いながら地上へと降りて黒歌に手を差し出すヴァーリ。

 

 

「何だったらお前の妹を連れてきても構わない。

それなら常に一緒だし文句はないだろう?」

 

「お前、さっきから何を勝手な……!!」

 

「黙れと言っただろう? それとも今すぐ黙らせてやってもいいぞ俺は?」

 

 

 妙にしつこいヴァーリが怒るイッセーに殺意を向ける。

 彼の事はイマイチわかってないし、殆ど関わりも無かったが、妙に拘るその姿に見ていた小猫はまさかと何かに気がつく。

 

 

(こ、この人まさか……)

 

 

 妙に黒歌に拘る姿に何かを悟った小猫は、黒歌本人の気持ちすべてが全く違う人物に向けられてる事を知っていたので、思わず声が出てしまう。

 

 

「諦めて帰った方が良いですよ。

姉様はきっとこれからもアナタに関心は持たないでしょうから」

 

「何? それはどういう意味だ?」

 

「言葉通りの意味です。

姉様は―――――――っ!?」

 

 

 黒歌の関心を全て受けている人物についてを語ろうとした瞬間、これまでに一度も感じた事の無い強大な殺意を背中に感じてしまった。

 それはイッセーも……そしてヴァーリも同様に感じており、どこか嬉しそうに笑っていたのは黒歌だけだった。

 

 

「バカだね、大人しく関係の無い所で生きていれば良かったのに……」

 

「こ……れは……?」

 

「キミが私に何を思ってるかは知らないし興味も無い。

私の気持ちは今も昔も永遠に変わらない……」

 

 

 殺意と表現するにはあまりにも重すぎる重圧に膝を折りそうになるヴァーリに黒歌は微笑みながら後ろを振り向くと……。

 

 

「………………」

 

「きゅう……」

 

 

 以前サイラオーグに対して爆発させたものと同等の――スイッチが完全に切り替わった狂犬が、目を回しながら気絶してるアーシアの首根っこを掴んで抱えながら佇む姿がそこにあった。

 

 

「………」

 

「ま、マコト……?」

 

「あ、アーシア先輩が……」

 

 

 ゾッとするような目付きで目を回して気絶してるアーシアをまるで犬か猫を扱う様な感じに抱えるマコトに、上手く言葉が見つからない小猫とイッセー。

 見るからに怒ってるといったオーラがひしひしと感じるから仕方ないといえばそれまでなのだが、それにしても普段無機質な者が怒るとこうまで変貌するものなのかと思ってしまう程……今のマコトからは狂暴なものを感じた。

 

 

「お前は確か兵藤イッセーの弟でセラフォルー・レヴィアタンの眷属か? まさか黒歌、お前は悪魔によって人生を狂わされたのに、ソイツの仲間だと言うつもりなのか?」

 

「…………………」

 

「そうだけど?」

 

「バカな……! 何故だ!」

 

「そりゃあ勿論、彼が好きだからさ」

 

「……!」

 

 

 黒歌のハッキリとした言葉にショックを受けたヴァーリはギロリとマコトを睨む。

 

 

「セラフォルー・レヴィアタンの眷属が何故黒歌を……! 一体何をして黒歌にこんな台詞を言わせてる!」

 

「……………………。あれ、ひょっとしてアイツまさか……?」

 

「鈍いイッセー先輩も気付いたみたいですね。

多分そのまさかです」

 

「………マジか、あの野郎も戦いだけが頭の中にある訳でもなかったんだな」

 

 

 ここにきてやっとヴァーリの内面を知ったイッセーは少し怒りが萎えてしまう。

 いやよくはわからないが同情してしまった。

 

 

「おいヴァーリ? なんだ……諦めた方が良いぜ?」

 

「黙れ!! 貴様の弟がどうたぶらかしたかは知らないが、黒歌は俺の……!!」

 

 

 マコト関連についてはちょっと気に入らないけど、基本的に悪い子じゃないし、何よりナイスバディ。

 ちょっと気に入らないけどセラフォルーと同じくマコトに好意を持ってくれているという時点である意味の同志である以上、何だかディオドラ・アスタロトみたいな空気を感じるヴァーリに同情をしながらも帰れと促すが、図星を突かれてむきになったのか、ヴァーリはこれでもかという敵意をマコトに向けながら、黒歌は自分の――――と口走ろうとしたその瞬間だった。

 

 

「ゴバァッ!?!!」

 

 

 グチャリという肉が潰された様な嫌な音と共にヴァーリ・ルシファーの身体は乱回転しながら空を舞った。

 

 

「……………………………………」

 

「先輩、私がぶちのめして追い返しても良かったんですよ?」

 

「クロがわざわざやる相手じゃねぇ」

 

 

 マコトの拳がヴァーリの顔面を殴り抜けるという形で……。

 

 

「でもまあ……ふふ、シャルさんと同じ様に怒ってくれるんだ? 嬉しいにゃん……♪」

「あぁ、自分でも現金なくらい腸が煮えくり返ってるぜ」

 

 

 黒歌以外の誰にも捉えられない速度でヴァーリの前へと移動し、顔面を殴り抜けたマコトは、顔面から夥しい量の血を流しながらも起き上がって白龍皇の光翼を広げて空へ飛ぶヴァーリを睨み付けている。

 

 

「ぐ、ぐふ……貴様、セラフォルー・レヴィアタンの眷属なだけはあるな……! だが今度は油断はしない!」

 

 

 油断したから一撃を受けてしまったと言うヴァーリがイッセーと戦った時とは比べ物にならない殺気を放ちながら力を解放しようとする。

 今この場で潰して黒歌を連れて帰る……そして、奴は黒歌を奪った敵という認識と共に。

 

 しかし相手はヴァーリの知るよしもないモノを持った異常者(バケモノ)だった。

 

 

「なっ!? は、速っ―――ぶべらっ!?」

 

 

 彼を押さえ込めたのは彼を家族として愛した者達だけ。

 そして彼をして勝てる気がしないと言わしめたサーゼクス・グレモリーだけ……。

 

 セラフォルー、シャルロット、黒歌。

 かつてをお互いに知る者の為だけに覚悟を決めた異常者は既にその異常性をおしげもなく解放していたのだ。

 

 

「ガッ!?」

 

『ヴァ、ヴァーリ!? こ、こいつ………化物か!』

 

 

 全く目で追えないスピードで再び肉薄されたヴァーリがタブルスレッジハンマーの一撃をモロに後頭部に貰い、地面に叩き付けられる。

 その様をヴァーリの中から見ていた白い龍は、明らかに異常すぎる転生悪魔の力に戦慄し、何とかヴァーリに力を貸そうとするも、まるで足りなかった。

 

 

「ガバッ!? き、貴様―――グバァッ!?」

 

「……………」

 

 

 そこからは最早目を覆いたくなる程の蹂躙だった。

 立ち上がろうとするヴァーリの髪を掴んで無理矢理立たせては何度も顔面を殴り、倒れても殴り、馬乗りになっても殴り、意識を手放そうとしても殴って叩き起こして更に殴り続けた。

 

 

「す、スゲー……やっぱり気のせいじゃなくマコトは喧嘩強かったんだな……」

 

 

 ちょっとやり過ぎな気がするけど……と思いつつも弟の頼りになる姿に目を輝かせるイッセー。

 中に宿るドライグが完全にドン引きしてるにも拘わらず、ブラコン故のフィルターはとても強固らしい。

 

 

「あぁ……先輩が私の為に……。

あはぁ……ん♪ 下着がびしょびしょにゃあ……」

 

 

 しかも黒歌まで、発情期の様な面持ちで下腹部を撫でながら、かつてサーゼクスと喧嘩をしていた時と同じ目をしながら殴り続けるマコトを眺めていた。

 その怒りの理由が自分の為だからというのが主な理由で、ヴァーリの生死についてはどうでも良いらしい。

 

 

「い、言ってる場合ですか姉様にイッセー先輩! 早く止めないと!」

 

 

 そんな姉とイッセーにすかさず小猫は突っ込む。

 イッセーはブラコンで黒歌はぞっこんなものだから、客観的に判断できる小猫の存在はとてもありがたいものだ。

 ……アーシアはリアルジェットコースターを味わったせいで気絶したままなので余計に。

 

 

「おい、何効いたフリしてんだ小僧? クロを連れていくだと? ……俺からクロを含めた三人を奪う奴は―――親だろうが殺す」

 

「………………」

 

「マコト、そいつ気絶してるからその辺にしてやれよ……? ここまでされたら流石にもう黒歌を連れていこうとはしないだろうしよ」

 

「わ、割りと姉様の事を大事に思っていただけるのは妹として嬉しいですが、少しバイオレンスが過ぎるといいますか……」

 

「良いなぁセラフォルー様は……うー……私も先輩が欲しいにゃあ……」

 

 

 結局、ぼろ雑巾にされたヴァーリは死にはしなかったものの、この後近くのドブ川に投げ捨てられ、彼の仲間に回収されるまで漂っていたらしい。

 

 

 

 

 

「な、なぁヴァーリ? 黒歌の事は諦めた方がよくね? あの赤龍帝の弟……黒歌並にヤバイと思うぜ」

 

「油断していただけだ……! 傷が癒えたら必ず迎えに行き、今度は勝つ……! あんな奴が黒歌を理解できる訳がない……! 俺だけが……俺だけが理解できるんだ……!」

 

(……だ、ダメだこりゃ。

たまたま黒歌の力を目の当たりにしてからずっとこんな調子だ……)

 

 

 そして反省もせず、どこかのストーカーみたいな思考回路に転換してしまい、仲間にドン引きされるのだったとか。

 

 

「ふーん? 黒歌ちゃんもいーちゃんに……」

 

「シャルさんの時もそうでしたけど、先輩ってやっぱり情熱的ですよね……ふふ、ずっとお腹が疼いて仕方ないです」

 

「あの子も別の意味で罪作りな子になってしまって……」

 

 

 そして逆に若干ダメ女になってきてるガールズ達は、完全に自分達の為に尽くそうとするマコトに余計嵌まっていくのだったとか。




補足

割りと黒歌さんによってパワーアップしてるイッセー君はマコト関連を抜かしたら割りと黒歌さんと気は合うらしい。

そしてその様子を見て若干やきもち焼いてる小猫たん。


その2
殴られました、蹴られました、また殴られました、もっと殴られました、やっぱり殴られました――――でも俺は諦めない!


メンタル強いよねー……(他人事)

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